透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
あと一週間とちょっとで放送開始……?やべーまじで楽しみになってきた。ガンダム見たことないよーって方も楽しめる作品だと思うので、見れる方は是非。
そういえば今週の水曜日についに野正レイちゃんが実装されましたね。うちの主人公と名前一緒ですが今の所繋がりはなく……どこかで同名繋がりで番外編かなんか書きたいと思っているのでぜひお楽しみに。
さて、今回の主人公は、根性論を持ち出してくるようです。
戦いの火蓋は唐突に切って落とされた。それは眼前の男装麗人が武器を前に向けた時か、周りのヤンキーのうちの一人が微かに動いた時か、それとも俺たち三人が最初の一歩を踏み出した時か。だがそれぞれが時を同じくして、それぞれの戦は始まった。
「正面のはアタシがやる。テメェらは雑魚をやりな!」
もはや秘匿性もへったくれもない情報伝達。だがこの状況においては最適かつ最速の指示であった。俺たちは即座にそれを理解するや否や、ネルを中心に二手に分かれた。
右手に向いた俺はまずこちらに向かってくる五人の敵を視界に捉えた。その瞬間すぐさま腰に下げた鞘からフラガラッハを抜くと、抜刀術の要領で一気に距離を詰めその五人を一斉に峰打ちで吹き飛ばした。するとタイミングを見計らったかのように横から敵の銃弾の雨が嵐の如く襲いかかってくるが、今回は剣を地面に突き立てることで方向転換し、爆発する弾で銃撃隊を一掃する。
「くっ、こいつら強え!」
「どうしてこんな……グハッ」
敵の悲鳴を耳にして反対方向を向けば、エイミが眉ひとつ動かさず華麗に立ち回っている様子と、互いに撃ち合いに興じているネルとテウの姿が見えた。
テウが手にした武器の先端からは、プラズマのような球体が発射されていた。その弾速は正確には測れないが、見たところおそらく亜光速*1に達していると思われる……が、それをものともせずに避けるなんて、やはりいい意味でイカれている。
にしてもあの武器、どこかで見たことがあるような……。
「ひゃっはーっ!!!」
……今は、目の前に敵に集中しなければと意気込んで、無策に飛びかかってきた敵を鞘で殴り飛ばす。
にしても三十人ほどだと思っていたが応援が来たのか、想像以上に敵の数が多い。倒しても倒してもどこからか湧いてきて、まるで無限に仲間を呼んでくるマ◯ハンドのような小癪さを感じる。当時は経験値とお金稼ぎに利用させてもらってたケド。
どれだけ仲間がいるんだ、この組織は……?流石にこちらもしんどくなってきた。
「ッ!?」
いつの間にか、エイミと背中あわせになっていて両者ともに一瞬驚くが、すぐさま前の方を向き直る。正直こういう背中合わせになるシチュイソかに憧れてたんよね〜正直そんなの考えてる暇ないけど。
乱戦も乱戦、多勢に無勢。まるで大海の波が如き勢いで押し寄せてくる敵をただ無心に薙ぎ倒していく。十人、二十人……三十人から数えるのをやめた。
……いや、やっぱりおかしい。さっきまで部屋の中にいた部下と思われる敵の数は、どれだけ多く見積もっても四十を越えない程度であった。そして事前情報にあった組織規模から、増援を呼ばれたとしてもそれに+約四十人程度だと推察される。だが俺とエイミが倒したと思われる、床に転がった骸(殺してないけど)の数はどう見たって百を超えている。つーか、この部屋に百人死体*2転がれる広さなんて最初からあったか?
