「……降参。私の負けだよ」
シスターフッドという想定外の切り札もあり、アリウス分校と共謀し、ティーパーティーのホストの座を奪取しようと画策していた『トリニティの裏切り者』――聖園ミカは、補習授業部の生徒たちに囲まれて降参した。
「おめでとう、補習授業部……そして先生。でも、このまま好きになんてさせてあげないよ」
彼女は懐から何かを取り出す。周りの全員が警戒を露わにする中、ただ一人、アリウス分校の出身である白洲アズサだけは、それの正体が何かを悟り、彼女の行動を止めようと叫ぶ。
「……ダメだ。それを使ったら……!」
「バイバイ、みんな」
ヘイロー破壊爆弾――超人的な頑丈さを有する生徒をも容易に殺し得る、最悪の兵器。ミカがそれのピンを抜き、自らの胸に押し当てた。そして――
ドカアアァァァァァン!!
激しい爆炎が、生徒たちの前で巻き起こった。アズサの頬に生温かい何かが飛び散る。
「あ、アズサちゃん……!」
ヒフミが怯えながら呼びかける。目の前には、ミカの遺体と思しき『モノ』があった。無限の未来があるはずの生徒の一人が、今、死んだ。その事実に、導くべき大人――先生は膝を突いた。
「――と、今頃はそんなことになっているだろうね」
「……悪いことをしたかな。けど、これも私たちの再出発には必要なことだから……」
その頃、トリニティ自治区の外では1人の大人と2人の少女が向き合っていた。大人の方は蒼井ハル。数多無数の並行世界を旅する旅人である。彼女と向かい合うのは、ヘイロー破壊爆弾により命を落としたはずの聖園ミカ。そして、もう一人は――
「……ありがとう、大人の私」
「どういたしまして。……あとは私に任せて、あなたたちは自分の幸せを追いかけて」
――蒼井ハル。ティーパーティーの制服に身を包んだ子供のハルは、別の未来を歩んだ自分からの祝福に、笑顔で応えた。
蒼井ハル(大人のすがた)
並行世界の自分とミカの逃避行に協力した悪い大人。この後、2人が欠けた分の穴埋めをするために奔走するが、あの2人が幸せになるためならとトリニティ自治区を中心に奔走する。
蒼井ハル(並行世界のすがた)
無銘生徒会を立ち上げず、ミカと共にトリニティ総合学園に進学した並行世界の蒼井ハル。
多くの生徒から苛められるミカを救うために魔女へ堕ちるはずだった彼女は、並行世界の自分という想定外の変数によって、トリニティ総合学園とは関係のない人生を送ることになる。
自分たちの不在による問題も大人の自分が解決してくれる未来を視たことで、心から安心してミカと2人きりのスローライフを送ることになる。