妖精の尻尾と酒呑童子   作:月詠朧

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お待たせしました!!
約4ヶ月ぶりの更新です。の割には、短いです。

で、今日見て気がついたのですが、お気に入りが1000件を超えてました。
ありがたいことでございまする。感謝感激雨霰!!

あ、活動報告でアンケートとってますのでそちらもよろしくです。


ではでは、お楽しみくだしぁ!


第10話 萃香と呪われた島 中編 (上)

―― ???Side

 

 三年前から準備を初めてきたが、漸くここまで来た。

 このガルナ島特有の月の魔力を使って行う儀式、月の雫(ムーンドリップ)の準備も漸く終わり、後は儀式を完成させるだけ。

 あと少しでウルを超えたことを証明することができる。

 そんな事を考えながら、遺跡のある山の山頂部分から景色を眺めていた時である。

 それはまさに一瞬の出来事であった。不意に目にゴミが入り目を閉じた。そのたった数秒にも満たない時間の間に、目の前の海は見渡すかぎりの氷の大地になっていた。

 どの方角を見ても氷の大地。

 

 ナンダコレハ?

 

 この状況をものの数秒で作り出すことの出来る、氷の魔導師など知らない。それこそ自分にもあいつ(グレイ)にも、自分の師匠であるウルにだって無理だろう。

 この付近にこの状況(コレ)を引き起こした魔導師がいる。

 そう考えた時、ふとこんな考えが浮かんだ。

 自分の憧れ(ウル)を超える魔導師が近場にいる。その魔導師を倒せば、自分は師匠を超えた証明になるだろうと。デリオラなんかよりも簡単に、今すぐ証明できるモノがそこにいると。

 そこまで考えたところで頭を軽く振り、馬鹿な考えだと頭の外に追いやる。

 どう考えても今の自分に、真っ向から立ち向かって打倒できる相手ではない。ならば、計画通りにデリオラの封印を解き、デリオラを倒そう。それでもウルを超えたことを証明できるのだから。

 しかし、コレを起こした人物の目的は何なのだろうか。

 目的がこの島ならば無視すればいいが、デリオラが目的ならば排除しなくてはならなくなる。

 願わくば、この見渡すかぎりの銀世界を創りだした魔導師が、この島に来るような事がないように祈るばかりである。

 

―― Side Out

 

 

―― ???Side 

 

 デリオラを手に入れるという目的のために、隣の坊やに従うふりをしてしばらく立ったある日の事。

 この坊やに付き合って海を眺めていたら、突然島の周囲の海すべてが凍ってしまった。

 あらあら、これはこれは。

 この辺でこの規模の魔法を行使できる存在となると……あぁ、一人居たわね。あの宴会大好きな酔っぱらい幼女が。

 隣にいる坊やは唖然としているわねぇ。

 まぁこの規模の魔法はめったにお目にかかれないし、彼が扱っている魔法と同系統の魔法にみえるものね。これを引き起こした魔法がもっと別の系統の魔法だと知ったらどんな顔をするのだろうか。ちょっと見てみたいかも。

 

 しかし、彼女は何をしにこの辺りに来たのかしら?

 そういえば島の住人(やつら)の様子がおかしいみたいだし、それに関連した依頼でも受けたのだろうか?この辺りには他に有人の島はないものね。

 まぁあの子なら話をすれば協力はしないまでも、静観ぐらいはしてくれるでしょう。うまく事が運べば、デリオラの氷を解かすのをあの子にやってもらえるだろうし。代わりに酒か宴会の場を要求されそうだけれどね。

 後は、この隣にいる坊やとその配下が彼女に喧嘩を売らないといいわねぇ。あの酒と宴会と喧嘩に目がない酔っぱらいのことだから、嬉々として喧嘩を買うだろうし、そのままデリオラと戦わせろとか言い始めかねない。

 彼女ならデリオラすら滅してしまうだろう。

 そうなったら計画そのものがオジャンだ。そうならないように動かなければいけない。

 

 彼女に関わると、彼女の仕事が終わった後に宴会に強制的に参加させられるだろう。けれど、それはそれで楽しみではあるからいいか。今から宴会が楽しみだわ。

 

―― Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夜明けて翌日。

 気がついたら酒を飲んでいた家の屋根の上で眠りこけていた。

 ずいぶん長いこと寝ていた気がするね。この世界じゃないどこかの、海賊がワラワラ居る世界で胡散臭い奴とその従者が動き出した、なんて夢を見てた気がするよ。

 さてさて、夢のことはおいといて、サクッと遺跡の調査をしてしまおうか。

 

 村の住人達に挨拶し、調査に出かけると言ってから村の外に出て遺跡を目指して歩いていると、突然周りの草木がガサガサとなり始めた。

 軽く周囲に霧散して、周辺になにかいるのかとチェックをすると、10mぐらいの巨大なネズミを見つけた。

 

 ……あのネズミ見覚えがあるんだけれど。

 たしか、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の所の、愛だとか悲しいことですわとかうるさい嬢ちゃんのペットだったはず。

 名前は……アンリエッタだかアンジェだかだっけ?

 いつだったかラミアの所でやった宴会に、このネズミも居たはずだし結構目立ってたから声をかけたのを覚えている。

 なに、ラミアのメンバー来てるの?ブッキングじゃないだろうね?

 とりあえず、このネズミが私のことを覚えているかは知らんが、コイツをとっ捕まえて飼い主のところに案内させようか。

 運が良きゃ犯人の情報をもらえるかもだし、もしかしたら飼い主が犯人って可能性もあるからねぇ。

 

 霧散するのををやめて、ネズミがいる方へ歩いて行く。ネズミもコチラに気がついたのか敵意を出しながら近づいてきたようだ。

 

「やぁアン…アン…アンジェ?まぁいいか。久しぶりだねぇ、ネズミちゃん。だいたい3年ぶりぐらいかい?」

 

 その巨体が見えた瞬間に声をかけてみた。

 それに気がついたのか、コチラを見ると一瞬だけ敵意が強くなったがすぐに敵意が引っ込みガタガタと震えだした。

 なにか怯えられるようなことしたっけ?

 

「ん?なぁに怯えてるんだい、別にとって食いやしないよ。ちょぉっとご主人様のところまで案内してくれれば、ね?勿論、あたしに攻撃してくればイジメるが」

 

 そう言うと、アンジェ(もう呼び方これでいいや)は何度も首を上下に動かして遺跡の方に歩き出した。

 うんうん。素直なことはいいことだよ。

 私に合わせてくれているのか、かなりゆっくりと遺跡に進んでいく。

 可愛いやつめ、後でチーズでも上げよう。

 

 

 しばらく行くと、遺跡の前に到着した。しかし、アンジェはその巨体故に遺跡の中に入ることはできず遺跡の前でウロウロしている。

 ふむ、やっぱりこの子の飼い主は遺跡の中にいるのか。こりゃ島の異変に一枚噛んでそうだねぇ。

 

「ん、案内ご苦労さん、アンジェ」

 

 そう言うとアンジェはピシっと左手を頭の上で斜めに構え、敬礼をした。

 そんなに畏まらなくてもいいじゃないか。そんなに私が怖いのかい?

 そんな意味を込めてアンジェを見つめたら冷や汗をだらだら流し始めたので、

「冗談だよ、本気にするなぃ」

 っと言って手を振りながら遺跡の中に入っていった。

 遺跡の中は、出迎えがあるわけでもなく静かなものだった。

 

「しっかし、誰も居ないねぇ。まぁ月の魔力を使う儀式を夜にしているみたいだし、昼間は誰もいなくて当たり前か」

「ホホホ、そうでもありませんぞ?萃香殿。私みたいな物好きは起きておりますとも」

「あん?おや、珍しい。こんなヘンピな島にあんたが居るとはねぇ。ティ……ザルディだったっけ?」

 

 とか思っていたら、面識がある奴が出迎えがに来た。いつものように名前を呼ぼうとしたら睨まれたので、慌てて言い直ししたけど。

 一瞬誰だかわからなかったけど、知ってる奴の魔力だったからすぐに分かったよ。

 

「んで?あたしは仕事でこの島に来たんだけど、あんたは何しに来たんさ?」

「いえ、この島でとある悪魔の封印の解除をしようとしている方達が居たので、手伝ってあげようかと思いましてな」 

 

 ふむ、だいたい予想通りって所か。って事は、島の住人達の異常は儀式に使用する魔力の副作用とかそこいらかね?一応聞いてみようかね。

 

