透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
スイッチ2結構欲しくなってきたんですが、スイッチオンライン一年以上加入してないと予約できないとは……大人しく店頭販売かAmazonを待つかぁ。
さて、今回の主人公は、襲撃する側に回るようです。
ミレニアムに戻った時、翌日を通り越してもう8時を回る頃であった。ネルは「追加の依頼がある」と言ってさっさと抜けてしまい、残された俺たちも先ほどまでされていたウタハの話で若干気まずい空気感になっていたのもあってその後は流れで解散した。ではユウカに報告かとも思ったのだがそれはカリンが引き受けてくれるとのことで、俺とエイミは休日ということもあり一気に暇になってしまった。
こんな日は大体エンジニア部にお邪魔して訓練室を借りたり新発明の武器を見て回ったりするのが日課なのだが、さっき別れたばかりだしウタハがあの調子では気軽に訪問しに行くのも悪い。どっか朝食でも食べに行こうかとエイミに提案しようか迷っていると、ポケットに入れたスマホが鳴る。音からして、メールが届いたようだ。
「誰だ……?」
取り出したスマホを開き、モモトークを確認すると、その一番上には「先生」の2文字が。内容としては、手が空いてたらゲーム開発部の部室に来てほしい、とのことだった。
(そういえば、ゲーム開発は順調なのだろうか?)
昨日は任務の事前準備にほぼ1日を費やしたためゲーム開発部と先生のところへは一度も行っていない。部員の数はアリスの加入によって無事クリアされたが、ミレニアムプライスは刻一刻と迫ってきている。順調に進んでいるといいが。
ともかく様子を見にいかなければ。俺はエイミに先生に呼び出された旨を伝え、小走りで部室へと向かった。
「……もう一回言ってもらっても?」
「だから、セミナー襲撃を手伝ってほしいの!」
一晩かけてミレニアム襲撃を阻止したのも束の間、今度は内部の生徒からの襲撃とは……どれだけ恨みを買っているんだ、この学校は。
冗談はさておき、目の前で口みたいな栗を大きく開けて協力を訴えるモモイ。横には先生、後ろにはミドリが正座し、アリスとユズはさらにその後方で対戦ゲームで遊んでいる。とてもこれから襲撃する組織の雰囲気とは思えない。
「色々端折りすぎだよお姉ちゃん、まずは最初から説明しないと」
「あ、そうだった」
焦りすぎてすっかり忘れてた、とでも言わんばかりに笑うモモイ、呆れるミドリと先生。
ゴホン、とわざとらしい咳き込み一つ挟んで、モモイは気を取り直した。
「じゃあ、まず昨日何があったかを説明するね」
〜モモイ説明中〜
「なるほど、昨日また遺跡を探索してお目当ての『G-bible』は見つかったけど、閲覧するためのパスワードがわからない。そこでヴェリタスに持ってったはいいが、パスワードを解析するには通称『鏡』というツールが必要……だがそれはセミナーによって押収されてしまったため、それを取り返す手伝いをしてほしい、ってことか」
なんかこのセリフ、外部からの強い意志*1を感じる……妙に長いし。
「で、先生はどうするんだ?協力するのか?」
“う〜ん、正直気乗りはしないけど……部の存続がかかってるわけだし、なるべく協力してあげたいかな“
「わかった、ならば俺も協力しよう」
俺は所属学校こそミレニアムだが、扱いとしてはシャーレ専属の生徒。毎日の当番とは別に、外回りや遠征についていくのが俺の仕事だ。その先生がやると言うのであれば、迷う必要は一切ない。
それを聞くと「良かった!」と安堵した表情を見せるモモイ。やっぱ笑顔が一番かわええなお前は(豹変)。
「今から他の人も集めようと思ってるんだけど、レイも一緒に 」
後ろのミドリが俺の返事を聞いて、すかさず仲間集めも協力してほしいと(おそらく)言いかけたところで、さっき聞いたバイブ音が鳴り響く。発信元は……やはり、俺のスマホだ。気になってすぐに確認すると、そこにはさっきも見たモモトークのメッセージ通知が。名前は……。
「あっ」
つい間抜けな声が出てしまった。それに反応して、その場にいた五人全員の視線がこちらを向く。俺は黙ってスマホの画面を向こうへ見せると、その五人の表情も一気に青くなる。
通知には電卓のアイコンに「Yuka」と表示されているのだった。
一時間後、ミレニアムの数ある校舎 そのうちの一つ、屋上階。そこに待ち受けていたのは妙に仁王立ちの似合うユウカと、クラシカルなメイド服に身を包んだ慎ましい姿の女性だった。
「ようやく来たわね、レイ」
「あら、この子が……」
二人が想像通りな各々の反応を見せる中、俺は扉を越えてある程度のところまで進む。ユウカの数歩前まできたところで止まり、横に凛と佇むメイドの方に目を向ける。
「彼女は?」
「自己紹介が遅れました。
アカネはそう言うと、姿勢のブレを全く見せぬままスカートの端をつまみ、思わず見惚れるほどに綺麗なカーテシーを披露した。
というかこの人本当に16歳なのか?高校2年生とは思えねぇほどの大人っぽさと、それゆえの色気をムンムン感じる。……だめだ、思考がおじさん過ぎて思考もキモくなってきた……。
「……さて、今回呼ばれた理由はあなたも何となーく知ってるんじゃない?」
コホン、と咳き込んで注意を引き戻したユウカは、少し嫌味ったらしく俺に質問を投げかける。
