透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 どうも、今この前書きを書いている自分は百花繚乱編第二章後半をまだ読めていないHakone8510です。
 メインビジュアルでお風呂シーン出されたからほのぼのとした雰囲気で話が進んでいくと思い込んでいた俺たちの姿はお笑いだったぜ(パ◯ガス風)。ここから入れる保険があるって本当ですか(切実)。

 さて、今回の主人公は、因縁の相手と対峙するようです。


ダブルオーvsダブルオーって話。

「チッ、いい動きしやがるぜ」

 

「あははっ、何これ、すっごい楽しい!」

 

「……」

 

 校舎が壊れるのなんてお構いなしに、戦い続ける三人。本来2対1の一方的な戦いになるところだったが、戦況は互角  いや、若干ながらレイと思しき人物の方に傾いていた。二人それぞれと少女の実力差にそこまでの違いはない。だがアスナのそれとは違う、長年の経験に裏打ちされた勝負勘と直感は侮れるものではなく、加えてネルはアリスに対してそこそこに体力を消耗しており、さらに二人はさっきからなぜかはわからないが()()()()()()()()()()状況に陥っており、十全に戦えないでいたのだ。

 ネルが近接での撃ち合いの合間に鋭いハイキックで相手の体勢を崩し、その隙を後方のアスナが刈り取ろうとする。だが仰向けにのけぞった彼女はむしろその勢いを殺すことなくバク転で体勢を立て直すと、すかさず肩のバインダーで銃弾を防いで左手の剣を銃に変えて反撃を行う。細い、だが威力は桁違いのビームを間一髪で回避し、今度はアスナと少女が撃ち合う状況に。その間にネルは撃ち切ったマガジンを落として即座に新しいのを装填し直すと、再び少女に向かって飛び込んでいく。

 

「オラオラァ!!!」

 

「!」

 

ガキイィィン!!!

 

 少女に向けられたふたつの銃口は、右手の剣のひとなぎによって弾かれ、方向を逸らされる。しかし左の武器がアスナに引っ張られ、右の武器を手放させたこの状況こそ、ネルが望んだ展開だった。

 

「真ん中がガラ空きだァ!!!」

 

 ネルの左足先が少女の顎をとらえ、そのまま蹴り上げる。耐えきれなかったのか、あるいはその衝撃でそこまで考える余地がなかったのか、少女はのけぞったままに地面に倒れた。

 数秒もしない間の後彼女は立ちあがろうと上体を起こすが、その顔はすぐに苦悶に染まる。少女の腹の上にネルの足が押さえつけられ、鼻先に銃口があるような状況であればそんな表情をするのも無理はない。

 ただ余裕がないのは二人も同じであった。ためらいは要らないと言わんばかりに、息を整えながら敵の顔を見つめていたネルは、無言で引き金に指をかける。

 

「くウっッ!」

 

「「!?」」

 

 突如少女の体が赤く染まると、簡易的なネルの拘束を抜け出して、先ほど天から降りてきたのと同じような体勢に戻った。

 そして、今度こそ二人は、少女の動きを完全に目で捉えることはできなかった。

 

(なンだ……動きがいきなり3倍くらいに……!?)

 

 弾速というのは、銃の種類によっても変わってくるが、たいてい秒速600〜1000mと言われ、常人には目で追えないほどまでに到達する。だが生徒たちの中には例え秒速1000mだろうが避けられる者もいる。いわゆる上澄みと呼ばれる者たちであるが、ネルやアスナもその範疇に収まる生徒であった。

 そんな彼女たちが、一瞬とはいえ少女を見逃したのだ。自尊心を傷つけられるのも無理はない。

 だが自身の自信が揺らぐ音に耳を傾ける暇もなく、二人は少女の対応に迫られる。銃を構え、狙いを定めようと彼女の姿を探すが、いるのは視界の端ばかりで、なかなか動きを捉えきれない。

 

  !?」

 