(つまりこれは……)
「フッ」
随分舐められたものだな。俺は仮にもゼロシステムを克服したおt……女に精神攻撃とは。まぁそんなこと相手が知る由もないが、とにかくこういう術の対処法は既に心得ている。
目を閉じ、丹田に力をためるイメージで息を吸い、そのままゆっくりと腰を落としていく。腰の高さが膝のやや上ぐらいにまでになったら、肺に溜めた空気を一気に放出して……。
「フンッ!!!」
全身に一気に力を込める。
精神攻撃への対処法……それすなわち気合いである。もう一度言おう、気合いである。
これを呼んでいる画面の前の皆々様は「こいつ何言ってんだ」と思われていることだろう。だがよく考えてみてほしい、ゼロシステムも結局のところ精神力と気合いでなんとか制御するシステムである。実際、ヒイロ・ユイも作中何度も暴走しかけてようやく克服したぐらいだし、俺も最初に乗った時自分を強く保つことでどうにかしたのだ。
まぁつまりこの手に限る、ということだ*3。
ひとまず精神世界だからか敵の姿とエイミ、そしてネルとテウの姿が忽然と消えたが、幻覚からはまだ逃れられていないらしい。
……もう少し気合いを入れてみる。
『……い……だ……か……!』
遠い彼方からカリンの声が聞こえてきた。どうやら反応がないことに気づいて呼びかけてくれているようだ。
声のする方に振り向くと、部屋のど真ん中にホームセンターにあるようなどこにも立て付けられていないドアが現れた。なんだか幻想的な出口の出方だな……す◯めの戸締りか?
ともかくこの幻から脱出しなくては。俺はカリン先輩に感謝の合掌を心の中で済ませてから、ドアノブにそっと手を掛けた。
プツン
「ん……」
PCが強制的にシャットダウンされたような音と共に、意識が覚醒する。俺はただ部屋の一角でぼうっと突っ立っているだけで、ただ銃撃音が部屋の中央から聞こえてくるだけだった。
『おい、大丈夫か二人とも!!!』
耳をつんざくカリンの声でハッとして、慌てて通信を返す。
「こちらレイ。今しがた目が覚めた」
『大丈夫か、そっちの状況は!?』
「こっちの状況は……」
そう言われて部屋の中央へ振り向くと、俺がいる場所と丁度反対のところに俯き呆然とした様子のエイミ、そして中央では変わらず銃撃を続ける二人の姿があった。ちなみに他は全員地に伏している。
これをそのままカリンに伝えると、無線越しの彼女は安堵したように息をゆっくりはいた。
『リーダーはいくら無線を入れてもすぐに切ってくるし、他の二人はどれだけ呼びかけても反応が無いし……だが無事ならよかった』
「心配かけてすまない、カリン先輩」
『いいんだ。負い目を感じているなら、エイミを起こしてリーダーに加勢してやってくれ。私もそろそろ加勢する』
そう言って通信は切れた。
さて、まずは言われた通りエイミを起こすとするか……というわけでエイミの方へ近づいていく。「おいテメェ、起きたんなら手伝え!!!」「なんだと……」って声が聞こえるが、これは一旦無視します(料理番組感)。ネル先輩なら幻覚にも負けなかったし多分大丈夫だろ。
手の届くほどの距離まで近づいたが、特にエイミに反応が見られない。今度は正面に立って肩を揺らすが、幻覚から帰ってきた様子はない。というか先ほどから耳を塞ぎたくなるほどの銃撃音がしているのに起きないなら、大きな音を鳴らしても起きないだろう。
ならどうすべきか?一旦自分の場合に戻って考えてみよう。俺は幻覚に囚われていた時、カリンの通信があったことで目が覚めた。だが彼女に通信が入っていたにもかかわらず、目覚めたような様子はない。ならば、何が目覚めるキーなのか?思考を逡巡させる中で、ある事実に思いつく。
ならばと早速実行に移すため再び彼女の後ろに回ると、呆けている彼女を一度正座させる。その後、彼女の背中で指を曲げて構えると……
もみ……もみ……
「ん……ッ」
エイミの艶やかな声が、部屋の中で響き渡る。だがここで
(おお……これは中々……)
エイミの頬も徐々に赤みがかかってきて、目覚めも近くなって来た。さぁ、ここでラストパートといこうか……!
