透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
と言っても内容はめちゃめちゃ薄いです。超薄味です。味噌の入ってない味噌汁みたいなもんです。ですが物語がようやく動き出しますので、是非ともご覧ください。
対策委員会と初めてまみえる話。
出向の任を伝えられた翌日、先生はもうアビドスに向かっているらしいので早速出発することにした。当然MSは持っていけないので、エンジニア部特製のバイクを借りていくことになった。
エンジニア部製と聞くとカ○コン製のヘリコプター並みに信用ならないが、スピードを追求しただけで他は大して弄っていないとのこと。まぁ見たところ変な機能もついてなさそうだし、ひとまずは信じてもいいだろう。
エンジニア部とセミナーの面々、そしてエイミに見送られながら、俺はミレニアムを出発した。
キヴォトス屈指の都市部であるD.U.を抜ければ、そこからの道はそこまで複雑なものじゃなかった。砂漠のど真ん中で一直線に伸びる、誰もいない高速道路をただ1人走り抜ける。
時たま砂が混じった向かい風に不快感を感じつつも、そのすぐ後に澄んだ清涼の風がそれを洗い流し、気分は周波数みたいに上下し続けている。
「そろそろアビドスに着く頃か…」
昨日の連絡のついでにユウカから渡された小型デバイス…前世でいうところのスマホがバイクのメーター部分に接続されており、目的地までのナビと残り距離を示していた。
ふ〜む、にしても変わり映えのない景色だ。普通雄大な自然を見るとそれに圧倒されるような感覚を覚えるが、地平線の彼方まで砂漠が広がっているため砂漠以外ほぼ何もない。あるのは電車や駅、ビルだったものの名残くらいだ。
ふと横道の景色から視線を正面に戻せば、更地の中で異様に目立つほど巨大な建物が見えてきた。ゲームのスケジュール管理で見慣れた、アビドス高校の校舎だ。
「ゲームで見たときはそこまでの規模じゃあないと思っていたが…流石はかつてトリニティ、ゲヘナと並ぶほどの学園といったところか」
やっぱりゲームで見るのと現物を見るのでは違うと、少しばかり感傷に浸っていると……。
ドカーーーン!!!
「ん?」
ちょうど校舎の方から爆発音と共に、爆発の瞬間を表す光と立ち昇る煙が見えた。
「もう戦闘が始まっているのか…!」
こうしちゃいられない。バイクのハンドルを捻り、アクセルを全開にする。
「暁月レイ、作戦行動に移る!!」
校舎に群がるヘルメット団の集団めがけ、最大速度で突っ込んでいった。
(流石に、厳しいかな)
レイが到着する少し前の、アビドス学園の一室。
生徒用の椅子に腰かけ、机の上に置かれたパッド…シッテムの箱を操作しているのは、連邦捜査部シャーレ唯一の顧問にして、キヴォトスの外よりやってきた理外の存在たる者、先生であった。小さい椅子の上で足を組み、顎に手をかけながらパッドを操作する彼の額にはシワが刻まれていた。
アビドス廃校対策委員会からの依頼を読んだ時は、初めての派遣業務だと半ば興奮気味に喜んでいたが、昨日の今日でというヘルメット団の襲撃に頭を悩ませていた。彼の持ってきた補給物資や戦略家としての類まれなる能力を加味しても、10倍以上もの戦力差がほぼ毎日やってくるのは中々に厄介だった。
"もう1人ぐらいいるなら、どうにかなりそうではあるんだけどなぁ"
彼らしくない愚痴を思わずといった風に溢し、さながら水浴び後の犬のように慌てて首を振る。
(私は彼女たちの「先生」だ。もっと彼女たちを信じなければ)
気の迷いとも取れる感情を振り払い、シッテムの箱に焦点を戻すと…。
(…ん?)
後続として襲来していたヘルメット団の増援が、一瞬にして消失したと、箱の画面に示されていた。
(一体何が…)
慌ててスワイプし、消えた敵性反応の源を辿っていくと。
"レイ…?"
