透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
今回はめちゃくちゃ難産だった…。
最高に
…ふぅ、完全に○ョースターの血を飲んでス○ンドパワーを増幅させた
にしても全能感というか…絶大な力が全身から溢れ出てくるのを感じるし、まるで生まれる前からこの力の使い方を知っているかのような…オーラが肌に馴染んで心地よい。
そしてそれと同時に確信した。今の俺なら、彼女に勝てると。
「…!」
倒され気絶させられてもなお握り続けた拳銃をおもむろに向けると、エイミは素早くその場を回避する。
ダアァン!!
「ん"っッ!?」
しかしそれを先に
(まだEXスキルの効果発動中だったか…!)
その間にも彼女との距離はどんどん離れていく。
(一度距離を取って大勢を立て直す算段か…なら)
ハンドガンのマガジンを抜き取って弾を一つ取り出すと、それにオーラを収束させていく。するとその弾丸の色が、鈍色から徐々に緋色へと変色していき、遂には夕焼けに近い色になった。
「これなら…」
マガジンに再度戻すのも億劫になり、排莢口に直接弾をこめハンマーを起こす。
「
銃口から放たれたその瞬間、打ち出された弾丸は幻想獣の
「…!?」
それを見て一瞬目を見開いたエイミは、すぐさまその場を飛び退ける。その直後炎の鳥は地面に衝突し、フィールド全体を包もうかという程の爆風が巻き起こる。
(…決まったか……?)
脳内でフラグを順調に立てつつ、未だに止まらない煙の中に佇む影を見据える。
(まぁホローポイント弾でも傷痕が残る程度だ、キヴォトス屈指のエージェントがこれぐらいの威力で倒せはしない)
しばしの静寂ののち、煙からところどころに火傷痕をたたえたエイミがこちらに向かってショットガンを構えながら突進してくる。
エイミの銃撃を最小限の動作で避けつつ、こちらも負けじと応戦する。が、先ほどのヒットはまぐれだったのかと疑いたくなるほどこちらの銃撃も当たらない。
(今度の機会に、射撃訓練でも受けに行かなきゃな…)
お世辞にも静かとは言えない膠着状態が続く。最中、感覚が何処か曖昧で、試合開始からどのくらい時間が経っているのかすらわからんくなってきた。
ふと相手の顔を見やれば、彼女の唇がささやかに弧を描いている。
(笑っている…楽しんでいる…のか?)
直後、彼女の蹴り足を受け止め、受け流しざまにもう1発撃ち込む。
しかし痛みに慣れたのかもう痛むような素振りは見せず、逆にそのまま反撃で3発撃ち込まれる。
「うぐ…!」
いくらHIGHになったとはいえ、こちらは彼女のショットガンの威力にはどうも慣れそうもない。と言ってもダメージが全く変わらないかと言えばそうではなく、ある程度軽減はされているみたいだが…。
俺が唸ったことで隙ができたと判断したのかエイミがすかさずショットガンをこちらめがけ連射してくるが、すかさず横っ飛びして避けたことで免れる。
だが逃げるばかりじゃあない。再び弾を1発取り出してオーラを集中させ、今度は乳白色に変色させた。
「
すると銃口の先に球状の光が集まったかと思うと、それを中心としてあたり一帯に雷が
今度は流石に驚いて反応が鈍ったのか、強烈な電撃が彼女に直撃する。
「……特異現象捜査部活動以来、あなたが一番特異現象かもしれない…」
だがその後すぐにエイミは感想なのかディスなのかわからない言葉を吐露しつつ立ち上がる。これじゃあ俺の攻撃が弱いのか彼女がタフなのかわからないな。
「あなたに俄然興味が湧いた。もっと
口端を拭うエイミの口角は、先ほどよりも上がっている気がした。
他ならぬ
「ああ、勿論」
そうして右手をゆっくりと前へ向けて
「そこまでだ」
両者が再び銃を構えたその瞬間、間に入ってきたウタハが俺たちを手で制した。
「こらこら、2人ともそんな不満げな顔しないでくれ」
…別に、何も不満じゃないし。推しとの
「それに周りがこの有様では、君たちも思う存分
ウタハに半ば諭される形で言われてふと周りを見渡せば、先ほどまで新品相当だった模擬戦用のフィールドが見る影もなく壊れ、もはやその機能を果たしていなかった。
(あらら)
逢瀬(当社比)に夢中で全然気にも留めていなかったが、流石にエンジニア部には申し訳ない気持ちがある。エイミも思うところがあったのか、少ししゅんとした顔をして言う。
「ごめんなさい。
「いや、その必要はない」
