曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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アビドスにて、トマリ君のトップシークレットが遂に?



b.返品はできなかった

 

 

 学校において、学年は大きな意味を持つ。実際のところは、留年などの例外を除けば年齢が1つないし2つ違うだけではあるが、こと学校においてはその違いは非常に大きな要素と言える。

 

 異なる学年の生徒同士が交流する機会は基本的には限られており、生徒数が多ければ挨拶すらした事がないケースも珍しくない。学年とは、所属する生徒を3つのグループに隔てる符号としての意味を持つ。

 

 散々御託を並べたが、鯔のつまり、学年及び年齢の話である。

 

 

「で、結局トマリって何歳なの?」

 

「永遠の17歳です」

 

「いや、真面目に答えなさいよ」

 

「大体2桁以上3桁未満」

 

「いくら何でもアバウトすぎるでしょ!?」

 

「実は割と真面目に答えています」

 

「もしかして、トマリは自分の年齢が分からない?」

 

「おお、シロコさん正解。その通り」

 

 

 異世界転移(拉致事件)の日から3日目にしてカウントするのをやめた身なので年齢不詳が正しい。開幕から割とクライマックス(生命の危機)だったので、数える余裕がなかったとも言う。

 

 仮に年を数えていたとしても、あっちでも1日が24時間なのか、時間の流れが一定なのかとか疑い出すとキリがない。そのような観点から、最早気にするだけ無駄だという結論に至った。

 

 だから外見年齢だけでそれっぽい17歳と言っているだけである。別に16歳でも18歳でも、正直なところ何でもいいのだ。実年齢的には中学生以下かもしれないし、先生のような社会人の可能性もある。神のみそしる。

 

 

「年齢がわからなくて困ったこととかないのですか?」

 

「寧ろなさすぎて困惑してる」

 

「えぇ…」

 

「本人が困ってないなら別にいいんじゃない〜?」

 

「そう言う問題なの…?」

 

 

 向こうでは年齢制限も倫理観もガバガバだったので言わずもがな、こっちに来てからは日が浅いので正直まだ何とも言えない。俺自身は、早々問題は起きないだろうと楽観視している。

 

 

「でもトマリさんって、外見的には私たちと同じぐらいですよね♣︎」

 

「外見と言えば、トマリって意外といい体してるよね?」

 

「ん、本当だ。そういえば、外の世界の人なのに身体能力も高かったし、何かスポーツとかしてた?」

 

「厚着気味だから分かりにくいね」

 

「珍しいからってベタベタ触るの止めていただけます?」

 

 

 別に薄着な訳でもないのに見抜いてくるおじさんアイ怖すぎない?興味津々のシロコさんやセクハラおじさんとかをとりあえず引き剥がす。先生もしれっと混ざるな。積極的に服を脱がそうとするんじゃない。これが生徒の模範たる教職員の姿か?

 

 いい体なのかはさておき、身体能力に関しては必要だったからとしか言えない。だから臂力は大したことないが、足の速さだけは割といい線行ってると思う。何もかも足を止めたらそのまま心臓も止まるような環境が悪い。この表現だと回遊魚みたい。

 

 

「今度一緒にライディングしよ?まずは軽く200kmぐらい」

 

「自転車のこと全く知らないが、初心者に薦めていい距離じゃないことだけは分かる」

 

 

 冷静に考えてくださいね。平均速度は知らないけど時速30kmで仮定するとしようじゃないか。単純計算で7時間近くバイクに乗ることになる。1日の四分の一だぞ?しかも一定の速度で走り続けられること前提の話だからね、これ。体力とか風向きとか、遅くなるであろうファクターを全然考慮していない。

 

 

「と言う訳で俺には無理です」

 

「バッサリいきましたね…」

 

「トマリ、仮定が間違ってる。素人に時速30kmはムリ」

 

「なお悪いやないかい!」

 

 

 惚けた顔でとんでもねえこと言いやがるぞコイツ。おそらく最初に銀行強盗を提案した者だ。面構えが違う。

 

 

「そもそもライディングにあんまり興味ないので…」

 

「私と一緒にするのが…嫌なの?」

 

「あー!トマリが私の大事な大事な後輩のシロコちゃんを泣かせたー!これは許せませんなー」

 

「シロコちゃんを泣かせるなんて罪な人ですね★」

 

「責任とってシロコに付き合ってあげるべきだね」

 

「えぇ…何その無駄に鮮やかな連携…?」

 

 

 流れるようなチームプレーには脱帽するが、俺が悪いみたいな風潮は納得いかないんだが?別にシロコさんも泣いてないし。

 

 

「皆さんがそこまで言うなら、俺以外で誰か一緒に行けばいい……おい、全員目を逸らすな」

 

 

 急に誰とも目が合わなくなったけど、なんでやろなあ。反応が露骨すぎるだろ。もう少し隠せよ。君らインドア派か?俺もそうなんだけど。とりあえず一人一人にメンチを切りに行く。

 

 

「……」

 

「うっ…」

 

「ち、近い近い!」

 

「そんなに見詰められても何も出ないよ〜?」

 

「……」

 

「…………ライディングはちょっとハードルが高いので、他のことなら」

 

「…!わかった。楽しみにしてる」

 

 

 ポーカーフェイスではあるけど、考えてること結構わかりやすい方だと思う。微妙に悲しそうな顔とか、さっきの雰囲気に耐え切れなかった俺は弱い子。精神攻撃はきつい。やめてくれ皆、その術はオレに効く。まあでも楽しみにしてくれるならこの判断で良かったのだろう。

 

 

「じゃあフルマラソンにしよう」

 

「すみません、さっきの発言ってクーリングオフできますか?」

 

 

 





女子集団にぶち込まれた男子とか、余程じゃない限りはただのおもちゃとなる運命では?

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