透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 どうもみなさん、Hakone8510です。
 いやぁガンブレ4まじで楽しい。仕事(執筆活動)する時間すら溶ける溶ける。創作系が好きな人は結構ハマるんじゃないかとさえ思ってしまうほど面白い。タノシイ…タノシイ…。

 あ、読んでいただく前にひとつ注意をば。
 今回のお話では便利屋68、風紀委員会、およびゲヘナのキャラクターの独自解釈が多分に、ガッツリと含まれております。苦手な方は即⭐︎ブラウザバックを推奨いたします。

 さて、今回の主人公くんちゃんは、上には上がいることを知るようです。


戦闘狂の取り扱いには必勝法があるって話。

 表上の生気を(すす)り、命を(むさぼ)る地、砂漠。

 死の大地というにふさわしい場所(ステージ)で、二つのヒトガタが砂埃を巻き上げながら空を舞う。

 

『あっは〜。君と踊るの、楽しい〜♡』

 

「く……!」

 

 こいつ、今まで戦ってきた奴らよりも遥かに動きが速い。

 それに、さっきから何故か目の前の敵に集中ができない……どうも注意が散漫になる。もしかすると、原因は……

 

『およ、余所見しててだいじょうぶ〜?』

 

「ッ!」

 

 ビームサーベル二刀流による挟撃が頭部(メインカメラ)目掛け襲いかかってくる。それを体勢をのけぞらせることで辛うじてよけ、その反動でこちらのビームサーベルで薙ぎ払うが、後ろ宙返りで華麗に避けられてしまう。

 

(一刻も早く先生の方に加勢しなければならないのに……ッ)

 

 とはいっても、相手に一撃すら与えられていないこの状況では相手を振り切ることができない。例え振り切ったとしてもコイツは俺を追ってくるだろう。俺はここでアフロディテを戦闘不能にしなければならないのだ。

 だが。

 

「……手強いな」

 

 コイツと剣を交わして確信した。今の俺の技量では彼女には勝てない、ということが。まだまだ俺も未熟ってことか。

 だが、良く言えば俺の操縦技術もまだ伸び代があったということ。足りない部分は、コイツ(ゼロ)に補って貰えばいい。

 

「ゼロよ、俺を導いてくれ……!」

 

Z.E.R.O System ONLINE

 

 瞬間、大量の情報と血みどろと災禍の光景(バットエンド画面)が脳内に流れてくる。三度目ともなれば多少の慣れはあったが、それでも脳みそを掻き分けて強引にものを突っ込まれたかのような異物感は否めない。

 まぁ、言っても詮無いことだ。気合いで慣れるしかねぇ*1

 

『お、やっと本気ってカンジ〜?』

 

「ああ、待たせたな」

 

『あははっ、いいねいいね〜もっと見せてよ、本気の君を♡』

 

 どうやら彼女のお気に召したようだ。甘い猫撫で声と共に攻撃がさらに早くなっていく……俺の言えたことじゃないが、コイツも相当な変態らしい*2

 ともかく、システムのおかげで集中力が研ぎ澄まされ、視界が透き通ってきた。後は、いつも通りやればいいだけだ。

 

「フンッ!」

 

『ッ!?』

 

 持ち前の機動力で一気に距離を詰め、敵機目掛けビームサーベルを振り下ろす。流石にあからさますぎたのか、彼女の方はすんでのところで反応してこちらの攻撃を受け止めたが、少々驚嘆混じりな声から察するに、彼女としてもギリギリだったのだろう。

 

『……ふふふ』

 

「?」

 

『いいよぉ……いいよぉ!あなたの強さ、すごく()()()ッ……!』

 

 ◯ンター◯ンターのヒ◯カかな?

 その名アフロディテ……美と愛の神というイメージにはおよそ相応しくない、変態じみた戦闘に対する狂愛。例に挙げた人物と同様、一番厄介な敵になりうるかもしれない。

 

「だが、生憎戦闘狂に付き合ってるヒマはないッ!」

 

 鍔迫り合いの状況からビームサーベルで突き放し合うことで互いに距離をとる。そして時々牽制として肩のマシンキャノンをばら撒きつつ、時々すれ違いざまにビームサーベルで打ち合う。

 

『そんなことつれない言わないでよぉ……もっと楽しも♡』

 

 ゼロを使って着実に追い詰めているこの状況で尚、いやますますボルテージが上がってきている。

 

(バケモンか、コイツは……!)

