透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
今回は……大分長くなっちゃった。まぁ仕方ないネ、書きたい部分書いてたら筆が乗っちゃったんだよネ。勢いでヤルのは良くないってのを改めて実感したネ。
さて、今回の主人公は、新たな武器を手に入れるようです。
ホシノが教室に残した置き手紙。
そこには一人で勝手なことをした謝罪から始まり、カイザーPMCの傭兵として働くことで借金の大半を肩代わりする契約を受けたこと、残ったみんなには学校を守ってほしいということ、もし敵として再会したら自分のヘイローを壊して欲しいということ……そして最後には彼女らしい、なんでもないような別れの言葉が
「ホシノ先輩っっっ!!!!」
最後まで読み終えた丁度直後に、セリカの恫喝が会議室にこだました。皆の視線が一気に彼女の方へ向く。
「何なの!?あれだけ偉そうに話しておいて、切羽詰まったら何でもしちゃうって、自分で分かってたくせにっ!こんなの受け入れられるわけないじゃない!!」
いつも通りの、無数の感情剥き出しな言葉がセリカから溢れる。それを聞いた皆は俯いていたが、その顔には不思議と幾ばくかの安堵感が表われている。セリカが俺たちの中に
だが、
ドカアアァァン!!!
「爆発音……!?」
音を聞いた瞬間、瞬時に状況を把握して先生を伏せさせ、即座に銃を構え臨戦体制をとるシロコ。さすがメインヒロインにしてアウトロー、判断が早い。
そして一呼吸遅れて反応したアヤネがすぐさま手元のノートパソコンを開き、ドローンで状況を確認する。
「……そ、そんな!?」
“どうしたの!?“
「こ、こちらに向かって数百近いPMCの兵力が進行中!同時に、市街地に無差別攻撃を行なっています!」
鬼のいぬ間ならぬホシノのいぬ間に、というワケか。散々あそこまで脅したのにも関わらずこれとは、原作でもこっちでもツラの皮の厚いヤツだ。
カイザー理事、貴様は最後に殺すと約束したな*1……あれは嘘だ。
「と、とにかく応戦しないと……アビドスが攻撃されているのを、見過ごすわけにはいきません!!」
ホシノを失い、悔しい限りだが奴等の思惑通り少々統率を失いかけていたが、ノノミのその一言でみんな正気を取り戻す。
ひとまずこちらへ向かってくるPMCを蹴散らし、安全を確保しなくてはならないという当面の目標を得た俺たちは、校舎の外へと駆け出した。
校内に侵入したPMCどもを蹴散らして安全を確保し、周辺地区の住民たちを避難させる。それが終わったら、こちらに進軍する大軍をこの少数で相手しなければならない。
プレイヤー目線では何でもない戦闘で終わってしまうが、実際に戦わされる身になると辛いものがる。それに、一対一ならばともかくとして、こういった掃討戦に連射速度が遅く、弾幕も張れないハンドガンは向かない。俺の能力……「赤」や「白」でいくらかカバーできるとはいえ、連発できるほど便利な能力じゃない。
(エンジニア部に頼んでいた「アレ」さえあれば……!)
いつしか舞台は砂漠から市街地へと移る。
大きな橋のあたりに差し掛かったところで、みんなの足が止まる。はるか前方に、大量のPMCを引き連れたカイザー理事の姿が見えたのである。
「ふむ。学校まで出向こうとおもっt……げっ!?」
いつも通りこちらを小馬鹿にしたような態度で語りかけてきたが、俺の方をみるなり明らかに嫌そうな顔をして狼狽えた。
(どうやらちゃんと効果はあったらしいな、あの脅し)
「……フッ、ま、まぁ今はあの時とは比べものにもならん兵力……お前含め所詮ヤツのいなくなった貴様らなど、恐るるに足らんわ!」
だがまぁ、アイツの言っていることは正しい。
前回の兵力と今回の兵力じゃ数という点において雲泥の差がある。それに今回は前回のような子供騙しもたいして効果がないだろう。
「貴様らなどに手をかすものなど一人たりともおらん、大人しく土地を明け渡したどうだ?」
「……」
「それに唯一の生徒会メンバーであるホシノも学校を去った……これが何を意味するか、分からぬ頭ではあるまい?」
対策委員会は、連邦生徒会非公認の部活。ゆえにホシノが抜ければ学校などどうとでもなるというカイザーの策略だと、出撃前にアヤネから聞かされた情報である。それを知っていたからか、誰も声を上げようとしない。自然と銃口も下がってしまって戦意を喪失している。
そう……この展開は、俺にとっては
「お前らの努力は、全て無駄だったというワケだ」
