曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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 言う程恩なんてあったっけか?


4.恩返しの血戦

 

 あの大騒動に巻き込まれて以来、不良や先生に出会うことなく、平和な日常を送れていた。なんかつい最近、結構な規模の抗争があった様な気もするが、俺には一切合切関係ないのでヨシ!

 

 俺の現在の住居は今二階建て庭・倉庫付き6LDK物件である。電気・ガス・水道は通っていないが井戸も畑もある。しかも近隣トラブルも考えなくていいのだ。こんな素敵な物件がタダなんてやっぱりアビドスは最高だな!

 

 後は暮らしを豊かにするために金策を考えn「トマリー!来たよー!開ーけーてー!」…何故ここが分かった?

 

 玄関からノックの連打音が響く。それも一般的に想像するそれとはほど遠い、高橋名人ばりの連打だ。どう考えても一人では、逆立ちしたって成せる技じゃない。下手人は複数人いるだろう。近所迷惑である。近隣住民いないけど。

 

 

「貴方は包囲されている。大人しく出て来なさい。田舎のお母さんが悲しむよ」

 

「ここに居るのはわかっている。開けないならこの爆弾で…」

 

「待て待て待て!滅茶苦茶しますねあなた達!?何の用ですか!?」

 

「うわ、本当にいたわ」

 

「お久しぶりですねートマリさん☆」

 

 

 慌てて玄関扉を開けると先生と、小鳥遊さんと奥空さんを除いたアビドス生達が屯していた。こんな朝っぱらから家庭訪問して脅迫とか常識はどこに捨てて来たんだアンタら。

 

 

「で?何の用件ですか?こんなことされる謂れはないと思うんですけど」

 

「事態は一刻を争うんだッ!行こう!」

 

「まず説明しr「ん、ノノミはそっちの腕抑えて」「わかりました〜」……」

 

「よしッ出発よ!」

 

「時間が惜しいので道中で説明しますね〜」

 

「何なんすかねこれ…?」

 

 

 いやこら拉致だよ!誘拐だよ!せめて準備だけでもさせてくれと懇願したが普通にスルーされ、連行されたのであった。

 

 

 

 

 

 話を一言でまとめると、借金の形にと小鳥遊さんが身売りしたからカチコミに行くと言うことらしい。銀行の次は軍事会社を襲うってこと?これはアウトロー極まってますわ。色々言いたいことはあるが、一つだけ言わせてくれ。

 

 

「俺、いらなくないですか?大した戦力にならないですし。お疲れ様っしたー」

 

「ほら面倒だからって逃げない逃げない。それにトマリには味方の支援って言う重要な仕事があるから!」

 

「支援?」

 

「トマリって風を操れるでしょ?前の乱闘ではそれでサポートしてくれてたよね?今回もお願いしたいなーって思ってね」

 

「そんなことしてたの!?」

 

「まあ近いことはしてましたが」

 

 

 風を操れると言うかそれっぽいことができるだけで全然違うが、確かに目潰しとかをしていたのは事実である。割とピーキーな性能なので多分今回みたいな作戦には向いてないと思う。

 

 

「…ちなみに協力したら何か報酬とかはありますか?」

 

「もちろん!しっかり用意するよ!」

 

「え?あるんですか?それなら早く言ってくださいよぉ!」

 

「現金なやつね…」

 

 

 何を言うか。世の中金が全てじゃないとは言うが、金さえあれば大体解決できる。つまり金は正義である。それは莫大な借金を抱えているアビドス生なら身に沁みていることだろう。

 

 

「それで?辺り一面砂しか見えないですけど、こんな砂漠に会社なんてあるのですか?」

 

「目標地点まで、もう少しです。…!?北方で戦闘!?これは……一体!?」

 

「北方ってことはヒナ達だね。敵軍を抑えてくれている内に急ごう!」

 

「ゲヘナの風紀委員会が協力を!?先生の考えというのはこのこと!?」

 

 

 どうやら先生が風紀委員会に協力を取り付けたらしい。今の内にという訳なんだが…。

 

 

「み、みんな早いっ。待ってー!?」

 

「おっそ…いや、他が速すぎるだけですか」

 

「トマリー、私を運んでー」

 

「…………それしかなさそうですね」

 

「めっちゃ不服そうな顔だね。もうちょっと隠せない?私だって傷付くんだよ?」

 

「え?隠せてなかったですか?中々いい線行ってたと思ったのですけど」

 

「思いやりと表情筋を鍛える必要があるみたいだね」

 

 

 失礼な、俺ほど思いやりに溢れた人間もそうそう居ないのに。先生こそ、自分の行動を省みて欲しいものだ。主についさっきの出来事とか。

 

 

「私が運ぼうか?」

 

「いえ、皆さんはいつでも戦闘に入れるようにするべきです。不本意ではありますが、俺が背負います。不本意ではありますが」

 

「ねえ、2回言う必要なくない?そんなに私をいじめて楽しい?」

 

「早く乗ってください。置いて行きますよ?」

 

「冷たいように見えて、背中に乗りやすいようにしゃがんでくれるところとか、優しいよね。もしかしてツンデレ?」

 

「先生、それは流石に失礼です。ツンデレに謝ってください」

 

「ちょっと、なんで私の方を見るのよ」

 

「確かに……セリカ、ごめんね」

 

「アンタたち、こんなときにふざけてんじゃないわよ!?」

 

 

 また先生が怒られている。それにしても先生の巫山戯た態度にも困ったものだ。もっと緊張感を持つべきだと思う。

 

 

 

 

 

「カイザーPMC基地に入りました!みなさん、大丈夫ですか?先生に教えていただいた座標はもう目の前なので後少しの辛抱です!」

 

