透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
そういえば先週のことになりますが、便利屋イベントの復刻と同時にドレスサオリが実装されましたね。初見の時はもうこれウェディングドレスなんじゃねーかとかその後ろ姿完全にベアトリーチェだろとかで衝撃を受けた印象があります。サオリ推しの方は本当におめでとうございます。皆さんは引きましたか?私は……ドレスツルギのために温存しておこうかな……。
さて、今回の主人公は、パワードスーツを着るようです。
「鬼のいぬ間ならぬ、ネルのいぬ間といったところか」
「鏡」のあるという保管庫があるビル……通称ミレニアムタワーへと向かいながら、俺はそんな独り言をポツリとこぼした。
特に聞こうとはしなかったが、どうもヴェリタスもゲーム開発部も今日が好機というのがわかっているようだった。彼女たちにとって「好機」とは、紛れもなくC&C最強の存在である美甘ネルの不在であろう。もしかしてヴェリタスは、C&C一人一人の任務状況や予定まで把握してるってのか?……そう考えると少しヒヤッとするな。
まぁそれはいいとして、今俺は左耳に装着した小型イヤホンマイクから入ってくる先生の指示に従い、本隊であるモモイたちとの合流を急いでいた。その道中、ユウカの指示がもう回ったからなのか、番号持ちでないC&Cとセミナー直属の治安部の混成部隊がどこからともなく現れ、襲いかかってくる。ざっと3、40人ほどはいるだろうか。
(オレ一人にここまでの大人数を仕掛けてくるとは……そこまで警戒されるほどに強くなったということか)
もちろんこの程度で満足してはいけないとわかっているが、まだここに来たばっかりの頃よりも確実に自分が成長しているという喜び、そして徹夜の睡魔を奥歯で噛み締めながら、腰に装着したフラガラッハを鞘から引き抜き臨戦体勢に入る。
「お前達を……殺す!」
鈍色に染まった銃弾が空を切り、銀色に光る刃が地を削り這う。トリニティやゲヘナならともかく、あまりミレニアムでは聞き馴染みのない金属どうしのぶつかる音……戦いの音色がビル群に反響し始めていた。
ところ変わってミレニアムタワー。
校内モノレールや自動運転車などを駆使してひと足さきに到着したユウカとアカネは、ネル以外のC&C番号持ちを招集し、簡単なブリーフィングを開いていた。
「……というわけで、ゲーム開発部とヴェリタス、そして先生と暁月レイさん。これらの勢力は確実にここに攻めてきます。先ほどの爆発からおそらくエンジニア部も絡んでいるかと思いますが……」
「つまり我々の任務は、一人たりとも保管庫に近づけさせない、ということだな」
「ふ〜ん、結構面白そうじゃない?」
「ちょ、アスナ先輩……」
徐々に雰囲気が和気藹々としていく中、ユウカの「パンッッッ」という猫騙しによってその流れは見事打ち切られた。完全に静かになり視線が自分に集まったタイミングで、ユウカは話し始めた。
「あなた達ほどであればしないでしょうけど、一応言っておこうと思ってね……」
「「「?」」」
「くれぐれも、手加減しないでね?」
二つ名である「恐妻」*1の名に違わぬ暗黒微笑によって、天真爛漫な金髪メイド美少女である
((部長がいた方がまだマシだ……))
性格も結構異なる二人の心中が、初めて一致した瞬間だった。ちなみにアスナは疑問符を浮かべたまま、まるで大型犬のような表情で指示を待っている。可愛い。
ドゴオオオォォォン!!!
突然の轟音が建物を揺らし、四人の体勢がすぐさま対衝撃の構えになる。ユウカはそばにいた連絡役の保安部隊員に目線を投げかけた。
「何があったの!?」
「建物正面入り口から侵入者アリ、数は一人!」
「一人、それも真正面から!?一体誰が……」
「天童アリスです!」
そう言われてユウカが一番驚いたような顔を見せる中、備え付けられた巨大なモニターに防犯カメラの映像が映し出される。そこには満面の笑顔を浮かべて人の身丈ほどの大きさがある武器を手に豪快に突撃し、迎え撃とうとした小隊規模の隊員をビームで蹴散らしていくアリスの姿があった。
だが、驚いているままではいられない。ユウカは即座に持ち直すと、指示を出すためアカネの方を向く。
「アカネ、私と一緒にアリスを止めましょう。ルートを予測して先回りするわ」
「承知いたしました」
「二人は事前に送った配置についていて。指示があれば随時連絡するから」
「了解」
「りょ〜か〜い!」
そう言うとユウカはアカネと共に部屋を飛び出していく。子を諌める母*2のような存在として、そして彼女達に立ちはだかる
(アリスが捕まったか)
無線で随時流れてくる情報を聞き流し、敵を蹴散らしながら目的地まで進んでいく。
いくら三大学園に数えられる規模の学校であろうと、既にかなりの人員が俺の方に割かれているため、本隊の道中はかなり楽になっているはずだ。それに加えてアリスの単独突入と捕縛……ここまでは全てユズの立案した
さて、俺も早く彼女達の援護をせねば……。
「行かせないよっ♩」
その声と共に頭上からの弾丸に間一髪で反応し、思わず後方に回避する。
(この声は……!)
