透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 ドーモ。3月に入り花粉の到来に戦々恐々としているHakone8510です。
 最近は結構あったかい日も増えてきましたね。ちなみに私は春先テレビ放送が開始するジーク◯クスとかが楽しみで別の意味でホクホクしております。

 さて、今回の主人公は、チュートリアルの敵役になってくれるようです。


いわゆるチュートリアルのエネミーになった話。

 先に攻撃を仕掛けたのはゲーム開発部からだった。

 前世では大変お世話になったモモイのEXスキルである範囲内乱射攻撃が、こちらに向かって飛んでくる。ただアサルトライフルということもあって集弾率が高く、すぐに反応して回避する。

 するといつの間に移動していたのか、俺を挟んでモモイとは反対に位置する場所にミドリがこちらに狙いを定めているのが見えた。丁度モモイの方を向いていた俺からすれば、その方向は完全な死角である。

 

(モモイの開幕射撃は囮か!)

 

ダァン!

 

「当たった!」

 

 着弾した音が聞こえたからか、わずかに構えを解くミドリ。だが  

 

「言ったはずだ、手加減はしないと」

 

 ミドリの背後から聞こえる、女性にしては低い声。

 

「まだです、ミドリ!」

 

 アリスの呼びかけに反応して振り向くと、そこには空に足を向けたレイの姿があった。

 

「どうし……ッ!?」

 

 咄嗟に防御姿勢をとるも、バク転の反動を利用した蹴りでミドリは訓練室の端の方まで吹っ飛ばされる。そして俺はさらに蹴った反動で斜め上方向に飛び上がり、包囲網を離脱する。

 

(腹を狙うつもりで蹴ったのに咄嗟に武器でガード……なんて反射神経だ)

 

 率直にそう感じていると、視界と思考の端に青白い光が割り込んでくる。

 

「魔力充填60%……いけます」

 

「!」

 

 その先では、アリスがレールガンにエネルギーをチャージしながら、照準をこちらに向け待っていた。なるほど、さっきまで攻撃に来なかったのはそのためか。

 

「光よッ!」

 

 高出力モードのため変形したレールガンの先端から、エンジニア部の天井を灼いた光の束が打ち出される。

 俺はいま空中に勢いよく飛び出してしまっているため体の制御ができず、さらに位置も悪くこのままではアリスの射線上に突っ込む形になる。先ほどの充電率のセリフから手加減はしてくれているようだが、まともに喰らえば当分無事では済まないだろう。

 勢いを今から殺しても間に合わないだろうし、かといってなすがままでは直撃は免れない。

 

「ならば  !」

 

 俺は剣を振り上げ天井に突き刺すことで勢いを殺し、その反動を利用して反対へ方向転換することでビームを避けた。

 

「なっ、あれを避けるなんて……!?」

 

 モモイが驚きの声を上げるが、正直驚いているのはこちらも同じだ。

 発想力と頭の回転が高く、戦略立案の得意なモモイ。反射神経と精密射撃能力に長け、モモイとの連携もほぼ完璧なミドリ。そして文字通り戦艦並みのビーム砲を担ぐ、最強の火力担当であるアリス。この奇跡的結託(マリアージュ)とも呼べるほどの相性の良いチームは今まで見てきた中でも片手で数えられる程度だろう。

 

(案外、窮屈な思いはせずに済みそうだ)

 

「今度はこちらから行くぞ」

 

 そう言って左手のハンドガンをモモイに向け、八発放つ。うち1発は肩に当たって、大きく体勢を崩す。……うーん、左手での射撃に慣れようと思ったが、まだ少し訓練が必要だな。

 

「くっ……」

 

 そしてその隙に地面へと着地すると、持てる脚力をもってしてモモイとの距離を一気に詰めようとする。

 が、しかし。

 

「お姉ちゃんをやらせるもんか!」

 

 回復したミドリが俺のすぐ横まで追いついてきて、近距離で姉と同型のアサルトライフルを放つ。

 

「クッ」

 

 それをなんとか剣で防ぎつつハンドガンに弾を込め、今度はミドリに銃口を向ける。それに反応してミドリはゲームで鍛えられた反射神経からか、すぐにその車線軸から退こうと体を傾けだした。

  彼女の驚異的な反射速度では、先ほどのような近接戦闘以外で攻撃を命中させることは難しいだろう。だがこの技は元々、入学当初まだまだ未熟だった射撃技術(今でも苦手ではあるが)を補うために、前世で憧れた機体の武装の名をもじって考案したものだ。

 

七つの矮星(ジーベンツバーク)……」

 

(何気に、この技を使うのも久々だな)

 

 かの有名な某赤い彗星の言葉に「当たらなければどうということはない」というのがあるが  こいつは「外すことが前提の技」!

