妖精の尻尾と酒呑童子   作:月詠朧

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第5話です。

お気に入り登録が130を超えました。
それだけの方にこの小説を気に入っていただけたのであれば書いたかいがあるという物です。

それではどうぞ~


第5話  萃香のS級魔導師昇格試験

 X776年12月某日

 

 

 

「えー・・・フェアリーテイル古くからのしきたりにより、これよりS級魔導師昇格試験出場者を発表する!」

 

 ワァァァーーーーーッ!!

 オォォォーーーーーッ!!

 待ってました~!

 早く発表してくれマスター!!

 今回は誰が選ばれるんだ~!!

 

 ギルドの酒場の広めのスペースにてマカロフがS級魔導師昇格試験について話し始めた。

 私は現在少し離れたテーブルに付きメンバーたちの馬鹿騒ぎをBGMにお酒を飲んでます。

 毎回毎回騒がしいことで・・・選ばれるとしたらラクサス坊や辺りかね?

 どうせ私は選ばれないと思うし、どうでもいいかなー

 

「今年の試験会場は、我がギルドの聖地『天狼島』じゃ!ワシがこの一年見てきた各々の力・心・魂・・・見極めた結果、参加者は2名じゃ」

 

 ほう・・・二人ね?他にS級に上がっても大丈夫そうな奴いたかなぁ?

 

「一人目はラクサス・ドレアー!」

 

 うん、予想通り。もう一人は誰だろうね?

 

「もう一人は、伊吹萃香!」

 

 ワァァーーーーーーーーッ!!

 遂に萃香が選ばれたか!!

 ラクサスも頑張れよ!!

 今年も選ばれなかったぁぁ・・・

 次があるさ!そんなに落ち込むな!

 

 ・・・ぇ?私?聞き間違いじゃないよね?え?えぇ?

 私はS級魔導師なんかにならなくても酒と喧嘩と宴会ができればいいんだけれどな・・・

 

「合格者はどちらか一名!試験は一週間後じゃ。各自体調を整えておけい」

 

 どっちが合格すると思う!?

 本命はラクサスだね!

 萃香だろ!

 

 おーおー好き勝手騒いでるねぇ・・・

 テキトーにラクサス坊やに譲って終わりにできないかな~?

 S級魔導師になると、評議院の奴らからめんどくさい仕事を押し付けられるしやりたくない。酒を飲む時間が減るから。

 

「試験内容の詳細は天狼島についてから発表するが、今回はギルダーツが道を塞ぐ!」

 

 あのおっさんが邪魔してくるのか。それはちょっと楽しみだね♪

 

「選出された二名は、一週間後にハルジオン港に集合じゃ。以上!!」

 

 おっさんと戦えるのは楽しみなんだけどなー・・・めんどくさい。

 まぁなるようになるかね。

 

 

 

 いつもどおり酒を飲んでいたら、あっという間にS級魔導師昇格試験当日になった。

 船に揺られること数時間。

 冬だというのに暑い。めちゃくちゃ暑い。

 この辺りは海流の影響で年中この気温らしい。かんべんしてほしいね。

 ラクサス坊やも耐え切れないのか上半身裸になっている。

 私は、能力を使って自分の周りの温度を散らすことにした。

 快適快適♪

 そうこうしている内に、ようやく島が見えてきた。

 

「へぇ。面白い形をしている島だねぇ。島の真ん中の大きな木の上に島がのっかってるよ」

 

 それに結構な魔力も感じるね~。どうなってるんだろ?

 

「あの島にはかつて妖精がいたと言われておった」

 

 マカロフが手すりに乗っかりながら喋りだした。

 ギルドのマーク柄のアロハシャツ・・・趣味悪ぅ。そのセンスはどうかと思うよマスター?

 

「そして、妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代ギルドマスター。メイビス・ヴァーミリオンの眠る地じゃ」

 

 初代マスターの墓でもあるのかね?島から漏れてる魔力と関係有るのかな?

 そんなことを考えているとラクサス坊やがマカロフに突っかかった。

 

「おいジジィ!何だその趣味の悪い服は!!」

「だって暑いんだもーん」

 

 暑いのはわかるけど趣味が悪いよねー。

 

「ほれ、試験前から熱くなっとると体力が持たんぞ?これより、一次試験の内容を発表する」

 

 一次試験ってことは、何個か試験があると見ていいのかね?

