透き通った世界でヒイロ・ユイを目指す話   作:Hakone8510

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 感想、お気に入り、評価ありがとうございます。

 本作は副題で内容6わr(ry
 今年のクリスマス、皆さんは何の映画を見られましたか?割と「ホーム・アローン」とか、クリスマスが題材の映画って充実してますよね。私は当然「Endless Walts」を見ました。
 今回は割とコメディ回だったので書きやすかったです。


ミレニアムへ編入することになった話。

 ウイングゼロを膝立ちさせて待っていると、無惨な姿の偽ヘビアからエイミがユウカの肩を借りて出てくるのが見えた。遠いので詳細な健康状態は不明だが、見たところ目立った外傷はなさそうで少しほっとした。緊急だったとはいえ推しを傷つけるのはめちゃくちゃ罪悪感あるからね……。

 

 しばらくしてミレニアムの校章が入ったヘリコプターが目の前に着陸して、エイミを乗せて飛び立っていく。そしてそれと同時に、正面の建物から人の集団   言っても4、5人程だが   がこちらに近づいてきた。彼らの容姿は見たところ、大柄な身長・装甲の黒髪ロング少女、翼を模したような前髪が特徴的な銀髪少女、フリルシャツに刺々しい腕章を通した桃色髪のメガネ少女、そして連邦生徒会の委員たちと同様のデザインをしたコートを羽織った癖っ毛の眼鏡男性といったところだろうか。…これ、絶対チュートリアルの後じゃねーか……。

 

 なんとなく時系列が察せられてしまったところで、ユウカがこちらに向いて手招きをしたのでコックピットのハッチを開ける。ウイングゼロに乗る前に漂っていたものと同じ、綺麗で澄んだ空気が久方ぶりに肺へと入ってきて、どうにもスッキリした気分になった。

 コックピットから完全に身体を乗り出し、そのまま飛び降りて地面に着地する。これでようやく、彼女たちの顔がはっきり見えるようになった。

 

「初めまして。私の名前は早瀬ユウカ、あなたは?」

 

 そう笑顔で手を差し伸べてきた彼女に、俺は一瞬怯んだ。

 実は前世の記憶の大抵は覚えているのだが、唯一名前が思い出せないのだ。今から真剣に考えようにも時間がなさすぎるしなぁ…う〜む……。

 

「オレは暁月(あかつき)レイ。レイでいい」

 

 適当に思いついた名を名乗って、こちらに向けられた白磁の手をとる。

 

「レイね。今回は助けてくれてありがとう」

 

「……あ、ああ」

 

 危ねぇ……うぐっという情けない声が思わず出てしまうところだったぜ。

 ゲームの方、というか先生に対してはツンな態度をとるイメージがあるが、今俺の目の前にあったのは全ての生命(いのち)を慈しむような母なる笑顔であった。早瀬ユウカは、私の母になってくれるかも知れなかった女性だ(錯乱)!

 ……ふぅ、なんとか2秒(黙っていても不自然にならない程度の秒数)の間に冷静さを取り戻せたぞ。

 

「早速お礼と行きたいのだけど……」

 

 掴んでいた手を離して、ユウカはその後ろからやってくる一団の方へ振り向く。

 

「それが例の生徒ですか、ユウカ」

 

「ハスミ」

 

「トリニティ総合学園の公認治安維持組織、正義実現委員会の副委員長、羽川ハスミです。此度(こたび)はユウカがお世話になりました」

 

 でっっっっっっっっっか……。

 高い身長と大きな翼、そしてエイミをも超える見事な胸部装甲を持つハスミが、会釈しながらそう言った。にしてもデカい、色々とデカい。

 

「相手が先に攻撃してきたから、こちらも応戦したまでだ」

 

「……しかし」

 

「それに、彼女……ユウカの仲間も、不本意とはいえ傷つけてしまった。褒められるようなものじゃない」

 

 これは俺の本心でもある。

 交戦したにしては被害を最小限にできたと自負できているが、もっと自分に会話スキルがあるなら穏便にことを済ませることができたのではと後悔もしていた。そしてその相手が推しともなれば尚のことである。

 

 自分を許せないからこそ、ハスミの賛辞を素直に受け取ることができない。先程の言葉はそんな自身の結論(気持ち)が、自分の罪悪感に駆り立てられて発露したものに過ぎなかった。

 

「と、とにかく。一度ミレニアム(うち)に来てもらえないかしら?今貴方に返礼できるようなものは手元になくって……」

 

「それよりも重大なことがありますよ、ユウカさん」

 

 ユウカのセリフに被せてきたのは、ゲヘナ学園風紀委員会所属の1年生、火宮チナツだった。

 

