透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
周年はティーパーティ+正義実現委員会の水着衣装でしたね。私はすり抜け星3は結構きたのですがなかなかピックアップに恵まれず、100連無料期間も星3確率二倍期間も大体一天井くらいでした……。みなさま募集(ガチャ)の結果はいかがだったでしょうか、是非コメント欄で教えていただければ幸いです。
さて、今回の主人公は、少女たちの抱える過去に触れるようです。
と、いうわけで。
我々は徒歩にて使われずに放置されていた別館へと向かい、日が傾き始めた頃にくだんの場所に到着した。これから一週間、合宿としてここに泊まり込みで勉強するためである。といっても寝室や普段使いする教室は綺麗に掃除されており、どうやら設備も老朽化したものは新しいものに交換されているようだ。普通に生活する分には困ることはないだろう。
着替えや日用品の入ったバッグや勉強用のBD、それと持ち寄った食料などを荷台から降ろし、各々のスペースに運んでいく。あらかた運び終わると、四人は運び込まれた荷物を整理し始めた。
荷運びがひと段落したところで彼女たちを先生に任せ、俺はバイクでトリニティの敷地から出る。C&Cと一緒に任務を行なって以来*1、定期的に周辺暴力団の掃討を共同で行なっており、今日がたまたまその日だったのだ。まぁぶっちゃけ俺だけいなくても作戦に大した支障はないだろうが、補習授業部の方は別に戦場に出るわけじゃないので俺の出番は少ないだろうし、いざとなればエンジニア部に作ってもらった
そんなことを考えながら、俺はバイクに跨り目的地へ向かう。
「あら、案外に早かったですね」
「……何してるんだ」
ミレニアム自治区近郊、とある高層ビルの一角。最上階にて右手にカップを、左手にソーサーをもち、お馴染みの電動車椅子に腰掛け悠々自適に下の景色を見下ろす白いヤツにして我らが部長、明星ヒマリがいた。その傍らには、今回作戦に参加するC&Cのメンバーもいる。
「見て分かりませんか?病弱儚げ美少女系お嬢様がメイドにコーヒーを淹れて貰っているのですよ」
「……アカネ先輩、うちの部長に付き合う必要はないんだぞ」
「作戦時間まで
そう言いながらコールサイン03の室笠アカネは集まった面々に一杯ずつコーヒーを振る舞う。
「これすっごくおいしー!アカネちゃん、これすごくおいしーよー!」
「う〜ん、ちょっと熱いかも……」
一口啜ってにぱーっという効果音が聞こえてくるほどの笑顔を見せているのは、大型犬ことコールサイン01の一之瀬アスナ。そしてその隣では舌も熱がりな部活の仲間である和泉元エイミがしきりに息を吹きかけていた。
俺もアカネに促されて一杯いただく。ふむ、普段あまりコーヒーは飲まないが、確かにこれは中々……ってそうじゃなくてだね。
「で、今回の作戦の概要は何だ?」
「今回の掃討対象はヘルメット団分派、アヤト組となります。二週間ほど前からミレニアム自治区領内に拠点を構え、この短期間で強盗や暴行、みかじめや詐欺などの被害が少なくとも500件以上報告されています。セミナーはこれ以上の放置は非常に危険だと判断し、組員の捕縛及び殲滅を私たちに命じています」
「作戦開始は十数分後。集会か何かがあるみたいで散らばっていた組員が集まってきているから、集まりきったところで叩くって寸法」
アカネとエイミは簡単ながらも丁寧に教えてくれた。その後作戦の詳しい内容について話し合い、あらかた形になったところで時間が迫る。アカネは準備があるので先に初期位置へと向かい、俺たちも準備を進める。
「……そういえば部長はどうするんだ?」
ふと気になったことをそのまま口にしてみた。ここは集会があるという場所からはまぁ離れているが、何かの拍子で敵さんらが散り散りになってここに逃げ込んでこないとも限らない。彼女は自称する通り病弱美少女(?)であるため、戦闘能力がそれほどあるようには見えないのだが……。
「私はここで見ていますよ、あなた方の実力をこの目で見ておきたかったですし。……おや、もしかして私を心配してくださるんですか?」
「いや……だが、しかし」
「ふふふ、心配には及びません。今回はあの
仏頂面?護衛?遠回しな言い方だからか、その人物に思い当たりがない。
「あなたは気にしなくても大丈夫です。さぁ、あなたの力を早く見せてくださいな」
出発を急かすように言われ、俺は渋々ビルを降りて行った。
「彼女が気になりますか?」
「……いえ」
「おやそうですか。私としては、あなたはああいう人を好むものかと思っていましたが……」
「私はあの方の護衛。好む好まないなどありません」
「……もしかして私とお喋りするの、嫌いだったりします?」
「……」
「……あの朴念仁の護衛をやれるなんてどんな人かと思いましたが、まさかここまで似ているとは……」
「でしょう?幻の“コールサイン04“さん?」
「敵襲だ っ!」
「ミレニアムの連中が来たぞっ、迎え撃てェ !」
集合場所であったビルを出発してから約10分後。俺とエイミ、そしてアスナは混乱と銃弾の渦中にあった。なぜそうなったかといえば、まず開幕アカネの絨毯爆撃によって組員の4分の1が壊滅。それに続く形で俺たち三人が突入し、見張り役として入り口に立っていたさらに4分の1が消し飛んだ。よって残りは全組員の半分ほどになる。
とまぁ半分と言ってもあと二百人近く人数残っているのだが、さっきの被害との混乱ぶりを見る限り問題ないだろう。
といった調子で、いつもの蹂躙が始まったのであった。
その日の夜。ようやく任務が終わってトリニティの別館へ帰ってきた。
怪我こそしなかったが、長丁場だったために疲労が体に溜まっている。今日は部屋や施設を掃除することになっていたらしいので、綺麗であったかい布団で寝れるといいのだが。
そんなことを考えながら玄関のドアを開けると
パァン!