表示されたその名前は、
そういえばあったな、こういうストーリー。
なんてことを思い出しながら、さっきのファーストインパクトであらかた倒したチンピラどもの残りを、1人づつ気絶させていた。
「やはり
初めての対人戦がエイミだったおかげか、彼女と比べてしまうとやはり練度はたいしたものじゃない。まぁ最初バイクに乗ったままA○IRAスライドで大半は薙倒せたのも大きかったと思うが…。
「おやぁ〜見ない顔がいるねぇ〜?」
とりあえず目に映る敵は全て掃討した直後に、背後から緩みに緩みきった声が聞こえてきた。
「どうやらヘルメット団じゃあないみたいだけど。おじさんに名前、聞かせてもらってもいいかな?」
それに「おじさん」という一人称…これを使うのはキヴォトスの中でも彼女だけだ。
ふと振り返れば、そこにいたのはピンクの長髪にアホ毛を生やし、小柄な体で長身のショットガンとシールドを持つ少女である。「うへ〜」という鳴き声を発しながら細めた瞼をゆっくりと開き、黄と青のオッドアイを覗かせている。
アビドス廃校対策委員会の委員長にして、キヴォトス最大の神秘と目される生徒、
彼女はその奔放な態度に反して疑い深い性格だ、今も内心目の前にいる奴が何者なのかをその
「ミレニアムの1年、暁月レイだ。昨日付でシャーレ…もとい先生直属の部下となったので、ここに来た」
「先生の〜?じゃあちょっとここで待ってね〜今先生に確認してくるからぁ〜」
ホシノは再び目を細めると、ふらふら〜っと校舎の方へ向かっていく。ここで安易に敷地内に入れずその場で待たせるのも、彼女の性格の表れのような気がしてならなかった。
それからしばらくして、先生とアビドス対策委員会…そのメンバーたちが校舎から歩いてくるのが見えた。
"やぁレイ。
「どうも、先生」
昨日が濃い1日だったせいか、彼に会うのもずいぶん久しぶりなように感じた。
"救援に来てくれてありがとう。おかげで助かったよ"
「いや、これくらいは当然だ。今のところオレは先生の部下だからな」
"昨日リンちゃんからそれの連絡してくれたみたいなんだけど…"
"レイが来てくれるまで気づかなくって。びっくりしたよ"
それってシャーレの仕事が上司(?)の連絡を確認する暇もないくらい過酷ってことじゃないよね?……今からシャーレでの仕事が憂鬱になってきたかも…。
「ねぇ、その人誰なのよ!ひょっとして新手の詐欺師じゃないでしょうね!」
「ん、ちょっと気になる」
「あらあら、とっても凛々しくて可愛い子ですね〜⭐︎」
「先生の部下…とおっしゃっていましたが……一体?」
痺れを切らした黒猫ツンデレ少女を筆頭に、個性的な反応をする対策委員会の面々。う〜ん、これぞアビドス。
"そうだ、レイは会うの初めてだったよね。紹介するよ"
そう言って先生が片手を、横に広げるように後ろの彼女たちの方へ向けた。
"さっき声を荒げた黒髪猫耳少女が、
「ちょっと、変な属性つけないでよね!」
おお、原作通り見事なまでのツンデレじゃあないか……ってデレ…ある、か?
あ、そういえばデレるのはこの後のいざこざが解決してからだったな。ま、完全ツンツンモードもそれはそれで良きなので、デレが出始めるまで楽しむとするか…俺は一体何様のつもりでこの脳内コメントしt(ry
"眼鏡の子が、
「よ、よろしくお願いしますっ」
紹介されたアヤネは、ご丁寧に90度お辞儀をしてくれる。
俺の原作での彼女の印象としては、真面目でありながらかなり素っ頓狂な一面も持ち合わせるキャラであり、ごくたまにメガネ論争の火種となる生徒の1人と言う感じ。
え、俺?俺はメガネかけててもかけてなくてもそれぞれの可愛さがあるのでどっちも好き(新たな火種)。
"ベージュ髪で長身の子が、
「わ〜やっぱり近くで見ると、尚可愛いですね〜⭐︎」
えっちな子その1。
そのビジュアルと性格による圧倒的な母性を持つアビドスのママ。そのママみは彼女のメモリアルロビーがASMR化する程である。
一方で絆ストーリー等々で先生に対し結構な重い恋愛感情を抱いていることが判明し、ヤンデレなのではないかとまことしやかに囁かれていたりいなかったり。
"犬耳銀髪の子が、
「ん、犬じゃなくてオオカミ」
えっちな子その2。ただこれに関しては公式設定ではない…はず。
言わずと知れた本編のメインヒロインであり、ブルーアーカイブの顔とも言うべき存在。一見クールぶっているが資金調達のために至極真面目に銀行強盗を提案するなど、かなり言動が大胆。彼女の「ん、私ともあっちむいてホイをやるべき」というセリフは、あまりにも有名である。
