透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 どうも、先日「SEED FREEDOM」を友人と一緒に見てきたHakone8510です。い“や“あ“良かった。ネタバレになりそうなので多くは語れないけど(内容広まり過ぎてほぼ意味ないかもだけど)とにかくよかった。ちょっとした事前情報を見ておけばSEEDシリーズを見ていなくても全然面白い作品だと思うので、見てない方は是非(謎の宣伝)!

 今回の主人公くんちゃんは、量産機に初めて乗るそうです。


月光に影をさす死神の話。

 ……が、姿をよくよく見てみれば、デスサイズとは似て非なるシロモノだと言うことにはたと気がついた。

 ブレードアンテナこそ似ているが、頭部の形状はまさしくエイミのアームズオードと同じ様なそれだった。さらに背肩からはもとのサンドロック改のものとは違う風貌の、どちらかというとヒロイックなマントを装備していた。そして何よりも、左腕に装備した巨大なパイルパンカーが、俺の知る「デスサイズ」であることを否定していた。

 肩のアーマーには、ローマ数字の6と8、そしてその下に悪魔のツノをたたえたシカを(かたど)ったマークが刻まれている。これから察するに、おそらくあれは……!

 

「便利屋68の……モビルスーツ!」

 

 そしてMSの大群がただ一点を見据えた先で、アビドスのサンドロックが立ち上がる。乗っているのはシロコだろうが、あの数を相手にするにはいくらガンダムといえども……!

 

「くそッ、何か手は……!」

 

 兎にも角にもMSが必要だ。拳銃に弾をこめながら、そのために真っ先に一番近い敵機……リーオーに向かい走り出す。

 

七つの矮星(ジーベンツバーク)……!」

 

 旧式とはいえタダの拳銃程度では傷一つつかない。が、機体を破損させては戦闘能力が損なわれてしまう。ならばこの手しか……!

 

(ゴルド)!!!」

 

 七つの矮星(ジーベンツバーク)という技は、ハンドガンの弾薬に特殊な効果を付与する能力だ。が、この(ゴルド)の効果はその中でも特に突出している。その名の通り着弾点から黄金の雷を放出して強力なEMP  それともう一つの効果に関してはおそらくこの世界では使い道がないと思うが  を発生させ、あらゆる機械を強制停止させる。

 ハンドガンでは射程が心配だったが見事コックピットのあたりに着弾し、リーオーはよろよろと数歩踏み出した後に倒れ込んだ。

 

「よし……」

 

 そのままリーオーまで駆け寄ると丁度コックピットハッチが開き、工事用のヘルメットにつなぎを合わせた少女が顔を出し、キョロキョロと辺りを見回している。まだ接近しているこちらには、ギリギリ気づいていないようだ。

 

「悪く思うなよ…ッ!」

 

 その隙をついて彼女の首根っこを掴んでコックピットから身体ごと引き抜くと、勢いよく後方へ投げ飛ばした。

 

「きゃああああぁぁあ!?」

 

 そのままアスファルトに背中から着地すると、工事現場少女はしばらく地面を転がったのち気絶した。……まぁ、すまんな。

 空席となったコックピットに乗り込んでハッチを閉め、軽いハッキングで操作権限を得ると、機体を再び立ち上がらせる。

 

「武器はビームライフルとビームサーベル……それにグレネード……十分だな」

 

 早速後続の敵MSにビームサーベルで斬りかかる。

 

『うわッ!?』

 

 ちっ、うまく避けたな。

 動作が大振り過ぎてギリギリで反応されてしまったが、それでもライフルを携えた右腕を切り落とした。

 

『ッ貴様、何者だ!?』

 

「……残念だが、しばらく眠ってもらうぞ」

 

 敵の質問、というか問いかけを半ば無視して、敵に突貫を仕掛ける。相手も最低限戦術は学んだのか、左肩のシールドから基部を落とし、ビームサーベルの刃を展開させて待ち構える。

 

「なるほど、妥当な選択だ」

 

ブガアァン!!

 

 足と腰のバーニアを真下に向けて噴射させ、一気に飛び上がる。そして空中で一回転しながら敵を飛び越えた。

 

『なっ……』

 

「だが、つまらないな」

 

 そのままビームサーベルを縦に振り下ろし、背中のバックパックに橙色の一筋を刻んだ。そのままその機体は背中から爆発して仰向けで倒れ込み、ピタリとも動かなくなった。

 

「さて、あいつらと合流しなくては」

 

 ビームサーベルをシールドの裏に仕舞うと、学校の敷地のある方へ機体を進めた。

 

 


 

 

ガギィィィン!!!

 

 緑と銀の三日月が交錯し、目の前の電子画面が一瞬眩い光に包まれる。その眩しさのあまりサンドロック(私の相棒)を後退させてしまった。機体の背が、校舎に少し触れたような感触があった。

 

「くッ……」

 

『あら、隙だらけよ?』

 

 色っぽいようなあどけないような声と共に、ビームのカマが襲いかかってくる。

 退路を塞がれているなら……これでッ!