「!?」
次の瞬間、何かが破裂した音と共に霧のようなものが視界いっぱいに広がり、夜の暗さも相まって周囲の状況がわからなくなった。
「これは……」
ふと、補習授業部の中で集合初日、正義実現委員会とゲリラで数時間やり合った奴が一人いたことを思い出す。常在戦場を文字通り自で行く彼女なら、自分が過ごすところになる場所にトラップを仕込むぐらいはやりかねない。
(独特な甘い匂い……撹乱用のスモークか)
そんなことを考えていると、背後からわずかだが風の流れを感じた。俺は右腰のホルスターに収めた「HEAVY-GUYS」を引き抜くと、振り向きざまに彼女の頭があるであろう方向に銃口を向ける。やがて煙が引いていき、景色がクリアになってくると、玄関を隔てて二人の少女が銃を向け合っているという構図がそこにはあった。
「やはりお前だったか、アズサ」
「トラップの作動した音がして来てみたが……まさか反応してくるとは思わなかった」
お互いに言葉を交わしながら武器を収める。
「こんな深夜まで警備を?もう寝たとばかり思っていた」
「敵は私たちが油断した時に攻めてくる。夜間に誰かが見張っていなければ、この施設内に侵入してくるかもしれないだろう」
「……一応トリニティの敷地内だし、よっぽどのことがない限り部外者は入ってこないと思うが……」
「だが入ってこないとも限らない。警戒しておくに越したことはない」
アズサがお得意のばにたす顔*2で自信満々にそう言われれば、俺はそうか、で受け入れるしかなくなる。
「あら、お二人ともここにいらっしゃったんですね」
唐突に現れた優しい声と共に近づいてきたのは、寝巻き代わりの体操服に身を包んだハナコだった。どうやらアズサを追いかけてきたようだ。
「さっきぶりだな、ハナコ。もう寝に行ったのかと思ってたけど」
「アズサちゃんと別れた直後に何か大きな物音がしましたから、気になりまして。レイさんも、深夜までご苦労様です」
「あ、ああ。気遣いどうも」
……こう見ると、普段は周りより大人びた少女って感じなんだけどなー……。今不覚にも、仕事が終わって家に帰り、玄関を開けたら新婚の奥さんに迎えられた、みたいな気分に……何の妄想をしているんだ俺は。
「それより、もう23時です。今日は一日中この館を掃除して疲労も溜まっているでしょうから、明日に備えてもう休みましょう」
依然として夜間警備に勤しもうとするアズサに、寝室へ戻るよう促すハナコ。
「しかし、ハナコ……」
それでも彼女は納得がいかないようで、目つきが鋭くなり、再びアサルトライフルのグリップに手がかかる。
「明日から本格的に試験合格を目指して対策していくでしょうし、成績の悪いわたしたちにとって勉強は掃除よりも大変でしょう。それに知識を定着させるには適度な睡眠時間を取ると良いとされています」
「……」
「心配な気持ちはわかりますが、トリニティの敷地周辺には正義実現委員会の方々が見回ってくださっています。私たちは自分たちのことに集中しましょう」
論理的な理由、科学的な根拠、相手に寄り添った言葉遣い。普段公然わ◯せつの言い訳に使われる巧みな会話力によって、いとも簡単にアズサを納得させることに成功した。
「……わかった」
ハナコの説得に対し少し寂しげに返したアズサは、俺たち二人の間を通り抜け、脇目もふらずに寝室のある方向へ走っていった。
「ありがとうございました、レイさん」
銀髪の彼女が夜の暗闇に紛れその姿が見えなくなったあたりで、隣のハナコはそう言って俺に微笑みかける。
「……俺は何もしてないぞ」
「いえ。あなたが玄関でアズサちゃんのトラップに引っかかり、その対応に彼女が出てこなければ、私もきっと勇気を持って話しかけられなかったでしょうから」
「……勇気?君はいつも誰にでも気軽に話しかけているように見えるが」
「……それは、」
珍しく彼女の表情に影がかかり、息の詰まったようなものに変わる。いくら鈍感な俺でも、それが彼女の心の深層へ辿り着くキーワードであることは容易に想像できた。
(これ以上は、先生の領分か)
「すまん、不躾なことを聞いた。軽い見回りは俺がやっとくから、お前もゆっくり休んでくれ」
「それは助かりますが、あなたも……」
「少なくともお前たち四人より疲労は少ない。それに明日も大して俺がすることないからな。安心して任せてくれ」
「そ、そうですか……ではお言葉に甘えて、おやすみなさい」
そう言って、さっきのアズサと同じように、彼女も明かりのない廊下を進んでいき、やがてその姿は見えなくなった。その後ろ姿が、彼女にしては珍しく、酷く小さい気がした。
レイ「二人の心の闇を、彼が払ってくれればいいが……」
今回はちょっと文量少なめです。
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