透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
さて、今回の主人公くんちゃんは、ついに犯罪(?)に手を染めるようです。
「よし、では作戦を今一度確認する」
全員が持ち場に着いたところで、事前に配られた無線で通信を繋げる。
「俺とホシノは裏口から先に突入し、変電室のブレーカー、そして警備システムの電源を落とす」
隣のホシノと目配せをしつつ、作戦確認を続ける。
「そうしたら信号を送って、先生の指示でノノミ・シロコ・セリカ・ヒフミが正面入り口から突入。俺たちもすぐさま合流して停電の間になるだけ多くの警備員を気絶させた後、復旧後に脅迫して目当ての
「りょうか〜い」
『ん、かんぺき』
『了解です⭐︎』
『オッケーよ』
『あ、あはは……大丈夫です』
『問題ないです……にしてもこれだけ作戦立案が速いなんて、流石レイさんですね』
「……褒められたことじゃない」
確かにこの作戦は俺が即席で立てたものだが、内容としては原作のストーリーをなぞったものなので半分考えていないようなものである。それで褒められてもべ、別に嬉しくなんかないんだからネッ!(需要のないツンデレ)
「全員の了解を確認。先生、タイミングは任せる」
“わかった……よし、行こう!“
先生の言葉で俺とホシノはドアを無理やり蹴破り、中へ一斉に走り出す。アヤネのドローンのおかげで内部構造だけは把握したので、先生のナビサポートを受けつつ最短ルートで変電室へと向かう。
何故か「天国と地獄」を頭の中で再生しながら走っていくと、警備員らしき機械の男性が角から出てきたのが見えた。気絶させたいが撃つと銃声で勘付かれるので、待機中にホシノに教えてもらった
「なッ……!」
2mくらいになってようやく俺の存在を認め、声を上げようとしたのだろうがもう遅い。上半身を相手の背中に回り込ませ、あらかじめ作っておいた手刀を最適な角度でうなじに叩き込む。これがホシノ先輩直伝「アビドス式CQC術」*1だアァーーッ!!!
「か……はっ……」
掠れ声と共にその場に倒れ込む警備員を見て、後ろで控えていたホシノがさも満足げに頷いた。
「さっすが〜。これなら
「ナチュラルに引き込もうとするな」
「へいへ〜い」
そんなこんなで走って数分、意外と結構かかったが変電室までたどり着き、ブレーカーらしきものを探す。……この世界のブレーカーは俺の知っているフォルムをしているだろうかと一瞬不安になったが、すぐにそれらしきものを発見しちょっと安堵した。
正面突入組への信号を準備しつつ、ホシノはブレーカーの赤いスイッチに指をかける。
「んじゃ、落とすね〜」
え、そんなタメとか一切なく落とすんですか
ガコンッ……
瞬間、視界が闇に包まれた。
ブレーカーは落としたので先生のナビを頼りに銀行の受付まで全速前進DA!
とは言っても思ったより距離が近かったので、停電が終わるまでに警備員をあらかた倒し終わったみんなと合流することができた。
「じゃ、折角ですし決めポーズでもしましょうか⭐︎」
「ええ!?そんないきなり言われても……!」
「はぁ……じゃ各々決めポーズを取ってくれ。そろそろ電気復旧するから……!」
パッ……
ドドン!!!*2
「全員その場に伏せて!持っている武器は捨てて!」
「いうこと聞かないと、酷い目にあっちゃいますよ⭐︎」
「あ、あはは……ケガするといけないので……伏せてくださいね……」
シロコ・ノノミ・ヒフミの3人が言葉で威嚇することで、誰かが声を上げる前に一瞬の沈黙を生み出した。
しかしその沈黙も長くは続かない。
「非常事態発生!非常事態発生!」
「うへ〜無駄無駄〜。外部に通報できる警備システムの電源は落としちゃったからね〜」
「ひ、ひいっ!」
「ほらそこ!伏せてってば!下手に動くとあの世行きだよ!?」
作戦前は渋っていたセリカも、いざやるとなると結構ノリノリである。……先輩たちの暴走に付き合っているだけかもしれんが。
「うへ〜ここまでは計画通り!リーダーのファウストさん、次の指示を願う!」
「え、えっ!?ファウストって、わ、私ですか?リーダーですか?私が!?」
「リーダーです!ボスです!ちなみに私は……覆面水着団のクリスティーナだお♣︎」
「うわ、何それ!いつから覆面水着団なんて名前になったの!?それにダサすぎだし!」
だお?だおって何?もしやノノミ、ネット老人だったりする?
