ふわプリ   作:ソウブ

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12話 プールでみんなでPVだ!(2/3)

 

 

 

「それはそうと! パラダイムハートがなぜこんな場末のふわプリへ頻繁に来るリボン? この前もライブしに来たばかりリボン」

「場末とはなんだエヘ!」

「ワタシたちは、ふわプリのPV撮りに来たんだよ」

 

「そうですミカ。このふわプリのPVはパラダイムハートが撮ることになってますミカ」

「え、そんなの知らないエヘ。他の支部のPVだけだったはずエヘ」

「スケジュールが変更されてますミカ。このふわプリのPVもパラダイムハートが撮ることになりましたミカ」

「そ、そんなの横暴エヘ。ずるいエヘ……!」

「人を悪者みたいに、いえ、マスコットを悪者みたいに言わないでくださいミカ。スケジュールは数日前からふわプリに許可をとって変更されていますミカ。確認を怠ったエヘイエーのミスですミカ」

「ぐ……でも、ぐぐぐぐぐ……っ!」

「自分の無能を棚に上げて他人を責める、いえ、他マスコットを責めるとは、マネージャーの風上にも置けませんミカ」

「ぐぐぐぐぐエヘぇ……!」

「ほよ! 二人とも喧嘩しないで!」「冷静に落ち着いて話し合いましょう。仲良くないのはふわふわかわいいの妨げですよ」

 姫花さんがいつの間にか用意していた紅茶をエヘさんとミカエルさんに渡します。

 二人とも一口飲んで息をついて、落ち着いてくれたようです。

「ならどうしますミカ」

「どうもこうも、エヘのミスだから、おとなしく引き下がってパラダイムハートのPV撮影見学にでも予定を変更するエヘ……」

「それは、さっき撮った映像が無駄になってしまうということかしら」

「すまないがそうエヘ」

「少し納得いかないのだけれど。どうにかなにかに使えないかしら」

「それなら簡単だよっ。いっしょにPV撮らせてくださいお願いします!」

 パラダイムハートのお三方とミカエルさんに頭を下げます。

「わたくしもそれがいいと思っていました。ほよんちゃんの言う通り、一緒にPV撮れば簡単に解決です」

「そうだねぃ」

 スイさんも賛成してくれて、シルフィーさんも頷いてくれます。

「ほよ! ありがとうございますっ」

「クールな結果ね。お礼を言わせてもらうわ」

「よろしくお願いしますリボン」

 

「はあ、一緒に撮るのは問題ないですミカ。けれどその前に、エヘイエーは自分のミスぐらいは認めてくださいねミカ」

「そう、エヘがミスしたのは事実エヘ。エヘが悪いエヘ。ごめんなさいエヘ。マネージャー失格エヘ! エヘは必要ないエヘ! エヘは埋まってエネルギーの糧になってくるエヘー!」

「急にネガティブすぎるリボン!」

 エヘさんはどこかへ飛んで行ってしまいます。速いです。

「エヘさーん!」

 心配です。追いかけます。

 みんなも続いて追ってきます。プールサイドを転ばない程度に走ります。

「ミカ、カメラを回しておいてください」

「かしこまりましたミカ」

 姫花さんが、ミカエルさんになぜか撮影指示を出していました。

 ミカエルさんがカメラを取り出しながらため息をつきました。

「しょうがない人、いえ、しょうがないマスコットですミカ」

 

 エヘさんを追いかけてたどり着いた先は、ふわプリプールの片隅にあるヤシの木の下でした。

 木の根元の土部分が掘り返されていて、埋まっているエヘさんの丸っこくてかわいい両足だけが地上に顔を出しています。大根みたいです、いや大根だと大根足のイメージが浮かんできてしまって違います。おっきくて細長いマシュマロみたいです。

「本当に埋まるやつがあるかリボン」

「エヘイエーはその昔穴掘り名人として名を馳せたことがありますミカ」

「ほよ~」

「へ~」(くぅあちゃん)

 わたしとくぅあちゃんとティピファちゃんで、埋まったエヘさんを掘り出します。道具がなかったので、手でエヘさんの周りの土を掻き出していきます。化石発掘の気分です。

 掘り出されたエヘさんは座り込んでうなだれています。土まみれなのでタオルでふきふきします。

「エヘはふわプリアイドルを支えるマネージャーとして、ふわふわぱ~ふぇくとのマネージャーとして失格エヘ。エヘではみんなを導けないエヘ。エヘは何もしないほうがいいんだエヘ」