唐突にしゃがみ込み、煤まみれになった装置の床に右手をつく。
「フッ…!」
目を閉じ、全身の力を右の
「…!?」
「これは……!?」
2人の驚く声が聞こえて瞼を開くと、先ほどまで自分が纏っていた青のオーラが、ほぼ全壊した装置を覆い、粒子を放ちながら輝いている。特に壊れている部分の端が強い光を放っており、それが
数分もしないうちに修復は完了し、額の汗を拭いつつ立ち上がった。
「これで問題ないか?」
完全に一仕事終えたおっさんのテンションで彼女達の方を見やると、口をポカン、と開けたまま固まっていた。
「…そういえば、まだ
自分でも細かい部分に関してはいまいちよくわかっていないが……とりあえず、2人の気を確かにしなくては。
数分後、ようやく正気を取り戻したエイミとウタハ、そして遠くで見ていたコトリとヒビキと共に会議室らしき場所に移った。
「で、
エンジニア部の面々が若干前のめりになり、子供のように目を輝かせながら聞いてくる。エイミは多少落ち着いたのかそこまでがめつくはないものの、少し体をもじもじさせている。知識を重んじる学園の特徴か、はたまたたまたま彼女たちの関心をひいたのかはわからないが、先ほどの事象に興味津々なのは確かだろう。
ひとまずは、ウタハの投げかけた質問に答えるか。
「あの試合の中で偶然目覚めた…所謂"特殊能力"による現象だ」
「特殊能力…あっ」
「特殊能力」という言葉にコトリが引っかかったような反応をし、それが気になったのか、横の椅子で足を抱えて座っているヒビキが尋ねる。
「どうしたの、コトリ?」
「
「あるね。正式名称はCleaning&Clearing……略してC&C、だっけ。それが?」
「どうやらその部員に、論理的な解析が不可能な、いわば"超能力"のようなものを持った生徒がいるって情報があるんです。何でもとてつもない
う〜ん。知ってるなぁ、その人。
確かに彼女の体質ははっきり言って異常だし、特殊能力と言っても差し支えないモノだけど…。
「ま、それはいい。それで、その"特殊能力"というのは、具体的にどんな能力なんだい?」
それよりも俺の能力の方が気になるのか、ウタハが話を仕切ってくれる。
「…その前に一応聞いておきたいのだが」
「ん?」
「ここには無から有を生み出す…そんな技術はあるのか?」
唐突な質問返しにちょっとした戸惑いを見せるウタハ。
人によっては嫌な返しだが、今のところ怒鳴られはしていない。ウタハが吉○吉影タイプじゃなくてよかった。
「…いや、無いな」
少し間を開けて、彼女はそう答えた。
「"有"を仮に人工物だとするのなら、何を作るにしても材料が必要だ。それにものによっては多くの人手も要るな。いくら
唐突に聞かれたにしては、結構真面目に答えてくれた。というか某鋼の某錬金術師みたいなこと言うねアナタ。
「そう、だからこそ常軌を逸しているんだ。オレの能力というのは」
本来ものづくりとは等価交換、材料であれ人手であれ何かを代償としなければできない行為である。
「オレはほとんど何の代償もなく、物質・物体を生成することができる」
「「「「「!?」」」」」
そう言った瞬間、俺以外の全員が驚嘆の声を上げる。ウタハに至って勢いよく席から立ち上がった。
「先の試合で弾薬の性質が変化したのもその応用みたいなものだし、さっきの修復も同様だ」
右手を軽く振り上げ少し力を込めてやれば、まるでマジックショーの如き手振りで薄い鉄板が現れる。今度は左手を叩いてみれば、いつの間にか銅版が現れる。
「ただ…今のところ大きいものは金属や鉱石系のものしか出せない。それ以外は本当に機械部品に使われるようなくらいに小さいものしか無理だ」
右手を銃の形にすると、親指と人差し指を跨いで輪ゴムが現れる。「これが精一杯だ」と言ったところで興奮冷めやらぬ様子で立っていたウタハがようやく座った。
「それに全くの無償でできるかといえばそうでもなく、結構精神力を持っていかれる。今回はまだサイズが比較的小さかったからまだ良かったが…」
「…ふむ」
するとおもむろにウタハがヒビキに目配せし、会議室の奥の方から数枚紙を持って来させた。そしてその内の一枚を俺に渡してきた。
……これは、設計図…?それもだいぶシンプルな形の剣だ。
「これを一回、作ってみれないかい?」
材料は鋼鉄と銀、アルミが混じった複合金属と書かれている。まぁ、このくらいであれば大丈夫かな…?