そして痺れを切らしたようにセリカの怒りが爆発している。う〜ん、今日もアビドスは平常運転だな(慣れ)。
「うへ、ファウストさんは怒ると怖いんだよ〜?いうこと聞かないと怒られるぞ〜?」
「あう……リーダーになっちゃいました……これじゃあ、ティーパーティの名に泥を塗る羽目に……」
……こっちが被害者という大義名分があるにせよ、やってることはほぼ犯罪であるから、それに参加してる時点で十分名を汚しているとは思うんだけど……。
ま、顔隠してるしバレへんやろ……(フラグ)。
「監視カメラの死角、警備員の動線、銀行内の構造、全て頭に入っている。無駄な抵抗はしないこと」
そして借金解決のための話し合いで真っ先に銀行強盗を推薦しただけあっていつも脳内シュミレーションでもしていたのだろう、手慣れた動きで銀行員の頭に拳銃を突きつけ、大きめのバックをカウンターに投げ置くシロコ。
シロコ、やっぱりお前がナンバーワンだ(?)。
「そこの銀行員、このバッグに入れて。少し前に到着した現金輸送車の……」
「わっ、わかりました!なんでも差し上げます!現金でも債券でも金塊でも、いくらでも持ってってくださいっ!!」
「そ、そうじゃなくて……集金記録を……」
「どっどうぞ!これでもかと詰めました!どうか命だけは!!」
「あ……う、うーん……」
命に貪欲すぎる銀行員が渡されたバッグに一瞬で金銭のありったけを詰め込むと、すぐさまカウンターに置き目にも止まらぬ速さで土下座し命乞いをし始めた。
流石のシロコも、これには微妙な反応をせざるを得ない。
「あの、シロ……い、いや、ブルー先輩!ブツは手に入った?」
「あ、う、うん。確保した」
「それじゃ、逃げるよ〜!全員撤収!」
「アディオ〜ス⭐︎」
「け、ケガ人はいないようですし……すみませんでした、さよならっ!!」
「……お暇させて貰う」
一応俺もお邪魔している身だしな、とある意味サイコな思考で挨拶をしてからみんなの後をついていく。仕方がないだろ、こちとらもう思考がハイなんや。
「や、奴らを捕えろ!道路を封鎖、マーケットガードに通報だ!!絶対に1人も逃すな!!!」
先程まで脅されていた銀行員が上げる声を聞き流しながら行内から脱出すると、すでにそこには多くのマーケットガードたちが待ち構えていた。
「避けていくのは無理そうだね〜ま、正面突っ切っていこっか〜」
「ええ、またぁ!?」
「ん、それ以外に道はない」
「あ、あはは……」
「これもいつもの、ですね〜⭐︎」
「……はぁ、仕方がない」
ま、突っ込んでいく方が手っ取り早いのは明白だし、面倒くさいけどさっさと片付けて帰りますか……。
「じゃあ、みんないこっか〜」
そのホシノの掛け声で、一斉に前へ向かって走る覆面水着団(仮)。そしてそれに応じてマーケットガードたちもまた軍勢となってこちらに向かってきて、さながらその様は戦国時代の合戦のようだ。
流石にこのままカチ合うと押し負けるので、こちらであらかた勢いを殺しておくとするか。
HEAVY-GUYSを腰から抜くと一番先頭のヘルメット頭めがけ弾を撃った。銃声で気づいたのかこちらに顔を向けたが、避けようとする素振りさえ見せなかった。
まぁ当然だろう、ハンドガン程度の弾丸なら頭部にくらったとしても気絶さえしないだろう。
が、運が悪かったな。俺が使うのはただの
ドカアアァァン
ヘルメットに当たった瞬間、超ド派手な爆発が巻き起こった。
俺の能力で弾丸に着弾時に爆発する効果を付与した。しかし、実はエフェクトと音が派手なだけで威力はそこまで高くないのだ。が、敵の勢いを削ぐのには十分だろう。名付けて「ダミーボム弾」だ!!!……やはり俺にネーミングセンスはないな。