聞き覚えのある声に頭上を見上げると、丁度建物と建物を繋ぐ連絡通路の上に立つ一人の人影があった。
「あなたがレイちゃんだね!ず〜っと会いたかったんだぁ!」
天真爛漫、という四字熟語が最もピッタリなプロポーション抜群の天然美少女が、敵に向けるものとは思えない太陽のような笑顔で挨拶してきた。
「C&Cのコールサイン
「わぉ、知っててくれたんだね!私もカリンちゃんから話は聞いてるよ、とっても強くて面白い人だって!」
(一体どういう伝え方をされたんだ……?)
「ずっとお話ししてたいんだけど……副会長さんから急かされてるから、すぐ始めちゃお?」
「そうだな。こちらもアンタの話に付き合っている暇はない」
そう言って俺が再び剣の柄に手をかけた瞬間だった。
「!?」
「あははっ、いい顔!」
ガキィン!!!
俺の懐へと入り込んだアスナが銃口を俺の頭部へと向けており、俺はそれを抜き切った剣によって間一髪で射線軸をずらすことに成功した。
1秒どころかコンマ1秒にも満たないような時間。俺の意識が一瞬腰にさした剣に向いた隙ともいえぬ隙。その間に、目測10メートル以上は離れていた互いの距離を、その間に縮めたっていうのか!?
「くっ!」
反射的に剣を横に薙ぐが当たるはずもなく、華麗なバック転で見事に避けられ、再び距離が離れる。アサルトライフルの連射によって生まれる弾幕を、剣で叩き落としながら左手の拳銃で反撃するが一向に当たる気配はない。合間合間に
「こっちだよ〜!」
「ッ!?」
そう考えていると、いつの間にか背後に回っていたりするのだ。
「このッ……!」
なんとか反応して剣を背後に振ることで実質的に回避できたが、彼女もまた攻撃を避け再び距離が開く。その繰り返しだ。
彼女の表情と動きの経過から、アスナはまだまだ余力を残した状態で俺と戦っている。つまり、本気ではない。にもかかわらず俺は既に相当な体力と時間を持っていかれた……おそらくこれが彼女の作戦なのだろう。
空を余所見すれば既に日は傾むいており、耳の通信機からはミレニアムタワーへと向かう彼女たちの芳しくない状況が流れてくる。
もはや、これ以上時間を割いてはいられない。
「仕方が、ない」
俺がそう言葉を発すると、彼女は動きを止める。戦闘の意思を絶ったと思ったのか、それとも
それを確認して、俺は剣を天上へと掲げる。
「人相手にこの力を使うことになるとはな」
真っ直ぐに構えたフラガラッハを、まっすぐ真下へと振り下ろす。その瞬間、その切先の軌跡になぞられて闇とも黒ともいえぬ線が引かれ、それが楕円形の形に広がる。厚みのない影の窓が俺の身体を通っていくと、その影が身体の至る所へと張り付き、やがてそれは金属質の装甲へと姿を変えていく。
かくして、
「待たせたな」
自分が今どんな見た目をしているかというと、TV版ウイングゼロの腕と足、そして特徴的な4枚2対の翼がパワードスーツのように身体に装着されている。また元々着ていた緑のタンクトップとジーンズは共にピッチピチのインナースーツに置き換わっており、胸とか腰回りのようなエ駄死な部分もTV版ウイングゼロに酷似したもので覆われている。そして両の手にはそれぞれツインバスターライフルとシールドが携えられていた。
変身の一部始終を見ていたアスナは驚いたのか、目を見開き口をキュッと結んだような顔をして黙ってこちらを見つめる。数秒後、彼女は元の笑顔に戻り、いやそれ以上に目を輝かせていた。
「おおーっ、なんか分からないけどすっごい強そう!」
「お、おお……?」
「今のとってもカッコよかったなー!ねぇねぇ、さっきのはどうやってやったの?」
(ん“ん“ッ)
も〜〜この自己肯定感爆上げオンナめ。別にカテゴライズしたいわけじゃないが、どことなくオタクに優しいギャルと近しいものを感じる*3。
