仮面ライダー鎧武 少女が刻む瞬間   作:楠富 つかさ

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チョコレートの騎士と決闘

ライダーになったことによる身体能力の強化を存分に発揮して、薙刀を持ったまま一気に踏み込む。

 

「せいやぁ!!」

 

剣道の胴打ちと同じ要領で斬りかかる。ダンスで培ったターンを織り交ぜながら石突でもう一撃。ただ、その一撃はシールドで受け止められる。

 

「はぁ!!」

 

振り下ろされる長剣を寸前で避ける。だが、鳳蓮さんは手首を返して横に薙ぐ。それを回避することはかなわず、大きなダメージを負ってしまった。

 

「負けられないの!」

『ソイヤ! アップルオーレ!!』

 

横なぎにはなった衝撃波を鳳蓮さんはシールドでがっちりとガードする。そこを突いて私は鳳蓮さんに駆け寄り彼の左腕を蹴り上げる。

 

「おぅ!」

 

衝撃波に耐え切ったシールドだが、物理的法則には抗えず鳳蓮さんの手を離れ上に飛んだ。

 

「そこ!!」

 

近くで見ると鳳蓮さんの持つ剣はサーベルと表現した方がしっくりくるものだった。その柄と鍔―おそらくナックルガードと呼ばれる部分―を思い切り叩く。剣をも落とし丸腰になった鳳蓮さんを薙刀で袈裟斬りにする。だが、

 

「ふんっ」

 

腕を交差させることでダメージを最低限に抑えられてしまった。武器がなくてもチョコレートの騎士様は十分に戦えるらしい。

 

「やるわね! でも、いつまで耐えられるかしら?」

 

そう言うと鳳蓮さんは私目掛けて一気に走り出した。薙刀を前方に構えて警戒するが、鳳蓮さんは側転を交えつつアクロバティックに私の背後に回った。

 

「せい!」

「うぐ!」

 

振り向く間もなく拳の一撃が私を捉える。長物武器の欠点、小回りの効かなさが苦しい。だったら、

 

『レモン! ロック・オン! ソイヤ! レモンアームズ 打撃・デストラクション!!』

 

レモンアームズのハンドメイスで挑むしかないか。

 

「一気に決める!!」

『ソイヤ! レモンスパーキング!!!』

 

レモンを模ったオーラがメイスの先端部に集まり、それを鳳蓮さんに投擲する。

 

「こうしてみようかしら」

 

だがそれを鳳蓮さんは、真っ赤なマントでガードしたのだ。あのエナジーの塊をガードできるようには見えないが、直撃を防ぐことに意味があるのだろうか。ジリジリと後退こそしているが、大きなダメージになっているようには見えない。こうなったらもう!!

 

「行きます!」

 

武器なんか捨てて拳で決着をつけるしかない。レモンアームズは素早さこそないが、単純な力ではリンゴより圧倒的に強い。レモンスパーキングを耐え切った鳳蓮さんは少しだけ消耗しているようにも見える。出来る限り装甲の薄そうな部分を狙って拳を振るう。だが相手は鳳蓮さん。そんな簡単には届かせてくれない。

 

「あらあら、そんな幼稚な拳ではワテクシには届かなくてよ」

 

拳も蹴りも、全然届かない。なのに、鳳蓮さんの一撃は重く、私から体力を奪い去る。それでも、負けたくない。負けられない!

 

『ソイヤ! レモンスカッシュ!』

 

激しい攻防のせいでカッティングドライバーを倒す余裕すらなかった。でも、巧く隙をついて一度だけ倒すことができた。エナジーが拳に集まるのが感じ取れる。その時だった。鳳蓮さんの右拳が上段に突かれるのを見て、私の身体は凄く自然と動いた。

 

「―――!!」

 

渾身の右拳中段が鳳蓮さんに命中した。少林寺拳法の基礎中の基礎技。内受突を極めて自然と放つことができたのだ。とはいえ、その一撃で鳳蓮さんを強制変身解除に追い込むことなど出来ない。だが、

 

「おっと、もうこんな時間なのね。お店に戻らなくては。本当に筋がいいのね、お嬢さん。コレは返すわ。久々に本気になれたお礼よ。メルシィ」

 

後方に大きく跳躍した鳳蓮さんは、私にイチジクロックシードを投げ返してきた。そしてシャルモンのある方向へと走り去っていった。あ、なんでドライバーとロックシードを持っているか聞き忘れた。それに、鳳蓮さんのドライバーだけベルトが銀色だったのは何故だろう。

 

「おい、師匠!」

 

私が少し思考の海に潜っていると、初瀬さんは声をかけてきた。あ、変身解除しなきゃ……って、いつの間に解除していたんだろう。元に戻っている。

 

「サンキューな、ロックシード取り返すために、あんな強いオッサンと戦わせちまって」

「気にしないで、師匠として当然のことをしただけだもの」

 

初瀬さんにロックシードを返し、いつの間にか施錠されたレモンのロックシードをコアから外す。

 

「うそ……レモンもなるの」

 

取り外したレモンロックシードは真っ黒だった。前にマツボックリに起きた現象と全く同じだ。取り敢えず、時間経過で治ることを知っているだけマシだろう。

 

「疲れただろう? 家に寄っていかないか? 近いんだ、ここから」

「いいの? えっと、じゃあお願いします」

「ちょっと初瀬ちゃん! どういうこと!? なんで初瀬ちゃんがモーメントの小野寺ちゃんと仲いいの!? 意味わかんない!!」

 

小野寺ちゃんって……。私をそう呼ぶ人を私は一人しか知らない。アーマードライダー・グリドン変身者でチーム・インヴィットのリーダー。城乃内秀保さん。

 

「コイツは俺の師匠だ。それがどうした?」

「いいもん! 知らねぇ。初瀬ちゃんとは絶交だ。なんで初瀬ちゃんが先に春を迎えるか意味がわからないし。いっそさっきにオッサンに弟子入りしてくるから。バイバイ、初瀬ちゃん!!」

 

城乃内さんは何だか剣幕気味の調子で叫び、結局シャルモンのある方向に走って行った。取り敢えず、鳳蓮さんに弟子入りするということは聞き取れた。あと、絶交の部分も。

 

「えっと、初瀬さん? これ、大丈夫な感じ?」

「あ、あぁ。まぁ、アイツにもいろいろあるんだろう。今は、そっとしておいてやろうぜ。な?」

「それもそうだね」

「じゃあ、俺の家に出発!」

 

鳳蓮さんが戻ってから時間が空いたので、戦いを見ていた観客も既にいない。私は学校の鞄を回収してから初瀬さんの家へと向かうこととなった。




次回は絶対にラブコメ回です。それと、忘れないで。智音は可愛い女の子。JKですよ! JK!
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