 

「んッ……!」

 

 前後に開いた両の足をさらに開いてお辞儀するように腰を曲げ、極限まで姿勢を低くすることで敵の横薙ぎを躱す。そしてその勢いで左手のヒートショーテルを敵目掛け斬り上げた。

 

『フッ……!』

 

 が、すんでのところであちらもすぐさま武器を縦に構えて攻撃を受け、反動でかなりの距離ふっ飛ばされながらもダメージを最小限に抑えた。

 

『なかなかやるわね』

 

 そう言いつつもどこか余裕がある相手……陸八魔アルは再び空中へと飛び立つと、一気に急降下して大鎌を振り下ろしてきた。負けじと私……砂狼シロコもショーテルを一度背中に抱えるように構え、思い切り大鎌へぶつけにいく。

 

ガギヨオォォン!!

 

「もうやめて。私たちは戦うべきじゃない」

 

『……ッ』

 

 そのままヒートショーテルを振り抜き、再び2機は距離をとった。

 

『……私たちは“便利屋“。金さえもらえば何でもやるのが私たちのモットーよ』

 

 ようやく絞り出した彼女の答えは、何とか自分に言い聞かせて迷いを振り切ろうとしているように感じた。

 けど、どうであれ学校を狙う奴には変わりない。

 

「ん、なら……容赦しない」

 

 再び両の手のショーテルを交差させて構え、相手を迎えうつ体制をとったその時。

 

ズガアアン!!!

 

「『!?』」

 

 突如背後から現れたリーオーが、彼女(アル)の機体にタックルを仕掛けていったのだ。そしてぶつかった瞬間大きくもつれ合って、お互いにその場に倒れ込んでしまった。

 一瞬何が起こったか分からずしばらく呆然としていたけど、MS間通信の着信音でふと我に帰る。

 

『シロコ、オレだ』

 

「ッレイ!」

 

 それはこの数日間ですっかり聴き慣れてしまった、頼もしい仲間の声だった。

 

 


 

 

『結構遅かったね』

 

「すまん、割と厄介で長引いた」

 

 そう話しながら、倒れてしまったリーオーを立ち上がらせて距離をとる。近くで見るとなおのことデスサイズには似ても似つかないかの機体  リーオーの画面上では登録がなされているのか、サイズデルタと表示されているが  も立ち上がり、こちらの機体らを見据えた。

 すると十数機の敵機が、校舎を囲い始めた。道中で何機か撃墜したはずなのに……!

 というか、財政難なはずの便利屋がどこからこれだけのMSを……?

 

「これだけの数は流石のオレたちでも……!」

 

 万事休すか  

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 丁度17時のチャイムが鳴る。……そういえば、こういう展開だったな。

 

『……あ、定時だ』

 

『今日の日当だとここまでだね』

 

『じゃ、あとは自分たちで何とかしてー』

 

『は、はぁ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!』

 

 アルの制止も虚しく、時報のチャイムと同時に便利屋に雇われたと思しき作業員が続々とMSから降りていく。

 一方、足元を見れば対策委員会の面々と先生が集まって、こちらに手を振っている。もうリーオーに乗ってる必要はないな、と最大限注意を払いつつ機体を膝立ちさせてコックピットハッチを開け、そのまま機体から降りてみんなの元へ駆け寄る。

 

“おかえり、レイ“

 

「ただいま先生……アビドスの皆は平気か?」

 

「だぁいじょおぶだよ〜〜だけど……」

 

 ホシノはそう返事をすると周りを見回すような仕草をとる。シロコの奮闘により校舎や敷地内に目立った跡は残っていなかったが、大量のMSが置き去りにされていた。そしてホシノは()()()を見つけると動かしまくっていた頭を停止させ、ただ一点を見つめていた。

 ホシノの視線  その先には、俺たちと同じく自分たちのMSを膝立ちさせその(かたわ)らに集まる便利屋の姿があった。

 

 自然体でそっと近づいていくと、彼女たちの話し声がはっきり聞こえてきた。

 

「……まさかこの時間まで決着がつかないなんて……アルちゃん?どうする?逃げる?」

 

「あ……うう……ハッ!」

 

 10メートルほどの距離でようやく便利屋はホシノを先頭とする俺たちに気付き、若干ホラー気味に首をグリンと回転させてこちらに視線を合わせた。

 

「こ、これで終わったと思わないことね!アビドス!!」

 

「あはは、アルちゃん、完全に三流悪役のセリフじゃんそれ」

 

「うるさい!逃げ……じゃなくて、退却するわよ!」

 