「ゴホン」
ふぅ、危ないところだった。もう少しで堕とされるところだったぜ(手遅れ)。今やるべきことを思い出せ俺、気持ちを切り替えろ。
「……任務了解、作戦を開始する」
そう呟いた瞬間、アスナが一瞬で空へと跳んだ。それにほんの一瞬だけ遅れて、黄色の光の束がアスナの元いた場所にぶつかり、大きな爆発を引き起こした。
最初の連絡通路の上に避難したアスナは、まだ余裕そうで無邪気に笑っている。
「おお、すっごい強いビーム!でも、当たらないと意味ないよ〜?」
「ならば当てるまで続けるまでだ」
俺は地面を蹴り上げると背中の翼を展開し、ブースターを点火させ空へ飛び上がって彼女のいる高度を余裕で越え、頭上に陣取る。ツインバスターライフルを分割し二挺にすると、照射モードから単発モードへと切り替えプラズマの雨を降らしていく。だが通常の銃弾の数倍は速い、亜光速レベルの弾速であるにもかかわらず、彼女は華麗に全ての弾を避けていく。時々ありえないような方向に回避していくその様は、まさしくニュータイプのようであった。
(いくら神秘があっても目で見て避けられるような速さじゃない筈……やはり彼女の
まぁいい。俺の真の狙いは
その後もビームを天上から降らせ続けて数分。彼女は既に目で慣れてきたのか、先ほどよりは余裕かつ簡単にビームを避けていっている。
(ならば……そろそろ仕掛ける時か)
「おーい、そろそろ飽きてきたんだけどぉ?」
どうやら彼女も退屈なご様子……であれば丁度いい。
再度同じ位置へと陣取ると、再びビームの雨を彼女目掛け降らせる。先ほどまでやってきたことの繰り返しだ。
「だからそれはもう見たって えっ?」
つまらなそうに避けつつ、反撃のため先程の位置に銃口を向けるアスナ。だが既にそこに俺の姿はない。
「ここだよ」
「ッ!?」
今度はこちらが懐に入る番だ。彼女の目線の下の方から左半身を間合いに入れ込み、左腕に装備された盾による体当たりで彼女の身体を吹っ飛ばす。そして追い討ちに体勢を入れ替え、連結し直したツインバスターライフルを彼女に向ける。当然、目と勘の鋭い彼女は即座に反応して射線軸を脳内で計算し、空中での回避行動に専念するだろう。
だがそれも、ゼロシステムの予測の範囲内だ。
ライフルを構えたと同時に俺を覆っていた装甲が全て外れ、収束し、やがて鳥のような形になってアスナに向かい飛び立ったのである。
「わっ!?」
そして彼女の両腕を掴むと、有無を言わす暇すら与えずミレニアムタワーとは反対の方向へと彼女を連れていくのだった。「うわ〜〜!!!」というジェットコースターに乗ったような反応が遠ざかっていった。
「今の俺では、このくらいが限界……正面から勝つのはまだ難しいか」
流石に今の俺の
「さて、行くか」
もはや空に浮かぶ点になった彼女を一瞥し、俺はミレニアムタワーへと急ぐ。既に空は夕焼けに染まり、作戦もいよいよ大詰めを迎えようとしていた。
はい、ということで前ほんのちょっとだけ出てきてたMSがモデルのパワードスーツを着れる能力です。名前は最初決めていたのですが、色々あってなしにしました。
今回出てきたのはTV版ウイングゼロのパワードスーツ。アビドス編で殿(しんがり)を務めた時に使っていた形態です。お馴染みのツインバスターライフルやシールド、ビームサーベルやマシンキャノンなどの各種兵装が使えるほか、任意でゼロシステムも使うことができます。また変形機構はオミットされているものの、ビルドダイバーズリライズのコアドッキングみたいに装甲が合体して戦闘機(鳥型)になり、上に乗ったり下のアンカーを使って人やものを運ぶことができます。
今後も新たな形態が出てくるかも……ぜひお楽しみに。
レイ「なぁ、これって完全にインフx」
作者「やめなさい?」
感想・評価お待ちしております。