 

「煙が上がっとるじゃろ?そこにある洞窟の中に、このギルドの紋章入りのコインが置いてある。そ

 れを持って洞窟から出てこれれば合格じゃ」

 

 コインを取ってくるだけか。思ったより簡単だねぇ。

 

「ただしコインはギルダーツが守っとる。ギルダーツを出し抜くなり倒すなりせにゃ取ってこれんから頑張ってこい。時間制限は3時間じゃ」

 

 あのおっさんがコインを守ってるのか。時間いっぱいおっさんと喧嘩できればいいかな♪

 

「それじゃ、試験開始じゃ!!」

「おいジジィ!試験開始ってまだ海の上じゃねぇか!!」

 

 その言葉を聞いてマカロフはニカッと笑った。

 さてと、そいじゃあの煙が上がってる場所までサクッと行きますか。

 霧になって洞窟まで行ってもいいんだけどそれじゃつまらないよね~。折角だし、島の中を歩いてみたいしね。そうと決まれば。

 私は歩きながら、島に向けて海を左右に散らした。

 

「モーゼの奇跡ってね♪さ、サクッと行きますか」

 

 なんか後ろから叫び声が聞こえた気がするがスルーっと。

 

 

 海底を歩き、島に上陸する。

 酒を飲みながら島の中を歩いてまわると、見たことのないモンスターがたくさんいた。トカゲもどきみたいなのとか、食人鳥みたいなのとか。

 存分に見て回ったので、そろそろ煙の上がっていたところに行こうとおもう。一時間ぐらい見て回ったかな?

 洞窟の中に入って、分かれ道を適当に進んでいくと、開けた場所に出た。

 そこには、倒れ伏したラクサス坊やとギルダーツのおっさんがいた。

 

「よう、萃香。おそかったな」

「いやぁ、島の中を酒を飲みながら見て回ってから来たからねぇ」

 

 そう言いながら、ゆっくりと近づいていく。

 

「やる気マンマンってか?悪いが、オレぁ何事も手を抜くのは苦手でな」

「アハハハ♪手を抜くなんてあたしが許すわけないじゃない!!さぁ・・・存分に闘い抜こうじゃないか!!」

 

 そうして私はおっさんに向かっていくのであった。

 

 体を霧散しおっさんの横に移動して、一発殴るが受け止められる。

 鬼の力で殴ったにも関わらず、軽く下がらせただけか。なかなか楽しめそうだね♪

 受け止められた拳をそのまま掴まれた。次の瞬間。おっさんの魔法が発動して、私の体は霧散した。

 破壊(クラッシュ)。 触れたものを全て粉々に砕く超上級破壊魔法である。

 

「言っただろ、手を抜くのは苦手だって?・・・てかまともに受けてたけど粉々になってねぇだろうな!?」

 

「全くひどいねぇ。こんなか弱い少女を粉々に砕くなんて」

 

 そう言いながら霧を萃めおっさんの裏に移動し、右足で回し蹴り。

 右腕でガードされたがそのまま振り切り吹き飛ばす。

 

「こんな威力の蹴りを出せる奴がか弱い少女なわけねぇだろ!!」

「アハハハ♪ひどいねぇ♪」

 

 右手を吹き飛んだギルダーツの方に突き出し、目の前の空間に向けて能力を使う。

 周辺の空気を集め、さながらブラックホールのような吸引力を発生させギルダーツを引き寄せる。

 

「うぉ!?」

 

 ブラックホールを消し、周囲の熱を集め1m程度の塊にし、ギルダーツに投げつける。

 ギルダーツはそれを魔法で分解し引き寄せられたスピードを使い、殴りかかってくる。

 それを受け流し、ひょうたんに付いている紐を持ちながら投げつけると、バックステップで距離を取られた。

 

「いやぁ楽しいねぇ♪こんなに楽しい喧嘩は久しぶりだよ!」

「強そうだとは思っていたがこんなに強ぇとはな。負けるかもしれん」

「何いってんだい。手を抜くのが苦手とか言っときながらおもいっきり手加減してるじゃないか。まぁ、お互い本気をだすとこの島がなくなってしまいかねないからねぇ。しょうが無いっちゃしょうが無いんだけれど」

「やっぱりそっちも本気じゃなかったか」

 

 およ?気がついてたか。

 

「そりゃあ、こんなに楽しい喧嘩は滅多にできないからね。なるべく楽しみたいのさ♪」

「そうかい。しっかしまぁ大したもんだぜ。本気じゃないとはいえ、オレが防戦一方だもんな」

「でも、そもそもそっちはコインを守ればいいんだから。あたしに攻めかかる必要はないだろうに」

「そういえばそうだったな・・・でも防戦一方って悔しいじゃん?」

 

 悔しいじゃん?ってイイ歳だろうに・・・ガキじゃないんだから。

 

「まぁ取り敢えず萃香、お前の力はよくわかった。本来なら、これだけやりあえれば通してやっても良いんだがな」

「アハハハ♪これがおっさんじゃなきゃ素直に通ったんだけどねぇ。こんな楽しい喧嘩、此処までだなんてツマラナイ事言いなさんなってば。あたしは目一杯この喧嘩を楽しみたいのさ!!」

「まぁ・・・お前ならそう言うだろうと思ったぜ」

 

 およ?魔力の流れが変わったね。本気出すのかな?

