透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
大変ながらくお待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。大学の講義が忙しくテェ…全然書けなくテェ…(言い訳)
もはや覚えられているかも怪しいですが、もしずっと待ってくださっていた方がいたならそれは本当にすいません。八月中は毎週投稿心がけるのでユルシテクレメンス
さて、今回の主人公くんちゃんは、ある人物に遭遇するようです。
砂漠行きの道と繋がる、ここら一体では一番大きな繁華街。任務のためアビドス高等学校へと向かう道すがら、俺は思考を巡らせていた。
俺の記憶が正しければこの一件の少々後あたりで、ホシノを巡る戦いがここアビドスで勃発することになる。だがその発生自体を阻止するつもりは、俺にはない。なるだけ原作通りの筋書きに従って、なるだけ原作の
だがやらねばならない。何かが違えばこの世界は、バッドエンドルートにまっしぐらに滑落していく。仮にも
さて、なにゆえこんなことを脳内で整理しているのかといえば
「どうも初めまして、“暁月レイ“さん」
「……」
スーツに身を包み、漆黒の顔面に白い稲光のような線を走らせた模様の、なんとも奇怪な風貌をした男。ゲマトリアが1人「黒服」、その姿が目の前で丁寧なお辞儀をしていた。
いやいくらなんでも接触が早すぎる。ホシノ以外の対策委員会陣営と直接相対するのはもう少し後……先生との交渉の時だ。勿論その時も彼に同行する気でいたので
ともかく、今まで以上に慎重に対応しなければ……。
「こんな強引な手を使ってまでして、大層な出迎えだな」
「あなたを引き止めるのであればこれくらいは必要かと思いまして……あなたに対する評価の表れだと思っていただければ」
俺と黒服を取り囲むのは、一体どのように言いくるめて連れてきたのか、こちらに銃口を向けるカイザーPMCの大軍。俺の能力をあいつが把握していたとしても、果たしてこんな過剰戦力を差し向けられる謂れがあるだろうか。◯ョン・ウィックか俺は。
流石にこの数を1人で相手するには無理がありそうだ、まぁこういう時のために一応手は打ってあるが……。
「で、要求はなんだ」
「それはこれから話すとしましょう……ひとまず場所を移しませんか?」
「……分かった」
こいつの意図は分からないが……ひとまずはコイツの指示に従っておくとしよう。癪ではあるが。
「今日は先約がある。手短に済ませてくれ」
「そう焦らないでください。あなたが
「……では単刀直入に伺いましょう。
「断る」
俺はにべもなくそう答える。黒服は俺の答えをあらかじめ分かっていたようで、クックック、と不気味に嗤った。
「何も見返りも無しに協力しろと言っているのではありませんよ……こちらを」
そう言って渡されたのは、何やらさまざまな条件が事細かに記された契約書。彼のこだわりなのかは知らないが、ずいぶん上質な紙を使っているようで、指から伝わる滑らかな感触からそれを察することができた。
黒服の方を見やれば、何かを待っているような、期待したような眼差しでこちらを見ている。
(……読めってことか)
全くもって気が進まないが、そうでもしないと話が進まない。仕方なしに、契約書を上から丁寧に黙読し始めた。
〜〜〜〜
…被契約者 暁月レイ(以降これを“甲“と呼ぶ)は原則として(後述する例外規定に該当する場合はその限りではない)、契約者 黒服(以降これを“乙“と呼ぶ)の命令に従わなければならない。
…
……
………
〜〜〜〜
「いかがでしょう?悪くない提案だと思うのですが」
俺が隅から隅まで読み終わったタイミングで、黒服は再度契約を持ちかける。だがそこにはどこか……ごくわずかではあるものの、不安の感情が混じっているような気がした。あちらが睨むような眼差しでこちらを見ているので、こちらも目を細めて睨み返しておく。
内容を端的に説明するのであれば、「アビドスの借金を倍にされたくなければ、言いなりになって」というもの。なんじゃこれ、確かに先生とは行動を共にしているし現在アビドスとは協力関係にあるが、仮に借金を倍に増やしたところで逆に対策委員会や先生に不審に思われるだけなのではないだろうか。
「……」
しばらくの間、沈黙がふたりの間に流れる。気まずさというよりも、今この空間を支配しているのは、ピリつくような緊張感。今にも自分が押しつぶされそうになってしまいそうな、そんな感覚に陥る。今にもこの場から逃げ出したくなるような、でも決して逃げられないような、そんな確信が自分の脳に植え付けられているような気がした。
そしてどれと同時に納得もあった。ああ、彼の武器は、真髄は、この空気感を作る風格であるのだ、と。彼の巧みな交渉術は、彼の元来もつ「威圧感」というものに付随しているのだと。原作における先生との、ホシノを巡る交渉において彼が前半では優勢だったのも*1、彼が持つ能力のおかげだったのかもしれない。
だが。
ダァン!
