透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 どうも、最近の気象状況に1発喝を入れてやりたいHakone8510です。
 気温の乱高下と花粉症によるダブルパンチでテンションだだ下がりですが、どうにかならんもんかね……。令和ちゃん手加減してください。
 
 さて、今回の主人公は、あの先輩たちに会うようです。


ダブルオーって聞くと別のを思い出しちゃうよねって話。

 C&C(シーアンドシー)  正式名称「Cleaning&Clearing」。ミレニアムサイエンススクールが有する部活の一つであり、表向きその活動内容は伏せられているが、その全員が凄腕の戦闘エージェント。基本的にはミレニアムそのもの……もっと言えばセミナーの要請を受け、諜報活動や潜伏、場合によっては敵勢力の排除(いるのかどうかは知らない)を担っているのだそう……というのを入学した際にユウカから聞いていた。

 正直もう少し邂逅は先だと思っていたので、本物を早めにお目にかかれるというのは願ってもないことである。が、それはそれとして……

 

「オレたち、今回の任務についてく必要あるのか?」

 

「さぁ?知らない」

 

 俺の純粋な疑問に、隣のエイミは興味なさげに答えた。

 ゲーム開発部との模擬戦の翌日、俺たちがいるのは、ミレニアム校舎地下の駐車場。全員がここに集合したのち、偽装車で目的地の近辺まで向かう段取りになっているのだ。

 そして、今回の任務はテロの事前防止。ミレニアムはその技術力から様々な企業にMSを提供し、代金を後払いしてもらう事業によって収益を得、学校運営に用いられている。そんな中MS提供の支払いを再三無視してきたとある企業が、犯罪組織に依頼してミレニアムを襲撃するとの情報を保安部情報局がキャッチした。我々の作戦目標はその真偽を確かめて証拠を集め、場合によっては排除せよ、とのことである。

 だがそういう荒事は本来彼女たち(C&C)の領分である。一方我々は特異現象捜査部、その名の通りキヴォトスの現代科学でも説明がつかないような事象を調査する部活。であれば俺たちを参加させる意図はなんなのだろうか?

 

「ソイツは、ユウカたちがお前ェたちに実績を作らせるためだな」

 

 ふと聞き覚えのある……結構ドスの効いた声がして目線を前に戻すと、そこには自分たちよりも少々身長が小さい赤髪の少女がいた。ミニスカートのメイド服の上にスカジャンを羽織り、両手にスカジャンと同じような柄が刻まれたサブマシンガンを持っている。

 このような特徴から導き出される人物は、もはや一人しか思い浮かばない。

 

「あなたが噂の約束された勝利(ダブルオー)か」

 

「お?なんだ、知ってたのか」

 

 美甘(みかも)ネル。

 C&Cのリーダーであり、「約束された勝利」を意味するコールサイン「00(ダブルオー)」を持つ者。その強さは異名の通りキヴォトス最強格の内の一角に数えられるほどで、特に近接戦闘においては自他共に認めるほど敵なしとされる。

 にしても、彼女が一緒に参加してくれるとは。彼女の性格的に意外ではなかったにせよ、多忙の身で来れないものだと思い込んでいた。

 

「ところで、私たちの実績というのは?」

 

 今度はエイミが質問を投げかけると、ネルはその態度に反して親切に答えてくれる。

 

「あン?ああその話か……まず、お前ェたちの部活の活動内容は?」

 

「え?端的に言うなら、超科学的事象の調査……ですけど」

 

「ふむ。じゃあ今度そっち、お前ェたちの部活は活動始めて今どんくらいだ?」

 

「発足当初からいるわけじゃないが……大体一ヶ月くらいだと聞いている」

 

「だろ?で、出来たばかりの部活なもんだから実績も何もないわけだ。で、お前たちの活動ではどうやらミレニアムの管轄じゃないとこにも行くって話だろ?だから他からの信用を得るために大きな実績作ってこいって話だよ」

 

 はえーそんな事情が(他人事)。なんかよくわかんないけど、ネルのセリフに他のヤツの意思を……「ご都合主義」という意思を感じるッ*1

 まぁ今後活動しやすいようにというユウカなりの配慮であるから、受け取っておくに越したことはないだろう。

 

「ま、アタシはそれ以前に色々確かめてェと思ってな」

 

 ネルの声色に別の“何か“が加わり、ほんの一瞬彼女の指が動いたのを視認した瞬間、俺とエイミは宙へ飛んだ。そしてそのわずかコンマ数秒後  

 

ダダダダダダッ!!!

 

 彼女の二丁の銃が一斉に火を吹き、先程まで俺たちがいた場所に無数の弾痕が刻まれる。突然の出来事に驚きを隠せない俺とエイミに対し、ネルはニヒルに笑っていた。

 

「なかなかできるじゃねーか。そんぐらい反応が早けりゃ今回の任務は大丈夫そうだな」

 

「……」

 

 そう褒められてもなお、俺はしばらくその場から動けずにいた。

 先程、彼女はあからさまな合図を出してから攻撃を仕掛けてきた。だが反応するのがあとコンマ2秒でも遅れていたら、本気で蜂の巣にされていただろう。

 加えてほんの一瞬だけ向けられた彼女の「殺意」……虎であろうと萎縮させるようなあの緊張感は、並の人間では太刀打ちできないだろう。かく言う俺も背中をつたる冷や汗がさっきから止まらない。()()()()()()()()()()()()のだ。

 先日戦ったミドリとは比べ物にならないほどの驚異的な反射神経とそれについていける身体能力、そして彼女本人の体質・気質(パッシブスキル)とも言えるあの雰囲気。ミレニアム最強の名は伊達ではないと、実感を持って理解できた。