 そして、気づいた時には。

 ネルの喉元目掛け、いかにも鋭利な刃が迫ってきていた。

 

(やべ……)

 

 ネルが「死」を覚悟したその刹那。

 赤白い光線が両者の間に割り込み、ネルと少女の距離は離れる。まさに間一髪、あと1秒でも遅れていたら、命を刈り取られていただろう。

 

「大丈夫か?」

 

 いつの間にか、自分の目の前に手を差し伸べる者がいる。先ほどまで戦っていた少女とほぼ同じような追加装甲(アーマー)(ただ若干ながら彼女の方のは色が鮮やか)に身を包んだ、希望に満ちた輝きを瞳にたたえる少女。

 

「フッ、おせーんだよ」

 

 ネルはそう言うと、面倒くさそうにしながらも伸ばされた手を掴んだ。

 


 

 ネルは俺の手を掴んで立ち上がると、アスナと俺の間に並び立って敵を見据える。

 

「随分今のお前ェと姿が似てンな。知り合いか?」

 

「……いや。生憎(あいにく)初対面だ」

 

 確かに敵の姿は、まるでコピー機に通したみたいに俺と瓜二つの姿をしていた。それは単純に容姿が、というだけでなく、彼女のアーマー……「ダブルオーライザー」に酷似したものを装備しているというのも共通している。

 だが、それ以上に疑問なのは。

 

(一体どうやって、あの機体の存在を知ったんだ?)

 

 本来キヴォトスはもちろんのこと、アフターコロニー世界にもあの機体は存在しない。というか、彼女の機体にある擬似太陽炉*1()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 となれば  

 

「だが、心当たりはある」

 

「ほーん?」

 

 何か聞きたそうな、ウズウズした瞳が俺の横顔を見つめる。だが、その話は後回しだ。

 

「とにかくあいつに色々聞きたいことができた。協力する」

 

 ビームガンと大型実体剣が一体となった武器、GNソードIIIの刃を展開させ、切先を相手に向ける。ちなみにお相手はビームライフルと実体双剣の複合武器であるGNソードIIをクロスさせ、俺が構えるのに合わせて臨戦体勢に入る。

 

「はっ、精々頑張ってついてきな!」

 

「よーし、先輩頑張っちゃうよ!」

 

 どうやら二人とも気合も体力も十分そうだ。全く、頼もしい限りである。

 

「行くぞ」

 

 その掛け声で、三人は一斉に各々の距離と位置に散る。まず最初に俺が全速をもって敵に接近し、大型実体剣を押し付けて鍔迫り合いを強制させる。相手はその状況をなんとか脱しようともんどりうったが、ブースターの出力をさらに上げて距離を離さない。

 

「くうッ……!」

 

 その時、彼女がたまらず唸る形で初めてその声を知る。基本的な声の高さは若干高いものの、その声質は俺のそれと酷似していた。

 姿形だけじゃなく、声まで似てるってか?つくづく謎は深まるばかりだ。

 

「フンッ!」

 

「!」

 

 限界が来たのか、クロスさせて巨大な刃を受け止めていた双剣をバッと広げ、俺との距離は十分に離れた。

 先ほどまでの行動からおそらく、近接戦闘は得意でないとみえる。さっきからずっと距離を離そうとしてくるし、視線が正面の俺とネルの両方を行ったりきたりしているところからも、自身が接近戦に持ち込まれると不利と思っている、そう察せられるくらいあからさまだった。

 現に、うざったらしく付き纏われて俺の方に集中してしまったことで、警戒していたはずのネルが死角から迫ってきているのに気づいていなかった。

 

「余所見すんなァ!」

 

「ッ!?」

 

 そう叫ばれて気づいた時には既に手遅れ、「ツイン・ドラゴン」の名前のように二体の竜の口の如き銃口が背面のスラスター部分に接地し、文字通り火を吹く。

 

ダダダダダダダダッ!!!