"そして最後に…彼女が、小鳥遊ホシノ"
「うへ〜、さっきは疑っちゃってごめんね〜」
そして対策委員会編のキーパーソン、ホシノ。
キヴォトス最強格の1人にも数えられ、その戦闘力はゲヘナで敵なしの風紀委員長も認めるほどである。先述した通りそのへなへなした態度とは裏腹に思慮深く、それでいて責任感が強く何かと抱え込みがちなため、結構危うい性格である。
こうして先生と共に彼女たちと関わる以上、この後起きるであろう事件に対して何かしらの策を打っておかねば。
"…で、こちらは暁月レイ。色々あって昨日、私直属の生徒になった子なんだ"
と先生、今度は俺を対策委員会の皆に紹介してくれる。
「ミレニアムサイエンススクール1年特異現象捜査部所属、及びシャーレ出向生徒の暁月レイだ。よろしく頼む」
"あ、紹介してすぐで悪いんだけど、事情を説明しないとね"
そう切り出して先生が説明してくれたのは、アビドス高等学校の抱える厳しい現状だった。
ある悪徳銀行に9億円もの借金を抱えていること、なんらかの理由で不良たちに敷地を狙われていること、そして先ほど襲撃してきたのは昨日本拠地を潰したカタカタヘルメット団、その残党ということだった。
「にしても、拠点を制圧したはずなのにまだあんな余力を残していたなんて…まだ油断はできませんね」
「ふん、何度来たって返り討ちにしてやるわ!…というか、あんた」
唐突にセリカはこちらへ振り向き、人差し指をビシッと向けてくる。
「部外者の大人はともかくとしても、他校の生徒が今更救援なんて、あんた一体何様のつもりなの?」
…そういえば、そんな話もああったな。
未曾有の自然災害に見舞われ、その克服のために多額の資金を投入せざるを得なかったアビドス高等学校だったが、当時その他の大規模学園はその支援をしてくれなかった。もちろんそれは他校の問題に直接干渉することを避けるためだったのだが、当事者たちとしては憤ったことだろう。
故に、彼女の「今更他校の生徒が何の用だ」という苛立たしさも正当ではある。あるのだが…。
「オレは先ほど言った通り、シャーレに出向している生徒だ」
「ちがッ、そういうことじゃ…」
「オレは別に学園の名代できてるわけじゃあない。当時だって支援しない判断をしたのは学園側の判断で、生徒一人一人はどうだったかわからない」
「…」
「だが、そのイメージを…」
「アンタがそう言うなら絶対に頼らないわよ、バーカ!」
「あ、ちょ、セリカちゃん!?」
セリフの途中で、セリカは荷物を持ってさっさと教室から出て行ってしまった。おかしいな、仲間だと言うことを伝えようとしたはずなのに、逆に嫌われてしまったぞ。
"レイ"
「なんだ、先生」
"…さっきの言い方は完全に、セリカを責める言い方だったよ"
「そう、なのか」
"次来るときはちゃんと謝るんだよ"
「…わかった」
う〜む、人付き合いというのは相変わらず難しいな。
…うん?
「うへへ〜今日もみんな元気だね〜。私はもう眠たいよ〜」
「セリカちゃんも帰ってしまいましたし、今日はこのくらいでお開きにしましょうか」
俺が思考を巡らせている間に解散の流れになり、今日のところは一旦ということで俺と先生は帰ることになった。
そして、行きに使ったバイクの後ろに先生を乗せているその道中のこと。
"初仕事はどうだった?"
どうだった…か。
戦闘の方では特に懸念はなかったが、やっぱり気掛かりなのは…。
「セリカ…さん?のことだ。あんなこと言って、正直申し訳なく思っている」
"やっぱり?"
「ああ。オレもここまで会話が苦手だと知らなかった」
"まぁ…私もセリカにはあんまりよく思われてないみたいだし…"
先生は今後起きるであろう誘拐騒動で、ある程度距離は縮まると思うが…果たして俺は、きちんと和解できるのだろうか?
"ま、あまりに気にしすぎるのも良くないからね"
「…そうだな」
先生を背に乗せたまま、砂漠の一本道にバイクを走らせていく。黄昏の空を舞う砂の一粒一粒が、行きの時よりも痛く感じるような気がした。
前回自分で戦闘パート入れたいって言ってたのにほぼ端折られてます。あのさぁ…
今回も説明パートみたいになっちゃいましたが、次回はようやく本編にあったセリカのバイトについていくやつをやろうかなと思ってます。
というか、執筆のためにストーリー読み直してるんですが、初期の頃の先生ってだいぶ頭のネジぶっ飛んでますよね。鈍感ってレベルじゃ済まされねぇぞおい…。それはそれとしてイオリの足は舐めます。
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