「この方の身辺を聞いて、ひとまず危険人物かそうでないかを断定する必要があります」

 

 黒縁の眼鏡をクイっとあげて直しつつ、単調な音程で淡々と告げる。

 

「で、でも彼女は……!」

 

「チナツさんの提案には一理あります」

 

 意外にもチナツの意に賛成したのは、トリニティの非公認治安維持組織所属の守月スズミ。

 

「彼女が敵でないという確証がない以上、トリニティを脅かす危険因子は見逃せません」

 

「ちょっと!私が信用ならないっていうの!?」

 

 ユウカが慌てたようにスズミに反論を投げかける。

 

「そういうわけではありません。しかし、ユウカさん以外の私たちはその状況を見てはいないので……」

 

「……っでも!」

 

 あらら。ちょっと収集つかなくなってきちゃった。

 図らずとも争いの発端になってしまったチナツはこんなはずじゃ、とでも言うように頭を抱え、ハスミは2人の方へ手を伸ばしているものの、諌めるタイミングを見失っているように見えた。

 

 しゃーない、一旦ヴァルキューレにでも自首しに行こっかな……とさらに事態を悪化させそうな考えが頭をよぎったその時。

 

 

 

"こら、2人とも"

 

 その一声で、2人はピタリと口論を止めた。

 

"まずは落ち着いて、彼女の身元を確認しよう"

"返礼品の宛先もわかるかも知れないしね"

 

 まさに鶴の一声。先程まであわよくば大喧嘩にまで発展しそうだった2人はその言葉にゆっくり肯首し、彼女たちを諌めたこの場で唯一の大人  連邦捜査部シャーレの先生に主導権を譲った。

 やはりどこか抜けていながらも子供、ひいては生徒が絡むと自己犠牲の塊になってしまう彼の人柄は、この世界線においても健在のようだ。

 

"ちょっと聞きたいんだけどさ"

"君はどこの学園所属なの?"

 

 …そういえば俺はどこ所属なんだろうか。

 あまり深く考えていなかったが、改めて考えると今の自分は不思議な身の上だった。そもそも俺がこの世界で初めて目覚めた時、俺の魂が憑依?したこの身体には、身元につながるような物は一切身につけていなかったし、自分の容姿もブルアカでは見たことがなかった。憑依する以前の記憶も全くないので、現時点で自分がどこ所属なのか、そもそも学園に所属していたのかもわからないのだ。

 

 故に。

 

()()どこにも所属していない。ここへやってきたのも、本来は編入する学園を探すためだ」

 

 こう答えるほかない。

 それを聞いたチュートリアル組の面々が微妙な表情で口を引き結んだのは見間違いではなかろう、そりゃあ俺もあなた方の立場だったらそんな顔する気持ちもわかるけど。

 

"じゃあさ"

 

 これまた意外にも意外、陰鬱というか気怠げというか、とにかくマイナスな雰囲気を早々に脱した先生がそう切り出す。

 

"ユウカの学園で面倒見るってのはどうかな"

 

 

 

 え?

 

「ちょ、どういうことですか先生!」

 

 いち早く正気に戻ったユウカが先生に詰め寄る。そのまま胸ぐらを掴み  こそしなかったもの、それだけの気迫が彼女の表情に宿っていた。

 

"レイは今どの学園にも所属してないんだよね"

"そして君はどこかに入りたいと思ってる、違う?"

 

「……そうだが」

 

"ならユウカがそれ(場所)を提供してあげれば、それがお礼になるんじゃないかな"

 

 なるほど。

 確かに、俺が今求めているのは住むところだ。最悪不正入学もやむを得ないと思っていたので、正式な手順を踏んでどこかしらの学園に所属できるならこちらとしては万々歳である。

 

「しかしそれでは、彼女がもしあのガンダムで犯罪を犯したら  

 

"いや、それはないと思うよ"

 

 スズミの反論を、半ば強引に言葉で制す先生。すると後ろで腕を組み顎に手を添えて考え込んでいたハスミが、ハッとなって顔を挙げる。

 

「なるほど。ユウカ、あるいはセミナーの管理下に置かせるということですか」

 

 ハスミの言葉に、先生が振り返って頷く。

 

"さっきちらっと資料見たんだけどさ"

"トリニティやゲヘナと同じように、ミレニアムも各学園の行政委員会、いわゆる生徒会の下に直属の組織があるんでしょ?"

 

「そうですけど……」

 

"なら、レイには申し訳ないけど強制的にそこに入ってもらえば"

"ガン…ダムだっけ、それを正しく運用させることができる"

 

 先生の提案が終わる。正直、部活が縛られる程度なら特に気にしないので、あとは彼女が受け入れてくれるかなのだが。

 

 

 

「…わかりました。彼女はうち(ミレニアム)に編入させます」

 

 多少の間をおいて、ユウカはそう返事した。

 

"レイはどう?"

