日差しの激しい屋上、そこで踊るμ's。
滲み出る汗をはじきながら踊る彼女たち、青春の様な光景。
見ていて苦ではないが。
やたらと暑い、じっとしていても額の汗がピシャッと地面に落ちる。
まいったな着替えもって来てないな。
などと考えていると二度目の彼女たちがこちらに向かってくる。 どうやら二度目の休憩のようだ。
「おつかれさまです」
労いの言葉と同時の手元のドリンクを手渡す。
これじゃマネージャーじゃないか……
趣向が違うことに気づくが、この後もう一度練習だろう、踊れば、髪も崩れるだろうし、メイクだって落ちるそのためこれ以外の僕の役目は見つからない。
「どうだった私たちのダンス!」
感想を聞こうと急に接近してくる穂乃果先輩、なんだか汗のせいかやたらと色っぽい、いつもアホさはどこにいった?
「うーんそうですね……悪くないんじゃないですか?」
ホントはダメダメだった、動きはあっていないし、ところどころ間違えている、腕の振りも気を付けないといけない、指摘する点は考えればいくつも出てくる。
「唯、嘘ですね?」
僕の感想について何かに気づいたかのように返答してくる海未。
「どうして?」
「あなたが嘘の際、視線が泳いでます」
「そうなの!?」
そんな癖があったのに今気づく、だがホントようだ、現に今それを海未に嘘を見抜かれたのだから。
だがそんな些細なことに気づく幼馴染は少し怖い、もしかしたら、今までの嘘もバレていたのかと思うと暑さとは関係のない、汗が出てくる。
「さすがだな……」
「それでそうなのですか?」
嘘はどうせ海未にばれる、癖をすぐに直せる程器用じゃないからな、ここは正直に……
「下手だな」
「ぬわぁぁぁぁんですってぇぇ!?」
素直に答えると、この通りだろう、なんとか見せれる、そんなレベルだ。
他のアイドルと比べる一目瞭然。
あとにこちゃん先輩うるさい。
「どこがだめなの?」
至って冷静な真姫、真姫は自分たちの実力を理解していたようだった。
「まず真姫は表情が硬いな、アイドルは常に笑顔じゃなきゃ」
「ほのかは?」
「キレはあるんですが、次への動作が早いですね、そのせいでバランスが崩れています」
「ことり先輩は逆に遅いですね、みんな合わせ過ぎてる感じがします。 海未と花陽は腕の振りかな」
「凛は!? 凛は!?」
「凛、お前身体、硬いだろ? 柔軟性はどんなスポーツに限っても重要だぞ?」
皆の表情は暗い、それを見れば胸が締め付けられる。 ことり先輩と花陽が今にでも泣きそうになっている。
おい! 誰だ! 二人をこんなにしたの…………僕やん
自分への罪悪感に浸っていると、一人の少女が突っかかっていくる。
「に、にこは!?」
そういえば、忘れてたな
「あーかわいいかわいい」
適当にあしらう
これ以上自分で自分を締め付けたくないからだ。
「へ? そ、そう?」
満更でもない表情を浮かべ、えへへと笑う先輩。
ほら、やっぱり笑顔だよな。
「にこ先輩だけには優しい……」
ジト目でこちら睨む穂乃果先輩、どうやらこっちも気づいていないらしい。
「にこちゃん先輩、さっきの嘘です! かわいいのホントですが、ダンスに関してはダメダメですね!」
最高の笑顔で感想を述べる。
「にこ!?」
グッと親指を立てる。
依然としてにこちゃん先輩は笑顔だがどこか落ち込んでいるように見えた。
「あとですね……」
「え!? まだあるの!? ほのかたちの心はズタズタなのにぃ~」
「これでラストですから――前後が入れ替わるパフォーマンスがあるじゃないですか? そこのバックステップを3歩から2歩に変えた方がいいですね。 それだと次の動作の楽だし、かつ揃いやすいですし。 もうひとつありました。 真姫だけじゃなくて全員、苦しくても笑顔です。 アイドルですから。」
アイドルはお客さんを笑顔にすること、アイドルじゃなくても、美容師だって一緒、お客さんが満足して、笑顔になれば嬉しい。
なにかの本で読んだな、笑顔の数だけ幸せになれる。
「実はあなたアイドル好きだったりして……」
ビクっと肩が跳ねる。
言えない絶対に実はA-RISEのファンだったなんて、口が裂けても言えない。
それにアイドルが好きな男子なんて絶対にモテない。
アメリカでも隠れアイドルヲタクとしてきたんだ。 日本でもうまくやってみせる!
