透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 本作は副d(3回目

 皆様どうもお久しぶりです、Hakone8510です。そして(2週間遅れの)明けましておめでとうございます。
 久々の投稿で気合いが入り過ぎて、文量がいつもの1.5倍ゾウリョウしてます。ボリューミーでデリシャス(?)な新年1発目を、どうぞお楽しみください。

 また、レイ(主人公)のミレニアム制服差分もできたので、ここにおいておきます。

【挿絵表示】



入学して早々推しとタイマンする話。

 ミレニアム生としての学園生活、その初日が幕を開けた。

 一応編入生なので、クラスで簡単な自己紹介を行った。が、ウマが合わないとなんとなく気配で察したのかほとんどこちらに馴れ合うことなく、「親友」と呼べそうな人はとりあえず1人もできなかった。

 またほとんどの授業、というか勉強は各自教育用のBDで済ませるのであまり面白味はない。あるとすればそのほとんどは体育等の実技系の授業だった。

 そんなことよりも、なんといってもミレニアム、ひいてはキヴォトス中の学園の醍醐味といえばそう、部活動である。俺は編入の都合上特異現象捜査部に入らないといけないが、編入して1週間の間は他の部活を見学したり仮入部してみても良いそうだ。

 

 

 

 

 

 早速俺は、1番興味のあったエンジニア部へと足を運んだ。単純に武器を眺めたりするのが好きというのもあるし、MSの蔓延るこの世界線でならば、MSを開発しているかもという密かな願望みたいなものもその理由だった。

 というわけでマップを駆使してエンジニア部の部室…というかほぼ倉庫のような場所に来てみたのだが……

 

「おお、君がウワサの編入生だね!」

 

 拡声器でも使っているのかという程の大声で歓迎してくれたのは、白衣を羽織った紫色の髪と瞳を携えた少女だった。

 

「ああすまない、驚かせてしまったか。初めまして、私の名は白石ウタハだ、よろしく」

 

 不意にかつ大音量のお出迎えに思わず耳を抑える仕草をすると、ウタハは少し申し訳なさそうに笑う。

 

「…いや、問題ない。オレは暁月レイだ、よろしく頼む」

 

「フフ、そう遠慮するな。実はユウカから、君がここに来ることをすでに聞いていてね、私()()は朝からずっと待っていたのさ」

 

 …たち?

 頭上に疑問符を浮かべた瞬間、ウタハの後ろからひょこっと更なる2人が顔を出した。

 

「「「ようこそ、エンジニア部へーっ!!!」」」

 

 ………。

 

「…………」

 

「黙るのはやめてくれないかなぁ!?」

 

 スルーされたと思い込んで若干涙目になっているウタハの怒鳴りで、ふと現実に引き戻された。

 あっぶねぇ……また尊みで三途の川を越えるところだったぜ。

 

 ウタハと一緒に歓待芸を披露し今はその横に並んで決まり悪そうにしているのは、エンジニア部の部員である猫塚(ねこづか)ヒビキ豊見(とよみ)コトリ。どうやら俺が来ると聞いて、事前に打ち合わせて待っていたようだった。

 

 にしても可愛すぎんだろ……クソッ、俺の乏しい語彙力じゃあ、あの可愛さを100%伝えることができねぇ!!!(キレ気味)

 

「まぁいいさ。それよりせっかく来たんだ、()()に取り掛かろうじゃあないか」

 

「…()()……?」

 

「君の武器だよ、武器。後々来てもらう予定だったけど、自分から来てくれるなら話は早い」

 

 そういえばすっかり忘れていた。キヴォトスは美少女版G○Aと名高いだけあって治安は最悪なため、自衛のためにも銃火器を見えるところに持っておかなくちゃならないんだった。

 

「編入生のお話を聞いたときに、過去に試作したものをいくつか引っ張り出してきたんです!」

 

 コトリが自慢げにメガネを直してそう言い、ヒビキがその試作品と思われる武器の数々を滑車に乗せて俺の目の前に運んできた。

 

「まずはそれぞれ手に取ってみるといい」

 

 ウタハに促されて、目の前にあったアサルトライフルを手に取ってみる。

 

「これは……」

 

「クワイエットMk-IV(マークフォー)か。それは発射時の音を最小限に抑えたサイレンサーいらずのライフルなのさ」

 

「潜入任務向けということか」

 

「まぁ、その代わり耐久性に問題があって弾倉一つ分の弾数撃ち切ったら壊れちゃうぐらい脆いんだけど」

 

「………」

 

「だからいかにも呆れた目で見ないでくれないかなぁ!?」

 