 

 実際のところ、あの世界のガンダムの防御力はGNフィールドと呼ばれる粒子のバリアによるもので、装甲自体はそこまで頑丈ではない。ゆえにサブマシンガンによる乱射も十数秒と続けばあえずに破壊されてしまうのだ。

 一通り撃ち切ったあと、ネルは彼女の体を蹴って距離をとり、次にバトンタッチする。アスナの番だ。

 

「いっくよ〜❤︎」

 

 俺の左斜め後方、ずっと支援に努めていたアスナが猛スピードで上がってくる。それを察知したのか、うつ伏せに倒れかかった体を起こした少女がすかさずビーム弾を撃ちまくった。だが、当たらない。特徴的なブロンドの長髪というある意味デットウェイトがあるとは思えない、まさに間一髪でそれを回避していく。そしてその合間にあくまで牽制として3点バーストでアサルトライフルを撃ちながら、急激に距離を詰めていく。

 その間に体勢を立て直した少女は、接近戦を予想してGNソードIIを剣モードに変え迎え討とうとする。だが剣を振りかぶろうと予備動作に差し掛かった瞬間、

 

「ひゃっほーう!」

 

「!?」

 

「実は私もさ、そこまで近いと苦手なんだよねー。と言うことで退散っ♩」

「そこから先は……二人にお任せしようかなー?」

 

 アスナはその脅威的な脚力をもって少女の真上を飛び越えたのだ。そしてアスナに気を取られている間に、左右それぞれから迫ってくる、二人のダブルオーに気づかなかった。

 

「はあああああああッ!!!」

 

 ネルお得意の、マガジンの弾を全部撃ち尽くす荒技が炸裂し、各部の破損と共に怯む相手。カチン、という弾切れの音と共に、俺とよく似た少女は盛大なモーションですっこんろんだ。

 この時を待っていた。ネルが作ってくれた大きなチャンスを、無駄にするわけには行かない。

 

TRANS-AM(トランザム)!!!」

 

 トランザム、それはGNドライヴに秘められた機能。一時的に出力を大幅に上昇させ、武装の威力上昇や高速移動が可能となるのだが、このアーマーのモチーフとなったダブルオーライザーのトランザムは、他のそれとは一線を画す力を持つ。

 相手も赤く発光した人型が見えたからなのか、対抗するみたいにトランザムを使う。斬撃と格闘の度重なる応酬、一瞬の判断ミスが命取りとなる竜巻のようなものの中を突き進みながら、俺はあることを考えていた。

 

(似ている)

 

 それは先ほどの、顔や体型、声や身につけているアーマが、という話ではすでにない。さっきから彼女と剣を交える中で、戦闘スタイルこそ異なるものの、彼女の戦闘技術、その根底にあるもの……才能、と言うべきか。そこが全く同じなような気がしてならないのだ。

 分かるんだ。相手が次どんな手を出そうとしているのか、それが防がれたら次はこう、その次防がれたら……。だからだろうか、トランザムしてからの俺の攻撃も彼女の攻撃も、いまだに一度も当たっていない。

 もしこの仮説が正しいのだとしたら、やれはするがやりにくい相手というなんとも心地のよくない敵だということである。ますます、その正体に興味を惹かれる。

 だからこそ、なんとか彼女を、落ち着いて話せるような状態にもっていかなければならない。

 

「オオオオッ……!」

 

「ッ……!」

 

 二人が、いや二機が加速していくにつれ、斬り合い殴り合いは徐々に激化していく。もはや俺と彼女、どちらの限界が先に来るのかの勝負になってしばらくした時*2()()はやってきた。

 ほんの一瞬、コンマ数秒にも収まるかどうかの隙とも言い難いような時間の中で、それまでずっと並んでいた力量が、わずかに相手の方が上回ったのである。ゆえに此方が相手の攻撃を受け止められる位置まで剣をもっていくまでに、相手の刃が先に俺の首に迫ってきていた。

 

(やられる  !)