 

「オレも楽しくなってきちまったからな!ちょびっと本気で戦ってやるぜ!!」

 

 なら私もちょっとだけ真面目にやろうかな?

 

「アハ♪いいねぇ。さぁ始めようか!魔導師によるトンでもない戦闘ってやつをさ♪」

 

 その言葉と共に全力でギルダーツに突っ込む。ぶつかる手前で軽くジャンプし、くるりと一回転しながらかかと落としをする。

 それをギルダーツは地面を魔法で砕いてクッションして威力を殺しきり、動きの止まった私に膝蹴りを繰り出す。

 膝蹴りが当たると同時に破壊(クラッシュ)が発動するが私は霧になることで避けると、少し離れたところに萃まり、左手に付いている鎖をギルダーツに巻きつけた。

 その鎖を媒体にギルダーツの魔力を散らしていく。

 

「な!?魔力が抜ける!?」

 

 1割ほど散らしたところでギルダーツは鎖から抜けだした。

 距離をとったギルダーツに、ちぎった髪の毛を媒体にした分身達を向かわせる。

 分身達を操作して時間差で攻撃を仕掛けるが、破壊(クラッシュ)ですべての分身を一瞬で粉々にされた。

 その分身たちを霧にして目隠しにし近づき、吹き飛ばないように首を掴んでから殴りつける。

 そのまま首を掴んで浮かび上がりぶん回しながら、能力でギルダーツの周りに岩を萃める。3mぐらいになったところで全力で洞窟の地面に向かってぶん投げた。

 

「そぉい!!」

 

 ぶつかった地面が陥没し岩が崩れる。

 

「ちょぉっとやりすぎたかなぁ?」

「まったくだ。オレじゃなかったら死んでるぞ」

 

 岩の残骸からギルダーツが出てくる。

 服はズタズタだが、大して堪えてないようだ。

 

「死んでないんだからいいじゃないか。それにおっさん相手じゃなきゃここまでやらんさね」

「それは嫌な信頼のされ方だなぁおい」

「されてないよりマシでしょ?」

「ちがいない」

 

 いやぁ最高だ。楽しいねぇ♪さぁどんどん行こうか。

 

「さぁ、次!行くよ!!」

「おう!」

 

 

 こうして私とギルダーツは、止めに来たマカロフに止められるまで、この最高の喧嘩を続けるのだった。

 ちなみに、ラクサス坊やは途中で気が付き、この戦いを見て巻き込まれることを恐れて洞窟の外に退避したそうだ。

 

 

 

 

 結局のところ、今回のS級昇格試験は合格者無しで幕を閉じることとなる。

 ラクサス坊やはしばらく私の顔を見るたびに顔を青くしてガタブルしていた。

 何を今更怖がっているのやら。トラウマにでもなったかね?

 

 島を去る前に、初代マスターの墓に行った。

 みんなには見えていないようだったが、初代マスターの思念体が私には見えた。

 マカロフが墓に現状報告をしている時にマカロフの横に浮いていて吹いてしまったのは内緒の話。

 その後、私が彼女が見えているのに気がついた彼女が、皆から離れたところで私のひょうたんの酒をくれとせがまれた。

 一杯だけだよと、盃に一杯入れてわたすと、案の定一口で目を回して倒れてしまった。

 幽霊でも飲めないのかこの酒は。

 酔いを散らしてから別れを告げると、「また来てください」と、言われた。

 暇ならこの島から出てギルドにでも居ればいいのに。ここにいるよりは暇じゃなくなると思うんだけどねぇ。

 

 

 

 

 次回へ続く。

 




ギルダーツ出しちゃったぜ♪

S級魔導師昇格試験の話を書くにあたって
この時期の他のS級魔導師がわからないことに気がついたため
急遽登場していただきました。

ちょっと無理矢理な試験内容な気もしますね~

ご意見ご感想、誤字脱字報告お待ちしております。
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