そんなわけで町外れの山麓にある川へやってきました。周りは木に囲まれていて誰かに見咎められる心配もありません。
「ここら辺の、あ、ちょうどいい感じにあるリボン」
「なにが?」
「この川にいい感じで足場になりそうに迫り出して配置されてる岩の上をジャンプしていって向こう岸まで辿りつく、ってやり方ならあの危険すぎるパルクールよりはましリボン」
「川に落ちたらどうするのよ」
「流れは緩やかだし、足がギリギリつくくらいは浅いし、川に落ちても大丈夫リボン」
「……そのようね」
「昨日のアスレチックはくぅあちゃんが頑張ったから、今度はわたしからいくよ」
助走をつけて、ジャンプっ。岩の上に着地してバランスを整えます。そこからほっほっとギリギリ届く範囲の岩の上を跳んでいきます。
「できたー!」
それなりに危なげなく向こう岸へ辿り着きました。
「次はティピファが行かせてもらうリボン」
ティピファちゃんも助走してジャンプします。
「っとぉ……」
バランスを崩しそうになりながらなんとか着地できた感じです。見ててすごく不安になります。
「ここからリボン。助走なしでギリギリの距離だから集中しないとリボン」
意を決したようにティピファちゃんがジャンプします。
「あっ」
明らかにバランスを崩しました。
「わわわわっ」
両腕をぶんぶん振ったり体をくねらせてバランスを取ろうとしていますが、あれは転びます。時間の問題です。あと数秒でティピファちゃんは川にドボンです。
「いけない! 今助けるからねティピファちゃん!」
わたしはティピファちゃんがいる足場までぴょんぴょんジャンプしていって、ティピファちゃんの体を支えようと手を伸ばしました。ティピファちゃんは慌てているのか、慌てているのは当然だけどしがみつかれました。「わあっ!?」わたしもバランスを崩してしまいます。
「しょうがないわね」
くぅあちゃんも助けてくれようと素早くやってきました。わたしの体を支えてくれます。
「あ、ちょ、暴れないの!」
「だってっ力抜いたら落ちちゃうっ」ティピファちゃんすっごい暴れてる!
「足がっ足がっっ! りぼっ!?」足ってなにティピファちゃん!
「きゃあ~~!?」
めちゃくちゃだあ~!?
ドボンっと水に落ちる感覚。泡が上にいっぱい上がっていくのが見えるよ。急いで水の上に顔を出します。「ぷはぁっ」
「がぼぼばっ!?」
「ごがばばぼっ!?」
ティピファちゃんはともかくなんでくぅあちゃんまで溺れてるの!?
「あっあっ、あしっ、つっ……っ」」(ティピファちゃん)
「くっ……っ……っ」(くぅあちゃん)
わたしがなんとかしないとっ!
二人の腕をつかんで岸まで泳ぎます。溺れた人は慌てちゃうのか、しがみつかれて暴れられるけど気合で泳ぎます。
「ほよ~~!! ふわプリ~~~~!!!」
岸に、辿り着きました……っ。
大変だったけど頑張って運んだよ。わたしができなかったらみんなで溺れちゃうからね。力をほよ~~っと振り絞りました。
って、それよりも。
「ティピファちゃん足つく場所なのになんで溺れちゃったの?」
「足をつったんだリボン……自分の運動能力のなさが恨めしいリボン……」
「ほよ~……くぅあちゃんも足つっちゃったの?」
「私と水は相性が悪いわ」
「泳げないなら事前に言ってよ~」
「氷がイメージなのに水は苦手なのかリボン……」
「私はクールなのよ。泳げないなんて知られずに乗り切るのがクールなムーブというものでしょう」
「でも思いっきり溺れて知られたリボン」
「くっ」
「みんな服びしょびしょになっちゃったね。一旦帰って着替えようよ」
ティピファちゃんは特に、たくさんのリボンが全部濡れちゃっているので、またいろいろ整えてリボンまみれになるのは大変そうです。
それぞれ家で着替えてからまたふわプリで集まりました。
「やっぱりエヘさんにレッスン内容決めてもらおう」
「……そうね。最初はそれがいいかもしれないわ」
「マネージャーの言うことは聞いたほうがいいのかもしれないリボン」
「というわけでエヘさん、勝手なことしてごめんなさい」
「ご指導お願いしますリボン」
「頼むわ」
ぷろろ~ぐ広場のカフェ前でエヘイエーさんと会って、これまでのいきさつを話しました。
「川でまた無茶したと聞いたときは開いた口がふさがらなかったエヘが、隠さずに伝えてくれたことと、頼んでくれたその素直さに免じてもう何も言うまいエヘ」
「やったっ」
「でもビシバシ行くエヘよ!」
それからはふわパレスのレッスンルームに行って、エヘさんが指導するままにアイドルの基本レッスンを頑張りました。
わたしたちふわふわぱ~ふぇくとの曲「とりぷるなパーフェクト」のライブ中にやるダンスのレッスンや、その歌詞をいっぱい歌うボーカルレッスンを主にやりました。
「そう、一歩ずつコツコツと、エヘ」
「でも、とても地味ね」
「だがこういう努力が一番力になるんだエヘ」
何日もレッスンを続けているうちに、腕立て伏せを百回以上できるようになりました。ティピファちゃんも十回は平気でできるようになっていました。
「ちょっと待ってリボン。こんな短期間で体力つくリボン?」
「ふわプリのシステムがアイドルとしての成長をサポートしているんだエヘ」
「ふわプリますます興味深すぎるリボン……」
今ならもっといろんな動きができるかも!