 

(グリユーン)!!!

 

「きゃああ!?」

 

 本当に狙っていたミドリの足元に着弾した瞬間、その場所から急激に芽生え成長した木の枝葉が、ミドリの四肢にまとわりつく。

 

(なんか、()()()()()()()のスチルでありそうな光景だな……やったことないけど)

 

「ちょっと、何ですかこれ!?」

 

「オレの作った特殊弾のひとつだ。着弾した場所から急成長する植物を生やし、最も近い動物の身動きを制限する。心配するな、10分もすれば枯れて解ける」

 

 一応弾の説明をしていると、横から再びモモイの銃弾の嵐が飛んできて、一旦ミドリから距離をとる。

 

「ミドリ!」

 

 その隙にと言わんばかりにアリスがミドリのところへ近寄ると、その腕力をもって強引にツルや枝を引きちぎった。

 

(マジか……エイミでさえショットガンで無理やり破壊してたのに)

 

 特異現象捜査部の戦闘訓練中にこの技の効果を試す時間があったのだが、あれは眼福だっt  いかん、今は戦闘中だ。心を鎮めねば……。

 

「なかなか()()()じゃないか」

 

 褒めたつもりだったが、その言葉を受け取った三人はあまり嬉しくはなさそうだ。特にモモイとミドリは先ほどの交戦からか疲れ切った顔をしていた。

 

「はぁはぁ……これで息切れしてないのどゆこと……」

 

「……ある程度体力がなさそうだとは思っていたがここまでとは……お前たち、というかそこの才羽姉妹、普段から運動しているのか?というか、ちゃんと毎日外に出ているのか?」

 

 そう言うと二人は露骨に目を逸らした。心なしか顔を膨らませているような気もする。スミレに言って強制的にトレーニングに連れて行ってもらおうかな……。(暗黒微笑)

 

「まだまだいけるだろう?ゲーム開発部」

 

「アリスのHPバーは緑のままです!」

 

「まだ3分も経ってないしね……ミドリは?」

 

「大丈夫。まだ戦えるよ」

 

「そうこなくっちゃな」

 

 モモイの言う通り  まだ戦いは始まったばかりだ。

 今度は俺から静寂の端を切った。フラガラッハのシリンダーを「神秘」に合わせ、彼女達目掛け剣で空を斬る。瞬間、その切先の軌道から光波が生成されると、月の弧の形となって彼女達に向かって飛んでいく。

 

「と、飛ぶ斬撃!?」

 

 イメージはFF7の破晄撃。あれよりも大幅に威力も切れ味も落ちている、というか訓練用に落としているとはいえ、当たればそれなりに痛みを伴うはずだ。

 すると咄嗟にアリスがレールガンを構えると、チャージをせずに光弾を連射。光波を難なく相殺してみせた。

 反撃を見越して一度距離を取り、ついさっきの相殺で巻き上がった煙に紛れかすかに聞こえてくる彼女達の足音に耳を澄ませる。

 

(音の方向から察するにまた散開したか……って!?)

 

 突如前方から大きな気配がして咄嗟に剣を構えると、煙の中からレールガンを盾にまるで雄牛のように突進してくるアリスの姿があった。

 

ガキィン!!!

 

「ッ!?」

 

 刃の面で受けるように構えていたため防御は間に合ったが、彼女の圧倒的なパワーに驚異的な武器の重量も加わって体勢を保つことはおろか立っているのもやっとなほどの衝撃が全身に響く。

 

(神秘によって前世よりもずっと丈夫で、尚且つ訓練である程度鍛えてるっていうのに……)

 

 先生のような常人(ただびと)とは一線を画す、強靭な身体能力と耐久性を持つキヴォトスの「生徒」。その中でも上澄みと底で一定の差はあれど、その強さはある程度の常識の範囲にとどまっている。……まぁ、何人か例外こそいるが。*1

 だが。

 

「やはり、お前は  

 

 だが彼女は違う  明らかにその範疇を人為的に越えようと()()()()気配を感じる。そしてその気配は、他ならぬ俺自身にも感じるのだ。

 

(つまり、俺とアリスは  

 

 そう  彼女と俺は、同類だ。

 

「そうか、ならば……」

 

 試させてもらおう。彼女の、いや……

 

「俺の限界を」

 

「!」

 

 アリスの瞳孔が萎むと同時に多大なる重みがかかった右腕を勢いよく振り抜き、アリスとレールガン共々向こうの壁まで吹き飛ばす。それと同時に床を蹴るように飛び立ち、自ら離したアリスとの距離を一気に縮めていく。

 だが既にアリスは体勢を立て直し、すぐにこちらを迎え撃とうと構えている。

 

ガキィン!!!