 

 

 その後も果たしてきちんと使えるかわからない試作品を一つ一つ見ていったが、実用性はともかくとして自分に合いそうな武器は未だ見つからない。まぁ浪漫を突き詰める彼女達のことだから想定はしていたが……。

 20分程それぞれを吟味し続け、もはやライン作業のテンションで次の武器を手に取った。

 

「…おや」

 

 外見上はなんの変哲もない拳銃である。これもおそらく何かしらの機能はついているだろうが……一体なんなのだろうか。

 

「これは?」

 

「ああ、それかい。それはとてつもなく硬い特殊複合金属でつくられたハンドガンさ。緊急時には小石も装填して撃てるぞ」

 

「ただですけど、ハンドガンにしては結構重くて、持ち歩くにはかなり不便な代物なんです。反動も他に比べて大きいですし」

 

 ウタハの得意げな説明に、コトリが欠陥部分を付け加えてくれた。

 確かに言われてみれば、先ほど手に取った超射程ハンドガン*1とか超電磁レーザーガン*2と比較すると重く感じるが……。

 

「よし、これにしよう」

 

「ええ!?」

 

 驚嘆の声を上げたのは、この銃の欠陥を補足説明していたコトリだった。まぁ、気持ちは分からんでもないけど。

 

「銃だけでも10kgの重さなんですよ!?というか、なんで平然と持ち上げれてるんですか!?」

 

 ヘルシング*3かよ

 にしても10kg?10kgなんて前世で買い物してる時そのぐらいの重さの米袋を持っていったぐらいしか経験ないけど、今持っている拳銃はそこまで重くは感じない。

 だが真横のウタハや遠巻きに見ているヒビキも目を見開き驚いたような表情をしている。もしかして俺がおかしいのか?

 

「なんにせよ気に入った。これで行こうと思う」

 

「…まぁ、君が気に入ったならいいか。ちょっと待っていてくれ、それのホルスターを取ってくるから」

 

 終始怪訝な表情のままだったが彼女なりに納得したのか、ウタハは満足そうに微笑み、物置らしき小部屋の方へと歩いていった。

 

「じゃあとりあえず、部長が戻ってくるまでの間に、見学始めちゃおっか」

 

 先ほどまで押し黙っていたヒビキに促されて、自分も作業場へ向かおうとした時。

 

ガチャリ…

 

 先刻(さっき)、自分が入ってきた部室の扉が開く音がして振り向くと、

 

「ここにいた」

 

 そこに立っていたのは前世からの我が最推しであり、偽物のヘビーアームズで俺と戦ったエージェント、和泉元エイミの姿だった。

 俺がしばらく動きを止めたのに気付いたのか、少し遅れてヒビキも部室に入って来た者の存在に気づく。

 

「おや、君は……」

 

「特異現象捜査部所属の和泉元エイミ。その編入生に用があってきた」

 

 文言だけ聞くといきなりの告白にも聞こえるかもしれないが、俺を見つめる彼女の眉間に皺が寄っているのでそれはない。それにさっきまで腰あたりに差していたショットガンをゆっくりと抜き、とうとうこちらに銃口を向けた。

 

 さて、ここまでの彼女の言動から導き出される答えは単純である。

 

「暁月レイ、だっけ。私と銃撃戦(コレ)で勝負して」

 

(喧嘩の申し込みだコレェ!?)

 

 


 

 

 意識を失っていた私が目を覚ましたのは、太陽が地平線から少し顔を出している頃だった。

 起きたばかりは記憶が混濁していて意識がはっきりしなかったが、上体を起こしていると徐々にその症状もひいていった。そしてふと思い出したのは昨日のこと。

 

 セミナーの依頼を受けてきてみれば謎のガンダムと接触し交戦。最初こそこちら側が物量で押せていたものの、あっという間に覆され死を覚悟した。しかし私は今、五体満足で恐らく後遺症もないまま生きている。自分の自己治癒能力の高さもあるだろうが、普通MS戦で負ければ訪れるのは取り返しのつかない大怪我、もしくは死だ。

 そしてその2つの事実から、あのガンダムのパイロットに手加減されたという事実まで脳が辿り着いた時、熱く煮えたぎった情動が、腹の底から湧き上がってくる心地がした。

 

 けれど、今更憤慨してどうするという考えも同時に浮かんで、悶々としたまま立ち上がる。正直しんどいけど、昨日の依頼はどうなったのかを依頼主であるセミナーに聞かないといけない。

 いつもに増して気だるげな足取りを引きずって、ともかく生徒会室へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

