妖精の尻尾と酒呑童子   作:月詠朧

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お待たせいたしました。
やっとこさ後編でございます。
ザルディさんが用意していたと思われる捕獲方法がわからなかったため、今回ちょっとネタに走ってます。
登場は今回のみです。

それではどうぞ~


第12話 萃香と呪われた島 後編

 

 結局あの後、いつまでもいつまでも同じ動きをするだけの儀式を見るのに飽き、私は魔力により紫に変色して見える月を見ながら月見酒。

 一人じゃさみしいと、やることが無さそうで暇そうにしていたザルディを近くに引っ張ってきて付き合わせた。勿論、彼女も私の瓢箪の酒は飲めないので、遺跡に来る前に村でもらっておいたお酒を飲んでもらったけどね。

 しばらくして、酔いが回ったのかザルディはダウンしてしまった。寝かせられる場所をラミアの子に聞き出し寝かす。

 

 またもや暇になったので、封印になっている氷の調査をするためにデリオラの前へやって来た。

 昨日見た時から気になっていたんだけど、この氷。

 どうやらこのデリオラを封印してるこの氷は、面白いことに生命エネルギーが溢れているのだ。

 それも人間一人分くらいの量がある。

 グレイから聞いて覚えている限りでは、デリオラの封印は術者の体そのものを氷に変えて対象を封印するものだとかなんとか言っていたはず。

 んで、ここに鎮座しているのはデリオラで術者はウル。つまり、この氷は私の友達(ウル)ってわけだ。

 氷に生命エネルギーがあるってことは、この(ウル)は生きているってことだから……

 

 フフフ……これは楽しくなりそうだねぇ。

 うまく行けば零帝くん達の驚く顔を見れそうだし、グレイにもいいお土産話ができそうだ。

 

「さてさて、そうと決まれば準備しようかね」

 

 自身の体を霧散しながら静かにつぶやき姿を消した。

 

 

 

 

 

 翌日。

 

「んで、どうやってデリオラを捕獲するつもりなのさ?」

「やはり私の目的はお見通しですか、萃香殿」

 

 準備は万端。

 後は夕方になるのを待つだけであり、やることがなく暇だった私はどうしたものかと考え、ザルディがどうやってデリオラを捕まえるのかが気になったので少し話を聞いてみようと思い、彼女を寝かした部屋に来ていた。

 

「まぁ、あんたの所属と目的を考えればねぇ。封印の解除をって話を聞いた辺りからそんな気がしてたんだよ。で、どうやって捕まえるのさ?」

 

 彼女は表では評議員のメンバーの付き人をしているが、裏では闇ギルドに所属している。

 本来ならば私は彼女をとっ捕まえる側なんだけれども、なにか面白そうなことや楽しそうな事があれば私に教えてくれているし、闇ギルドの所属していると知る前から仲良くしている事もあり、「まぁほどほどにしときなよ?」っと言ってスルーしている。

 

 そんな彼女は私の言葉を聞くと、懐から真ん中の部分から上下に赤と白にわかれている丸いボールを取り出し説明を始めた。

 ん?赤白のボール??

 

「これはとある遺跡から発掘された魔道具でしてな?その遺跡を調査したところ、このボールは魔獣を捕獲するための魔導具らしいのですよ」

 

 

 …………えーっと?

 どう見てもモン○ター○ールじゃないですか。

 なんでこの世界にモ○スターボー○があるんだよ!びっくりした!びっくりした!!

 まさか携帯獣の捕獲用道具が出てくるとは思っても見なかった。

 

 しばらく唖然としながらボールを見ていたら、ザルディが反応がないのを不思議に思ったのか声をかけてきた。

 

「……おや、どうしました?そんなにこの魔道具を見つめて?」

「いや、ね?ちょぉっと見覚えがあったもんだからびっくりしちゃってね」

 

 しかし、コレで本当に捕まえることができるのだろうか。まぁあの世界では、空間や時に干渉するような強大な相手もあの赤白ボールで捕まえることができるのだし……大丈夫かね。

 