こうやって下に見られ馬鹿にされることも、驕りに驕った
「これからはアビドスの主人である私が、直々に学校を導いてやろう」
全部……知っていたんだ。
だからこそ。
「許せんな」
「なに?」
未来ある者たちを利用し、嘲笑い、夢を貶し、押し潰してしまう存在が。そして何より、そんな現状を変えられない自分が許せない。
だから、俺は。
「カイザー理事、お前を殺す」
理不尽に押し潰された者達……敗者たちの翼に、俺がなる。なってみせる。
その決意をもって、俺はのこのこ現れたカイザー理事をいつもより3割マシの形相で睨み、ヤツの眼前に銃を突きつける。だが彼も耐性ができていたのか、この程度の揺さぶりでは全く動じていない。
「私を殺す、だと?フッ、どうやら恐怖のあまり脳みそが裏返ってしまったらしいなぁ?こんなにも明確な戦況も判断できないとは」
“レイ!“
後ろの方から、
「なぜ全てを諦め、絶望したような顔をしてるんだ、セリカ?」
「……え?」
彼女らしくもない、虚な目をしてへたりこむ黒猫少女に俺は語りかける。
「お前達対策委員会は……特にセリカ、君はこんなところで終わるような、そんなちっぽけなヤツだったのか?」
「……!」
「違うだろう?君は借金返済のため自分の時間すら惜しんでバイトに費やすようなひとだ。この程度の理不尽、大したことないだろ」
「……ええ、ええ、そうよ!あんなに頑張ってきたんだもの、こんなとこで終わってたまるもんか!」
銃を杖にして立ち上がる彼女の瞳には光どころか、彼女のExスキルよろしく青色の炎が燃え盛っているように見えた。そして、彼女に引っ張られるようにノノミとシロコも苦しげながらに立とうとしている。
対策委員会が立ち上がるのを見て満足した俺は、ヤツの方へもう一度向き直る。
「無謀と言ったか?それは違う。むしろ、戦況判断を怠っているのはアンタの方じゃないか?」
「何?」
「よく思い出してみろ、アンタが散々使い倒しておいて、結局
こんな時に颯爽と現れ、困った時にしか役に立たない、良く言えば困った時は本当に頼りになる真のアウトロー集団のことを、こいつは覚えていない。
「それがお前の
「なっ、貴様、言わせておけば……!」
ようやくカイザー理事が、俺の煽りに乗っかったその瞬間。
ドッカアアァァァアアアン!!!
彼の引き連れていた兵士の隊列、その後方から突如巨大な爆発が起こったのである。
「なっ、なんだ!?」
『理事!北の方角で巨大な爆発を確認!東の方でも……グワアアァァァ?!』
「おい、どうした、何が起こっている!?」
『合流予定のブラボー小隊、及びマイク小隊の反応ロスト!いずれも大量のC4によるものかと……!』
「馬鹿な、コイツらに味方など……!」
「彼女の言う通りよ。まだ、全てを諦める時ではないわ」
爆発の影響で出来上がった瓦礫の山に、4人の人影が現れる。
「目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を
『……あ、あなたがたは!』
「便利屋68のみなさん……!」
いつになく真剣な表情をし、覚悟を決めた様子のアルを戦闘に、便利屋の面々が顔を覗かせた。
「仲間が危機に瀕しているんでしょう、私たち便利屋68も手を貸すわ」
『それは助かるのですが、ど、どうして……』
「あはっ、理由なんて今はど〜でもいいじゃん。それにしても、私の可愛いメガネっ娘ちゃんをいじめるなんて……ぶっ殺すしかないよねぇ?」
「ふふっふふふふふふ……アル様、まだまだ爆弾はたくさんございますので……いつでも、ご命令を……」
「ムツキ、それほぼほぼ理由言っちゃってるじゃん……」
アルが先導し、ムツキが茶化し、ハルカが暴走し、カヨコが呆れる……さっきは惚れ惚れするほどのかっこよさだったが、結局平常運転の便利屋68がしっくりきてしまう。似合わないわけじゃあないけどな。
さて、注意がそちらに逸れてだいぶ時間を稼がせてもらった。ここからは俺もカッコつけさせてもらおう。
ヒュウウウゥゥゥーーー
『理事様!』
「今度は何だ!」
『二時の方向から、所属不明の飛翔体が接近中!も、ものすごい速度です!!』
「何だと!?」
空を見上げれば、水色のボックスのようなものが飛行機雲を描いてこちらへまっすぐ飛んでくる。
「ちょ、何よあれ!あれもアンタたちが!?」
「え?用意してきたのはハルカの爆弾くらいだけど……」
「あわわわわわ……アル様をお守りしなければ……!」
そして、着弾。
ドッカアアァァァアアアン!!!