 

 肌と鉄が接触しようかとなった、そのとき。

 

「!?」

 

 覚悟を持って敵を見据えていた眼前の少女は、あからさまに驚愕したのが分かるぐらい瞳孔が小さくなり、口は間抜けにも力が抜けたみたいに開いている。

 無理もない。目の前の敵が突然()()()()()()()()()()()のを見れば、誰だって同じような反応を示すだろうから。

 

「くそっ、どこに……はっ!」

 

 気配を察知したのか、自らの頭上を見上げる少女。そこには、とっくに回り込んで準備を終えた俺が構えている姿があった。

 

「トランザムライザー!!!」

 

 次の瞬間、今日で一番大きな光の柱が、音もなく少女をまるごと呑み込んだ。

 

 

 

 その後、気絶した少女の身体からアーマーと思しき部分を外し、七つの矮星(ジーベンツバーク)で出したワイヤーで手足を縛って動きを封じた。その後しばらくして、正確には先ほどの電話で心配になって確認しに先生が来てくれたすぐ後ぐらいに、俺に風貌のよく似た少女は目を覚ました。

 

「……尋問、というわけか」

 

 落ち着いて彼女の声を聞くと、俺の声よりもトーンの少し高いような気がしないでもない。だがそれ以外は俺と瓜二つな少女は、不服といった様子でもなく、ただ静かに何かを待っているように見えた。

 こういう態度の生徒に対しては、俺らが何かするよりも先生に対応してもらった方がよさそうだ。

 

“私はシャーレの先生、聞いたことあるかもだけど“

“君の名前を教えてもらってもいいかな?“

 

 そう質問された少女は、先生の顔を傍目に一瞥すると、以外にも素直に、だがそっけなく白状した。

 

「……テュポーン。それが私のコードネーム」

 

“テュポーン、っていうんだね。よろしく“

 

「よろしく?私は貴様らとよろしくするつもりなどさらさらないが」

 

 もはや答えることはないとでも言わんばかりにそう言い放つと、そっぽを向いて押し黙ってしまう。なんとも愛想の悪いやつだ……でも最初の頃の俺も、こんな感じだったのだろうか。今はだいぶ丸くなったと信じたい。

 

「さて、どうする先生?どう考えてもオレの出自と関係がありそうな奴だが」

 

“うーん、どうしようかな……“

 

「とりあえず建物ぶっ壊したのは事実だし、しばらく勾留所にでもぶち込んどくか?」

 

「え〜でもこんな可愛い子を独房になんて、可哀想だよ〜!」

 

 なんとも扱いの難しい名前だけわかった彼女の処遇について決めあぐねていると、突如強い風が穴の空いた窓から吹き込んできたかと思うと、いつの間にか俺たちとテュポーンの間に一人の少女が立っていた。

 紫がかった艶やかな長い黒髪を風に靡かせ、わからせたくなるような、でもわからせられなさそうな雰囲気を纏う紛れもない美少女。一度あったら忘れるはずもない、脳裏にこびりついたその存在がゆったりとした動作でこちらに微笑む。

 

「久しぶり、黎明のガイア……いや、今はレイちゃん、って呼ぶべき?」

 

「アフロディテッ……!」

 

 全てを惑わす美の女神、その名を冠する少女は、俺の動転した様子を見て、楽しそうに嗤っていた。

*1
機動戦士ガンダム00に登場する半永久機関「GNドライヴ」(別名:太陽炉)を、擬似的に再現したもの……と思われがちだが、実はこちらの方が先に開発されているT(タウ)型と呼ばれる物。GNドライヴは動力の核となるGN粒子の毒性を抑える措置がなされているが、こちらはその措置を行なっていない。

*2
と言っても、たった数秒後の話でしかない




アフロディテ「なぁんでそんなに怯えてるの?ふふっ、か〜わい❤︎」
レイ「おい、こいつはやくなんとかしてくれ……!」
作者「……じゃ、俺は仕事があるんで帰りますねー」
レイ「テメェ、オレをダシに逃げんな!!!」

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