「ふーん。んじゃあたしの仕事のことで質問だ。島の住人たちの姿と記憶に異常が生じているようだけれど、あんたとあんたの協力してる連中の仕業かい?」

「はて?私達は島の住人には接触しておりませんので、分かりませんなぁ」

 

 あ、嘘ついてる。接触してないのは本当だろうけど、異常の原因はわかってるくせに。

 

「嘘つくんじゃないよ。理由知ってるくせに」

「ホッホッホッ、敵いませんなぁ。教えて差し上げても構いませんが、邪魔しないと約束してもらってもよいですかな?」

 

 つまり儀式が理由っと。住人達が元の状態に戻れば依頼は達成だから、別に急ぐ必要はないだろうしいいかな。

 

「んー、別に構いはしないけど、あんまり大事になるようなら邪魔しないって約束はできないかもよ?」

「そう言うと思っておりましたし、それでもかましませんとも。恐らく予想していられると思いますが、封印の解除に使用されているこの島特有の月の魔力が異常に溜まって悪影響を出しているだけなので、儀式が終わった後にこの島に溜まっているであろう月の魔力を散らしてしまえば住人の異常は治るはずですぞ」

「うん予想通り。んじゃのんびりと酒でも飲みならが儀式が終わるのを待たせてもらおうかねぇ。あー、後どれくらいで封印解除は終わるんだい?終わるのが後、半年とか一年とか言われたらこの話はなしだ。今すぐ、封印されてる悪魔ってのをプチッと潰すことになるが」

 

 見るからに慌てだしたねぇ。私なら倒せる程度の悪魔ってことかい。

 

「あ、後5日ほどで完了する予定でございますよ」

「ふぅん、ならいいかな。んじゃ、封印されてる悪魔さんを見たいんだけれど、見せてくれるかい?」

 

 ホッとしてるね。良かったねぇ、後1週間かからないで。

 どうやら、悪魔を見せるのは問題ないようなので、案内してくれるようだ。いい酒の肴になってくれるといいんだが。ってか、他のやつに話を通さなくてもいいのかね?

 とか思ったら考えを見ぬいたのかしゃべりだした。

 

「ホホホ、私の知り合いなら問題ありますまいて。さぁ、コチラですぞ。はぐれないように……って、あなたの魔法を使えばはぐれてもすぐに合流できますな」

「いいからささっと案内しなよ。あ、後さ」

「はい?」

「どこかでゆっくりお話しようね?後、この一件が終わったら宴会に強制参加ね。拒否は認めん」

「ホッホッホッ、やはりですか。わかりましたとも」

 予想していたのか、あっさりオーケーが出た。そりゃ、何回も宴会に強制的に参加させられれば諦めもするかね。

 

 

 そのまま連れられて、遺跡の最下層に氷に封じられて件の悪魔はいた。

 

「すごく……大きいです……」

「あなたが魔法を使えばこの程度になら大きくなれるでしょうに」

 

 いやまぁそうなんだけどさ。言ってみたかっただけさね。

 しかし、氷に封印された悪魔ねぇ?随分前にグレイから聞いた師匠の話も悪魔を氷で封印したって聞いたね。

 

「ねぇ?この悪魔の名前、デリオラじゃない?」

「おや、知っておりましたか。その通りでございますぞ。不滅の悪魔ことデリオラでございます」

 

 あらら、ドンピシャかい。

 まぁあたしにゃ関係ないねぇ。暴れるようならプチッと潰すだけだし。

 儀式は夜やってるみたいだし夜まで酒でも飲みながらまったりしてようかねぇ?やることないし。

 そうして私は、デリオラを眺めながら夜まで酒を飲み続けたのでしたとさ。

 

 

 

 

 次回へ続く。続くったら続く。




はい、っということで中編になります。
結局長くなりそうだったのでここでぶった斬りました。
しかも後編も長くなりそうっていうね。

初めてSideを使ってみましたけどおかしくないよね?
まぁ、おかしかったら言ってください。直してみますので。

ご意見ご感想、誤字脱字報告ございましたらご報告お願い致します。
お待ちしておりますとも!

あ、活動報告でアンケートとってます。よろしければご協力お願い致します。

あとあと、新作の小説も上げてみたのでそちらも興味があればお目通しください。

追記。

次回投稿に伴い、サブタイトルを若干修正。
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