透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 どうも、最近散財しすぎて自分の金銭感覚に危機感を覚えてきたHakone8510です。
 といっても別にパチンコや酒・タバコにお金を費やしているとかではないんですが、どうも欲しいものがあるとすぐ買おうとしちゃうんですよねー。そのうち借金とか作りそうでもう心配(他人事)。今月辺りから自制しようと思っております。みなさんは何かに散財したことはおありでしょうか?

 さて、今回の主人公は、全てを背負った彼と話すようです。


守りたい世界と新たなる翼の話。

 開戦の合図とほぼ同時に、俺とアズサは真正面からイクサに向かって突っ込んだ。彼女がそれを迎撃せんと盾をこちらに構えたところで、アズサはフルオートでその盾めがけ銃弾を叩き込む。その隙に俺は真上へと飛び上がって背後を取ると、フラガラッハを抜刀し全力をもって斬りかかる。

 

ガキィン!

 

 しかし完璧に見えた挟み撃ちさえも、アズサの方は盾で、俺の方は剣でどちらも受け止められてしまった。

 

「その程度か?」

 

「クッ……」

 

 尚も余裕そうに笑うイクサは、剣と盾を器用に用いて俺たちの身体を外へと弾く。ハスミのライフル弾とコハルのグレネードがそれを縫うように撃ち込まれ投げ込まれるが、それすらも容易に弾いてしまった。

 

「あれを見切るとは……中々やりますね」

 

 挟み撃ちがあまり意味をなさないと見て、今度は2人とも前から攻撃を仕掛ける。アズサはアサルトライフルと近接格闘を駆使して隙を埋め、俺はフラガラッハとハンドガンで多彩な攻撃を繰り出し、時々ヒフミやコハル、ハスミの援護で畳み掛け、更にはハナコが前衛の体力・傷を回復する。今の今までほとんどチームでの戦闘などやったことのない俺たちであったが、いざやってみると中々良い連携が取れいているのではなかろうか。しばらくアズサと俺で前後をローテションしつつ攻撃し、時には受け流して反撃、防御といった行動をとっていく。戦闘開始から数十分経過してなお、状況は膠着を保っていた。

 だがそれらをもってしても、本人の性格とは裏腹に、イクサの鉄壁の防御とその中から繰り出される堅実な攻撃を攻略ことはできていなかった。

 

「そこだ」

 

「ッ!」

 

 策を考えている一瞬の緩みに反応されてしまい、剣の柄底で腹を殴られ先生やハナコのいるところまで吹き飛ばされてしまった。

 

“レイ!“

 

 足に力を入れて立ちあがろうとするが、へそから力が抜けていくような感覚がして中々立てない。

 

(アバラ骨が何本か逝ったか……ちょっとまずいな)

 

 ハナコが珍しく心配そうな顔を表に出してこちらに駆け寄ってくる。

 

「今すぐ治療します。あまり動かないでくださいね」

 

「……」

 

 このまま動いてもアズサや援護組の邪魔になってしまうことがわかっているので、おとなしく治療を受けることにする。幸い怪我は十数秒後には回復し、その数秒後には動けるようにはなったが、その間にアズサがかなり押されて後退し、先生立ちとイクサとの距離が縮まってきているのが分かった。

 フラガラッハを逆手に握って体勢を立て直すと、すぐさまイクサの猛攻を耐え続けるアズサに加勢する。

 

「すまない、大丈夫か」

 

「問題ない。そっちの怪我は?」

 

「ハナコが治してくれた。作戦に支障はない」

 

 互いの状態を確認しあっていると、イクサが横槍を入れてくる。

 

「敵の前で雑談とは、ずいぶんと余裕があるらしいな?」

 

 彼女の渾身の振り下ろしが、その細身の体格が持つ膂力(りょりょく)から放たれているとは思えないほどに地面を破壊し、地盤を揺らす。

 

「化け物か……!」

 

 今まで会ってきたオアシスのタイタンたちは誰も突出した能力をもっていたが、ここまで対人戦闘に全振りしているのはコイツくらいだろう。常人がどれだけの時間を費やしても成し得ない筋力・反射神経・戦闘センス……何より何百、何千という人と命のやり取りをしてようやく到達できるレベルの「闘気」が既に練り上げられている。確かに彼女の言う通り、並大抵の相手では満足できない体になっているだろう。

 そして、何度も剣と剣を、剣と盾をと打ち合うことで、分かったことがある。

 

(俺は……彼女の言う「強者」にはまだ及ばない……!)