「ほう?コレに見覚えがあるのですか」

「うん。昔に少しね。記憶の端っこにちょこっとあるくらいだけど。その記憶が正しけりゃだけど、神様クラスのバケモンでも捕まえられる……かもよ?」

「ホッホッホッ、これはこれは。いいことを聞きましたなぁ」

 

 とは言え、1個だと辛いだろうね。ちと聞いてみようか。

 

「ちなみに何個持ってるのさ?」

「1個しかありませんな」

「あらら。1個しかないのか」

「1個だと何か問題が?」

「確かそれ、捕まえられないとそのままゴミになっちゃうんだよ。再利用できなかったと思う。使えば確実に捕まえられるってわけでもないしね」

 

 謎だよね。何故か知らないけど捕獲に失敗するとなくなるんだよね。

 

「ま、捕まえられなかったらすっぱり諦めるしかないね」

「むぅ。仕方ありませんな」

 

 その後は特にたいした事もなく、日が傾くまで他愛のない話をしながら酒を飲んでいた。

 しかしびっくりした。準備したいから明日でって言うから、てっきりもっと大掛かりな術式だとか魔法だとか、はたまた魔道具でも使うのかと思ってたのに。まさかの携帯獣捕獲用のボールが出てくるとは。

 なんで一日伸ばしたのやら。

 

 

 

 

 

「ゴクッ……ゴクッ……ぷはぁ……さて、そろそろ時間なんだけども。だぁれも来やしないねぇ」

 

 そんなこんなで日も傾き、私は遺跡の最下層のデリオラの前で座り込み、酒を煽っていた。

 周りには私以外誰もいない。日が傾いたら封印を解除するって言ってあるのでそろそろ来てくれてもいいんだけれど。まさかこのまま誰も来ないとかないよね?と考えていたら、零帝くんを先頭にしてぞろぞろとやって来た。

 

「遅かったじゃないかい。怖気づいて逃げたのかと思っちゃったよ」

「この俺が怖気づくだと?そんな事ある物か」

「ホホホ、正確な時間を決めていなかったのですから、これくらいの誤差は気にしないでいただきたいものですなぁ」

 

 はいはいと適当に相槌を打つと、零帝くんはデリオラの前まで進んでいった。私はというとこれから始まる戦闘を巻き込まれずに観戦するためにデリオラから離れたところへと移動する。

 

「んじゃ、封印を解くよ。精々死なないように気をつけて戦いな、駄目そうだったらあたしがデリオラを倒してあげよう」

「ふん、貴様の手など借りずとも倒してみせる!」

「そーかい」

 

 その言葉とともにデリオラを覆っている氷を散らす。

 封印を解かれたデリオラは雄叫びを上げながら暴れだし、零帝くんに襲いかかった。

 

 

 

 戦闘開始からしばらく経った。

 結局戦闘は零帝くん一人でやっている。師匠を超えるために封印解こうとしてたんだしまぁそうなるよね。

 10年の封印はデリオラの体の組織をある程度殺していたようで、しっかりと傷をつけることができているし、傷の修復もほとんど機能していない。

 そのお陰かそこそこ善戦しているようで、いい酒の肴になっている。

 激しい戦闘の余波で壁が崩れ始めた。

 遺跡が持ちそうもなかったので周囲の岩を萃めて強度を上げる。

 そういえばザルディはいつ赤白ボール使うんだろうね?そろそろ零帝くんが体力的にきつそうだが。あの子が戦闘不能になったら私がデリオラを倒しちゃうんだよ?捕まえる暇ないぞ。ほら、零帝くんフラフラじゃないか、魔力もそこ尽きかけだねぇ。

 そんなことを考えながら、ザルディのほうを流し見る。ちょうどその時ボールを投げるつもりになったようで、振りかぶっていたところだった。

 そして……

 

「いけ!モン○ターボー○!」

 

 教えたとおりのセリフとともにデリオラへと投げた。

 アッハハハハ!しっかりと教えたとおりの掛け声を言ってるよ。予想通り似合わないなぁ。

 掛け声とともにデリオラへ投げられたボールは、弧を描きながらデリオラにぶつかる。カパッと開きデリオラをボールの中へ……駄目だね、すぐに出てきちまった。ボールはそのまま砕けて散った。

