透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 どうもみなさん、Hakone8510です。

 今回めちゃくちゃ短めです。


UnwelcomeSchoolが一番似合う女の話。

 

 セリカを救出しひとまず事態を収めたものの、緊張感や疲労感からかアビドスに帰ってきた途端気絶したように倒れ込んでしまったため、その場は一旦お開きとなった。そして、彼女を休めさせるためにも次回のアビドス訪問は数日、(あいだ)を空けることになった。

 

 そしてこの際にと、先生は今日のシャーレ当番とともにアビドス訪問中に溜まっていた仕事を片付け始めた。それゆえ戦闘しか取り柄がなく書類仕事はからっきしな俺は必然的にやることがなくなり、先生には一応許可をとってちょっとした外出をすることにした。

 いや違うんすよ、いや違わないですけど違うんですよミナサン。ゆうて事務なんて計算するだけだろwとタカを括っていたのだが、さぁやるぞと張り切って書類の一枚目を手に取った瞬間、頭の中に宇宙猫が爆誕してしまった。唯一わかったのは表にアラビア数字が書いてあることぐらいで、何をどう計算してどうするだとか、書類ごとの処理の仕方に違いがあるとかいうユウカ*1に説明されても何が何やら。そこで、今日の先生の役には立てないと確信した、というわけだ。

 

 まぁ、ダラダラ長々と話してしまったが、つまり今の俺はヒマなのだ。

 外出すると言っても特にどこか用事があるわけでもなかったというのを思い出してちょっと後悔してみたりもしていたが、まぁ先生に断りを入れた以上背に腹は変えられない。と、街を散策しようと足を踏み込もうとしたその瞬間  

 

ドカアアァァーーン!!!

 

 ……人が折角穏やかな休日を過ごそうと意気込んでいたのに、その均衡はどうやら破られたようだ。そういえばここは美少女版GTAだったな。この程度の爆発はむしろ日常茶飯事だったか……感覚が狂いそうだ。

 まぁひとまずシャーレ近辺での揉め事は先生に及ぶ可能性のある危険が危ないので、即座に対応するため爆発音のした方向へと向かった。

 

「タヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでくださいタヒんでください……」

 

「あははっ!ハルカちゃんホントにおもしろーいっ!!」

 

「……はぁ」

 

「………………」

 

 もうもうと立ちこめる煙とチリチリと空を舞う火花の近くに後ろ向きで立っていたのは、身長の不揃いな4人のシルエットだった。……あれは、紛れもなく……!

 

「それで、()()()()?今回もハルカが暴走して依頼主ぶっ飛ばしちゃって、今日の給料なくなったけど……」

 

「……フフフ」

 

「あ、アルちゃんまた固まっちゃった〜」

 

 べ、便利屋68(べんりやシックスティーエイト)……!?

 キヴォトスでトリニティと肩を並べる程のマンモス校にして、「秩序」を重んじるトリニティとは真逆の「自由と混沌」を謳うゲヘナ学園。そこからほぼ独立して動き、「金さえもらえればなんでもやる」をモットーとするアウトロー集団こそが、先述した会社「便利屋68」である。会社といってもその成員はたったの4人で、それでいてその戦力はゲヘナの規律を取り締まる風紀委員会を持ってしても捕縛は困難とされている。

 

 ここまで説明した事項だけを聞いた人は皆、そんなに恐ろしい集団なのかと思うことだろう。だが、まぁ……実際の本質はそうではない。

 

「にしてもどうする〜?今日もらうお金で焼肉行くって話は〜?」

 

「それは無理でしょ……でも確かに今日朝も昼も何も食べてないしなぁ」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「……」

 

 なんだか雰囲気も気まずくなってきたな……今のところはこの辺を去ってもらうためにも、彼女たちに接触しようと建物の影から顔を出した、その瞬間(とき)だった。

 

ダアァン!!!

 

 俺の右横を()()が掠めていき、頬に一筋の赤線が刻まれる。飛んできた方向を見やれば、4人の中で1番身長が高い少女が、スナイパーライフルをこちらに向けており、その銃口からは(かす)かに煙が上がっていた。気配を極限まで消していたはずの俺に勘づくなんてと一瞬思ったが、当の本人がお馴染みの白目顔を晒している。まああの表情から察するに、無意識だろうな……。

 そんな調子の彼女の名前は陸八魔(りくはちま)アル、便利屋68の自称社長にして真のアウトローを目指す少女である。若干説明し足りない感があるが、話すと長くなるのでここでは割愛キャッツ○イする()。

 

 と、しばらく先ほどよりもさらに気まずい間を空けて、他の3人がこちらの方へ振り向いた。右から順に会社の下っ端伊草(いぐさ)ハルカ、何かとつけてからかってくる室長浅黄(あさぎ)ムツキ、最年長にして冷戦沈着な参謀役こと課長鬼方(おにかた)カヨコ……いっぱいいるので説明が忙しいですなァ……そして生で見るとやっぱり美人だミナサン……。

 

「ダダダダダ誰デスカ貴女!?!?」

 

「おやや〜?覗き魔ちゃん、はっけ〜ん!」

 

 って脳内説明を視聴様の皆様にお届けしてる場合じゃなかった。ただでさえ初対面なのにこのシチュエーションでは、いずれ彼女たちが先生の味方になった時にストーカーのレッテルを貼らレッテル()されてしまう……っ、それだけは何としても避けたい。

 

