チーム・モーメントの本拠地は住宅街の一角にある。遠藤さんと交戦した後、私たちは本拠地へ戻ろうとしていた。そこに……
「あれって……インベス!?」
桃井ちゃんの指差した方向には、実体化したインベスが二体いた。
「皆、先に行ってて。――変身!」
素早くアップルアームズに変身し、リンナギを構えて走り出す。
「せりゃあ!!」
すれ違いざまに一撃お見舞いして、振り向く。川沿いの遊歩道というロケーションのせいか、何人かの人が逃げ遅れている。彼らに危害が加わらないよう、きちんと始末しないと。
「この瞬間で輝いてみせる!」
インベスはサイズこそ大きいが形は下級のそれであるため、取り敢えず一匹を撃破。
「キシャァアア!!」
「ふぎゃ! 嘘、上級インベス!?」
どこからともなく増えたインベスから、背中に一撃くらってしまった。しかも上級インベスだ。青い体表と長い触角……間違いない。カミキリインベスだ。
「智音! く、こうなったら俺も!」
「紘汰さん!!」
なんか土手の上でチーム鎧武の二人が揉めてるし! 訳分からないけど、このインベス私一人で倒さなきゃダメなの?
「ふぎゃ!」
変な悲鳴でちゃったじゃん。川に落ちるし、こいつら鬱陶しい!! あぁ、また増えた!? 何で!?
「えぇい! 集まるんじゃないよ!? もう、やだ!!」
『ソイヤ! アップルスパーキング!!!』
オーラを纏った刃を盛大にフルスイング。袈裟斬りから腕を回して水平斬り。このニ撃で三匹のインベスを抹殺。
「ふぅ……鎧武の二人! ちょっといい!?」
場所は変わってフルーツパーラー『ドルーパーズ』の個室エリア。
「さぁ、話してください」
「なぁ、ミッチ……どうする?」
普段ならシドさんが座っている位置に私が陣取り、正面に困り顔の葛葉さん。その隣にこちらも困り顔の光実君
「仕方ありません。話しましょう」
そういって彼の口から語られた事実は……私の想像を絶していた。インベスがやってくる謎の森――ヘルヘイムの森――とインベスの真相。そして、黒幕としてのユグドラシル。つまり……叔父さんも悪ということだ。
「ユグドラシルは……このドライバーの持ち主を、モルモットと呼んでいたのよね?」
「あぁ、そうだ。……だから、その」
「使えば使うだけ、アイツらの思う壺だってことです。分かって貰えますか?」
私にそう詰め寄る光実君。……彼は、自分の兄がユグドラシルの人間だと知っているのか? もし、知らないとすれば……。私はこの事実を、伝えるべきなのか、それとも秘匿するべきなのか……。そして叔父は、最初から私をモルモットとして使うつもりだったのか?
「なぁ、智音。ここだけの話だが、俺たちはユグド――」
「紘汰さん!!」
何かを打ち明けようとする葛葉さんを止める光実君。
「ミッチ。智音になら話しても大丈夫じゃないか?」
そう光実君を諭す葛葉さんの顔は真剣そのものだった。正直言えば、鎧武の葛葉さんと私に接点はさほど多くない。でも彼は、それでも私を信用してくれている。不思議な人だ。
「分かりました。僕から話します」
そんな彼の側にいたら……太陽のような彼の側にいて、光実君は大丈夫なのだろうか? そんな疑問を心の底に押し戻して、光実君の話に耳を傾ける。
「僕たちはユグドラシルに反旗を翻すつもりです。……ですが、まだ具体的な方策は定まっていません。ですが、まずは相手の内情を探る必要があります。森を経由して侵入するという手もありますが、それは出来ることなら後に残しておきたい」
ユグドラシルに反旗を翻す……。そのためにまず、内部に潜入する必要がある。だったら、
「私に一つ、提案があります。ただ、リスキーなので……光実君には私たちが失敗した際のリカバリー要員をお願いしたいです。私と葛葉さんと、いっそのこと駆紋さんという手もありますね」
「俺と智音に戒斗か。で、リスキーっつうのはどういうことだ?」
「私の知り合いにユグドラシルの関係者がいます。その人を伝って内部に入り込むんです」
関係者っていうか……ベルトの開発者だから結構な幹部だと思う。つまり、それだけ得られる情報も多いだろうけど、やっぱりリスキーだ。
「どうして僕が留守番なんですか」
「留守番って訳じゃないんだよ。私たちが正面から入っている間に、こっそり潜入してもらうの。この役目は駆紋さんより君に適している、そうでしょう?」
「分かった。それでいい。潜入は僕がやろう」
「それでよ……そのユグドラシルの関係者っていう知り合いは何者なんだ? 信用できるのか?」
葛葉さんにしては慎重な意見だけど、まぁ疑問に思うのも当然か。
「ユグドラシルの……しかも、今回の問題にかなり関係がある人物です。名前は戦極凌馬、私たちが使っている戦極ドライバーの設計者にして、私の叔父です」
ここから先、かなり本編とシナリオが変わってきますが、頑張って書きます。
あと、しばらく初瀬ちゃんの出番がなさそうなので、初瀬ちゃん視点で日常エピソード一本はさむかもしれません。智音に悶々とする初瀬ちゃんとか、城之内と仲直りしようとシャルモンに行く初瀬ちゃんとか。あと、レイドワイルドVSバロンのエピソードとか。