透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 ドーモ、ドクシャ=サン。Hakone8510です。
 夏休みも残りわずか。みなさん、夏の思い出はできましたか?私は全然外に出ないので家でダラダラしているだけですが、ダラダラするのも有意義な休暇の使い方ってことで。この年齢になってくると体力がね……(大学生)。
 さて今回の主人公は、砂漠に行ってみるようです。


物語における大企業は大抵悪者になりがちな話。

 アヤネたち一年生組が帰ってきたのは、それから約一時間後。その間にシロコとホシノでの一悶着があり、その場は先生とノノミが抑えたが、その後の間着の場は酷く凍りついている気がした。そしてアヤネとセリカの調査によりアビドス自治区の所有者はアビドス高等学校ではなくカイザーが保有していることがわかり、皆の顔はさらに険しくなった。

 ひとまず真相を確かめるべく、カイザーが何やら企んでいるという砂漠化が特にひどい地域へと向かったのだが……

 

「もう、いきなりなんなのよコイツらッ!?」

 

 セリカの悲鳴にも聞こえる怒声が、雨のような銃声とともに耳を(つんざ)く。

 目的地のセクターを囲むように張り巡らされたヘルメット団の縄張りを強引に突破して一安心かと思ったのも束の間、ドローンにオートマタ、そして兵士の大群が丁重にお出迎えしてくれた。ゆえに休む暇もなく連戦続きで、各々の表情には流石に疲れが見え始めていた。

 

「うへ、一体どこから湧いてるのさ〜?」

 

「今ばかりは、オレもホシノと同意見だな」

 

 面倒と口にしながらも、軽々と、そして次々とヘッドショットを決めていくホシノ。度重なるヘルメット団の襲撃に対応していたおかげか、射撃も多少当たるようにはなってきたと自負していたが、まだ彼女には遠く及ばないようだ。

 

(……俺はコイツを超えられるのだろうか)

 

 そして彼らの包囲網も打破したところで、前方に基地のような施設が見えてきた。

 その壁面にはアビドス高等学校の校章に若干似ているようなロゴが刻まれており、その下に「KAISER PMC」と記されているのがわかる。

 

「……カイザーPMC」

 

「え、PMCって何?」

 

 ホシノの苦々しげな呟きに、セリカが反応する。

 

「Private Military Company、略してPMC……つまりは民間の軍事会社のことだな」

 

「ぐ、軍事ッ!?」

 

「ヘルメット団のようなチンピラとは装備も連携も段違い……正真正銘の軍隊のようなものです……みなさん、注意を!」

 

ヴイイイィィィーーーン!!!

 

 セリカによる通信が入ってきた次の瞬間、けたましい警報音が周囲に鳴り響く。どうやら敵さんに見つかったようだな。

 警報音からまもなく、ヘリの飛行音や装甲車・戦車の走行音が徐々にこちらへ近づいてくる。

 

「すでに包囲網が敷かれつつあります、すぐさま脱出してください!」

 

 互いに顔を見合わせ頷いた後、一息つく間もなく俺たちは走り始めた。

 


 

 同時刻、カイザーPMCの理事室にて、一人の大柄な男が鳴り響く受話器を取った。

 

「PMC施設内に侵入者だと……?なぜ私に連絡する必要がある」

 

『ですが理事……』

 

「御託はいい、私は忙しいんだ」

 

 そう言って受話器を下ろそうとしたが。

 

『その件で、かの方からの連絡がございます』

 

「……む」

 

 男はまるで人が変わったように、下ろしかけた受話器をもう一度顔の横に当てる。

 

『どうやらかの方の話では、襲撃犯と目されるヤツらは……』

 

「……そう、か」

 

 その後電話相手と数分間何かを話した後、男はようやくそっと受話器を下ろした。かと思いきやいきなりその巨躯の体を立たせると、シワの寄っていた上着を直して部屋を出ると、秘書らしき人物に視線を向ける。

 

「車の準備をしろ。今すぐにだ」

 

「は、はいッ!只今ッ!!」

 

 慌てたように走り去っていく秘書の背中を見て、男の機械の両眼がほくそ笑んだように歪んだ。

 


 

ガコオォン!!!

