『追放』の力を授かった俺!今から人生を満喫してやるぜ!納得できねー奴は追放だあ~!   作:でぃくし

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なんだか楽しいぜ!パーティ崩壊の時間だ!

 

「へい!ごもっともです!」

 

俺は素早く片膝をつくとハゲの顔を見上げつつ真剣な眼差しを送る。

 

 

 

「ですが、リーダー。ここは一つ邪神様の身になって考えてくださいよ。己にとってかけがえのないものを捧げるその献身にこそ報いたいとは思えませんか?」

 

 

 

「……それは……うむ、それはだな……」

 

「リーダー、いや邪神様!俺みたいなポッと出の何の変哲もない荷物持ちの命なんてもらって嬉しいですか!?」

 

「ま、まあ……そこまでは嬉しくないかな」

 

 

 

ハゲが腕の傷を掻きながら渋い顔で考え込んでいるとさっきから目の横の小ジワを気にしていたおばさんが抗議の声を上げる。

 

 

 

「ねえ!もう勘弁してよ!なんでこんな奴の言葉にマジになっちゃってんのよ!」

 

「そうじゃ!こんなガキの戯言を聞きにここまで来たんじゃないわい!雑魚はぱぱっと邪神に捧げて財宝ゲットじゃぞ!」

 

激しい言葉を浴びせるモブたちを横目に俺はリーダーに言い聞かせる。

 

 

 

「そうですよ、俺は取るに足らない雑魚です。しかしあなたの仲間は一流でしょう?例えばそんな一流の冒険者が邪神の財宝を手にした途端、心変わりしてしまえばどうなります?」

 

「アタケ、貴様……俺の仲間を侮辱するつもりか?」

 

「いいえ、むしろ高く評価しているからこそです。それに、あなたは苦楽を共にした仲間の命を捧げてまで成功を掴もうとするお方!失敗の芽はなるべく摘んでおきたいはずです」

 

「それは……」

 

 

 

ハゲは目を閉じて唸るばかりだ。

腹を抱えて転げ回りたい気持ちを抑えながら俺はゆっくりと立ち上がった。

 

 

 

「この中には強大な力を持った魔法使いがいます。裏切りともなればその力で命を落とすことになりかねません。が、しかし!もしあなたがその気であれば、財宝を手にすると同時に邪魔者をこの世から消し去って安全に冒険を終えることも出来るはずです」

 

 

 

俺がそう言うと魔法使いっぽい婆さんに視線が集中する。

ハゲは少し気まずそうなものの、そういう考え方もありだな、と言わんばかりの表情だ。

 

慌てた様子の婆さんが床を杖でバシバシと叩く。

 

 

 

「な、な、なに勝手なこといってんだいこの糞ガキい!冗談じゃないよ!わたしゃねえ、魔法使いとしては二流、三流もいいところなんだ!ほ、ほら!こういうのは神に仕えている僧侶を捧げる方が邪神的にはポイントが高くてうってつけじゃないのかい!?」

 

 

婆さんがそう言うと小太りのモブに視線が集中する。

 

こいつ僧侶だったのかよ。

めちゃくちゃ性格が悪かったんで芸人かなんかだと思ったけど。

 

 

 

「なあ!?なんで俺ばっかり!ま、待ってよ!違うって!俺は神に仕えてない!」

「はあ?」

 

「いや本当は邪神に仕えてるんだよ!だから別にポイント高くないって!!」

 

小太りの言葉は支離滅裂だった。

婆さんが小太りの命乞いをせせら笑う。

 

「なあんだ!だったら話が早いじゃないか!」

「えっ!?」

 

「邪神に仕えてるならお前が生贄になれば問題ないじゃろうが!邪神に仕えている分際でなにが聖光弾じゃ!」

 

「えっ、えっ?う、うう、うるせえな!今はどうだっていいだろ?!」

 

 

 

慌ててきょろきょろしていた小太りが苦し紛れには指を差したのは、盗賊っぽいおばさんだ。

 

「ほ、ほら!こいつこいつこいつだって!」

 

小太りに指を差されてもおばさんはだるそうに座り込んだままだ。おそらく自分は無関係だと思っているんだろう。

 

 

 

「……んだよ、指差してんじゃねーぞデブ!」

 

「俺は知ってるんだよ!こういうのは若……い女を生贄に捧げた方が邪神的にもいいって!婆さん、あんただってそう思うだろ?」

 

小太りの言葉に婆さんが同調する。

 

 

 

「お、おお!!その通りじゃ!ほほほ、ハーゲンよ。これを機会に愛人を取り替えてはどうじゃ?」

 

「む!?」

 

「財宝があれば女くらいまたいくらでも囲えるじゃろ?もっと若くて才能のありそうな女はいくらでもおるわい!」

 

「ち、ちょ、ちっ、ちょっ……こ、この婆!何ふざけたこと言ってんの!」

 

 

 

婆さんの言葉にハーゲンだとかいうハゲは動揺したのか視線があちこちをさまよい始める。これまでにない反応だ。

 

どうやら新しい愛人という概念に相当の衝撃を受けたらしい。

 

 

 

「ほほ、こいつは最近、目元のしわを誤魔化す方法ばかり聞いてきおる。これから先落ちる一方じゃろう、どうするハーゲン、お前はこんな女の面倒を一生見続けるつもりか?」

 

「あ、え?……それはっ、いや?!」

 

「ざけんじゃねーよ!死にてえのかよこのクソ婆!ハーゲン!こいつ殺してよ!その斧で叩き斬ってよ!」

 

「ほら唯一の武器だった若さを失ったらこうじゃ!これがこの女の本性なんじゃ!小太り!あんたもなんか言ってやりな!」

 

 

 

「あ、あの……は、ハーゲンさん、俺言いたくなかったんですけど、あいつに色目を使われたことあって……」

 

「は?はああっ?!?ざけんな自意識過剰デブ!誰がお前みたいな小汚いデブに言い寄るかっつーの!殺すぞ!」

 

「な、なんだと……こ、この!バーカ!」

 

「お……おい、お前たち……いや、あ、あのだな……俺は、俺たちはだな……」

 

 

 

周囲のモブたちが半狂乱になって罵り合う中、ハゲは何か言いたげに口をモゴモゴさせながら頭を抱える。

 

パーティ崩壊の機会に立ち会えるなんて、こんな刺激的な体験は滅多にないぜ~!

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