仮面ライダー鎧武 少女が刻む瞬間   作:楠富 つかさ

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初瀬に稽古を 後編

ドルーパーズへ初瀬さんと向かう道中のことだった。

 

「お? 見ろよ、師匠。蒼天とポップアップのバトルだ」

 

初瀬さんが指差す方向を見ると、ステージの上でインベスゲームが行われていた。ドライバーを持っているチームと持っていないチームはほぼ半々。こうしてロックシードだけのインベスゲームも当然行われている。

ただ、少しだけ観客が減った気がするのは気のせいだろうか? ロックシードを構える二人は真剣そのものといった表情だが、気合が入りすぎているのかロックシードを持った腕を仕切りに振り回している……。その瞬間だった。

 

「初瀬さん? これは……」

「あいつら、アホだろ」

 

ロックシードは天高く放り投げられ、インベスゲームのリングがなくなり、中にいたインベスが出てきてしまった。

しかも、Bランクロックシードで召喚されたであろうインベスは、人間大の大きさだ。周りにいた人達は雲の子を散らすように逃げていく。

 

「いくよ、初瀬さん」

「了解だ、師匠!」

 

いつまで師匠と呼ぶ気なのだろうか、初瀬さんは。まぁいいか。

 

『アップル!』

『イチジク!』

 

ドライバーとロックシードを構え、いつもより気持ち急ぎ気味で変身のプロセスを踏む。

 

『『ロック・オン! ソイヤ!』』

 

振ってくるリンゴを視認すると、私はインベス目掛けて駆け出した。そんな私を追いかけるように鎧が被さり展開される。

 

『アップルアームズ 進め! grow up!!』

『イチジクアームズ 連撃! フォー・ザ・ライトニング!!』

 

後ろで初瀬さんが黒影に変身した音も聞えてきた。さて、ここは堅実に。

 

「各個撃破でいきましょう。初瀬さん、左側をお願いします」

 

そう言って私は右にいるインベスを薙刀で斬る。大きいだけで、初級インベスは特殊攻撃をしてこない。

 

『アップルスカッシュ!!』

 

カッティングブレードを一回下ろし、水平方向に強力な一撃を放つ。その一撃がインベスに直撃し、そのまま爆散した。

 

「せりゃ!!」

 

一方の黒影は、基本に忠実にヒットアンドアウェイで戦っている。三撃、四撃を加えてから離脱。時間はかかっているが、安全だし確実な戦法だ。……だが、

 

「おりゃあ!」

 

黒影が武器である錫杖でインベスを突くと、インベスは大きく吹き飛び倒れこんだ。そこまではよかったのだが、

 

『ガッガッガ!』

「おい、あいつロックシードを……」

 

食べたのだ。倒れこんだ先に、どちらかのチームが使用したロックシードが転がっており、それをインベスは捕食したのだ。

 

『グワァ!!』

 

そうしたら……インベスの周りに蔦がからまり、それが無くなると、

 

「あれって……上級インベスだよな?」

 

Aランクのロックシードで召喚されるインベス。その一種である、青い固体。長い触角が特徴の通称、カミキリインベスが現れたのだ。

 

「気合入れていくよ」

「もちろんだぜ、師匠!」

 

カミキリインベスは下級とは違い、特殊な攻撃も繰り出してくる。長い触角をさらに伸ばし、鞭のように打ち付けてくる。薙刀でいなすものの、突破力が足りない……。

 

『アップルオーレ!!』

『イチジクスカッシュ!』

「てい!」

「せりゃあ!」

 

カッティングブレードを下ろし、大技を繰り出して触手を退ける。そうしてなんとか接近するものの、攻防自在な触手に斬撃を防がれてしまう。

 

「初瀬さん! すこし抑えていて!」

『レモン!』

「少しだからな! 師匠!」

『ソイヤ! レモンアームズ 打撃・デストラクション!!』

 

剛よく柔を制す。本来なら逆だけど、逆説の証明とやらをしてみようじゃないか!

 

「いくよ!」

 

気合を入れてカッティングブレードを三回下ろす。

 

『ソイヤ! レモンスパーキング!!』

 

ハンドメイスの先端に集まる黄色いエナジー、それが大きな球体になるのを見届け、インベス目掛けて投擲する。

 

「あばよ!」

 

黒影が巻き添えをくらわないようにインベスから離れる。そこに、エナジーでできた球体がぶつかり、その衝撃でインベスは爆散した。

 

「おつかれ、初瀬さん」

「師匠の役に立てたようでなによりだ」

「それじゃ、ドルーパーズに行こうか」

 

 

 

大きな道草をしてしまったが、ドルーパーズに到着した私たちは、ドライバーとロックシードを持ったレッドホットのリーダーである、曽根村さんとすれ違った。

 

「とうとうアイツまで変身するのか……」

「増えたねぇ。でも、全員がライダーになったら、もうインベスゲームなんて誰もしないよねぇ」

「シドのおっさんは何が目的なんだろうな?」

「分からないよ。取り敢えず、このロックシードの――って、え?」

 

扉を開けながら私がポケットに入れていたマツボックリのロックシードを取り出すと、

 

「あれ? 色が戻っているだと」

「自然と治ったってこと?」

「そうだな。まぁいい。何か食ってこうぜ。腹減ったし」

 

結局、店にいたシドさんと話をすることもなく、私は初瀬さんと少し早い夕飯を一緒に食べて帰るのだった。

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