 

「リーダー、今から任務の二人を萎縮させてどうする」

 

「お、カリン。なぁに、コイツらの実力を測ってただけだ」

 

 そして、これまたヌルっと姿を現したのは、コールサイン「02(ゼロツー)」の角楯(かくだて)カリン。褐色の肌に黒髪、そしてそれによく映える琥珀色の瞳が特徴的な二年生である。背中にはおよそ常人が持ち運ぼうとは思わない対戦車ライフルが軽々と携えられており、その立ち姿だけで威圧感を周囲に与えていた。

 

「二人ともすまない。リーダーはいつもこうでな……」

 

「……ご苦労痛み入る」

 

「オイ、そこでこそこそすんな!つーか全部聞こえてんだよ!!!」

 

 完全に言動が保護者のそれ。

 C&C関連のストーリー恒例の赤面ネルも拝めたところで、カリン曰く今回はこれで全員とのことで俺たちは早速任務について話し合いを始めた。作戦内容は先程話した通りだが、

 

「で、今回潜入する建物だが……元々カイザーグループが兵器情報を扱う建物の一つだったせいか、見取り図みてェな建物内の構造がわかるような代物は全部抹消されている」

 

「内部構造がわからない……ちょっとキツいね」

 

 ちょっとで済むのかエイミ?

 俺てっきりメタ◯ギアみたいなものを想像してたし、潜入任務なんて初めてだから個人的には内部マップないとそこそこ困るんだが?

 ということでそれとなく聞いてみると。

 

「まぁ模擬訓練でそういう状況は何回もシュミレートしたし……」

 

 とのことだった。なんか悔しい。

 そんなやりとりをよそに、ネルの説明はまだ続く。

 

「そんでもって相当やべェ兵器でも扱ってたのか、中身は赤外線レーザーやら監視カメラ、地雷やら自動迎撃システムやらのトラップだらけときたもんだ。ったく、厄介ったらありゃしねぇ」

 

「トラップの類はこちらでは破壊できかねない。現場の3人に気を付けてもらうしかないな」

 

 実際に潜入するのはネルとエイミ、俺の3人で、カリンは周辺のビルで待機し状況観察と実働班への報告、場合によっては狙撃で俺たちを支援するという。罠の破壊は彼女の言う通り流石に無理だろうが、今回は彼女の支援が作戦成功の鍵を握るだろう。

 そして、ネルが最後の情報を共有する。

 

「で、肝心の保有戦力だが……戦車みたいな大したモンはなさそうだが、数がバカにならねぇ。事前調査では総員100人は下らないんじゃねぇかって話だ」

 

「「「100人!?」」」

 

 やっべ、驚きすぎて柄にもなく大声出しちゃった。

 他二人も驚きを隠せなかったのか、普段の態度に見合わない表情と声量を見せていた。

 

「落ち着け、さすがに全員が拠点防衛に割かれてるわけじゃない。同じく事前調査では4〜50人ほどが駐在しているとのことだ。が、だからといって気付かれた場合に応援で残りが来る可能性も捨てきれない。それに……」

 

 そう言って彼女がスカジャンのポケットから取り出したのは、建物周辺を切り取った地図だった。ざらっと見た感じ大きなビル群が立ち並んでいる用人しか見えないが、今の話とこれに何の関係が?

 

「他の建物との大きさを見比べてみろ」

 

 そう言われて再び地図に目を移すと、潜入予定の建物の面積が他の建物よりも比較的小さいことが見てとれた。他のビルが大体オフィスビル程度の面積だとすれば、その三分の二程度といったところか。

 

「他と比べて明らかに狭ェ上に、背が高くて階数も多いときたもんだ。とことん侵入者(アタシら)が逃げにくく、挟み撃ちしやすい構造になってやがる」

 

 なるほど、そういうことか。

 今の所目的の証拠品の場所はわかっていない。勿論のことヘリで屋上には降りれるわけもないので、俺たちは必然的に一番下の階から探していくことになる。だがもし登っている途中で敵に勘付かれ、増援を呼ばれてしまうと上からも下からも敵が来る。すると結果として挟み撃ちの形になる、というわけだ。

 そこまで考えられているとは……というかネルが言うように、こんなに警備が厳重なその建物で、一体どんな兵器情報を扱ってたんだ……。

 

「とまぁここまでが潜入先の情報だ。んまぁ難易度としてはそこそこか?面倒ではあるけど……ってなんだお前ェら、その目は!」

 

「「「……」」」

 

 今度はネル以外全会一致で呆れたような顔をしている。カリンはセットでため息もついていたことからも、おそらくこういう意識の齟齬は何度もあったのだろう。個人的にはカリンがネルと同じ感覚だと思っていたから少し意外だったが。

 

「とにかく説明は以上!細かい指示は現場に着いてからにするから、さっさと出発するぞ」

 

 空気が絶妙になったタイミングで自走式の自動車が入ってきたので、赤面して怒鳴るネルに続く形で俺たちも乗り込み、夜のドライブ*2へと洒落込むのであった……。

 


 

「……で、首尾はどうなっている?」

 

「はっ。貯蔵している弾薬の量、装甲車、そしてモビルスーツ……全て万全に揃っております。いつでも動けるかと」

 

「ほう?では来週の出撃に備えろと各員に伝えろ」

 

「承知。では失礼」

 

 

 

()()を独り占めするミレニアムに鉄槌を下す……遂に、その時が来た!!!」

*1
作者「そゆこと言うな」

*2
なお運転手はいないし、音楽もラジオもかけられないタイプのクルマ




作者「今回はネルが怒ってるのを書きたかっただけです」
レイ「……原形無くなるまで殴られても知らんぞ」

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