 

「はぁっ、はぁっ……」

 

 あれから何時間戦い続けただろうか。兵士一人一人は先生の支援もあってなんとかなっているが、あいつらは群をなしてやってくる。それに加えて武装化したヘリや戦車も敵に加わって、厄介度が今のところ天元突破している。

 時間感覚も参ってしまい、指先の感覚も麻痺し始め、いくら神秘があるとはいえ体力も底を尽きてきた。

 

「もうっ、いつになったら終わるのこれェ!?」

 

「ん、キリがない」

 

 自転車でウン百キロを走るような体力バカのシロコも、流石に疲れてきたのか少々イライラしたような口調で愚痴をこぼす。

 すると、左耳に装着した通信イヤホンから流れるアヤネの声が、徐々に途切れ始めた。

 

『……せい、聞こえますか?包囲網を抜け……また……』

 

「……アヤネちゃん?」

 

『……が不安定……早く……たいきゃk…………が……接近……』

 

ブツッ

 

 ついには、通信が完全に届かなくなった。

 

(この途切れ方、砂風の影響ではない……やはり通信妨害(ジャミング)システムか……)

 

 そしてタイミングを見計らったかのように、大量の兵士たちが一瞬にして俺たちを囲み、銃口をこちらに向ける。彼らの目には感情が宿っておらず、まるで生き物でないようだった。いや、彼ら恐らく機械ではないんだけどね。

 さらに包囲網の奥の方で丁度止まった一台の装甲車から、いかにも敵という印象を与えるほどの厳つい風貌の男が降りてくる。アビドス編における敵……?のようなポジション、カイザーPMCの理事長、通称カイザー理事の登場である。

 

「侵入者……やはりアビドスであったか。まさかここに来るとは思っていなかったが……まぁ良い」

 

 その図体に反しての中々のイケヴォで驚いた。そういえばアニメ化決定してたけど、カイザー理事の声優はどんな感じなのだろうか。生憎放送前に死んでしまったので見れなかった、ちくしょう。

 いきなり現れた彼を見てセリカは「な、なんなのよこいつ……」と驚き、ノノミは複雑な表情をし、ホシノは忌々しげに睨んでいる。ふとシロコの方を見ると、もうスタミナが回復したのかいつもの無表情に戻っていた。

 

「勝手に人の私有地に入り、暴れたことによるこれらの被害額……君たちの学校の借金に加えても良いのだが……まぁ、たいして変わらんな」

 

 声はイケメンだが、性格は全くイケメンでないところも原作とは変わっていないようだ。なんだか最近原作の流れとは違う出来事が起きすぎて、不謹慎ながらちょっとだけホッとした。

 なんてことを考えていると。

 

「さて、では話し合いのために移動しようか」

 

 嫌味ったらしい口調はそのままに、俺たちは兵士たちに囲まれながら施設の方へ連れて行かれた。

 

 

 

「まて、お前はここまでだ」

 

 施設敷地内の、一際大きいテントの入り口前にて。カイザー理事は唐突にそう言った。

 

「それはオレに言っているのか?」

 

「超法規的権限を持つシャーレの先生は例外だが、その護衛を担うお前の所属はミレニアムだろう。お引き取り願おうか」

 

「……」

 

「あくまでも今回の商談相手はアビドス……部外者はここでお引き取り願おうか」

 

 カイザー理事は手をあげると、周りにいた兵士が一斉に俺へ銃口を向ける。なるほど、よく統制されている。

 

「それとも……ここで蜂の巣になるのがお望みかね?」

 

 大変舐め腐った態度で振り返り、ない口角を上げてみせるカイザー理事。

 そう言われてもこの護衛は連邦生徒会直々の命令だ。それに原作通りであれば先生が殺されることはないが、今の今まで想定外が多すぎて確信が持てない。

 ふと先生の方を見る。

 

“私は大丈夫。レイは先にシャーレに帰ってて“

 

 そうはいってもねェ……ッ!

 簡単に見捨てられたら苦労しないけど、あなたを見捨てたらキヴォトスが滅ぶんですよ!情もあるけど、それ以上にあなたがイヴォトスには必要不可欠なんだ!