~~Private Wars♪~~
突如として僕の携帯の着信音がなる。
「はい、もしもし――あっ!店長!? え? 今から? まぁ大丈夫です。 はい……はい、了解しました」
「僕がアイドル好き? そんな訳ないだろ? μ'sならいざ知らずだけどね」
完璧な演技力、表情変えず言えた、こんなところで接客業が役にたつとはな。
「じゃその着信音はなに?」
真姫が問い詰めるように聞いてくる。
着信音? あっ…………
しまった、幸いアメリカまでA-RISEの話題は伝わってなかったからなぁ
「えーと……なんだったっけなぁ?」
誤魔化すように返答するが
「Private Warsだよね!」
花陽が今まで見たことのないような笑顔と、目でこちらを凝視してくる、まったくその通り。
前に一度見たことあるけど、この子アイドルのことになると、キャラ変わるよな、練習も人一倍頑張ってたし。
「は、はい」
腹をくくり、白状する、実はA-RISEのファンだったこと、初めは咎められたが、花陽とだけはA-RISEの良さを語りあえた。
「それじゃ僕これから用事ありますんで。 お先に失礼します。」
軽く会釈し屋上のドアを開ける。
「あ、唯ちゃんまって~、ことりも用事あるから途中まで行こう?」
もちろんOKだ一人寂しく、校門を出るより、何十倍もいいだろう。
「はい、よろこんで」
「みんなバイバイ~」
ことり先輩も全員にあいさつを済ませ、僕の後をついてくる。
まるで生まれたてのことりだな……お、うまいな
軽く笑みを零す、それに気付いたのかことり先輩が訪ねてくる。
「唯ちゃん、いいことあったの?」
まずい、先輩のネタで笑っていたなんて、絶対に言えない。
もし言ったら、先輩は悲しむだろう。
この笑顔、守りたい!
これも本か何かで見たな……
「そうですね――ことり先輩と帰れるからです」
今の状況を完璧に理解した、セリフだ。
さすがTHE空気を読める男!
「そ、そうなの!?」
見れば先輩の顔は真っ赤だ、今考えて見れば、あのセリフはないよな、どこのギャルゲー主人公だよ。
だが一度言ったことは曲げないのが男だ。
ここは流れに任せよう。
「そうですよ――今日はツイてるなー、先輩と帰れて!」
正直ものすごく恥ずかしい。
おそらく僕の顔も真っ赤だろう。
「えへへ、お世辞でもうれしい」
「お世辞なんかじゃないですよ、ほら早く行きましょ、先輩はどこに用事あるんですか?」
「えーと……秋葉原」
「奇遇ですね、僕もなんですよ!」
「へ、へーそうなんだ。」
なにやら先輩の様子がおかしい、視線は明後日の方向を見ているようだった。
僕と先輩はただいまことり先輩は秋葉原の入口付近にいる。
先輩の様子はさっきからなにやら焦っているようだった、心配になって聞いても「ナンデモナイノヨ」の一点張りだ。
まぁ人には隠したことの1つや2つあるだろうしな。
あまり触れないでおこう。
「それじゃ先輩、僕はこっちなんで、失礼します」
ホントはこのまま真っ直ぐなんだが先輩のことを気遣いあえて違う道を選んだ。
先輩のことだし、いかがわしい、店ではないだろう。
「う、うんまたあした」
手を振り先輩と別れを交わす。
「すみません、遅れました!」
店内を見渡せば、いつも通りの風景、一体何用で呼ばれたか検討がつかない。
「おー唯くんこっちこっち」
手を振られ、誘導されるがままにスタッフルーム、要は休憩所に向かう。
ドアを開ければ、スーツ姿の女性、整った顔だち、綺麗な黒の長髪、座っていてもわかる、女性にしては大きな身長。
そんな人が僕何の用なのか、さっぱりわからん。
「店長この方は?」
ソファーに座りながら店長に聞く。
「唯くん、LIGHTって知ってる?」
もちろん知ってる、超有名、株式会社LIGHT、その会社は主にモデル、読者モデルから、プロのモデルまでいる。
女性なら誰もが一度は憧れるだろうそんな会社だ。
そんな某有名会社が僕になんのようだ?
「この人は、そこの社長さん」
は? こんな美人が社長さん? いくつだよ
「もう渚! 名前で呼んでよ!」
名前呼びから察するにおそらく、この人と店長は親しい仲なんだろう。
てことは、まだ二十代……二十代!? 二十代であお会社を経営してるのか!?
