後々、重要なので是非もう一度お読みください!
そんな訳で無事再会を果たした唯はにこちゃん先輩と談笑していた。
この2年でお互いになにがあったかなど、半分以上は僕のいきさつだったが……
ともかく今の僕は先輩に会えてものすごく嬉しい。
「しっかしあんたでっかくなったわぇ……」
中学の頃は先輩とさほど変わらない差だったが今となれば顔1つ分の差はあるだろうか。
「そうですね、あまり実感は無かったんですが、先輩と比べると明らかですもんね」
「余計なお世話よ!」
「あはは、なんだか中学自体に戻ったみたいですね」
その瞬間先輩の表情が暗くなる。悲しみ、寂しさが表現されているそんな顔だった。
すぐに察しはつく、そして僕も暗くなる。 おそらく先輩の顔を同じだろう。
「あんたもやっぱり気にしてるのね」
当たり前だ。 忘れるはずがない、結との時間は僕の大切な人生の一ページなのだから。
「そりゃ、辛いですよ……でも立ち止まっていられません! 僕の一方的な約束ですが、世界一取るって結と約束してしまいましたかね!」
「…………」
「それに結は生きてますよ」
拳を握り、トントンと自分左胸を軽く叩く。
その行為は結は僕の中にいる、にこちゃん先輩と自分にそうやって言い聞かせた。
「そうね……」
「あ、僕トイレ行きますね、ほら今μ'sの撮影してるんでしょ? 僕も後から向かいますから」
「ええ……わかったわ」
ドアを開け早足でトイレに向かう。
にこは知っていた、唯のあの顔を――結が亡くなってから何度も見てきた自分への怒り、悲しみ、寂しさそのすべてが交わった表情、2年で色々変わった唯だが、その表情だけは変わっていなかった。
「あんた一人で抱え込んでんじゃないわよ……」
「くっそぉ……やっぱつれーよ……」
幸い女子高のため男子は唯一人だトイレには自分しかいない、そのせいか自然と弱音が出てくる、涙が頬を伝う。
「ごめん……結」
鏡の前で左胸に手をやり、呟く。
はぁ……そろそろ行かないと
ふと鏡を見る
「うっわひでー顔」
それから数分間先輩方を探すが一向に見つからない。
認めたくはないが、おそらく僕は方向音痴だろう。このままだと一生見つかない。
「おーい唯ちゃーん」
何mか先から手を振る少女が見えるおそらく、穂乃果先輩だろう。
小走りでそちら向かう。
「もうやっと見つけたよ!」
正直助かった……
「先輩方はこれからどちらへ?」
「屋上で練習だよ! 頑張るぞ! て、唯ちゃんどうしたのその目」
「唯どうしたのですか?」
穂乃果先輩に続き海も指摘する。
「えっと……これは」
うまい言い訳が思いつかず口ごもる。
「はいはい! どうでもいいでしょ、さっさと屋上行くわよ」
にこちゃん先輩は気づいてくれたようで、みんなを誘導する。
「先輩ありがとうございます」
できるだけ小声でにこちゃん先輩にお礼を言う。
「ちゃんとメイクで隠しなさいよ」
にこちゃん先輩も小声で返答する、なんだかんだで先輩はいい人だ困ったときは、何度でもでも助け舟を出してくれる。
「今度なにか奢りますね」
「ほんと? 絶対よ」
「あー唯ちゃんとに先輩がイチャイチャしてるー」
穂乃果の発言にすぐ反応する、この人とは何故か初めて会った気がしない、声や顔が違っていてもどこか結と似ている、そんな気がしていた。
唖然としていると穂乃果先輩がこちらに寄ってくる。
「もー! 早く行くよ!」
手を引かれ、歩き始める。
結と同じく天真爛漫、それがしっくりくる。 懐かしいただただそう思う。
だけどこの人は結じゃない……結と重ねるのはだめだ。
なんだかやる気が出てきた
この人なら、いやこの人たちなら……
言うならいまだろう
穂乃果先輩から手を離し、全員の先頭に立つ
深呼吸し、頭の中で言いたいことを整理する。
「こほん、僕を、上井草唯をμ'sの専属スタイリストにしてください!」
噛まずに言えた。あとは反応をまつだけだ……
「ス、スタイリスト!? て、なに?」
つい漫画のような転び方をしてしまった、あはは……やっぱり似てるな。
「てことは、メイクとかもできるん?」
「ええ、まぁ」
「わたしは賛成、というか知ってたし」
興味なさそうにツンデレ少女が言う
「わ、わたしも」
「凛もにゃー」
「てことは、凛ちゃんの髪型、唯ちゃんがやったの!?」
「そうなのですか!?」
「まぁ、そうですね……」
やっぱり失敗だったか?