「ん“ん“ッ……ふあッ……ああンッ……」
「おい、テメェらいい加減に 」
「君たち、そろそろこっちを 」
そんな折り、絶賛戦わなければ生き残れない*4している二人が同じタイミングでこちらを向き、同じような事を言いかけて止まった。
「な……」
「な……」
「?」
「「何やってるんだテメェ(貴様) !?!?」」
「お、おお、おおおお前いくらソイツに信用されてるからってそんな無用意に……へ、変なことしてやがるんだ!?!?」
「口調大丈夫か?」
あまりのうるささに振り返ってみると、顔を真っ赤にして自分の語彙を崩壊させているネルの隣で、必死に手で目を覆って見ないようにしているテウの姿があった。
「い、一体なぜ突然そのような破廉恥な行為を……貴様ら、まさかそういう関係だとでもいうのかァ!?」
この人もこの人でテンション大丈夫か?最初あった時の王子様の雰囲気はすでになく、もはやル◯ーシュ*5やシ◯ラ・サーペンタイン*6みたいな台詞を吐いている。
「破廉恥?何を言ってるんだお前たちは」
「何ってお前ェ、その、ソイツの、む、むむむ……って言わせるな!わかってんだろテメェ!?!?」
「全く、何を勘違いしているのか知らないが……」
すでに起きかけのエイミをわざわざ二人の方に無理やり向ける。もちろんマッサージは続けたまま。
「俺はこいつに肩のマッサージをしていただけだぞ」
そう、つまり肩揉みである。
俺は幻覚に入った直後ずっと集中している、言い換えれば気を張った状態だったのだが、カリンの声で注意が散漫になったことであの扉が現れた。おそらくあの幻覚は集中しいていればしているほど囚われやすい性質なのだろう。ゆえに俺がエイミより起きるのが早かったのも、戦闘にスッと集中できる精鋭ほど捕まりやすかったからなのだろう。俺はまだ無線というものに慣れていなくて、独特の不快感(別にカリンの声が嫌だったというわけではない)を感じて集中が解けたからこそ抜け出せた。
推測が正しければ、俺のようにおそらく不快感や痛みなどでは戦場慣れしている彼女にとってはむしろ逆効果になる。だから逆に彼女に快感*7を与えることで、緊張を和らげようと考えたのだ。ならどうすべきかと考えた結果、最近肩が凝り始めていいマッサージ屋を探していると話しているのを思い出し、実行に移したという次第である。
「う〜〜ん?」
二人が呆然としている間に、エイミは目を覚ました。
「あれ、レイ……」
「目が覚めたか。何があったか覚えているか?」
「う、うん。大丈夫……」
するとふと目についたのか彼女の肩に乗せた手と俺の顔を交互に見てエイミが言う。
「あれ、肩揉んでくれた?」
「ああ。駄目だったか?」
「ううん。むしろ軽くなって助かった、最近ずっと肩が凝ってたんだよねー」
その言葉で自分の目線が彼女の首下へと惹かれるように下がっていくのを感じた。そこにはキヴォトスでも一二を争うほどの豊満な双峰が佇んでいた。……そりゃ肩こりもひどくなるわな。
「さて、これで形成逆転だな」
先に気を取り直したネルが片方の銃を構え、焦りを見せていたテウに言い放った。だがそれに一切動じず、それどころか落ち着きを取り戻した様子のテウも負けじと言い返す。と同時に、懐から注射器のようなものを取り出した。
「フン……
その言葉と共に注射器の針を首に突き刺すと、中に入った薬剤が彼女の身体へと注入されていく。それと共にその身体の色が刻々と変化していく。
「うおおおおおおおおォォォォォオオオオオオッッッッ!!!」
もはや彼女の原型すら感じられない、獣のような雄叫びが部屋を、いやビル全体を揺らす。そして先ほどとは比べ物にならないほどの気迫と殺気が俺たちに襲いかかってくる。
「あれは一体……!?」
「知らねェ……だが分かるのは、あの薬の効果で変化が起こったってぐらいしか……!」
「……!まずい、何か来るよ!!!」
エイミがそういった瞬間、怪物となったテウがその腕を振り下ろし、凄まじい爆発がビル全体を覆った。
「さぁて、あのコはどのくらいレイちゃんの力を引き出せるのかな〜♩とっても楽しみ❤︎」