 

「ああ。むしろありがたい」

 

 ここで変にツンな態度をしても意味がないので、素直に感謝を述べる。まだ発作的にヒイロが出てきそうになるので、ちょっと緊張したケド。

 

"ってことでリンちゃんも、それでいい?"

 

『……ええ』

 

 いつの間にかホログラムの姿で先生の背後に投影されていたのは、連邦生徒会の主席行政官にして連邦生徒会長代理の七神リンだった。というか、さっきまでの話をいつの間に聞いていたのか。

 

『細かいことは後ほど決めていきましょう。もう遅くなりますから今日のところはこのくらいで』

 

 リンのその言葉で、この場はひとまずお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 ウイングゼロをユウカの誘導のもとミレニアムのMS格納庫まで運び入れた後、「明日になっても面倒だし、手続きを済ませちゃいましょう」とユウカに連れられてセミナーの部室に入ると。

 

「あら、それが例の子ですね?ユウカちゃん」

 

 清廉でありながらどこか妖艶な雰囲気を纏うセミナー書記生塩(うしお)ノアが、笑顔で出迎えてくれた。

 

「お待たせしちゃったわね」

 

「いえいえ、気にしないでください。色々あったと聞きましたし」

 

 2人は仲良さげに談笑しつつ、目にも止まらぬ作業で机の引き出しや書類立てに置かれたファイルを連携して机の上に揃えていく。談笑と言っても雑談ではなく、今日のことの顛末や俺が編入することになった経緯という話題で、あくまでも事務的な内容だった。

 

「……なるほど、それでミレニアムで預かりになったと」

 

「本当にごめん。いつもはしないようなミスなのに…」

 

「大丈夫ですよ。それに……」

 

 ちょうど書類がきちっと並べられたところで、ノアが俺の顔を見やる。しばらくじっと目を合わせ、満足そうな表情をして、

 

「彼女はきっと、ミレニアムにとっても有用な存在になるでしょうから」

 

 と続けた。

 その口ぶりには、いかにも俺がそうだという確信が込められているように思えた。ユウカほどではないにしろ、ミレニアムの中でもトップクラスの計算高さを誇る彼女が憶測でもの言うとは思わなかったからだ。

 

 そんなことを考えているうちに、いつの間にかセミナーの承認作業は終わっていた。

 

「はいコレ。あなたがこの欄にサインすれば、あなたも明日からミレニアムの生徒よ」

 

 勿論ここまでお膳立てされておいて、断る気は微塵もない。とは言っても、やはりいざ入学となればペンを持つ手が震えてしまう。

 

(俺、ここ(キヴォトス)に来てからドキドキしてばっかだな……早死にしそう)

 

 不謹慎なことを考えて心を落ち着かせ、一文字一文字丁寧に書類へ落としていく。実時間にして30秒、体感にして5分ほど苦慮し、中高生なら書けるレベルの名前を綺麗に書き終え、そっとユウカに手渡す。

 

「結構字綺麗じゃない」

 

 …それは果たして褒め言葉なのだろうか……。

 

「さて、これで手続き完了ね……ノア」

 

「はい、ユウカちゃん♩」

 

 ユウカは受け取った書類を新品ピカピカのファイルに収めると、その場でノアと目配せし……

 

「「時代の最先端をゆく学園、ミレニアムサイエンススクールへようこそ」」

 

 

 

 うぎゃああああああああああああああああ!?!?!?

 

 俺の表情筋こそかろうじて微動だにしなかったものの、最高の歓迎が俺のハートに直撃し、またもや前世の持病(オタク症候群)が再発しそうになった。

 別にそこまで推してはいないユウカとノアでさえこの破壊力とは……キヴォトス、恐るべし!!

 

 思わぬプレゼントというある意味死神に連れていかれそうになりつつ、俺はキヴォトスの技術の最先端ともいえるミレニアム学園に編入することになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、この時の俺は知る(よし)もなかった。

 

「やっぱり、気に入らない」

 

「……そうか」

 

 自分がボコボコにした相手(前世の推し)と、再び勝負することになろうとは。




 こいつ何回尊タヒすんだよ()。
 ようやく主人公がミレニアムにぶち込まれました。新たな環境での新生活、果たして彼女(彼)に待ち受けるものとは…?という感じです。

 とゆーわけで今回でプロローグは完結し、次回から新章がスタートします。本編の更新は活動報告でもお話ししたとおり来年の1月19日とかなり遅めの更新になりますが、プロローグよりもより濃い内容でお届けしますのでお楽しみに。
 では皆様、良いお年を。
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