 他の3人がそれぞれの様相で騒がしくしている中、ただ1人固まっている俺に近づいてくる人影があった。カヨコである。

 

「そこで何してたの?」

 

「……少し騒がしかったから、気になってな」

 

「そう……だったらいいけど。とにかく、用がないならどっか行って」

 

 イメージ定着を避けるために俺は、「偶然そばを通りかかった」というテイで会話することにした。が、カヨコは若干訝しげにしているが、ひとまずすぐさま銃撃という雰囲気ではなさそうだ。

 で、このまま会話が終わりそうだったが……せっかく会ったんだ、ちょっとした楔を打ち込むことにした。

 

「ところで聞いてしまったんだが……お金がないんだって?」

 

「……一応明日も仕事はあるけど日給制だから……今日の飯代はないけど、それが何?」

 

「いや本当に偶然なんだが……買い物していたらちょうど1000円余ってな……使い道もないから、良かったら貰ってくれるか」

 

「……嘘つくなら、もっとマシなのついてよ」

 

 まぁ手元に1000円あること以外は嘘だし、そういう反応も無理はない。急に初対面の人にお金あげると言われたら、何か魂胆があるのかと勘繰るのは普通だろう。それに、便利屋で最も冷静沈着な彼女のことなら尚更だ。

 

「そんなので誤魔化して1000円で私たちを釣ろうなんて、ずいぶん甘く見られたものだね」

 

「無論たった1000円であんたらを買収するつもりはさらさらない。……が、その代わり名前を覚えていて欲しくてな」

 

「……?」

 

 本来あるはずのないMSと俺の存在が、この世界線を着々と俺の知っている原作から話してしまっている。今後のためにも未来を予測できるに越したことはない……この会話は、そのための(いかり)でもあるのだ。

 ゆっくりとした足取りでカヨコに近づき、手に持った1000円札を手渡して言う。

 

「オレの名前は暁月レイ。()()()()()()()()()()

 

「!!!」

 

「それじゃあ、オレはこれで」

 

 フッ、ス◯ードワゴンはクールに去るぜ……(?)。

 後ろから聞こえる奇声やら叫びや何やらを無視して、結局俺はシャーレに戻った。まぁその後まま居座るのもアレなので、書類整理を手伝って終わったが……。

 

 

 

 

 

 そして数日後、いよいよ本格的に借金返済に取り掛かるため対策委員会との話し合いをした。例のシロコの「銀行を襲う」発言とセリカのちゃぶ台返しも生で拝めたので正直お腹いっぱいなのだが、本日はまだまだカロリーの高いイベントが待っている。そう、先生・対策委員会と便利屋との初邂逅、そしてアビドス襲撃イベントである。

 と言うわけでセリカの機嫌を直すため、またしても柴崎ラーメンへと向かっっていたのだが……。

 

ヴヴヴヴヴ……

 

「ん?」

 

 その道すがら、急にズボンのポケットに入れていたスマホが鳴った。確認してみるとどうやらユウカからの着信だった。

 一応みんなには許可をとり、電話に出る。

 

「こちら暁月レイ」

 

『あ、レイ!ちょっと悪いんだけどミレニアムに来てくれないかしら』

 

「……何があった」

 

『なんでかはわからないけど印刷機が軒並み故障しちゃって……悪いんだけど直してもらえないかしら……』

 

 なんでこんなタイミングに……?とはいえ一応所属校の一大事であるため、途中で先生に許可をとった上でBダッシュでミレニアムまで向かった。

 

 ミレニアムに着くと校門をくぐった瞬間すでにちょっとした騒ぎになっており、灰色のつなぎに身を包んだ生徒たちが右往左往していた。彼女たちをかき分けなんとか印刷室まで辿り着き、扉を開けるとそこには苦悶した表情のエンジニア部の面々とユウカ、ノアがいた。

 

「待たせたな」

 

「任務中に呼び出しちゃってごめんなさい、来てくれて助かったわ」

 

「まだ取り掛かってないけどな……ま、時間も惜しいし始めよう」

 

 と言うわけでASAP(なるはや)で先生たちに合流するために能力をフル稼働させ、何故か壊れた印刷機を一つずつ直していく。

 にしたって四十数機はある印刷機が一気に壊れるなんて、どう考えても意図的では……誰かのイタズラか?

 

 

 

 

 

 エンジニア部も必死に手伝ってくれたが数が数なので直すのに数時間を要し、結局彼らの元に戻ってこれたのはお昼時をだいぶ過ぎてからだった。先生の連絡によれば、もうすでに学校に帰ってきているらしいが……。

 またまたエンジニア部製バイクを借りて校舎へ向かうと、そこはすでに戦場になっていた。……前もこんな展開じゃなかったか?それだけならまだ良かったが、あちらも切羽詰まっているのか今度は十数機のMSが顔を出している。

 

 そして何より目を引いたのは、そのMS群の1番奥に立つ機体。

 

「あれは……!」

 

 MSの背丈ほどもある長い棒状の基部、その先端から三日月状に光る白緑色の刃。そして、特徴的な雷状のブレードアンテナ。

 

「デスサイズ……なのか」

 

 命を刈り取る死神が、戦場の地に舞い降りた。

*1
今日のシャーレ当番。レイの書類処理能力の低さには妙に納得していた。




 前書きでも書きましたが非常に短めですいません。来週は必ず長めに取りますんで絶対、ほんとですなんでもしますから(←ん?)。

 感想・評価もどうかよろしくお願いします。
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