「まだまだ行けますよ〜!」

 

 

 そこも先生からの情報なのか…。戦闘指揮もできるし、性格と身体面以外は意外と優秀なのか?案外、方々に走り回って苦労しているのかもしれない。

 

 

「そろそろ降りてください先生。…先生?」

 

「スゥーッ…んんっ何かな?」

 

「あれ、もしかして寝てました?寝息みたいな音がしたような…?」

 

「えっ!?…あはは、ちょっと寝不足気味でね?」

 

「忙しいのかもしれませんが、睡眠時間はしっかり確保してくださいね?寝ない食べない休まないは普通に危険ですから」

 

「うん、これが終わったらちょっと休むね」

 

「是非そうしてください」

 

「前方2kmに敵を発見しました。みなさん、対応の準備を…」

 

 

 奥空さんの発言の最中、辺りに爆音が響いた。すわ敵襲かとも身構えたが、敵のいるであろう地帯から煙が昇っているのが確認できた。これはむしろ支援砲撃か?

 

 

「……L118、トリニティの牽引式榴弾砲です!一体どうして…」

 

「これも先生が?」

 

「うん、ちょっとね」

 

「あ、あぅ……わ、私です…」

 

「あっ!ヒフ━━」

 

「ち、違います!私はヒフミではなく、ファウストです!」

 

 

 突如通信が入り、紙袋を被った不審者の姿が現れた。自分で名前言ってしまっていると言うのはまあ野暮なツッコミだろう。確か一緒に銀行強盗した子だったか。まだその紙袋持ってたんだなって思う。

 

 

「わあ、ファウストさん!お久しぶりです!ご自分で名前を言っちゃってましたが、そこはご愛嬌ということで☆」

 

「あ、あれ!?あうぅ…」

 

 

 容赦ないなこの人。まあこの通信を傍受している奴がいないとは限らないが、なんだろうねこの締まらない感じ。

 

 

「その、L118はトリニティの牽引弾ですが……ト、トリニティ学園とはいっさい関係ありません!そうなっています!す、すみません…これくらいしかお役に立てず…」

 

「ううん、すごく助かった」

 

「ありがとうございます!ファウストちゃん!」

 

「あはは…えっと、みなさん、が、がんばってください!」

 

「火力支援の直後に突撃、定石通りだね」

 

「支援のタイミングが良すぎて怖くない?」

 

「敵は砲撃により混乱状態です!今の内に突破しましょう!」

 

 

 

 

 

 完全武装の戦闘員にヘリコプター、果てには戦車まで。人数に対する戦力の投入っぷりおかしくない?まあ対策委員会は物怖じしないどころか全部跳ね除けてるんですけどね、初見さん。少数精鋭ってレベルじゃないんだが?

 

 

「目標の座標地点に到着!この辺りにホシノ先輩が閉じ込められているはずです!この周辺のどこかにきっと…」

 

「この痕跡……多分だけど学校、だよね?」

 

「砂漠の真ん中の学校……もしかして」

 

「ああ。ここは本来のアビドス高等学校本館だ。よくぞここまで来たものだ、アビドス対策委員会」

 

「あんたは……!」

 

 

 多数の戦闘兵を引き連れて現れたのは体格のいいサイボーグおじさんだ。対策委員会の反応を見るに敵の親玉と言ったところだろう。

 

 敵らしく長々と背景から現在の状況、小鳥遊さんの居場所まで説明してくれている。何故こうも敵の親分ってのは解説大好きなのか。黒服?とやらの実験というのが、異質で不穏な響きではある。何が起きているかは知らんが、さっさと救出に向かうべきだろう。しかし、強行突破するにもこの数はかなり厳しい。

 

 

「……ん、じゃあここは私に━━」

 

 

 砂狼さんが死亡フラグ発言をしている最中、大爆発が起きた。派手に周囲の敵兵を爆破させて煙中から姿を現したのは━━

 

 

「やっほ〜☆やーっと追いついた!けどもしかして大事なシーンに来ちゃった感じ?」

 

「……ふん、こっそり助太刀しようと思ったのに、そう上手くはいかなかったわね」

 

 

 つい先日共闘した便利屋再びである。あの時は風紀委員長が現れたタイミングで逃亡していたがここに来て助っ人として、まさかの再登場である。

 

 

「このタイミングに登場、ということは…!」

 

「…なるほど、そういうことだね」

 

「便利屋にまで依頼を…?」

 

「いや、今回は違うけど…」

 

「マジっすか」

 

 

 え?何のメリットもないのにわざわざ助けに?ありがたいけど企業として大丈夫?

 

 

「私たちがここに来た理由なんて、決まっているでしょう?ここは私たちに任せて、先に行きなさい!!!」

 

「ヒューー!カッケェー!」

 

 

 リアルにお目にかかる機会なんてそうそうないセリフだ。死亡フラグにしか思えないが、キヴォトス人なら早々死なないだろうし平気平気。

 

 

「べ、別にお礼は言わないから!でも…。全部終わったら…一緒にラーメンでも食べに行くわよ、便利屋!」

 

「ありがとう!また後でね!」

 

 

 足止めを引き受けてくれた便利屋に感謝しつつ、囚われのおじさんの元へ急ぐ。実験がどうたらとか嫌な予感しかしないし。

 

 去り際に赤髪の子が白目剥いた変顔を晒していたが大丈夫だろう多分!頑張れ便利屋!あんた達のことは忘れるまで忘れないだろう!

 

 

 

 

 




忘れるまで忘れないと言うことは、忘れるまで覚えていると言うことです。
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