 

(とはいえ流石にこの数は無理そうだが…………交渉できるだろうか)

 

「確かに私はミレニアム所属だ。が、先生の護衛という任務は連邦生徒会より与えられたもの。おいそれと放っておくわけにはいくまい」

 

「ほぅ、一理あるな。だが今それを言ったところで、連邦生徒会の応援が来るわけでもないのだろう?虎の威を借りて威張っているだけの、虎のいない狐が喚いても、なんの脅しにもならん」

 

「……カイザーPMCの理事様は、ずいぶん肝がすわっておられるようだ」

 

 暗に「お前なんて大したことねーよw」と煽られたので、わざとらしい丁寧口調で煽り返してみた。一級ノンデリ士としてそのケンカ、買わないわけにはいかないからな。

 すると理事は何かがウケたのか、腹を抱えて笑い始めた。

 

「フハハハハハハッ、貴様程度の小物にわざわざ座らせてやる肝などないわ!それとも、宣言通り蜂の巣になるのがお望みかね?」

 

 ほんのわずがだが、トリガーを指にかける音がした。銃口を向けていた兵士が、いよいよ俺を撃とうとしているのだろう。

 ……ふむ、どうやら相手は脅しのつもりではなかったようだ。とっくに命を奪う覚悟はできていると、さすが腐っても軍人と言ったところか。

 だけど、

 

「詰めが甘いな」

 

「は?」

 

 おもむろに右手をあげ、パチンと指を鳴らす。刹那、施設のあちこちで爆発が起き、在駐していたであろう兵士たちが宙を舞う。そしてあまりの光景に驚き銃を下ろしたその一瞬の隙を見逃さず、俺を囲っていたため無事だった兵士たち全員の脳天に1発ずつ弾を撃ち込み、気絶させた。

 そしてあっけにとられた皆をよそに、腰を抜かしたカイザー理事のひたいど真ん中にハンドガンをつきつけた。

 

「ひぃっ!?」

 

「さて、これで一対一だな、カイザー理事?」

 

「一体どうやって……」

 

「中に入らないまでは譲歩する。外で待機するぐらいは許せ」

 

「……(ブルブル)」

 

「返事は?」

 

「は、はひぃ……」

 

 さっきまでの態度が嘘のように、蛇に睨まれた蛙の如く震えながら理事は頷いた。

 

 

 

 話し合いも終わり、一同は学校へと戻る。

 あんなに脅しをかけても話し合いの内容はたいして変わらなかったようで、帰路につく皆の面持ちは痛々しげで、同時に悔しさも滲み出ていた。俺はそんな彼らにかける言葉も見つからず、ただ黙って先生の隣を歩いていた。

 借金問題というのは非常に厄介だ。特にこれほど高額の負債を抱えているとなれば、俺が支援したところで大した役には立たないだろう。かといってこの不正な返済額吊り上げは許されざることだ。早急に何かしらの手を打たねばならないのだが……。

 

「…………」

 

 いつもマイペースなシロコがここまで気を落としているとなると、他の心境は察するまでもない。

 学校に帰ってきたところで俺は、今日はひとまず帰って休もう、話し合うのは明日にしようと提案。皆はそれに賛成し、シロコ・ノノミ・セリカ・アヤネの四人は家に帰り、ホシノと先生、そして付き添いの俺はもう遅いので学校に泊まることになった。

 砂漠に体力を奪われたのと同時に能力も結構使ったおかげか、保健室のベットに潜るとすぐさま深い眠りに落ちてしまった。そういえばこの後に先生とホシノが話すイベントがあったような気がするが……そんなことは頭の片隅から消えてしまっていた。

 

 

 

 そして、翌朝。

 

「先生、それにレイさんもッ!」

 

 いつもは常に丁寧なアヤネの、大きな声で目が覚める。重い瞼を擦って声の方を向けば、彼女の片手には便箋と、その中に入っていたであろう手紙が握られていた。その手紙はひどく見覚えがあるもので、何が書いてあったかさえ、転生した今でもはっきりと覚えている。

 

(あの手紙は……そうか、もう)

 

 決戦の時は、着々と近づいていた。




 とゆーわけで対策委員会編もいよいよクライマックス。果たしてレイは、原作通りの結末を迎えられるのでしょうか?
レイ「今回俺がどこで能力を使ったか……当ててみてくれよな!」
作者「さすがにわかりやすくない?」
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