 

 イクサのガトリングの如き怒涛の攻撃をただ黙って受けることしかできない俺は、たとえあの「変身」を用いたとしても太刀打ちできないだろう。

 だが  

 

()()()()()ことは、できるはずだ……!)

 

「ハアッ!」

 

「甘い!」

 

 鋼どうしのぶつかり合う音が周囲の建物にこだまする。互いに互いの体に傷をつけることは叶わなかったが、その気迫と単純な力に押されて後ずさる。

 ふと振り返ってみると、メンバーの多くが既に疲弊している。特にヒフミやコハルが既に息切れし始めており、これ以上まともに戦闘を続ければいずれ体力の限界が来てダウンしてしまうだろう。

 

「……アズサ。少し時間を稼いでもらえるか?」

 

「何か考えがあるんだな?分かった、できる限りのことはする」

 

 そう言うとアズサはどこからか正義実現委員会に捕まった時につけていたあのガスマスクを装着すると一気に高く跳躍し、イクサに対し上空から奇襲を仕掛ける。無論それに反応できない彼女ではなく、いとも簡単にそれを盾で受け止めると、それを起点に片手剣を槍ののように用いて突きを繰り出す  だがアズサはそれすらも背中の羽とスカートの浮遊感をうまく使って空中で体を制御し、イクサの懐に潜り込む。

 

「ッ!」

 

 イクサの顔が少し引き締まり、剣速が一段階上がる。無数の剣戟とシールドバッシュを織り交ぜた攻撃を、全身の関節と翼を器用に駆使して避ける。互いの攻撃がぶつかり合うことで衝撃波が放たれ、誰も近づけないほどに勢いを増していく戦いを、先生や補習授業部、ハスミは遠くから見守っていた。

 そんな光景を前に、俺は精神を剣に集中させ、ゆっくりと目を閉じる。おそらくあの戦闘狂相手に鎧を纏うとしても、ウイングゼロの遠距離射撃は通用しないだろうし、ダブルオーでは消耗が激しい分長期戦には向かない。となれば俺が呼び出すのは  

 フラガラッハを頭上に掲げ、俺の体を黒色が包み込んだ。

 


 

 意識が戻りゆっくりと目を開くと、先ほどの景色とは打って変わって海辺に来ていた。岩肌の見える海岸には慰霊碑のようなものが建てられており、ここが昔戦場だったことを示していた。

 そして、俺の数歩目の前に立つのは、女性と見紛うほど細身で高身長の男性が横目に海を眺めていた。

 

「綺麗だね、海」

 

「……」

 

 そう言われて、海の方へ視線を向ける。水平線に沈みかかっている太陽が空を赤く染め上げ、その色を反射する海は燃え上がっているようにも泣いているようにも見える。

 

「君は……」

 

「?」

 

「何のために、戦っているんだい?」

 

「何のために?」

 

「僕はこれまで、色々な人と戦ってきた。大切な人の敵討ちため、誰かに認めてもらうため、そして自らを生み出した憎き人類を抹殺するため……彼らはそれぞれの目的をもって戦争に向かっていた」

 

「……」

 

「でも僕はそうじゃなかった。ただ周りにいる人を守りたくて、がむしゃらに敵を討ち続けてきた。なまじ僕には戦う才能があったから、目的もないまま敵とぶつかって、多くの人の願いを潰えさせてきた。それを分かっていても、僕は僕の大切なものを守りたかった……けど僕は……」

 

「それは違うな」

 

 それ以上の言葉を俺は許すことができなかった。

 

「お前は多くの命を救った。勿論救えなかった者もいただろう、だが冷静に考えてみろ。人1人が1人の人間の命を助けるのだって難しいのに、お前は何百、何千、何万という人々を救ってきた。褒められるべきではあるが、貶められるべきではない」