その程度の圧に屈する程ヤワだったら、命懸けでモビルスーツになんか乗れやしない。俺はそっと契約書を平手に乗せ、勢いよく振りかぶって彼の座るデスクの上に叩きつけた。
「あまりオレを
そう言って俺は目の前の大人を睨みつける。
「……ほう、どうやら私はあなたという存在をみくびっていたようですね。さすが、連邦生徒会直々に先生の護衛に抜擢されただけのことはある」
「世辞はいい。それとも、辞世の句はそれでもう十分か?」
断られてなお笑みを浮かべる彼の額に銃口を突きつける。だが彼は全くといっていいほど動じない。
「クックック、
黒服は仕事用のデスクから立ち上がると、懐から一枚の名刺を差し出してきた。黒地の厚みのあるカードには、明朝体?らしきフォントで「ゲマトリア 黒服」と書かれており、その下にはご丁寧に電話番号とメールアドレス、そしてモモトークの登録用QRコードが載せられている。
「
……正直突き返したかったが、この先猫の手、いやゲマトリアの手も借りたい状況が出てくるかもしれない。ならばもらっておくに越したことわないだろうと言う若干の脳内逡巡を経て、渋々そっと制服のポケットにしまった。
「では、どうぞお気をつけて……」
そう言って彼はおもむろに指を鳴らすと、いつの間にか俺は先ほどまでのアビドス高等学校への道にまで戻っていた。瞬間、安堵感と脱力感が自身の体を襲う。
「……今日の帰りは、パフェでも食おうかな」
まだ正午にも達していないというのに脳的にも精神的にもどっと疲労を覚えた俺は、近くに止めておいたバイクの方へ向かいながら早くも三時のおやつを何にしようか思案するのであった。
そして、アビドス高等学校の校門前につくと。
「あら、先生。それにレイちゃんも、おかえりなさい〜⭐︎」
ちょうど学校に着いた先生と、砂を掃いていたノノミに遭遇した。
どうやら先生は先日の事件で怪我を負った柴大将のお見舞いに行っていたそうで、一緒にいたというセリカやアヤネは急遽別の用事ができたらしく一緒にはいなかった。
ふと、数時間前の出来事が頭をよぎる。黒服と会ったことを先生に話すべきだろうか……いや、もし話して物語の展開が変わってしまえば対策のしようがない。ここは黙っておくべきだろう。
それに、黒服の連絡先を持っていること自体は別段悪いことじゃない、むしろ今後ヤツから有益な情報を得られる機会を得たと考えれば行幸だと言える。
説明のため懐から取り出しかけた真っ黒の名刺を、気づかれぬよう内ポケットに再びしまうのであった。
「断られてしまいましたね……ですが諦めるつもりはありませんよ、クックック……」
「あなたと再び見えるのを楽しみにしていますよ、『黎明のガイア』」
\パンパカパーン/
レイは 黒服の連絡先 を手に入れた!
とゆーわけで便利な相談役?を手に入れたレイ=サン。つっても何話すんでしょうか、性格的に話が合いそうな雰囲気が全然思いつかないんですが。
とゆーわけでレイの新たなる二つ名が判明。『暁のホルス』との関連性とは……次回をお楽しみに。
レイ「『赤い彗星』とか『白い悪魔』とか、色系の二つ名っていいよね」
作者「わかる」