 

 操縦桿を前へ押し込んでその全速をもって敵機に近づき、再び鍔迫り合いの状況をつくる。

 

「フッ……!」

 

『クゥッ……!』

 

 先ほどから小一時間ほど剣を打ち合って、戦いは既に膠着している。

 さすがの戦闘狂と言えどもこれだけ長時間のMS戦闘は(こた)えるのだろう、オープンチャンネルの通信からは、息切れのような呼吸音が聞こえてくる。

 かくいう俺も脳と気力がそろそろ限界に近づいてきている。ゼロシステムもそう長くは使えない、持ってあと数分と言ったところか。

 ゼロが切れてしまえば、あちらも相当消耗しているとはいえ、こちらがやられてしまうだろう。つまり諸々考慮すると、3分程度でなんとか決着をつけなければならないということだ。

 

(何か手は……手はないのかッ!)

 

「ゼロよ……俺をっ……」

 

 その時、暁月に電流走る  

 ゼロシステムが提示した“答え”は、まさに俺の理想のルートに合致するものだった。()()()()()()って、コト……!?

 まぁいい(ル◯フェル風)。とりあえずこれで道は拓けた!

 

「終わらせる」

 

 ブースターを最大速度まで上げて接近し、さらにもう一度鍔迫り合う。今度は彼女が少し押される形で衝突した。

 

『くうッ……でも、()()()()()ッ……!』

 

「ああ、()()()()()、お前は」

 

『……ッ!この』

 

 今だ。

 俺は操縦桿を握る手の力を抜き、敵機を左方向へ受け流した。

 

『ッ!?』

 

「どうもこの世界の住民は、総じて煽り耐性が低いらしい」

 

 受け流しざまに後方へ薙いだビームサーベルを一気に上へ振り上げ、敵の右腕を切り落とした。握りしめたビームサーベルの発信部分ごと、ゴトンという重い音を立てて地面に落下する。

 前に戦ったデスサイズのパイロット  九鎌アンよりも発露した怒りは一瞬だったが、単機で大気圏を突破できるレベルの機動力をもつウイングゼロを前にはその一瞬はあまりに()()()()。彼女も咄嗟に反応できていたようだったが、辛うじてこちらの方が動くのは速かったためことなきを得た。

 いくらパイロットが反応できてもそこから操縦桿を動かし、その信号がOSに届き、そして実際にMSが動くまでにはどうしても()()が発生する。その隙をついた形になるわけだ。

 

『まずッ……!』

 

 一時的に攻撃手段を失ったアフロディテは、一旦下がって体勢を立て直す必要があるが、焦りのせいか直線的に逃げてしまった。

 だが、それがいけなかった。

 

「逃がさん」

 

 全速力で方向転換して一瞬で追いつくと、今度は不用心に伸びていた左足を膝下から切り離す。これで敵はもう地上に降りれなくなったのに加えて、足のバーニアを片方失ったので機動力も下がっている。

 アフロディテ(おまえ)には聞きたいことが山ほどある。だから殺しはしない、が……

 

「悪く思うなよ」

 

 お前の話を聞くよりも先に先生たちを助ける方が重要なんでな、気絶くらいはしてもらおうか。と、コクピットに衝撃を与えるため、その機動性を活かした渾身のタックルをぶつけようと、再び操縦桿を押し込む。

 が、しかし。タックルが相手に当たる直前、敵機の腰のあたりが若干浮かんだような気がした。

 

(ム……!?)

 

 次の瞬間、上半身と下半身が分離し、その中から小型の飛行機と思しきものが飛び出してくる。

 

(コアブロック・システム!?)

 

 この世界には……いや、A.C.(アフターコロニー)世界にすら存在しない技術が、なぜあの機体についているんだ!?

 

『やっぱ純粋な戦闘では叶わないね〜』

 

「お前、一体ッ……!?」

 

『あは、ようやく本気(マジ)になってくれたねぇ。でも残念、もう時間みたい』

 

 あれだけ小型となれば、一度こちらが攻撃すれば殺してしまう可能性がある。もう彼女には手を出せない。大空に羽ばたく小鳥ののように向こうへ飛んでいくコア・ファイターを、俺はただ傍観することしかできなかった。

 

『だいじょ〜ぶ、私に勝った賞品は、また後日送りに行ってア・ゲ・ル♡』

 

 蠱惑的な声でそう付け加えたのを最後に、彼女からの通信は途絶え、後に残ったのは敵機の残骸だけだった。

 

(……そうだ、彼女たちの救援に向かわねば)

 

 ぼうっとしているヒマはない。俺は今一度自分の役目を思い出すと、先生やアビドス、便利屋らのいる方向へ急行するのだった。

 

 


 

 

『くっ……』

 

『いつまでもキリがない……一体どこから……!?』

 

