曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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55.全てを解決するのは、やはり

 

 紆余曲折はあったが、ミカさんと一緒にアリウススクワッドを追う事になったとさ。だから言っただろ。昨日の味方は今日の敵であると。

 

 一応、俺も説得は試みたんだが……あぁ、やっぱり今回もダメだったよ。アイツは話を聞かないからな。そうだな、次はこれを見ているヤツにも付き合ってもらうよ。見ているヤツなんて居ないから、次も俺一人だけ巻き込まれるって事になる? うわ、絶対嫌だ……。万が一そんな恐ろしい未来が来た際には、盛大に周りを巻き込む事に決めた。

 

 

「それじゃあ、とりあえずアリウス自治区に行こっか。道案内よろしくね☆」

 

「はぁ、急いでも二、三時間は掛かる道順でもよろしければご案内しますが……」

 

「……さっき私がアリウスの子とお話してた内容、聞いてなかったの?」

 

「逆にミカさんは、俺が話を聞いていたと思っています?」

 

「うっ、確かにっ……」

 

「すんなり納得されると、それはそれで腹立ちますね」

 

 

 普段から俺が人の話を聞かないみたいな言い草だが、甚だ不本意である。そんなどうでもいい事より、星を眺めていた方が有意義だったからそれを実行したまでである。

 

 

「もー! このポンコツ大ボケ魔法使い! 頭トマリ! あんぽんたん! ちゃらんぽらんの役立たずー!」

 

「そこまで文句を言われる筋合いは……あれ? 二つ目だけは褒め言葉では?」

 

「はぁ〜、本当にさあ……。これまでにももうずっと言ってきたけど、ボケるのはせめて顔だけにしてよね。それと何? なんで目を開けたまま寝てるの? 寝言は寝てから言ってよ」

 

「分かりました。もう夜も遅いですし、帰って寝ますね」

 

「あ゙ームカつくー! 出来損ないのロボットを相手してるみたい!」

 

「ふむ、イライラが止まらないのは睡眠不足だからでは?」

 

「イライラの元凶が的外れなことしか言わないんだけど! ナギちゃんは、どうやってコレに言うこと聞かせてるの……?」

 

 

 散々な言われようであるが、未だに『顔がボケている』の意味が分からないのだが? それは俺の問題ではなく、君達の視力の問題ではないかね? 早目の眼科の受診をおすすめしておこう。

 

 何だかんだ言いつつも、聞き出したアリウス自治区への道順は覚えているらしいミカさんに着いて行く事になった。覚えていなかったら追跡も頓挫したかもしれないのに、無駄に記憶力の良い奴め。

 

 

 

 

 

「どこかの偉い人は言いました。気分を落ち着かせるには紅茶を嗜むのが一番なのです、と。一杯要ります?」

 

「トマリの言ってる偉い人に心当たりしかないんだけど……うわ、何だかすごく嗅ぎ慣れた茶葉の匂いがするなぁ……」

 

「有識者曰く、季節や時間帯にもよるらしいですけど、緊張している時は大体飲み慣れているものがいいとか何とか聞きました。ちなみに茶葉は貰い物です」

 

「へぇ、それって……わあ、ティーセットまでオーダーメイドのやつじゃん。まあ、ナギちゃんならその辺りにも拘るか」

 

「よく見てますね。実はこちらのティーセットも貰い物です」

 

「……え? 待って。そのティーセット、貰ったの? 借りてるんじゃなくて?」

 

「はい。どのような経緯でそうなったのかはよく覚えていませんが、気付いたら現物が用意されていましたし、既に用意されている物を受け取らないのも逆に失礼かと思いましたので」

 

「ナギちゃんが誰かに自分と同じものを渡しているのは見たことないんだけど……まあいいや。それで、折角貰ったのだからってことで使ってると。……ちなみになんだけど、それを貰ってから紅茶を飲む回数は増えた?」

 

「おお、確かに増えたかもしれませんね。名探偵ですか?」

 

「いや、トマリの行動が単純で分かりやすいだけでしょ」

 

 

 正直に言えば、ナギサ様が出先で紅茶を飲みたいから渡されただけかと思っていたが、特にそんな事はなかった。何故なら本人が普通に出先へ私物のティーセットを持ち込むから。俺が受け取ったのは、布教用のティーセットだった?