設計図のイメージを頭の中に思い浮かべつつ、右手に意識を集中させると、そこには自分のイメージ通りの剣が握られていた。
「…できたぞ」
そう言って顔を上げると、そこには肩を振るわせ俯くウタハの姿があった。
なるほど、彼女たちエンジニア部は自分たちのものづくりに誇りを持っている。それをあまりにも無情に淡々とやってのけてしまう奴が現れたら誰だって気に食わないだろう。怒らせてしまっただろうか…。
すると一瞬で距離を詰めてきたかと思えば急に持っていた剣を傍に置き、ウタハが俺の両手をガッと掴んできた。
(…まずい、怒られてしまうだろうか)
「ッなんて素晴らしい能力なんだ!!!」
「…………え?」
「君の力があれば、我らエンジニア部、ひいてはミレニアムの発展につながること間違いなしだ!」
…そう語る彼女の目はいつも以上に輝き満ちており、それは興奮冷めやらぬといった顔でうんうんと頷くヒビキも同様だった。
「うん、それがあればもっと開発が捗る」
…もしかして俺、こき使われる感じ…?
「それ、レイさんの負担馬鹿にならないんじゃ…?」
コトリがフォロー、というか自分を代弁してくれ、2人が「す、すまない…」と萎れてくれる。ありがてぇ…あんたはエンジニア部唯一(?)の良心や…。
すると後方腕組みしていたエイミがいつの間にか自分の背後から抱きついてきた……ヴッ、背中に柔らかい感触がッ…………。
「
うおびっくりした、急に名前呼びして距離詰めてくるなや…心臓が持たん……。
「おやおや、そちらで独占するつもりかぃ?」
「個人的にも興味があるから…こちらで詳しく捜査する」
え"え"……何この異世界ハーレム系主人公みたいな展開ィ……。
「あら、もう来てたのね…ってどういう状況?」
謎のいがみ合いがしばらく続いていると部屋の扉からひょこっと顔を出してきたユウカが、この状況を見て至極当然の疑問を呈してきた。
にしても、何の用事で来たんだ…?
「何の用事で来たんだ?って顔してるわね」
あ、バレてた。
「連邦生徒会からあなたの処遇について連絡があったわ。所属は現在のままだけど、毎日のシャーレ出向が義務化され、基本的に顧問…先生の指示に従ってもらうことになる。あのガンダムもシャーレの建物に格納されることになったわ」
まぁ、そりゃそうよな……って他の面々がめちゃくちゃ唖然としている。
「ちょっと、そんな残念そうな顔しないでよ。元々学園は一機しかガンダムを保有しちゃいけない決まりだから、どうしても空いてる組織は限られるのよ」
「そうだとしても、彼女が行く必要は…別の誰かが乗れば…」
「それができればいいんだけどね…あの機体、どうやら特別なコードの他に生体認証が必要みたいで…彼女しか動かせないみたいなの。ヴェリタスのハッキングも効かないなんて、どういう代物なのよ…」
そういえば、起動時にパスワードみたいなものがあったが、生体認証?そんなのやった記憶ないけど…。
「とりあえずこれは決定事項よ。変更はないわ」
ショックだったのか、コトリ以外のエンジニア部はいつぞやのサオリのような体勢で落胆する。エイミも少し寂しそうな表情をしていた。
え、そんなにショックだった?
「完全に会えないわけじゃないし、何ならいる時間はこっちの方が多いわよ。当然部の活動とかもやってもらうわ」
……今の言葉でちょっとエイミの口角がちょっと上がった気がした。
「ま、いいわ。早速あなたには先生と、早速シャーレに届いた依頼に同行してもらうわ」
そう言って、彼女は懐から古びた地図を俺に渡す。
この……目的地とされた学園……その砂漠に囲まれた独特な地形は……もしや……。
「アビドス学園の復興。それが依頼の内容よ」
次回、本当の本当にアビドス編開幕。
主人公くんちゃんがミレニアム学園特異現象捜査部員兼シャーレ専属エージェントというさらに厄介なプロフィールになりました。元々こんな感じの役回りにする予定だったので、ここまで持っていく説明パートみたいになっちゃいました。次回はもっと戦闘パート入れたいな…。
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