 突然現れた黒いMSを切り伏せ続けて、一時間近くは経っただろうか。一体一体の練度はそこまで高いわけじゃない(ムツキお気に入りの子の解析によると、そもそもパイロットがいなかったらしい。訓練兵時代に聞いたモビルドールというやつだろう)が、当のPMCと同様圧倒的な物量でゴリ押ししてくる。全く、厄介極まりないことだ。

 

『このままでは……体力も弾薬ももちません……!』

 

 どうやら地上部隊も、かなり苦戦を強いられているようだ。実際、MSのメインカメラ越しに、基地と思われる場所から大量のPMC兵士が波のようにこちらに押し寄せてくるのが見えた。

 先ほど言及したメガネの子……名前はアヤネ、だっただろうか。苦しげに、しかしはっきりと現状を報告してくれる。認めたくなくとも、現実をきちんと教えてくれる。

 だからこそ、現実は厳しいものだと()()()()()()()()。それが、私たちの抱く絶望に拍車をかけてしまう。

 

『ッ社長!』

 

「!」

 

 思考の海に沈んでいた私を、咄嗟にカヨコが引っ張り上げてくれた。おかげでギリギリで反応して、眼前にまで迫り今まさにビームサーベルを振り下ろそうとした敵機の胴を溶断し、どうにか対処できた。

 長時間操縦に耽っていたせいで、集中力にも限界が見え始めてきた。ハッとなって自身の頬を手の甲で拭うと、いつも付けているものではない、MS操縦用のゴツゴツとした手袋に、五百円玉ほどの大きさのシミができていた。

 

『……社長、わかってるよね?』

 

「……ええ、わかっているわ」

 

 カヨコの言わんとしていることはわかっている。昨日二人きりになった時、彼女から釘を刺されたのだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「社長……いや、アル。正直今回の依頼は断った方がいいと思う」

 

「……」

 

「あの子たちが大事なのはわかってる。でも私たちが無事な保証はない」

 

「……ええ、わかってるわ」

 

「ならば」

 

「それはあなたも分かっているでしょう。自由と混沌根ざすゲヘナに、“正義“をつくろうとしたアナタが」

 

「……それは昔の話でしょ」

 

「それでもよ。私はアナタの根幹にある信念を信じているから、今回の依頼を受けるのよ」

 

「……」

 

「これが私の理由よ、わかったかしら?」

 

「……はぁ。約束して社長、私が危ないと判断したら逃げるって」

 

「……いいでしょう、分かったわ。でも、多分大丈夫よ」

 

「……?」

 

「だって、彼女たちには  

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 きっと、さっきの声がけは彼女の「危険だ」という意思表示なのでしょう。全く、いくら私が鈍感でも、これが危険な状況なんてのはわかるわよ。

 今回の件を先生から“依頼“された時、私も最初は断ろうかと考えた。もちろん報酬の方は破格とはいえ、アビドスに肩入れすれば今後の仕事に影響が出るかもしれないし、何よりカイザーという大企業に太刀打ちできるかどうかも怪しかった。

 ……それでも、放って置けなかった。理不尽に押しつぶされ、公開に塗れた顔をした彼女たちの顔を見て、かつての誰かさんたち(今の仲間たち)を思い出してしまったのだ。思わず手を差し伸べてしまうというのも無理ないだろう。

 

 私が目指すのは真のアウトロー。なにものにも縛られず、気ままに悪の道をゆく者。

 ならば、私の情の赴くままに、正義という名の支配者(絶対的強者)に抗うのも、また一興ではないか。

 

「撤退はしないわ」

 

『なっ、社長!?』

 

「約束と違う、なんて言わせないわ。私たち便利屋68は、この程度の危機で折れるようなヤワな存在じゃない」

 

『それでも……』

 

「それに、あの時に言ったこと、忘れた?」

 

 雷と勘違いしそうになるほどの光が天より降り注ぎ、私たちを囲んでいた数多の黒い影は、溶けるか爆発するかしていた。

 全く、これじゃあ、風紀委員会と戦った時とほとんど同じような状況じゃない。

 

「彼女たちには、勝利の女神がついてるって」

 

 悪魔と対をなす存在、天使。自分たちが悪魔と似た風貌をしているというのもあって、その存在は嫌いなわけじゃなかったけど、特段好きになれるわけでもなかった。

 

 

 けれど、あの子だけは……あの子とあの機体だけは、不思議と心を惹かれてしまうみたい。

*1
ゼロシステムは普通気合いで慣れたりできるものではありません。

*2
作者「本当に人のこと言えないと思います」




 というわけで、もうすぐこの章の最終回も近づいてまいりました。おそらく後日談とかを除けば、次回がラストになる、かも……?全ては、私の語彙力にかかっている。

レイ「もうすぐ最後か。さて、気合い入れていきますかぁ」
作者「今気合い入れてどーする」
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