仮面ライダー鎧武 少女が刻む瞬間   作:楠富 つかさ

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第一部 ビートライダーズ篇
プロローグ 小野寺智音という少女


「叔父様、お久しぶりです」

「智音君、その呼び方はよしたまえ。私とてまだまだ若いのだよ?」

 

私、小野寺(おのでら)智音(さとね)が訪れたのは、とあるフルーツパーラー。店の奥にある個室のような空間に座って私を出迎えたのは私の叔父、戦極凌馬だ。

基本的には笑みを絶やさない面白い人だが、理系だからかクリエイターだからか知らないが、凝り性でちょっと面倒な面もある。あと、少しだけ老けて見える。前に会ったのは半年ほど前だろうか。流石に半年では老けないか。

 

「それで、何のようです?」

「そう急かさないでくれたまえ。ダンスの方はどうだい?」

「まぁまぁですね。四位と五位をうろうろしています」

 

私達の住む街、沢芽市はストリートダンスが流行っている。いや、本当に流行っているのはインベスゲームだ。

インベスゲームというのは、ロックシードという物を使って召喚された未知の生命体、インベスを競わせるゲームだ。ロックシードを説明するのは難しいが、錠前の形をしたフルーツ柄の玩具だ。話が少し逸れてしまったので本題に戻そう。

 

「もう一押しが足りないんですよぉ…」

「前にも同じ相談を受けたことがあったね」

「その時は、せっかくの和風ダンスなんだから武道の動きを取り入れるといいと言われて、少林寺拳法と薙刀の動きを取り入れました」

「そうだったね。では、再びもう一押しを。コレ、見たことあるかい?」

 

そう言って叔父さんが取り出したのは黒い、ベルトのバックルみたいな物。どこかで見た気が…。

 

「あ、鎧武の人とバロンの人が持っていたよく分からないアイテムだ!」

 

三日ほど前、とあるステージでチーム・鎧武の葛葉紘汰さんとチーム・バロンの駆紋戒斗さんがそのバックルを使って変身した。一触即発の状況を錠前ディーラーのシドさんがバイクのような何かを渡してレース勝負をけしかけたせいで、その後何があったかは分からないものの…。

 

「これを得たチーム鎧武は順位を上げてきていますよね」

「そうだね。これで君たちのチームの一押しになるだろう」

「というか、何故これを叔父さんが?」

「これの正式名称は戦極ドライバー。私の製品なのだよ。私の作った設計図を基に何台か量産した。でも、これは正真正銘、戦極凌馬謹製のドライバー。言わば零号機なのだよ。手元にあっても正直いらないから、渡しに来た」

 

いいんですか!? と驚く私を余所に使い方を説明し始める叔父さん。三回ほど変身シーンを見ていたので、扱い方は簡単に理解できた。さらに、

 

「こっちはオマケ。毎回新しいロックシードのテスターをさせて悪いね」

 

リンゴを模したロックシードまで貰ってしまった。

 

「あれ? リンゴって前に話した禁断の果実じゃ…?」

「禁断の果実は黄金なのだよ。これは瑞々しさと歯ざわりでオレンジに勝る只のリンゴだよ」

 

リンゴは個人的にも大好きなフルーツだ。変身するならリンゴのロックシードをベースに使っていこう。そう心に誓った私は叔父さんの奢りでリンゴパフェを満喫するのだった。

それにしても、叔父さんの経歴は謎に満ちている。インベスゲームを流行らせたいとある組織に所属する凄腕エンジニアという程度しか知らない。ロックシードの製造にも関わっていて、新作を時々くれる。今日のリンゴも初見のロックシードだ。ただ、叔父さんとディーラーのシドさんの関係が分からない。

 

「あぁ、ドライバーを私から貰ったというのは内密にしておいてくれたまえ。特にシドにはね」

 

取り敢えず頷くが、どういう関係なのかはもっと分からなくなった。




本編でいう3話あたりからという、変なタイミングで始まることをお詫びします。
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