 それを見た私は指をさして、さしていない方の手で腹を抱えてザルディを笑ってやる。

 まぁ、予想通りだ、気にするな。っと目で伝えてやると苦笑いと共に後は任せましたと目で返してきた。

 任されました。と目で返し、デリオラを見る。

 ボールから出てきた瞬間、一瞬硬直していたようだがすぐに目の前にいた零帝くんを殴りかかる。零帝くんはデリオラが一瞬消えたことに驚き固まっていたようで、避けられずに壁へと吹き飛んだ。気配を調べると、どうやら今の一撃で気絶してしまったようだ。

 デリオラは殴り飛ばした零帝くんを無視し、近くにいるものに危害を加えようと辺りを見まわしている。すでに私以外の全員が退避したようで、デリオラは私を一瞥すると私に向かってきた。

 

「アハハハ、逃げ足の速い奴らだなぁ。まぁ、そろそろ体を動かしたくなってきたところだ、派手に()ろうか」

 

 立ち上がった私に向けて振り下ろされたデリオラの腕を、左手で掴んで止めながらつぶやいた。

 その体制のまま、フリーの右手に周囲にある月の魔力を周辺の空気ごと萃め、圧縮する。

 デリオラは振り下ろした腕を上にあげようとするが、私が掴んでいるのであげる事ができず、その腕の上にもう片方の腕を振り下ろした。

 

「その程度の力じゃ私をつぶすことなんぞできやしないし腕を放してもやらんさね、逃がしやせんよ。さて、準備もできた。萃めた空気が元に戻ろうとする力はさながら爆弾のような破壊力を生み出すんだ。まぁ、知能のなさそうなアンタじゃ理解できないだろうけどね。そこに有害な魔力を混ぜてやるとどうなるかねぇ?」

 

 有害といっても私には無害だし、影響が無いどころか体に力がみなぎるんだけどね。

 集めた空気を右手に纏わせ、デリオラを掴んでいた左手をデリオラごと振り上げ、振り下ろし、そのままデリオラを遺跡の床に叩きつける。

 うつぶせに倒れたデリオラの顔の真上に移動し右手を握り締め振り下ろす。デリオラの顔にパンチが当たると共に萃めていた空気を散らす。魔力はそのままパンチに乗せて振り下ろす。

 雷が鳴る様な音と共に、デリオラの頭が弾けとんだ。

 

「うひゃあ、自分でやっといてアレだけど、凄まじく煩いなぁ。というか、あれ一発で終わっちゃったよ、つまらないねぇ。いくら瀕死に近かったとはいえ一発KOとは……」

 

 空気圧縮パンチで頭が弾けとんだデリオラは、維持できなくなったのか体も崩れ去ってしまった。

 ま、これで儀式をやる必要もなくなったし、後は月の魔力を島にとどめる役割をしている膜を壊せば依頼は完了かね。明日にでも壊して、宴会だ宴会。

 そう考えていたら、空気圧縮パンチの衝撃のせいで強化したはずの壁が崩れ始めた、零帝くん拾ってさっさと逃げよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、零帝くん拾って撤収撤収っと。…………そういえば、零帝くん。まだ遺跡の中にいて、絶賛気絶中だったね。空気圧縮パンチの余波もろで受けてるだろうけど、大丈夫かね?」

 

 

次回へ続く。

 




前編のフラグ回収ぅぅ!
月の魔力のせいで身体能力が大幅にアップしていることを忘れて半分くらいの力で殴ってます。それに萃めた魔力+圧縮した空気の爆発=やり過ぎ。
ちょっとやっちゃった感があるけど気にしないことにした。

誤字脱字等ありましたらご報告お願いいたします。

追記。
アンケートにご協力いただきまして、ありがとうございました。
結果のほうは活動報告のほうにさらしてありますので、ご確認くださいませ。

後、とある事情により閑話を削除しました。ご了承ください。
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