ぷるぷるぼくわるい魔族じゃないよ   作:メヌエットゆりー

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野生の裏ボスが現れた。

 

あれから山を越え谷を越え、砦を越えて三千里。

 

僕の5倍以上ありそうな大きさを持ち、大きな2本の角を持ち、禍々しい笑顔をこちらに向ける、人?魔物?に出会ってしまった。

 

肌でわかるほどの威圧感、圧倒的強者の威光、まるで魔王を倒した先にいる裏ボス、そんな恐ろしいほどの覇気を纏っていた。

ああ……僕はここで死んでしまうのだろうか……

でもどうせ死ぬならせいぜい抗って死んでみせようか…

 

「ほう、魔族の少女が儂を前にして狼狽えもせず、構えるとは……安心せい、儂に童女を甚振る趣味など無い」

 

つまりこの人は僕を殺す気はない?それがわかると肩の力が抜けて僕はその場にへたり込む。

 

「だが……お主と戦うのは面白そうだ」

 

僕はその言葉に反応してすぐさま臨戦態勢をとる。

ちくしょう!!やっぱり戦う羽目になるのかよ!!なら最後に聞きたいことを聞く。

 

「……あの一つ聞きたいのですが……あなた誰ですか?」

 

「………カカッ、面白い!この腐敗の賢老クヴァールを知らずして儂に抗おうとするのじゃから。それに実力差がわからぬ人類共と違いお主は理解してなお抗おうと…」

 

『ヒャダルコ』『メラミ』

 

僕は長々と話している目の前の化け物に対して先手必勝と言わんばかりにヒャダルコで相手の足元を凍らせ、メラミを唱えて少し大きな火球を顔面にぶち当てる。

 

 

「少しは落ち着きを持たんか童女よ。しかし今の魔法はなかなかの威力じゃ、足を凍らせ動きを止めたのちに急所に魔法を当てる、これもシンプルながらにいい戦法じゃのう。……儂には効かぬがな」

 

なんだよこの化け物!!メラミを顔面から受けて無傷とかめちゃくちゃだろ!!まだ足元が凍っている間に決めるしかない!ナイフを取り出し、相手の後ろから首に両足をかけた状態で相手の首に目掛けて火炎斬りで斬りかかる。

 

ナイフが相手の皮膚に当たり、そのまま喉を斬ろうとナイフに力を込める。するとパキッと何かが折れたような音が聞こえる。もしかしてと手元のナイフを見てみると綺麗に折れており、もうそのナイフが使い物にならないことがわかる。

 

「炎をナイフに纏わせるとは、多才じゃのう」

 

そう言うといとも簡単にヒャダルコで凍らせた足を動かし、右手で僕を掴み投げ飛ばす。

2回ぐらい地面にバウンドしながら木に頭から突っ込み、木に少しのクレーターができるぐらいの勢いだ。頭が割れるように痛い。なんなら頭から生暖かく赤い液体が流れてきた。

 

 

これすらも効かないか……使いたくなかったけどあの技に賭けるしかない。

 

僕は両足で地面にどっしりと立ち、ゆっくりと目を瞑り、両手を前へ突き出し、手のひらをあの化け物に向ける。

 

「……なかなかの魔力量…これは期待できそうじゃのう」

 

僕の両手に熱が籠る。大量の魔力が滝のように体全身から手のひらに流れ込み、僕の周りを囲むように金色に輝く2本の魔力の帯が回り始める。その帯には見知らぬ言葉が書かれており僕もわかっていない。

 

僕は魔力を超巨大な火の玉にしてあの裏ボスにぶつけようとする。

 

『メラゾーマ』

 

その火球は化け物にぶつかると大きな炎の柱を生み出し、奴の体全てを燃やし尽くそうとする。

 

だが、炎の柱が無くなると見えてきた化け物には少しは傷ができているがかすり傷程度でほぼ無傷と言っていいだろう。

 

「おそらく生まれてから100年にもならぬ魔族がこの儂に魔法で傷をつけるとは……面白い!」

 

楽しんでやがるよ、こっちは魔力の使いすぎでぶっ倒れそうだっていうのに…

 

「次は……た、お…す…」

 

 

そんな遺言を残して私は倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

うん?あれ?僕は何をしてたんだっけ?

確か野生の裏ボスとエンカウントして、応戦してメラゾーマを撃って……

 

「うわー!!!」

 

叫びながら僕は飛び起きる。

 

「……ここって天国?」

 

「人の信仰で言えば魔族たちは全て地獄だろう…」

 

……え?さ、さっきの裏ボスじゃん!!えーと確かクヴァールだっけ?

戦わないと殺される!!そう思い後ろに飛んで距離を取ろうとするが木にぶつかる。痛い。

 

「……もうお主を揶揄う気は無いから心配せんでよい」

 

「……本当に?」

 

さっきはこのパターンで戦闘に入ったからな、警戒を続けてもいいだろう。

 

「もしお主を殺す気なら寝ている間に赤子の手を捻るように殺せる。それをせんかったことを考えろ」

 

うん、確かに。実力を見たいだけならさっき戦った時に見せたし、もう戦う理由はない?じゃあなんで僕を生かしたんだ?

