透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話 作:Hakone8510
もはや今回は、最初のハイテンション主人公が書きたくて書いた。そして相変わらず戦闘描写難しいよぉ……有識者の方いたら感想欄でアドバイスください。
『いるなら早く返事して。別に私も暇じゃないんだから』
声に次第に苛立ちが混じってきたが、それでも俺は彼女に言葉を返さなかった。否、返せなかった、の方が正しいかもしれない。
なぜなら
(あびゃびゃびゃびゃああああぁぁぁぁ!?!?モノホンがいるよおおおおぉぉぉ!?!?!?)
またもや
何を隠そうこの俺、ブルアカをプレイして最初に引き当てた⭐︎3生徒が彼女だった。彼女をお迎えし初めて
もちろんビジュアルだけでなく任務を遂行する際の冷静な一面と、今の流行が気になって密かに調査する年相応の一面とのギャップがたまらなく
『聞いてるの?』
あやっべ、完全に
マイクをオープンチャンネルに接続すると、わざとらしく咳き込んでから電源を入れた。
『聞こえている』
まただ。緊張しすぎて威圧的な声になってしまった。しかも今度は前世からの推し、緊張度はユウカとは比べ物にならない。
それでも一縷の望みをかけて、交渉を持ちかけようとする。
『こちらに交戦の意思はない。そちらが望むなら速やかに退却してもいい』
『そうだろうね。でも、こっちも仕事だから
どうやら甘い考えだったらしい。彼女は俺を逃すつもりは微塵もなさそうだ。
『あなたに残された選択肢は機体を捨てて降参するか、私とやり合うかの2つに1つ』
それはもはや脅迫ではない、明確な宣告だ。
『どっちを選ぶ?』
『……』
……なるべく推しとは、こう言う形で出会いたくなかったんだけどなぁ。
『いいだろう……だが、命の保証はしないぞ』
ま、険悪から始まる仲ってのもオツなものかなと馬鹿げたことを考えながら、ビームサーベルを偽ヘビアに向けて構える。
『来い』
機械仕掛けの戦士たちのバーニアが、一斉に火を吹いた。
今日はいつにも増して気が立っていた。
最近立て続けに起こり始める暴動に対処するため、時には他の学園とも協力しながらほぼ休みなしでキヴォトスを駆け回っていたのに、それでもセミナーから舞い込むタスクが一向に終わらない。
流石に睡眠時間にはまだ手をつけていなかったけど、普段は飲まないエナジードリンクを最近は毎日3本も飲んでしまっている。健康的とはかけ離れた生活に変わってきているのは自明の理だった。
でもやらなければ終わらないと何度目かもわからぬ一念発起を行い、仕事に取り掛かろうとした今日の昼頃に
ビーッという独特の音声が、ノートパソコンから発される。我らが特異現象捜査部の実質上層部であるミレニアム学園の生徒会、セミナーからの連絡であることを示す音だ。
何事かとノートパソコンを開き、届いたメールを確認する。発信元は早瀬ユウカ……
『D.U.ポイントθにてMSによる襲撃を受けました。火急速やかにMS部隊による対処を要請します』
「……はぁ〜」
ほんとは溜息なんてつくつもりはなかったし、セミナーと部の関係上ついちゃいけないけれど、無意識に漏れてしまっていた。
「今度
面倒だから後回しにしても良かったけど、緊急といわれれば仕方がない。
大した意味もなく買ったゲーミングチェアで体を伸ばした後、
「MSの戦闘は……まだあんまり慣れてないんだけどなぁ」
面倒臭さと多少の苛立ちを精一杯の愚痴で誤魔化しながら立ち上がり、部室のドアへと歩き出した。
特異現象捜査部には唯一、それ以上ないほどの欠陥がある。それは部員の数が致命的に少ない、と言うことだ。
一応今年新たに部員*2が来る予定だが、最高学年の先輩な上戦闘があまり得意じゃない(そもそも戦えるのかすらわからない)、当部の
なので、私以外の機体はすべて
「全システム異常なし、補給満タン、操縦誤差0.5秒以内を確認」
モビルスーツは出撃前の確認事項が多い。でも事故に遭ったら嫌なので、一つずつ丁寧に確認していく。
「全
操縦桿に手をかけ、強く握り込む。
「和泉元エイミ、『アームズオード』、出る」
まるでジェットコースターの下り坂のようなGが前からかかる。この感覚には、いつまで経っても慣れない。
自分がカタパルトから飛び立つと、それに続いてMDたち、トーラスが私の後をついてくる。こうしてみると親アヒルの後ろに並んで歩く子アヒルみたいで、ちょっと可愛いかもしれない。