 

「……」

 

「だがもし、それでも自分が奪ってきた命に罪悪感を抱えているのなら……彼らの命を背負うつもりで生きろ。自分の奪ってきた命に、報いるためにも」

 

「……ッ!」

 

 俯いていた彼はようやく顔をあげ、目線が合う。

 

「俺の戦う目的は、完全平和主義者みたいに世界から戦争を根絶することじゃない。守りたい世界(大切な人たち)と明日を生きていくために、この力を使う。どれだけ取り繕おうと、この信念は変わらないと約束しよう」

 

 俺は目の前の彼にスッと手を差し伸べる。彼はそれを見つめてしばらく逡巡したのち、ゆっくりとその手を握った。

 

「分かった。君の守りたい世界のために、僕の新たなる剣を君に渡そう」

 

 彼の握る手に力がこもり、同時に暖かくありながら鋭い光がそこをつたって俺の体に流れ込んでくる。

 

「思いだけでも、力だけでもダメなんだ。それを、どうか忘れないで」

 


 

 アズサは時々ハスミやハナコの援護がありつつも、ほぼ1人でイクサと対峙していた。アズサはとにかく距離を詰めて防御の緩みを探り続け、イクサは防御に徹しながらもアズサが致命的な隙を晒すのを待ち続けていた。何度目かも分からぬこう着状態の最中、()()は突然訪れた。

 イクサが距離を取ろうと後ろに下がり、アズサがそれを追いかけようとした瞬間だった。長時間の戦闘によって精神・肉体共に疲弊したからか、アズサは追いかける方向を見誤り上体がイクサの真横にくるように位置どってしまったのだ。慌ててそれを修正しようと右足でブレーキをかけ、体をその方へ回そうとするアズサだったが、既にイクサは彼女の向けた背に致命的な一撃を頭上から振り下ろさんとしていた。急いで踵を返そうとすることすら想定済みの一撃だった。

 剣が彼女の翼を切り落とそうとした、次の瞬間  

 

バシュウン!

 

「ッ!?」

 

 突如イクサの頭上に掲げられていた剣が爆発し、2人がそれぞれ反対方向に吹っ飛ばされる。

 

「ふぅ……時間こそかかってしまったけれど……()()()()()

 

 右の機械の手(アーム)を握りしめ、周囲をぐるっと見回す。周辺の状況をあらかた確認すると、()は彼らの方へと近づいていく。

 

「大丈夫かい?白洲さん」

 

「ああ大丈夫……って、その口調は?」

 

「ああこれ?僕の使えるこの能力  僕は仮に魂の鎧(ファントム)と呼んでいるけれど  これを使うと、その魂の形に沿う様に口調とか性格が一定時間矯正されるんだ」

 

 他の二つ(ウイングゼロとダブルオー)は魂が魂だったので*1変身しても性格面での変化は特に見られなかったが、この魂……フリーダムのはかなり普段の俺とずれている。違和感はどうしたって拭えないだろう。

 

「安心してよ。僕の性格そのものは『俺』のままだから」

 

「そ、そうか……」

 

 『僕』はかがみ込むと、へたり込んだ彼女に向かって手を差し伸べる。あの空間で『俺』が彼にそうしたように。

 アズサはそれを掴んでゆっくり立ち上がると、新たな力に目覚めた僕を前に何かを滾らせるイクサを見据える。

 

「いいぞ、いいぞその姿……私のそれとは対極にある『守るための力』!さぁ見せてくれ、その輝きを私に、Hurry Up(さぁ早く)!!!

 

「僕には守りたい世界がある……そのために、君と戦う!」

 

 舞い降りた剣は、自由の翼となって空を駆け出した。

*1
ウイングゼロの魂は言わずもがな。ダブルオーの魂も、ウイングゼロのと口調や性格がそこまで変わらない。




レイ「口調がどうも柔らかくなっちゃうんだよね、あれを使うと」
作者「普段からそれ使えばいいのに……」
レイ「今なんか言ったか?(怒)」
作者「スミマセン」

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