 

「その顔はなんで自分が生かされたかを疑問に思っておるな……お主を生かした理由はお主を認めたからじゃ」

 

認めた?あの戦闘で?もっと片腕吹き飛ばすぐらいしないと認められないものかと思ってた。

 

「…具体的にはどこですか?」

 

流石に敬語で話す。明らかに年上だし、めちゃくちゃ強いから。

 

「そうじゃのう……お主、歳はわかるか?」

 

「えーと……多分8歳ぐらいです」

 

「ほう!まだ10の歳もいっておらぬとは……」

 

え、何?めちゃくちゃ怖いんだけど……まさか8歳の子供に傷をつけられたとかで僕、殺される?

 

「お主…………儂の弟子にならぬか?」

 

…………………デシ? 僕の聞き間違いじゃない? 出汁じゃなくて弟子?

 

え?弟子!?この裏ボスっぽいクヴァールさんが僕の師匠になるの!?

いやでも考えてみればこの人が師匠になれば僕はいっそう強くなるかもしれない。となると弟子になった方が得では?

 

「……弟子になります」

 

「そうか!儂の弟子になるか!ならば名を教えてもらおうか」

 

そういえば自己紹介まだでしたね。

 

「えーと…………あっ、リーニエです」

 

「…お主……己の名前を忘れておったな?」

 

「…今まで使う機会が一度もなかったから」

 

「まあいい、儂ももう一度名を教えよう。腐敗の賢老クヴァールじゃ」

 

「…えっとクヴァール師匠?」

 

そう言うとにっこり?笑ったクヴァール師匠に聞きたいことがあったので聞く。

 

「さっき僕のことを魔族の少女って言ってましたけど魔族ってなんですか?」

 

「………お主…そんなことも知らずに生きてきたのか?」

 

「……なんか邪悪な存在だとは思ってたんですけど誰も教えてくれる人がいなくて。なんならこうやって喋るのは初めてというか…」

 

「ま、まあよい。魔族についてじゃったな?

魔族とは数百年前にとある人間の魔法使いが定めた名称であり、お主のように人の姿を持ち、人の言葉を話し、角を持つ魔物のことを指す」

 

「え?じゃあクヴァール師匠は魔族じゃないんですか?明らかに人間じゃありませんけど…」

 

「いいや、儂も魔族じゃ。儂は今を生きる魔族とは違い数千年前から生きる魔族で人の姿はしておらん」

 

へー、つまりすごい魔族なのか ←よくわかっていない

 

「あとなんで僕を弟子に?僕よりもすごい人なんていっぱいいそうだけど…」

 

「それはお主の使う魔法に興味が湧いたからじゃ……その魔法…この世界の物じゃないだろう?」

 

「!」

 

気づかれたの!?……これは説明するしかないのかな?……どうするべきか…

 

いや、ここは話そう。話した方が信頼を得れそうだし。

 

「はい、僕の使った魔法はこの世界の魔法ではありません。別の世界、ドラゴンクエストと呼ばれた世界の魔法です」

 

「やはりか!お主はどうやってその魔法を会得したのだ?」

 

「えっと、転生ってわかります?」

 

「たしか……死んだ者の魂が新しく違う命に宿ることのはずじゃが?」

 

「はい、その解釈であっています。僕はそれで違う世界から記憶を持ったままこの世界に来ました」

 

「ほう?」

 

「僕の元いた世界は魔法がなく科学が発展し、魔物がいない平和な世界でドラゴンクエストという物語がありました。そして僕は模倣する魔法によってドラゴンクエストの魔法や技を模倣して習得していったというわけです」

 

「そうか、つまりお主は別世界からの来訪者というわけか」

 

やばい理解がめちゃくちゃ早いなこの人。

 

「……お主は前世において戦闘の経験はあるのか?」

 

「ありませんけど…」

 

「つまり約8年であれだけの精神力と戦闘センスが磨かれるとは、儂の目に狂いは無かったのう」

 

フヘヘヘ、めちゃくちゃ褒めてられるじゃん。

 

「それでは今からお主の修行をするとしようかのう」

 

え?

 

「ほれ、今からするぞ」

 

「ふ、ふざけるなあーー!!」

 

こうして僕とクヴァール師匠との生活が始まった。

 

 

 


 

 

クヴァールside

 

「おそらく生まれてから100年にもならぬ魔族がこの儂に魔法で傷をつけるとは……面白い!」

 

本当に面白い……氷魔法や剣に炎を纏わせるとは魔法を使っていたところを見るにあの火炎魔法に人生の全てを注ぎ込んでいるわけでも無いのにあの威力を出せるとは…

 

「次は……た、お…す…」

 

…!

 

こやつ儂を倒そうと言うのか、あれだけの実力差を見せつけられても勝とうと考える精神……気に入った。

 

いつも通り、儂を殺しにきた人間共を殺すよりもこやつを育て儂より強くしてみるのも面白そうじゃ。

 

しかしてこやつ全く人の血の臭いがせんとは、あの魔法があれば人を殺さぬ魔族とは違い簡単に殺せるはず。獣の臭いはするがどれも魔物の臭い、おそらく戦闘はそいつらとの戦いで身についたものだろう。

無学であそこまでやるとは大したものだ。

 

それにこやつが使っていたあの魔法……今まで見たことがない形態の魔法だった。一見普通の魔法に見えたがまるで別物、この世界とは違う別世界の魔法をそのまま引っ張り出してきたようなものだ。

 

もっと儂を楽しませるがいい!

 

 

魔法のカッコについて、どちらがいいですかね?下のやつなら今までのも修正してきます

  • 『』
  • 《》
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