……やっぱりまずい、感覚が狂ってきている。今日の夕方にも、休暇を打診をしに行かなくては。
指定されたポイントには割とすぐに到着した。というかD.U.の市街地まではミレニアムからそう遠くないこと、一般的なMS・MDでも電車以上のの速度を出せることを考えれば、すぐに着くのも当然か。
指定ポイントは、連邦生徒会が現在使用していない建物の周辺。正確な位置がわからないのでとりあえずその建物の前に行こっかな。
「およ」
まずは索敵かなーと考えていたら、なんと対処目的らしきMSがその建物の前に立っていた。
トリニティ学園の生徒を連想させる天使のような羽根を背中に携え、機体色は赤・青・白の
「ちょっと、まずいかも?」
機体全体の特徴は見たことのないものだったけど、相手が本当にガンダムならばアームズオードはともかくとしても、この程度の物量では御するどころか気休めぐらいにしかならない。それほどまでにガンダムとその他のMSには圧倒的な性能差がある。
可能であれば、いますぎにでも尻尾を巻いて逃げ出したい。けどもしこのガンダムが連邦生徒会やその他の学校に敵意を持つような者が操縦しているとなれば、逃げるわけには行かない。逃げてしまってはキヴォトス全体に悪影響が生じるだけでなく、ミレニアムの威信も落ちてしまうからだ。だからいまある戦力で、なんとしてもあのガンダムを止めなければならない。
急に心中を襲った不安と使命感に押しつぶされそうになりながらも操縦桿を動かしてそのガンダムの前に降り立つと、すぐさま右手に持つショットガンを頭部めがけて構える。
『そこのガンダム、聞こえてる?』
『来い』
戦いの火蓋が切られたと同時に、俺は機体の向きをそのままに後方へ飛び立つ。
ウイングゼロは近・中・遠と距離を選ばずに戦うことができるが、流石にこれほどまでに密着した状態で十数機を相手に出来るほど格闘戦には秀でていない。なので一旦距離を取ろうと考えたのだが……。
『逃がさない』
しかし偽ヘビアがそれに合わせてショットガンを向け、一切の躊躇いもなく発射してくる。
ドキュウン!!
放たれたビームの弾丸は、こちらが咄嗟に避けたおかげで左手の方へと掠めていった。が、そのおかげで十全に距離を取れないまま後方に待機していたトーラスにビームカノンを構えさせる隙を作ってしまった。
相手のトーラスが装備しているビームカノンはガンダニュウム合金すらダメージを与える強力なビーム砲である。一応機体の向きはあちらに向けたままのため機動部系に異常をきたすことはほぼないが、修理できるかどうかもわからない代物なのでなるべく傷をつけたくない。
「クッ!」
主翼を大きく動かし、副翼のバーニアの出力を最大まで上げることでなんとか一斉射撃を回避する。
「いきなり容赦ないな……だけど」
そのまま後方へ一気に加速してその場を離脱しながら、肩のマシンキャノンをトーラス達めがけ連射する。牽制のつもりだったが、結果的に1番先頭で俺を追っていたトーラスの頭部に直撃し、抉れた。
「ッ!」
しかしそのトーラスはカメラを破壊されてなお、ビームカノンを乱射しながらこちらに接近してくる。
普通のパイロットなら、カメラを破壊された場合、正常に操縦することができずそのまま真っ直ぐ進み続けるか奇怪な挙動をし始めるかの二択だ。だがこのトーラスは狂ったような動きながらも目標を見失ってはいないし、どうにも直線的で徐々に機体が削れ、撃墜一歩手前の状態まできているにもかかわらずこちらの攻撃を避けようともしない。
「やはりモビルドールか……ならば遠慮なく……!」
一気に上へ飛び上がりざまにビームサーベルで一撃、さらにそこから一回転してすれ違いざまにもう一撃を喰らわせる。
ドカアアァァン!!
『流石に、やるね』
すると偽ヘビアが、急激にこちらへ落下しながら左手のガトリングで強襲してきた。
「いつの間に…!」
ヘビーアームズお得意の濃密な弾幕に怯みつつも躱し、近づいてきたトーラスの胸部にビームサーベルを突き立てる。
「これで2機目……!」
だが偽ヘビアの波状攻撃とビームカノンは一向に衰えず、むしろ勢いを増すばかり。
「しゃーない。
一旦飛行をやめて地面に着地し、普段は主翼に一挺ずつ格納されている長身の黒いモノを取り出して片方だけを空へ向けて構える。
『あれは…ライフル……?』
動きを止めたの瞬間、トーラスたちは一斉にこちらに接近してくる。おそらく今が好機と捉えたのだろう。だが……それは
『…ッ駄目、止まって!!!』
(今だッ!)
ギュオオオオオオオォォォオオオオン!!!!!