あ、これいいっ。このかわいいポーズっ。
「ねえねえこの動きかわいくない? ふわふわ劇場に取り入れようよ」
「いいリボンね。今なら前より少し高度な動きもできるから、積極的に新しい動きをしていくのはいいリボン」
「ならこういう動きも入れたいわ」
くぅあちゃんは高くジャンプしてから前にくるんっと回って綺麗に着地しました。
「それもいいね。今のわたしならできそうだし」
ジャンプして、くるんっ。で、できた!
「もっと高くやれるように練習しましょう」
「これ、ティピファもやらなきゃな感じリボン……? まだ運動が苦手なのに変わりはないし、できるか不安リボン」
「大丈夫! やれるよ。わたしたちも付き合うから」
「うう~頑張るリボン!」
「危険そうな技で気になるエヘが、今の身体能力なら許可するエヘ」
エヘさんの許可も下りました。これで心置きなく挑めます。
そんな感じでふわふわ劇場も自然と完成していきました。
「ふわふわポイントにデッキケースとコーデカードをセットしてくださいモコ」
カードとデッキケースをふわふわにセット! ぴろりんっ。
「今日もリボンがかわいらしい三人ですモコ。いいステージ期待してますモコ」
「リボンピンクコーデ!」「リボンブルーコーデ!」「リボンイエローコーデ!」
それぞれのポーズ! ダブルピース! クールなポーズ! 手でリボンの形!
「ほよ!」「ふっ」「りぼんっ!」シュパーンッ。(光の粒が飛び散るサウンドエフェクト)
三人でライブステージに飛び出します。ピンクと青色と黄色がイルミネーションになってふわふわとわたしたちのステージを照らします。
「皆さんお待たせしました。ふわふわぱ~ふぇくとのライブです!」(鎧の人)
「きゃーほよほよほよ!」「今日もリボンかわいい~!」「くぅあちゃんクールなお顔をもっと見せて~!」(観客)
それぞれピンクと青と黄色のマイクを持って、音楽が鳴り始めます。
~♪
曲名は「とりぷるなPerfect」くぅあちゃんの意向でパーフェクトが英語になりました。ユニット名の時はジャンケン勝負の上でとはいえ譲ってもらったので、わたしとティピファちゃんも納得しています。
「ほよっ! と来たらクールが一番、リボンがほどけておはようだ
はい! 手を繋ごう 三人のカラフルが希望のレールに乗って いち にー さん さん
ふわふわプリティ わたしたちのリレーション キラキラ
トリニティくるんくるんフェスティバルタイム
るー るー るー
クールに始まる私の独壇場 約束の氷結時間 私だけのストーリー 刮目しなさい
パリ パリ パリ パリ アイスブレイク
ほよっとわたしもぽよっと飛び出す トゥインクルくるくる ふわふわかわほよ☆
私の計算 頭脳で生産ブレイン混乱 それでもそれが最適解」
ふわふわ劇場 オープン!
「ふわふわかわいいアイドルは」
ふわふわかわいいデザインなおっきい階段を、三人並んで高く一回転ジャンプして着地、かわいいポーズをとります。
「だんだん地道にコツコツと」
さらに回転ジャンプしながら上っていきます。一段上るごとにバリエーション豊かにかわいいポーズをとります。
「かわいいを育むよ」
三段上ったところで、みんなで手をつないで回転ジャンプっ!
画面(カメラ)に向かって勢いよく接近します! 画面いっぱいに三人の顔がぎゅうぎゅう詰めになる感じで、ふわふわかわいい笑顔! あ、くぅあちゃんだけクールな笑みです! でもそれもふわふわかわいいの一つです!
「スプラウトキュートっ!」
「トリプル輪になって 光が灯り スピンジャンプ
ふわふわと クールが リボンに結ばれ
ジャスト ドキドキオンリーフェア
とりぷるなパーフェクト最大ガールズ」
ライブ終了です! ふわふわ劇場、完璧に成功しました!
ふわチケGET!
「ほよんさんとくぅあさんはふわふわふーアイドルから強いかもしれないアイドルへ、ティピファさんは初心者アイドルからワンステップアイドルへふわふわランクがアップしました! おめでとうございます!」(鎧の人)
「ふわふわ劇場よかったよ~!」
「成長性Sプラス~!」
みんなもわたしたちが頑張った結果で喜んでくれています。
今日もふわプリ楽しいなっ。
夜、リビングで妹のぽるんと一緒にテレビを見ていた時です。ぽるんは今日も、結構体が小さいほうなわたしよりちっちゃくてかわいいです。
「お姉ちゃんユニット組んだんだね。おめでとう」
「今!? ふわふわぱ~ふぇくとが誕生した日に言ってよ~」
「あのときはまだお姉ちゃんがチームメンバーとちゃんとやっていけるかわからなかったし」
「え~、最初から仲良しだったよ」
「お姉ちゃんたちのユニット、結構好きだよ。ライブも毎回
「そうなの!? ありがと~」
「今日のふわふわ劇場もなかなかだったよ」
「えへへ、ぽるん今日はよく褒めてくれるね。ほよほよ~」
AIモコの、ふわプリコーデ紹介のコーナー☆
「今回紹介するコーデはふわふわぱ~ふぇくとお揃いのシュシュですモコ」
「小学生のお小遣いでも買えるほど安価でありながら、色合いがコーデのいいアクセントになることのみをコンセプトに考え抜かれており、縫合も丁寧にされた高品質シュシュですモコ
「以上、ふわプリコーデ紹介のコーナーでしたモコ~」