実際マーケットガードたちの表情には狼狽が見え、動きが止まっている。大軍相手なら、どんな状況でも効果がありそうだ。
「レイちゃんの爆撃に〜続け〜!」
そして突然の大爆発にも怯むことなく突撃していくメンバー達。
勢いを逆転させてからはもはや掃討戦である。数多の敵が巻き上げられた砂のように飛んでいき、急遽出したと思われる人型兵器「ゴリアテ」すら、数分足らずで鉄屑と化した。
その後は道中で先生を回収しつつ、そのままの勢いでなんとか市街地まで突き進むことができた一行。その後も裏道や近道をこまめに利用しながら進んでいき、どうにか道路封鎖ラインを突破することに成功。
そして今は誤って、というか半ば強引に入れられ持ってきてしまった約1億円をどうするかでちょっと揉め、結局ホシノの「一度ラインを越えたら後戻りできなくなる」という意向によりその場で処分する方向に決まったところである。
「うわああっもどかしい!こんな大金を捨ててくなんて意味わかんない!変なところで真面目なんだから!!」
と、最後まで不意に貰った1億を使うことに賛成だったセリカが不満げに
まぁ、セリカの言い分はわからないわけじゃあない。そもそも、あれには対策委員会のみんなが汗水たらして稼いだものも含まれている。それなら使ってもいいじゃないか、となるのは至って当然だ。
難しい話だが……これは彼女達の選択だ。俺が口を出すべきではないだろう。
「ま、ちょっとずつ返していければいいからさ。気楽に行こうよ気楽にぃ〜」
「……仕方ないです。このバッグは私が適当に処分しておきますね」
「ほい、頼んだよ〜」
と、ノノミが積み置かれたバッグを肩にかけたその時、アヤネから通信が入ってきた。
『……!待ってください、何者かがそちらに接近しています!』
「……!追っ手のマーケットガード!?」
『……い、いえ。敵意はない様子です。ちょっと調べてみますね……って!?』
「アヤネちゃん、どうしたの!?」
『あ、あれは……べ、便利屋のアルさん!?』
「はぁ、ふぅ……ま、待って!!」
彼女の姿が見えてきたところで、全員一斉にまたマスクを被り直した。敵意がないとはいえバラされないとは限らないしな……俺もテキトーにそこらへんの土で作った仮面をかぶっておく。ちな被っているのはゼクス・マーキスの仮面。前見づらくないかこれ?
「あ、落ち着いて。私は敵じゃないから……」
「……なんであいつが?」
「どうする、撃退する?」
「どうかな。戦う気がない相手を叩くってのもねぇ」
こっちからドンパチ仕掛ける理由もないからな……ここは普通に話を聞くのが得策だろう。原作でも特に戦ったりとかはしてないし。
「あ、あの……た、大したことじゃないんだけど……銀行の襲撃、見せてもらったわ……」
そうアルが言った瞬間、皆の間に緊張感が走る。もしかしてバラされるのでは……?と思ったに違いない。
が、その心配は杞憂に終わる。
「ブラックマーケットの銀行をものの5分で攻略して見事に撤収……あなた達、稀に見るアウトローっぷりだったわ……!」
「……!?」
「正直、すごく衝撃的だったというか、このご時世にあんな大胆なことができるなんて……感動的というか……!」
その後、ヒフミでもみられたオタク特有の捲し立てにおののき、結局なんとか方便で誤魔化してなんとかアビドスへの帰路についたのだった。
……そして俺たちの正体に最後まで気づいていなかった社長は、今頃部下から真実を聞いてあの白目顔になっていることだろう。哀れ……。
レイ「ラウ・ル・クルーゼの仮面でも良かったかもしれないな」
作者「ほぼ変わんねぇじゃねぇか」
ガンダムキャラといえば謎の仮面キャラと言っても過言ではない。のでレイにもこの際なので仮面を被せてみました。ちなみにコードネームはトワイライトです(適当)。