トリガーを引いた瞬間、あたりは金色の光に包まれ、鼓膜をつんざく音と凄まじい反動がコクピット内を襲う。やがて光が収束していくと、群がっていたトーラスの姿はそこにはなかった。
「これがツインバスターライフル…一挺で、しかも30%の出力でこの威力か……」
ツインバスターライフル。ウイングガンダムゼロの代名詞的存在であり、その出力は大都市の人間が一週間に消費するエネルギーの数倍とされ、多くの敵をいとも容易く葬ってきたおそるべき武装である。
劇中では直撃したMSはすぐに爆発していたが、実際はどんなもんかなと軽い気持ちで撃ってみたらこれである。当たった瞬間爆発すらせず、トーラスの群れは軒並み蒸発してしまったのだ。
『……やっぱり、あなたは危険』
その光景を側から見ていたであろうエイミがそう溢す。部隊の大半を失ってなお、依然として臨戦体制を解かない彼女であったが、もはや戦力差は歴然であった。
『……もう一度言う。これ以上深追いするな』
推しを撃ちたくはない。というか撃つつもりは微塵もないが、このままだとうっかり攻撃を受けてしまうかもしれない。それを回避するためにも再度説得を試みるが。
『いや、ここで排除しなきゃ。あなたを……いえ、そのガンダムを野放しにするのは危険すぎる』
刹那、偽ヘビアの全身のハッチが開き、ガトリングの銃口やミサイルの弾頭が顕になる。
『ちょっ……』
『これで!』
機体の至る所から一斉に発射された弾幕の雨あられが縦横無尽に空中を駆け巡り、こちらに向かってくる。
「なんで俺ここまで嫌われて……?」
正直ここまで危険視される理由は全くわからないが、エイミが中々に諦めてくれないのは目下の事実。
ともかく弾幕を捌くため、ビームサーベルとマシンキャノンを駆使してミサイルを順々に誘爆させ、こちらにくるダメージを最小限に減らす。そしてその誘爆によって舞い上がった煙を利用し、一気に最大速度まで加速して偽ヘビアに接近する。
「悪く思うなよ……!」
ビームサーベルを脇腹に構えて力を溜め、フェンシングのように一瞬で突きを放つ。
「やめてえええええっ!!!」
ガッシャアアアアン!!!
煙と光が辺りを覆い尽くし、大きな爆発音がこだまする。
しばらくしてもうもうと立ち込めた煙が引いていくと、そこにはビームサーベルで頭部を貫かれた偽ヘビアが完全に手足を脱力させたような風貌でそこにいた。そしてその傍には、先ほど助けたユウカが立っていた。
(さっきの声はユウカが……でも、なぜここへ戻ってきた?)
走ってここに来たからなのか、息も絶え絶えになっているにも関わらず、ユウカは俺に聞こえるようにとびっきりの大声で続けた。
「ごめんなさい!不良のMSに襲われた時に、咄嗟に学園のMS部隊を呼んでいたことを忘れていたの!」
なるほど、合点がいった。
先ほど立っていたリーオーカスタム(?)が不良の乗っていた機体で、そいつがなんらかの用事(おそらくチュートリアルのシャーレ部室奪還であろうが)で来ていたユウカ(たち)の行手を阻んだのだろう。そして自分では太刀打ちできないと判断してエイミに連絡し、MSの出動を要請した。けど、そのすぐ後に俺が来て、呼ばれたエイミよりも先にリーオーを戦闘不能にしてしまい、時間差でやってきたエイミが俺を排除目標だと勘違いしてしまったというわけだ。
ハイ、テレビの前の皆んなへの解説終わり*3!
この間わずか2秒である。
「あっ、まずはエイミを助けなきゃ!ごめんなさい、重ね重ね悪いんだけど、ちょっとそこで待っててくれない!?」
情報の脳内補完を終えたところで、ユウカがハッとした表情をして声を上げた。頭部がメチャクチャになり、正座のような形で座り込んだ偽ヘビアにユウカが駆け寄ってゆく。
「……ふぃー」
給料が発生するわけでもないのに、謎の「一仕事終えた」感が、今の俺の体中を支配していた。
○ちょこっと機体解説「トーラス」
かつて空戦においてOZの主力機として活躍していたMSエアリーズに替わる航空戦力として開発された可変MS。
一応最初の頃は有人機として生産が進められていたものの、モビルドール・システムの有用性が証明され始めると本機がMDとしての適正がかなり高いことが判明し、主流を無人機仕様の生産にシフトしたという逸話がある。ただ有人機が生産されなくなったというわけではない。
前任のエアリーズとは比べ物にならないほどの飛翔能力と戦術効果を獲得しており、トーラスが空戦における地位を確立した頃になるとエアリーズは完全にその姿を見かけなくなってしまった。
プロローグ長くね?と思ったそこのアナタ、正解です。4話も使ってまだ全然話進んでないってどうゆうこっちゃねん。
とりあえず次回でプロローグは終わらせる予定です。まぁ次回で終わらなかったら私のことブッピガン!してスペースデブリにでもしちゃってくださいな。