 ムツキに指摘されながらも終始三流みたいな捨て台詞を吐いて、全員でサイズデルタ?に乗り込むとMSでは到底真似できないようなスタコラサッサという動きで逃げ去ってしまった。

 そんなわけあるかと思う画面の前のソコの君。それ以外に形容ができないんだから仕方ないじゃあないか。

 

「待って!……あ、行っちゃいましたね」

 

 そして便利屋が逃げ出した瞬間ノノミが彼女たちに向かって手を伸ばして、すぐに引っ込めた。なにか伝えたいことでもあったのだろうか。そんな彼女を横目で見つつ、ホシノは「うへ〜」と緩み切った顔をした。

 

『……詳しいことは分かりませんが、敵へいりょくの退勤……いえ、退却を確認。まさか、妙な便利屋にまで狙われるとは……一体何が……』

 

「ま、それについてはおいおい調べよ〜おじさんはもう疲れちゃった〜」

 

 こんな時もいつも通りな彼女に皆が微笑みつつ、皆は校舎の方へ戻っていく。

 

 俺もその後に続こうと足を踏み出したその時……

 

ズキンッ!!!

 

 

「ッッッ!?!?!?」

 

 

 レイに電流走る  

 なんて、冗談を言っている場合ではないほど急性的な痛みが頭を駆け巡る……駆け巡るって、快楽物質キメた時みたいじゃないか。

 ああ駄目だ、強制的に情報を脳に直接流されて思考が回らず、脳内語彙力が著しく低下している。五◯悟の無◯空処の劣化版に電流が加わったもの*1を喰らっているみたいだった。

 

   !一緒に帰ろ!!』

 

 そんな拷問みたいな方法で流されている肝心の情報というのは、()()()()()()()()()()()()()()だった。天真爛漫でハツラツとした声はどこか心地よくて、懐かしい気もした。そして自分の名前があるであろう場所には、

 

『もうっ   ったら!早く行かないと置いてっちゃうよー!!』

 

 だがそんな声を聞いて、余計に頭の中は混乱した。()()()()()()()()()()()()()()()()()あまり思い出したくもないあの世界(さんじげん)で、あんな人が話しかけてくれたことなんて……

 

『どうしたの、ぼーっとしちゃって。なんからしくない感じ』

 

「誰だ……」

 

『早く帰ろっ   !みんな待ってるよ?』

 

「君は……一体……」

 

 俺の掠れた質問に意も介さず、その声は俺の失われた?記憶を掘り返そうとしてくる。

 らしくない……らしくないだと?外面はそうかもしれないが、脳内でオタク全開にして誰よりもこの世界を楽しんでいる俺が?

 

“……?っレ…、……夫!?“

 

「お前は……誰だっ……!?」

 

 こんな優しい記憶を持たせたお前は一体  

 

“レイっ!?“

 

「レイちゃん!?」

 

 不意に先生とホシノ、二人の声が耳に突き刺さってきてふと我に帰る。それまで聞こえていた幻聴が嘘のようにさっぱり消え、真っ暗だった視界には夜空と夕焼けの境目と澄んだ空気が入ってくる。

 

“急にうなされ出したけど……大丈夫?“

 

「……あ、ああ…すまん」

 

「すごい顔色悪かったけど、どうしたのさ?」

 

 ……やっぱり、ここまで原作から歪んでいてなおホシノは仲間想いなんだな。

 

「……いや、ちょっと急に頭痛がな。昨日の夜更かしが祟ったのかもしれん」

 

 過大な心配をかけさせないためにも、嘘をつくことにした。そう説明すると先生とホシノは少し疑問そうではありつつも頷いて納得してくれた。すると彼らの後ろから2人の影がニョキっと生えて来たではないか。

 

「あら、寝不足は乙女の天敵ですよ⭐︎」

 

「ん、寝ない子は育たない」

 

「……ありがとう」

 

 ……若干別ベクトルの生徒(ヤツ)2名がいるがまぁ、彼女たちなりの気遣いだろうと納得して一応感謝を述べた。

 

「もう、心配させないでよね。さっさと午後の会議済ませて帰りましょ」

 

 セリカの声かけで、一行は星の光を背に再度校舎の方へ向かう。そして結局、あの時聞いた幻聴の正体は、皆目見当もつかなかった。

*1
それもう無◯空処じゃないのでは?




 というわけで(祝)主人公くんちゃん、謎の幻聴が聞こえ始めました。やったね()。まぁこれについては追々わかるのでご期待ください、ということで。
 そしてデスサイズと思っていた機体は、なんとデスサイズ君もどきでした。さらに便利屋専用機と来たもんで。ちなみに正式名称は「サイズデルタ」ではありません。機体の登録名称が「サイズデルタ」ということです。まぁつまりは……そういうことです(どういうことだよ)。設定も上げる予定なので読まれたい方は是非。

 感想・評価もどうかよろしくお願いします。
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