「クックックッ……まさか、あなたのような方が私たちの仲間になるとは思いませんでした」
「最初は、自分もシャーレの先生を裏から助けるつもりだったんだけどね」
黒服――その名の通り黒いスーツに身を包み、顔全体に亀裂が走る異形の大人。丁寧かつ達観したような口調と声音は、その外見と相まって不気味な雰囲気を漂わせる。本人曰く、彼らは観察者であり、探求者であり、研究者であるという。
本来であれば、蒼井ハルは彼ら『ゲマトリア』と敵対するつもりだった。しかし、紛うことなき悪い大人である彼ら以上に、この並行世界の『シャーレの先生』は受け入れ難い存在だった。
「……アレよりも、あなたたちの方がよほど頼りになる。生徒の心身に危害を加えないという条件を守るのなら、自分は『ゲマトリア』の一員として神秘の探求に協力するよ」
「無論、そのように取り計らいますよ。マエストロもゴルコンダも、生徒を無闇に傷つけるような真似はしません」
黒服は、ハルに手を差し伸べる。
「ようこそ、『ゲマトリア』へ。私たちはあなたを歓迎します」
「……よろしく」
こうして、蒼井ハルは『ゲマトリア』の構成員として迎え入れられた。その選択が、後にどんな影響を及ぼすのか。それは誰にも分からない。しかし少なくとも、彼女はこの道を選んだことを後悔していない。
蒼井ハル(ゲマトリアのすがた)
大人となり、ある並行世界を訪れた際に『ゲマトリア』と協力関係を結ぶ選択をした蒼井ハル。
この後、『アリウスの者』として聖園ミカと秘密裏に接触を図り、セイアの生存と襲撃事件の真相を伝えた上で本当の意味でアリウス分校の生徒たちを救うために協力を要請する。
また、パヴァーヌ編2章では《アリウス生徒会長》聖園ミカとアリウス分校の生徒たちと共に調月リオに協力。この並行世界の『シャーレの先生』と徹底的に敵対するルートを突き進む。
シャーレの先生(転生者?のすがた)
転生者などの特殊な理由から未来の知識を保有するシャーレの先生。
未来知識を基に、生徒たちが少しでも善い未来を掴めるように尽力していたのならば、蒼井ハルも彼を見限ることはなかった。事前の備えなどもろくにせず、正史通りに柴関ラーメンを爆発させてしまい、ホシノに身売りという選択をさせ、余裕のある1章の内にリオとの会話も行わない。
読心能力の神秘で『先生』が未来の知識を保有している事実を把握していたハルが、彼或いは彼女という『大人』を見限るのに、それは十分すぎる理由だった。