「だからなんでそんなにネガティブリボン?」

「エヘイエーはたまにこうなりますミカ。本当にこんなのでマネージャーが務まるのか疑問ですミカ」

 なら、わたしたちが元気づけなきゃだよね。

「エヘさんもふわふわぱ~ふぇくとの仲間なんだよ。何もしないほうがいいなんてことないよ」

「失敗なんて誰にでもあるわ。ずっとメソメソしているようなマスコットは私たちのマネージャーに相応しくないわよ」

「ほよ。間違えてもいいから、一緒に進んでいこう。またいろいろ教えてよ」

「上に立つマスコットは、時にアイドルたちの指針になれる存在は必要リボン。困ったらとりあえず何か聞ける相手って重要リボン」

「だからエヘさん、戻ってきて」

 エヘさんは震え始めました。

「う」

「う?」(ふわふわぱ~ふぇくと)

「うおおおお~~~! エヘ! 頑張るエヘ!」

 エヘさんは飛び上がって泣いていました。たぶん嬉し泣きです。涙がプールのシャワーのように降り注ぎます。

 エヘさん復活です。

 よかったよかったっ。ほよほよ~。

「やれやれですミカ」

 ミカエルさんが呆れたように息を吐いています。けれどその様子はどこか、嬉しそうでした。

 

 それではさっそく、みんなでPV撮影です。

「そ~れっ」

 海辺の砂浜を模したエリアで、ビーチボールが宙を舞います。

 ぽーんぽーんと六人の間をふわふわ丸いビーチボールが行き来します。

 あははうふふほよよ。

 

「こんなのんびりとした映像だけじゃだめよ。私は勝ちに行くわ」

 くぅあちゃんが突然ビーチボールをトスではなく全力でアタックしました。ビーチバレー開始のゴングが鳴ります。カーンとエヘさんが実際にゴングを鳴らしていました。

「ふふ、甘いですよ」

 姫花さんが華麗なトスで勢いを弱らせて、スイさんのほうにビーチボールが行くように調整します。

「姫花ちゃんナイスぅ。それにくぅあちゃんいいアタックだよぉ。全力で答えるねぇ」

 スイさんが高くジャンプして、とてもとても強いアタックを放ちました。くぅあちゃんの方へ。

「はや、つよ――」

 くぅあちゃんは握り合わせた両手でトスしようとしましたが、勢いを消しきれなかったのか吹き飛んでいきました。でもボールを跳ねさせることはできたようで、今わたしの目の前にビーチボールが。

「ごへっ!?」

 痛いっ。すごいものが、強く顔にあたって、ビーチボールは軽いはずなのにすごく痛いです。

 ボールはわたしへぶつかっても勢いが少ししか弱まらずに跳ねて、真横に飛んでいきます。ティピファちゃんがいる方です。

「見切ったりぼへっ!?」

 ティピファちゃんは見切ったようですが、見切ったからといって体は追いつかなかったようです。

 ようやく勢いが弱まったビーチボールがシルフィーさんの両手にぽすんと収まりました。

 ナイスキャッチです。でもこれビーチバレーじゃありません。

「でも、いい映像になったねっ」(わたし)

「くっ、また負けたわ」(くぅあちゃん)

「PVとして使えれば勝ちリボン」

「次行くエヘ~」

 

 ウォータースライダーの滑り口までやってきました。

「ほよ、誰から滑るの?」

「当然私――」

「ほよんちゃんと、わたくしですよー!」

 後ろからふよっとしたいい感触がわたしを包み込みました。姫花さんに抱きしめられています。

 うわうわうわ。やわらかーい。すべすべ素敵。わたしもすべすべではあると思うけど。でも姫花さんのお肌は神がかっているよ。ずっと触れていたくなる感じ。ずっとくっついていたい。抱き枕にしたい。

 そのままスライダーの方へ連れていかれて、姫花さんの膝に座る形で滑り始めました。

「させないわ。私もほよんと一番乗りよ」

 くぅあちゃんが姫花さんの後ろからしがみつきます。

「スイも混ぜてぇ」

 スイさんまでもがくぅあちゃんの後ろから繋がって、四人で一塊になってしまいました。

 クラスの男の子がしていた電車ごっこみたいな形です。

 滑り落ちていくわたしたちをシルフィーさんとティピファちゃんは一歩引いて見ていました。

「見てるだけで暑苦しいリボン」

「同感」

 ウォータースライダーを四人で滑って、プールの部分に投げ出される瞬間に、ミカエルさんの構えるカメラへ向けてみんなで笑顔です! どっちゃーんと姫花さんに抱きしめられたまま水に沈みます。

「危険エヘ!」

 プールから上がっての第一声です。

「派手でいい画ですミカ」

 ティピファちゃんとシルフィーさんは一人ずつ滑ってきていました。 

「余計な情報がなくてウォータースライダーの魅力が伝わってくるエヘ。ティピファとシルフィーの元々の容姿の良さもあって画が寂しいことにもなっていないエヘ。こういう堅実なのがいいエヘ」

「インパクトに欠けますミカ」

「次行くエヘ~」

 

 

 

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