今思い出せば、たしかにあの会社は昔からあるようなものじゃ無かった。
つい最近、名乗りをあげた、会社だ。
それをこの若さで…………
「わかった、わかった雪、本題の方お願い」
「そうね、初めまして上井草唯くん、私は冬美雪、こうゆうものです。」
名刺を手渡しで渡される、冬に美しいと書いて冬美、姓名は雪。
名前の通り、とても色白、こういっちゃなんだが山にいたら雪女だと勘違いされそうだ。
「はぁ……それで僕になんの御用でしょうか?」
「単刀直入にいいます! 一日だけでいいからモデルやってみない!?」
「え、えぇぇ!? ぼ、僕がですか!?」
驚きを隠せないのは、当たり前だ、あんな華やかな仕事は僕には向かないと思うからだ。
「あなただからです! それにうちと契約してる美容師さんたちともコミュニケーション取れますよ?」
な、なんだとぉぉぉ!? プロの技を近くで見れるチャンスかもしれない! それにモデルもこれからの経験になるかもしれないしここは…………
「どうしますか?」
「よろしくお願いします!」
「それに当たって、今回はイケメン高校生って設定なんですよ、なので、相手の方も高校生の方が言い訳ですが、心当たりあります?」
モデルってこと高身長なのが条件だよな、かつ美人…………
いる、でもだめだ、あの人は忙しいだろう、なんせ大人気スクールアイドルだからな。
「がんばって探してみます…………」
「それでは決まり次第連絡ください、名刺の方に会社の番号が載ってますので」
「了解しました」
「では、これで失礼します」
会釈しドアを開けスタッフルームを退出していく。
歩き方から違うな。
「唯くんよかったの? 内としては、店の名前も広がるし、メリットはあるけど…………」
「大丈夫です、それに腕利きの美容師さんたちの実力も肌で感じたいですし、店長程の人はいないと思いますが」
「お、言うねぇ」
「それじゃ僕も失礼します」
「おう、お疲れ!」
「あ、唯君、この後暇かい?」
ドアに手をかけ、いざ帰ろうとした瞬間、店長に呼び止められる。
お店の手伝いだろうか、もちろんバイト代が出るなら、参加させてもらうつもりだ。
「それなら、隣の喫茶店に寄って行きなよ」
Oasisの隣に位置する、喫茶店、たしかsourireは秋葉では超人気店、なんでも、ものすごくかわいいメイドがいるんだとか。
しかし、sourireかフランス語で、笑顔、微笑み、メイド喫茶にはぴったりだな。
勧めらたのに悪いが、僕はメイド喫茶には正直興味がない。
あんな営業スマイル見たところで、こっちちっとも癒されないからだ。
「考えるより、言ってみた方がいいよ、ここのスタッフは全員そこの常連だからね。 たしかミナリンスキーだったかな? すごいかわいいメイドがいるんだよ」
なん……だと
「わかりました、小腹の空きましたし、寄ってみます、それと店長も隅に置けませんね!」
「うっせ! ほら、さっさと行け!」
よくよく考えれば、よくみんなこんな店に入ろうと、思えたな。
みんなと言うのは、Oasisのスタッフたちのことだ、仕事中はあんなクールな人たちなのに、こんなメルヘンな店の常連だとは…………
しかし、いつまでもメイド喫茶の前で立ち尽くすのはやめよう……これじゃ、まるでメイド喫茶に初めて、入る中学生のようだ。 まぁ中学生が高校生に変わっただけだが。
周りからの視線も痛い、先程リュックにはポスターを大量に詰め込み、ハチマキをした、おそらく学生だろう。
その学生から、葛藤の最中に突然
「初めだけさ!」
親指を立て、最高に意味の分からないことを言われた。
しかしそのまま、店内に消えていく姿は何故か勇ましく見えた。
あれがイケメンか………
だが考えてもしょうがない、僕も行こう
ようやく決心し、ドアを開ける。
そこは至ってシンプルな喫茶店、特に凝った装飾はしておらず、どこにでもあるような喫茶店だった。
1つを除いては…………
「おかえりなさいませ~ ご主人様お一人様ですか?」
「はい……て、ことり先輩!?」
そこにいたのは紛れもない、ことり先輩、とさかの様な髪に特徴的な声僕の知ってる先輩と完全に一致していた。
「ふえ? 唯ちゃん!? なんでここ……コトリ? ワットドーナタデスカ?」
手元にあったマグカップで目を隠し、カタコトの英語を話す。
「wow外人さんだ――て、んなわけあるかぁぁぁ!」
「ごめんなさーい!」
作者は東北住みなので秋葉いったことありません!
前も書きましたが、4話の内容をミスで執筆中のを投稿してしましが、再投稿しました! 是非お読みください!
どうでもいいと思いますが。
今回の中間テストの結果が予想以上によくてテンション上がりまくりですww
誤字の指摘、アドバイス等、お願いします!