男と女の感性は違うものだ、いくら自分の出来が良くても相手の意にそぐわなければ、意味がない。
反省しよう……
「すみません次から気を「すっごいかわいかったよね!? ねぇ皆!」」
「うん! ことりもやってほしいなぁ」
ことり先輩をスタイリングか……はっ! てことはそのトサカを合法的に触れるってことか。
「それと……根元の方向性……」
ブツブツと呟く、こちとら髪に命かけてるんだ、滅多にない髪型だからな良い経験になるだろう。
「おーい唯ちゃーん」
「反応しないで?」
「どうしのかにゃ?」
「これは、あれですね」
「そうね……」
付き合いの長い海未と同じ中学のにこだけはこの状態を理解していた。
「先に行きましょ、しばらくは動かないわよ」
「そうですね」
「お、置いていっちゃっていいのかな?」
「いいんじゃない別に」
興味なさげに答える真姫
「うーん、それじゃ先行くねー」
「あれは……癖毛……いや、癖毛であそこまでいくか? 店長にも見てもらったほうが……うーん、ことり先輩……ありゃ?」
「ひどっいっすよ!」
階段を全力で駆け上がり、ドアを勢いよく開ける、しかしそこに居るはずの皆はいない。
おかしい、屋上に行くとにこちゃん先輩が行っていたはず……
「唯ちゃんこっち、こっち」
手を振られ、穂乃果先輩に誘導される。
場所はドアの横、見れば太陽を遮り日陰ができている。
全員息切れしている様子から察するに休憩中だろう。
まだ5月だというのに、この日差しだ、練習している身からすれば地獄だろう。
しかしなんで屋上なんだ?
スクールアイドルもれっきとした部活だというのに――野外でのLiveを想定しての練習なのか?
紫外線は避けた方が良い髪にはダメージだ……へたすればハ……いや、やめておこう。
それとμ'sのメンバーは絶賛休憩中、練習でかいた汗で服が肌に張り付き、身体のラインが強調されている。
男に慣れていないのか、全員無防備だ。
て、カメラ回ってないか?
む、ことり先輩意外と……と、いかんいかん
つい、変なことを考えてしまった、それに気づいたのか幼馴染の視線が痛い。
「海未気にするな、まだ全然だけど、これからだろ?」
「?」
海未はまだ気づかないようなので、それに視線を送る。
「なるほど……そうゆうことですか」
「ことり先輩のようには、ならなくてもさ! まだ希望はあるって! これからだろ? な?」
「え? 私?」
自分的にはオブラートに包み込みかつ、労いの言葉のかける
何やらμ'sの方々が少し騒がしい、小声で耳打ちし、なにか怯えているようだった。
「そうですね……希望はありますよね」
「そうそう、だか――あっぶね! 海未さん? それは護身用のはずじゃ……」
瞬きの合間に顔面に正拳が飛んでくる、何度も見た、そして何度もくらったその打撃反射的に躱す。
「ふふふ……」
「えーと海未さん? 僕なにかしました?」
この表情、この笑い方、小さい頃片手で数えられる程度だが鮮明に覚えてる。 なんせあまりにも恐ろしいから……
だったら僕のとる行動は1つ。
「あ、ごっめーん、僕用事思い出したよ。」
「…………」
「すみません、嘘です」
「それなら歯をくい――て、今度なんですか!?」
「唯なにやってんのよ!」
「大胆にゃ~」
そんな悠長なこと言ってる場合じゃない。
こっちには命が掛かっているのだから。
今の状況はというと。
海未を身動き1つ取れないように抱きしめている、腕もしっかり固定しているため今のところなにもできないだろう。
それと、ものすごく細い――ほんと食事をとっているか不安になるくらいだ。
「は、はなしてください!」
「いや、今離したらお前殴るじゃん……」
この後どうしよう…………
「わ、わかりましたから」
半信半疑だが離してあげる、あのままだと僕はただの変態だしな。
「あ…………」
それでこいつは自分で離してって言ったくせになんで不機嫌になってるんだ?
「唯ちゃんと海未先輩仲良しにゃ~」
「そうやね、知り合いなん?」
「海未とは幼馴染なんですよ……大切な」
「た、大切なですか」
声のトーンは明らかに今までとは違っていた、これ以上は踏み込むなと意識してやっていた訳ではないが自然に出てしまった。
海未が関係している訳ではないがもう一人のことは打ち明けたくないからだ。
それと今度はなんで照れてるだよ、かわいいじゃねーか。
「ほら、そんなことよりも練習したほうがいいですよ! な、海未?」
「そ、そうですね!」
一人を除いて一斉に日陰から出て行く。
「君、えりちのこと支えてって言ってたけど、一番悩んでるのは君じゃないん?」
この人鋭いな、表情に出しているつもりはない、おそらくこの人の勘だろうか。
「はて? なんのことでしょう」
「まぁ、ええんよ。 でも一人で背負い込むのはよしたほうがええよ?」
あなたに何がわかる……結は戻ってこないのに、いつも隣のいたのに消えるんだぞ。
その辛さがわかんのかよ……
今にでも口からポロリと出てきそうな言葉を、なんとか咬み殺す。
二年前の僕なら抑えきれないだろう、証拠になんどもクラスメイトと喧嘩した。
「…………」
希先輩の言葉を無視し、μ'sのほうに視線を向ける。
「ごめん、無神経やったわ」
「いえ、いいですよ……それより今は取材ですよ」
いったぁ……唇噛むんじゃなかったな。
ほぼシリアスかな?
実は海未推しなんですよねぇ……