「それで来たってわけね…」

 

 計算機片手に事務作業をしていたのは私に依頼をよこした張本人のセミナー会計、ユウカ先輩だった。

 

「そりゃあ気になるよ。それに個人的に気になった部分もあったから」

 

 私の返事を聞いて、ユウカ先輩は組んでいた足を(ほど)いてから「わかったわ」とこちらに向き直る。

 

「まずはごめんなさい。私の計算ミスで、あなたに怪我を負わせてしまった」

 

 そう言って、その場で深々と頭を下げようとしたところを、私は止めようとした。

 

「大丈夫だって。アレくらいの怪我は日常茶飯事だよ」

 

 しかし、先輩は頭を下げ続けたまま続ける。

 

「いえ、これは私の矜持(きょうじ)よ」

 

「……!」

 

 ようやく顔を上げた先輩の表情は、いつも鈍感な私がわかるぐらいに落ち込んでいた。

 

「まぁ、私のプライドの話はいいわ。ともかく、あなたはあの後どうなったのかを聞きたいのよね?」

 

「…はい」

 

「じゃあ、話すわね」

 

 そうして先輩の口から語られたのは、私の聞きたかった昨日の事件の顛末、その一部始終だった。

 まずガンダムに乗っていたパイロットは宿無しで、あそこを徘徊していたのはただ単に体を休められる場所を上空から探そうとしていたのだということ。次にセミナー、というかユウカ先輩が討伐を依頼したMS(モビルスーツ)は、既にその者が制圧してしまっていたということ。そしていろいろ複雑な利権問題等が絡み合った結果、ミレニアムの一生徒として且つ特異現象捜査部の一員としてその日の翌日、つまり今日から編入することになったということだった。

 

 ……正直ツッコミたい部分は山ほどあるけど、一番に気になったのは。

 

「そのパイロット…編入生が、特異現象捜査部の新たな部員……?」

 

「何かあった時にセミナー(わたしたち)に責任を負わせるための機構(システム)よ。彼女は連邦生徒会にとって保護対象であると同時に監視対象でもあるの」

 

「……」

 

「不満、といった感じね」

 

 思わず顔を俯かせる。

 

「…今日は授業を一通り終えたら、エンジニア部のところに行くそうよ。エンジニア部への挨拶も兼ねて、会いに行ってみたら?」

 

「……!」

 

 私は、思考に耽る間もなくその提案に頷いた。

 

 

 

 

 

 退屈な授業を終え、私は迷いのの一切もなくエンジニア部への部室へと向かった。

 いつも放課後は面倒な気分を適度に抑えつつゆったりと過ごしているものだが、今日ばかりはそうもいかない。朝から今までの時間が私らしくもない怒りと悔しさを解いてくれたが、今度は無性の好奇心が体を突き動かしていた。

 

 部室前までたどり着いたところで一呼吸おき、ドアノブを捻る。

 

ガチャリ…

 

 若干の埃と湿気が私を襲い、独特の鉄臭さが鼻腔をくすぐる。それと共に視界に入ってきたのは、見覚えのあるエンジニア部の部員(確か名前は猫塚ヒビキ、だったか)と全く見覚えのない茶髪の少女だった。

 

 しかし見た瞬間確信した。この茶髪の少女こそ、ガンダムのパイロットであると。

 

 


 

 

「で、なんでこんなことになったんだい?」

 

 ホルスター取って戻ってきたウタハの第一声はそれだった。

 今彼女の目の前に広がっているのはエンジニア部で試作段階の模擬戦闘用フィールド*4、そしてその中で俺とエイミが向かい合って立っているという状態である。

 にしても俺の中で理由は割とはっきりしているが、どう説明したものか……。

 

「まぁ察するに、昨日のいざこざ絡みだろう?大方編入生がそこの彼女を撃墜した…とかだろう」

 

「……なぜそれを」

 

ミレニアム(うち)には便利な情報屋がいるのさ。それ経由で多少は掴んでいるさ」

 

 ヴェリタスのことか。まぁ別に隠そうとしていたわけでもないから、この速さで情報が回っていても別段おかしくはないが…。

 

「まぁいいさ、こちらとしてはもぎくん*5と君に渡したその銃の性能テストにもなるし」

 

「その銃に関してはうちの部員の誰1人としてちゃんと使えた者はいませんからね!ラッキーです!」

 

 さっきまで険悪な雰囲気にあてられて逃げていたコトリもちゃっかり戻ってきており、部長の意見に賛同していた。

 