「……さぁ、何のことだか。武器を置いてこいと追加の指示があった以外は何も」
まぁ、その時点で怪しさ満点なのだが……そんな状況を強いられて尚且つ指示に従う俺も、大抵狂っているのかもしれない。
「しらばっくれても遅いわよ。今日ゲーム開発部とヴェリタスがセミナーを襲撃するって情報が入ってきた。他ならぬ、あなたの部長からね」
あらら、バレてーら。そして俺の……特異現象捜査部の部長か。まだ
「そして今ゲーム開発部とシャーレ……先生が一緒に行動しているのも把握してる。十中八九あの人もゲーム開発部に協力するでしょう。そして……」
ユウカはわざとらしく靴音を鳴らしながら、わずか数歩でしかなかった俺との距離を詰め、目と目を合わせてくる。
「あなたも先生が協力するならと、あの子たちに手を貸すのでしょう?」
その質問、いやもはや詰問は、かろうじて疑問の形を取ってはいたが、彼女の中で既に答えは出ているようだった。だから俺は普段滅多にしないニヒルな表情で、こう答えてやる。
「よくわかってるじゃないか、ユウカ」
さすがは先生の奥さんと、ブルアカユーザーのほとんどから揶揄されるだけのことはある。
「で?俺を呼び出した目的は?まさか俺をここでとっ捕まえるってわけじゃねぇよな」
「
次の瞬間、俺とアカネは同時に跳んだ。アカネはそれとほぼ同じタイミングで隠していた携帯爆薬庫*2に手をかけ、10をゆうに超える爆弾が放射状に投げつけられる。クソッ、屋上を選んだのは、無駄な遮蔽物がないからかッ。
ひとまずは回避と防御に専念し、爆発と爆風の範囲を予想してセーフゾーンへと逃げ続ける。だが彼女も歴戦のエキスパート、かつ普通の「お掃除」を爆破と誤認するほどの爆弾魔ときたもんだ。爆弾の扱いは須賀という他なく、現に徐々にセーフゾーンの無い角へと追い詰められている。
「おい、こんなに無造作に爆弾撒いたら修理費がバカにならねぇんじゃねぇのか?」
「……」
対面のアカネにそう聞くが、真顔のまま言葉を発することはない。そういや戦闘中はこんな感じになる子だったわ、つーか怖え。
「大丈夫、このくらいの出費は既に計算済みよ」
代わりにユウカが答えてくれた。なるほど、これは
そうこうしているうちに、とうとう屋上の角の方へと追いやられた。床にへたり込み後ずさる俺の目の前には、爆発による炎上をバックに近づいてくるアカネの姿が。かといって後ろを見てもそこは20階建てによるキヴォトス人でもおそらく耐えられないほどの高さがあるだけ。
「終わりよ 」
まさに絶体絶命 だが。
「お前たちは……一つ勘違いをしている」
「?」
「この程度で俺が諦めると、本気で思っているのか?」
「「!?」」
二人が驚いている隙に、ポケットにしまったスマホが二回振動する。作戦開始の合図だ。そしてすぐさま体勢を立て直すと、すかさず居合いの構えをとる。
「!」
咄嗟に反応し後ろに跳んだアカネだったが、この構えから逃れるのはそう容易いことじゃない。透明化によるカモフラージュが解け、その姿を現したフラガラッハの柄に手をかけると、すぐさま距離を詰め刃を抜き放つ。完全に回避するのは不可能と悟ったのかアカネがすぐに腕を十字に組んで防御姿勢をとるが、当たった衝撃で反対側のフェンスへと吹き飛ばされる。
「くっ!」
吹っ飛ばされたアカネは空中で体を制御しすぐさま床に降り立ったが、この距離ではどれだけ速く走ろうとも、もう追いつけまい。
「やるなら全力でかかってこい……くれぐれも彼女たちを舐めてかかるような真似はしないように」
フフフ、と悪役のような笑い声を吐いてフェンスの上に立つと、Tのポーズをしながら下へと落下していく。いつかやりたかたんだよなぁ、これ。
数秒後ユウカとアカネがついさっき俺が立っていたフェンスに駆け寄ってくるが、もう遅い。もはや彼女たちと俺とでは、今から飛び降りたとしても追いつきようのない距離まで離れてしまっていた。
俺は空中で身体をぐるっと回転させると、腰に隠し持っていたハンドガンを取り出し、地面へ向かって弾を撃つ。
(この弾は、遺跡調査で使った高所落下用クッション……その拡張版!)
地面に着弾した瞬間クッション部分が膨張して開くのは前回と同じ。だが前のと違うのはクッションにカメラセンサーと足がついていることである。使用者をカメラで認識し、クッションの位置を自動で調整してくれる機能がついているのだ。
「エンジニア部に
クッションは俺のちょうど真下を捉え、俺はそのままクッションへとダイブする。強過ぎず弱過ぎない、落下を受け止めるのに最適なクッションに受け止められて、俺は怪我一つなく地面に着地することができた。
ユウカの鬼のような形相が、もはや距離が遠過ぎて豆粒みたいに顔がちっさく見えるにも関わらず察せてしまったのについつい笑ってしまう。聞こえないはずの怒号をよそに目的地へと駆け出し、それとほぼ同時に、俺の進行方向とは真逆の方角から巨大な爆炎が上がった。おそらく協力を頼まれたエンジニア部の仕業だろう、中々派手にやってくれる。
さて、愉快なパーティの開演と行こうか……!
レイ「面白そうになってきたじゃあねぇか」
作者「なんかアンタ、段々ネルに似てきてない?」
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