 

 先ほどよりも甲高い、そしてひどく鈍い金属同士がぶつかり合う音。接触した部分から火花が散り、両者の力がさらにこもっているのがわかる。

 

「アリス!」

 

「アリスちゃん!」

 

 姿こそ見えないが、モモイとミドリの声が接近してくるのがわかる。だが今は……。

 

七つの矮星(ジーベンツバーク)……」

 

(ブラフ)!!!

 

 銃口を後ろに向け少し離れたところに着弾音がしたかと思うと、微かな冷気が背中をくすぐる。振り返る余裕がないのでその様子はわからないが、一向に攻撃が来ないことから二人の前には銃弾をも通さない氷壁が立ちはだかっていることだろう。

 そして静かだが激しい鍔迫り合いの末、両者とも耐えかねてお互いにお互いを弾き飛ばす。そこからは、目にも止まらぬ光と鋼の応酬。電撃が空気を裂きながら直進していく音と、軽く金属がぶつかり合う音だけがあたりに響き渡る。俺の方はひたすらにプラズマ弾を剣と銃弾で捌きつつ剣を主体に攻撃を仕掛け、アリスはその巨大な武器を時に盾に、時にパルクールの柱のように使いながら俺の攻撃を避け、その動きに発射の動作を織り交ぜながら攻撃してくる。その光景はさながらH◯NTER×H◯NTERのネ◯ロ会長とメ◯エムの戦いのようであり、果て無く無限に続く舞踏曲(ワルツ)のようでもあった。

 だが実際、舞踏会も戦いもいつかは決着する。だが今回、両者にとってその(とき)は意外な形で訪れる。

 

「あうう……」

 

 アリスのエネルギー供給不足(電池切れ)である。

 モビルスーツなどでも起こりうることだが、どれだけエネルギー効率が優秀な機体であっても短時間で過剰なエネルギーの使用と放出を繰り返すと、無限にエネルギーが補給され続ける動力炉を備えていたとしても電力が回らなくなり動作不良を起こす。もっと簡単に言えば、我々が全速力で走り続けるとやがて体内の酸素が足りなくなって動けなくなるのと同じことが起こっているのだ。

 アリスはその場にへたりこむと、「バタン、キュー」という擬音がお似合いの様子で倒れ、そのまま眠ってしまった。昨日の徹夜の疲れもあっただろうし、今は寝させてやろう。

 ……さてと。

 

「おい、聞いてるんだろうウタハ。もう十分だから、訓練モードを切ってくれ」

 

 訓練室の外にそう言い放つと、室内に満ちていた光の霧が徐々に薄まっていく。ほぼ完全に霧が見えなくなると、ウタハが悠々と中に入ってきた。

 

「いやぁ、いいものを見せてもらったよ」

 

 そのセリフ、完全に今まで様子見していた黒幕のセリフなんですが…… こらそこ、ちょっとゆっくり拍手するんじゃない、より黒幕みが増すから。

 

「まずはゲーム開発部の諸君  合格だ。彼女相手によくここまで戦い抜いた。約束通り、その武器は持っていくがいい……と言っても、当人には聞こえていないだろうがね」

 

 多少アリスの好きなゲームの登場人物である王様に寄せたような口調で、ウタハは高らかに彼女達を称える。その瞬間モモイとミドリは花開いたチューリップのような笑顔を見せ、わちゃわちゃと喜んでいる。……ユウカが可愛がるのも無理はないな。

 そして今度は俺の方を向き、肩に手を置いてきた。

 

「君もお疲れ様。おかげで面白いデータが取れたよ」

 

「そのデータ、何に生かすつもりだ?」

 

「気になるかい?じゃあ今からその話を  

 

ジリリリリリリ、ジリリリリリリ!

 

 ちょうどい  いや、タイミングを見計らうように割り込んできた携帯の着信音。それは俺のポケットから聞こえてきていた。着信元を確認するため、ポケットからスマホを取り出して画面を見てみると  

 

「ユウカから?」

 

 隣のウタハに目配せし、許可を得たのでひとまず電話に出てみる。

 

「もしもし……ああ、今ミレニアムにいるぞ。ああ……は?おいちょっと待て、それは一体どういう……一旦待て、お前今……」

 

 

 

 

 

「C&Cとの合同任務って言ったか?」

*1
暁のホルス、ゲヘナ学園の最高戦力、約束された勝利の象徴、歩く戦略兵器、お嬢様の皮を被ったゴリラ……等々。




アリス「アリス、ば◯だん岩よりもメ◯ザルロックの方が好きです!」
レイ「ちょ、なんでこのギャグ時空に入ってきてんだ!?」
作者「私はス◯イルロックの方が好きかな」
レイ「全部色合いしか違いねぇじゃねぇか!!!」

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