 まぁいいか。どうせ生身での戦闘もこのせかい(キヴォトス)では必須事項だ、確認しておくに越したことはない。にしても初戦闘の相手がまたエイミとは…全く、運が良いのか悪いのか……。

 

「ま、談笑もこれぐらいにして…早速始めようか」

 

 ウタハの手拍子が合図となって、俺とエイミは互いに向き直る。

 

『模擬戦の準備を開始します。仮想戦闘プログラムを起動、データベース及びOSにアクセス、アプリケーションのロックを解除…』

 

「暁月レイ、だったよね。名前」

 

「…ああ」

 

 機械音声のナレーションをBGMに、エイミの声がフィールド内に響く。

 

「…この模擬戦は、私のただの憂さ晴らしのためじゃない」

 

『勝敗はどちらかが戦闘不能状態まで陥るか、降参することで決着します』

 

 そう言って、彼女は自身のショットガン「マルチタスク」を此方へ構える。あれ、この絵面前にも見たような……。

 

「あなたが本当はどういう生徒なのか…これで見極めるため」

 

『指定する威力以上の弾薬の使用、及び戦闘不能状態となった相手に対する過剰攻撃は禁止です』

 

 普段、というかゲームでの印象とはこれまた違ったクッッッッソイケメンな目つきが俺を睨んでくる…惚れるワ♡

 そんな変態じみた感情を心のうちにとどめつつ、俺も彼女を見つめ返す。

 

「…わかった」

 

 

「俺もそれに応えよう」

 

『これより、模擬戦を開始します』

 

 俺の買い言葉と同時に試合開始の宣言がなされ、双方の武器が銃口から火を吹く。しかし互いに回避したため、環境変更により生成された壁へと距離をとった。

 まぁ初撃は無理よなと余計なことを考えつつ、壁に張り付いて前方の様子を伺うと。

 

「!?」

 

 なんとエイミは隠れもせず、そのままこちらに突っ込んできたではないか。いくらキヴォトス人とはいえ無謀すぎる判断に思えた、が。

 

(そうか、彼女のクラスは()()()!)

 

 ブルーアーカイブのプレイアブルキャラにはそれぞれ「クラス」があり、簡単にいえば前線*6に出るメンバーの中での役割のような物である。このクラスによって各キャラのステータスにはある程度の傾向が存在し、戦略の深みを広げるのに一役買っている要素なのだ。

 そしてゲーム内でのエイミは「タンク」、つまり防御力の数値が高いクラス。場合によってはこちらよりも人数の多い敵のヘイトを買いその攻撃を一身に受けることもあると考えれば、確かに俺1人の攻撃を喰らってもそこまで効果はないだろう。

 

 とにかくこのまま距離を詰められてもこちらにはメリットなんかひとつもないので、頃合いを見計らって壁から飛び出して2発、彼女目がけ撃ち込む。

 

(そしてそれだけじゃあないッ!!彼女には厄介な能力がッ!!!)

 

「インタプリタ起動、解析開始」

 

 そう言い放った瞬間、彼女の周りに半透明のディスプレイが表示され、その直後彼女の身体が微かな光に包まれる。

 これが彼女のEXスキル「不屈の意志」。一定時間の間持続回復を自身に付与するため、1撃で巨大なダメージを与えなければ倒せない自己完結型タンクの典型ともいうべき能力だ。

 牽制のつもりで放った2発の弾のうち1発が彼女の左肩にヒットしたが、それにちっとも怯むことなくこちらに突進してくる。

 

「クッ!」

 

 彼女の銃撃を間一髪でかわしつつ、体勢を立て直すため全力で彼女の進行方向へと距離を取り続ける。

 やってみるとわかるものだが、俺はMS戦闘はできても生身での戦闘は得意ではない。そしてエイミがこの世界での上澄みとまではいかなくとも、モブに比べれば遥かに高い実力を持っているということを嫌が応にも実感してしまった。

 

「あんな煽り言っておいて、この程度?」

 

 交わされる銃声の中でエイミはそう言う。

 だが煽り返しにも聞こえるその言葉にまた言葉をふっかけるほどの余裕は、もはや俺には残されていない。

 

「捉えた」

 

「グッ!?」

 

 訓練され、洗練された構えから放たれるショットガンの一撃が脇腹に命中し、思わず呻き声を上げる。しかしここで怯んでは完全に流れを掴まれてしまう……。

 

「もう、鬼ごっこは終わり」

 

「グハッ!?!?」

 