 

 

「何事もシンプルが一番です。要はミカさんみたいに複雑で面倒くさくないと言う事ですから」

 

「この減らず口めー! セイアちゃんと同じぐらいズケズケ言ってくるじゃん!」

 

「その発言は余りにも失礼ですよ? 口から先に生まれたと言っても過言ではないセイアさんと一緒は流石に心外ですが」

 

「や、トマリも明らかにそっちのタイプでしょ……」

 

「まあミカさんは口より先に手が出ますからね」

 

「落ち着け私……! ここで制裁したら、本当にこのボケの思う壺だから……!」

 

「フッ、手も足も出せない魔女なぞ恐るるに足らず。帰ってベラドンナの世話でも、痛ってぇ!?」

 

「私は手も足も出してないよ? ただ、ちょこーっとだけ羽がぶつかっちゃっただけで、ね? それだけなのに、トマリってば大袈裟だなー」

 

 

 やりやがったなこの女! ファンシーな見た目に反して、中々に重い一撃だったぞ!? キヴォトスの有翼人の羽は他人を打つために存在しているのか? あからさまにしたり顔をしているのも気に食わない。が、先程までの無駄に張り詰めた雰囲気よりは遥かにマシなので、寛大な心で許して差し上げよう。底が見えない程の慈悲深さである。

 

 

 

 

 

「あーあ。駄弁ってる内に到着しましたよ。アリウス自治区」

 

「こう、なんと言うか、緊張感のカケラもなかったよね。まあいいけど。……ねえ、アリウスのバシリカの場所って知ってる…?」

 

「知らないですが。……え? ミカさんは知らずにここまで来たのですか?」

 

「だってさー、さっきの子たちも知らないって言ってたしさぁ……」

 

「マジかよ、コイツ……おっと、丁度あちらの方に第一村人が居るみたいなので、そちらに聞けばよろしいのでは?」

 

「わ、本当だ。ラッキー!」

 

「マジかよ、コイツ……」

 

 

 そう言うや否や、ミカさんは普通に聞きに行った模様。マジかよ、コイツ……。まあミカさんの場合は頭お花畑と言うより、そもそも小細工が必要がないからこその行動であろう。やっぱ生まれながらの強者はやる事が違えや。

 

 何故かフレンドリーにアリウスの生徒に接触したミカさん。当然、驚愕するアリウスの皆さん。生徒の一人が端末を取り出して、そしてミカさんに殴り飛ばされていた。暴力に至るまでの躊躇がなさ過ぎるだろ。

 

 そのまま敵小隊に囲まれて集中砲火を受けて、普通にピンピンしていたミカさんは瞬く間に敵を鎮圧して行った。すげえよミカは。戦闘中なのに防御行動を一切取ってないし、全部素手でブン殴って解決してるし。やはり暴力…! 暴力は全てを解決する…!

 

 

「旧校舎の地下回廊? って場所から、バシリカに行けるんだって。行き方も聞いたし、早速向かおっか!」

 

「へーい。まあここまで来たからには、最後まで付き合いますよ」

 

「あ、そうだ! トマリにはちょっと別でお願いしたいことがあるんだけど」

 

「えぇ……また無茶振りですか?」

 

「大丈夫だって! トマリならできるって信じてるから!」

 

 

 ミカさんのお願いはまあ、案の定誰がどう見ても滅茶苦茶な内容だった。が、直前で圧倒的な『暴』を目の当たりにしていたので、断ると言う選択肢はなかった。まあ、アレに地の果てまで追われるよりはまだ良いかなと。

 




※ 一世一代の復讐劇の道中です

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