「きゃああああああああ!?」
先ほどの爆発と同じくらいの衝撃音と共に、大量の砂埃が周囲に巻き起こる。その場の全員が目を塞ぎ動きを止めるなか、俺はその発生源へと足を進める。
水色の下地に黒いミレニアムの校章が刻まれたボックス。その側面についている指紋認証装置に親指を当てる。するとボックスが開き、中身のモノが露わになる。
うん、完全にFF8のガ◯ブレードやな。
一応名前はケルト神話の伝説の剣にあやかって「フラガラッハ」にしたけど、見た目がもはや発想が似てただけでは済まされないレベルで似てしまっている。
まぁいいか。ひとまずこれで状況は一気にひっくり返せる。
「ちぃっ、おい、ゴリアテを出せ!誰に逆らったか、思い知らせてやる!!」
不機嫌が最高潮に到達したカイザー理事は、部下を引き連れて後ろに下がりながら、通信で罵声を飛ばす。あいつを出すのはもう少し後のはずだが、相当癪に触ったようだ。
だが好都合。
「おそらく五分もすればデカブツがくる、それまでに兵力をできる限り減らすぞ」
「ちょ、ちょっと!?」
最低限の助言を皆に残し、さっきから驚きっぱなしのアルの制止も聞かず全速力で走り出す。
PMCが一斉に放つ銃弾の雨を、剣を回転させ続けることで防ぎつつ、兵士たちの群れへと徐々にその距離を詰めていく。
もちろんこの意匠を施したのは前述の通りかっこよさだけではない。シリンダーを回転させ、赤い弾倉部分を規定の位置に合わせて、あとはハンマーを起こし、トリガーを引きながら思いっきり振りかぶれば……。
ダダダダアァァァン!!!
爆発ッ!
これこそが
そして、シリンダーが付いてはいるものの、基本的に弾を装填しなくてもこの機能は発動可能だ。つまり、いちいち弾をこめなおしたりする時間を省略して、なおかつ臨機応変に戦闘を行えるのだ。
先ほど付与したのは爆発属性。一度に大量の敵を相手にする掃討戦においては非常に効果的な属性だ。
俺を先頭に、対策委員会、便利屋68の計8人が、まるで巨大な一つの弾丸のようにまとまって、数千を超えるPMCの兵隊たちを薙ぎ倒していく。もはや兵士だけでは、俺たちを止められなくなっていた。
ドオオオォォォオオン!!!
すると、突然いきなり上の方から巨大なナニかが降ってきた。元の世界線においては唯一の巨大人型兵器であるロボット「ゴリアテ」の登場だ。
原作であればインパクトの強い敵だっただろうが……この世界線においては既にMSが普及してしまっている。それゆえ他の生徒たちの反応も薄く、何だかアレがかわいそうになってきた。
「フハハハハ!どうだ、我が社の最高傑作は!!」
ふと、数日で聴き慣れてしまった男の声がする。声の方へ目線をやれば、なんと操縦席らしき場所に、カイザー理事が座っているではないか。
「我々はお前たちを見くびっていた……それは認めよう。ならば、全力で貴様らを叩き潰すまでだ!!!」
ゴリアテのガトリングがつけられた右腕を、こちら目掛け振り下ろしてくる。間一髪でそれを回避し、頭の先についた巨大な砲台から放たれる砲弾をハルカの爆弾で相殺する。
いくら影が薄くなってしまったとはいえ、その装甲は通常の銃火器では効果が薄いだろう。無論、フラガラッハであっても。
だがそれは、ただの剣としてフラガラッハを使うのであれば、の話だが。
全員でゴリアテの相手をしつつ、シリンダーを回し、属性を爆発から振動に。するとフラガラッハの刀身は高速で振動し始め、刃の色は白から赤へ染まっていく。
(原理としてはMVS*2と同じ。だから、ゴリアテの装甲であっても……!)
「カヨコ」
「……何?」
「お前の力で、あいつに隙を作ってくれ。一瞬でいい」
「……はぁ、分かった」
カヨコがハンドガンを空に向け放つ。目論見通り、ゴリアテの動きが一瞬であったが止まった。その隙を逃さず、足に渾身の力をためてから飛び上がり、全身全霊をもって剣を横に
一瞬の間。そのうちに俺は地面に着地したが、周りの景色は静止している。
しばらくして、ゴリアテの胸部に斜線が入ったかと思うと、その線に沿って上の部分と下の部分がずれていく。
「な、何 」
刹那。
カイザー理事が何かを言う前に、
一応ですが、フラガラッハの全体像をば。
【挿絵表示】
コードギアスの武器とか、機能の名前とか、格好いいよね……。ブレイズルミナスとか、V.A.R.I.Sとかハドロン砲とか、絶対守護領域とか…
レイ「MVS、一度やってみたかったんだよなぁ」
作者「今度は輻射波動とかもやる?」