 考える暇もなく2発、3発と無慈悲に、しかし確実に衝撃と鈍痛が体に打ち込まれていく。お思わず足を止め、床に手をつく。

 彼女がその隙を逃すはずもなく、何十発と腹部めがけ弾薬を撃ち込む。ついにはついていた手も力が抜け、地面に這いつくばるように倒れ込んだ。

 

「あっけなかったね、案外」

 

 その声にはどこか落胆したような、一方で呆れたような気持ちが含まれているように思えた。

 

「威勢が良かったのは認めるけど…それだけじゃこの大役は務まらない」

 

「ウッ……」

 

 なんとか力を振り絞って、眼前の彼女へ目を向ける。俺の脳天にはすでに、彼女のショットガンが構えられていた。

 

「あなたのMS操縦技術は確かに大したもの。でも技術が発達した今なお実際の戦闘で投入されることは少ない」

 

「……」

 

「そしてそれを除けば対して白兵戦もセンスがあるわけじゃない…良くてここにいるエンジニア部の面々と渡り合えるかどうか」

 

「…………」

 

「それができないあなたは特異現象捜査部には要らない。もちろんこのミレニアムにも」

 

 冷酷で至極当然な宣告を共に、俺の頭に当てがったショットガンのトリガーを引く音がした。

 

ドオオオオォォォォン!!

 

 


 

 

「…もう2度と、私の前には現れないでね」

 

 とどめの一撃をおみまいされ、力なく倒れ込んだ彼女にそう囁く。

 

 MSで相対した時は彼女の戦闘センスにお見それしたものだが、それはどうやらMS戦限定のようだ。正直言うなら、とんだ期待はずれだった。

 思わずやるせなさを込めた暴言を彼女に吐き捨てたことにほんのちょっぴり後悔しつつも、今度の機会でセミナーに彼女の異動を打診しようと思い立ち私は彼女の顔を覗き込む。

 

「……」

 

 完全に動きを止めたことを確認した私は、模擬戦用フィールドの扉へと向かう。しかし。

 

「あれ?」

 

 そういえば事前に言われていた勝利演出とやらが、いつまで経っても流れない。

 

「不具合かな?」

 

 そう思って外で目を見開きながら試合を観戦していたエンジニア部の部長にジェスチャーで開けるよう指示する。彼女はハッとして立ち上がると、こちらに向かってきて……

 

ドクン……

 

 今まで経験したことのないような悪寒が、背中を伝って体中に響く。

 無意識に振り返ると、そこにいたのはついさっき下したはずの彼女、暁月レイが仁王立ちするその姿だった。

 

「…推しと戦って、おいて……」

 

 聞き取りもできないような掠れた声で、なおも彼女は続ける。

 

「惨めな…格好は……!!!」

 

 

ドッッッ!!!!

 

 

 瞬間、彼女の体からオーラのようなものが噴き出し、すぐに一本の柱となってフィールドどころか、部室の天井をも突き破っていく。

 しばらく声も出せないほどにその光景に圧倒されていると、彼女は私の方を改めて睨む。

 

「まだだ」

 

 

「オレはまだ、戦える」

 

 

 

 先ほど失ったと思っていた好奇心が、再び私の胸中を満たし始めていた。

*1
射程が長い代わりに1発1発弾を込めなければならない、本末転倒なエンジニア部製のハンドガン。

*2
レーザーの威力が桁違いだが、強力すぎて使用者が感電するエンジニア部製のレーザーハンドガン。

*3
アーカードとウォルターのくだり。ちなみに筆者はHELLSINGエアプ勢。

*4
観客、もとい外部への流れ弾を防ぐ特殊な防護機能に加え様々な地形や環境を再現でき、よりリアルな模擬戦闘を行えるというものである。

*5
先述した模擬戦闘用フィールドのこと。命名者は言わずもがな。

*6
いわゆるゲーム内の「STRIKER」。




 こいつ、いつも推しと戦ってんな……。
 というか多分原作のエイミはこんなことしないと思う(じゃあなんで書いたんだよ)。まぁずっと1人でやってきたから今更どうでもいいみたいには思ってたかもしれないけど。強いて今作における今現在のエイミの感情を解説するなら嫉妬3割、疑問3割、好奇心4割といったところでしょうか。

 というわけで第二章「アビドス砂漠のまんなかで」第一話でした。
 あれおかしいな?今回アビドスのアの字もないぞ?と思った方もいるでしょう。でもこれにはちゃんと理由があって、この章ではプロローグ後〜アビドス編の内容を描く予定だからです。なのでご安心ください、多分3話目くらいからちゃんとアビドスし始めると思います……ユルシテ…泣



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