「いえーい!」(わたし)
「やっほほーい!」(くぅあちゃん)
今日もわたしとくぅあちゃんはふわプリを満喫します。ルンルンとぷろろ~ぐ広場でジャンピングしちゃいます。
ライブも楽しいし、ふわふわ劇場も発動できるし、とっても楽しくて充実しています。
「すっごい満喫してるリボンね。うらやましいリボン」
「ティピファちゃんもライブすればいいんだよ。そしたらふわふわハッピー!」
「ティピファはまだ、準備中リボン」
「ほよ。なら待ってるね」
「楽しみにしてるといいリボン」
「楽しみにしてる!」
「早くのぼってきなさい。この高みへ」くぅあちゃんは浸ったままクールなポーズをとっています。
ふわプリ満喫楽しいな!
次の日だよ。今日もふわプリに行こう。ベッドから起きた瞬間にそう思いました。ピンク色のパジャマからピンク色の服に着替えて、階段を降りて洗面所で顔を洗って、リビングに入ります。妹のぽるんがソファでスマホをいじっていました。
「ぽるんーおはよー! 今日もいい朝だね。ふわプリ日和だね」
「おはようお姉ちゃん。朝っぱらから楽しそうだね」
「楽しいよ楽しいっ。ぽるんもいつか「ふわプリに行ってもいいよカード」が届いたらわかるよ」
「私はいいよ。ふわプリは見てるだけで」
「ええー!? 行けるようになったら行ったほうがいいよー?」
「それより、パラダイムハートが近々お姉ちゃんが行ってるふわプリでライブするらしいよ」
「ほんと!? ぜったい見に行く!」
わくわくです! パラダイムハートの生ライブ楽しみ!
「あんまり浮かれすぎないほうがいと思うよ」
「なんで? ふわプリアイドルになれたり、パラダイムハートの生ライブをみれることになったり、最近いいことばかり起きてるのに」
「お姉ちゃんなんてまだまだもいいところだから」
「ええー?」
ぽるんはわたしよりも頭がいいから、時々よくわからないことを言います。
朝ご飯を食べて歯磨きして髪を整えて、忘れずにコーデカードが入ったデッキケースをアタッチメントのベルトで腰につけて、家を出ます。
「パパママぽるん行ってきまーす!」
さーてふわプリふわプリ~。
いくらか歩くと、商店街があります。この商店街を抜けた先に、人が少ない住宅街があって、さらに歩くとふわプリがある森林公園があります。
今は住宅街をルンルンスキップで進んでいるところ。
「わぷっ」
「きゃっ」
角を曲がったら誰かとぶつかってしまいました。
物が落ちる音がして下を見ると、ぶつかった人のものであろうサングラスが落ちています。
「あ、サングラス落としまし」
拾って渡そうとしたら、目の前には金髪で綺麗でかわいくてふわふわかわいいの頂点みたいな女の子が、って、ひ、姫花さん!? パラダイムハートの花園姫花さんがこんなに近くにいる気がするんだけど、夢かな?
「あら……かわいい」
姫花さんが手を伸ばしてきて、なぜかわたしの頬に触れました。
すごくいい感触です。
あ、夢じゃない。やばい。あばばばば。
「ひ、ひめかさんだ!!」
「やっぱりわたくしが誰かバレてしまっていますよね。この際ちょうどいいです。わたくしをどうかエスコートしてくださらない?」
「え、えすこーと? よくわかりませんが喜んで!」
「この町を案内してほしいのです。ライブ前にあまり見たことない街を見ておきたいなと思いまして。それで歩いていたら見事に迷ってしまったのです」
「そうだったんですか! ならわたしに任せてください! それなりにこの「ぱわ町」については知っているので」
「うふふふ、よろしくお願いしますね」
わたしから受け取ったサングラスをかけなおした姫花さんは、お忍びという雰囲気。
白いつば広帽子をかぶってて、とってもお嬢様って感じがするよ。
「お名前を聞いてもいいかしら」
そういえばまだ名前も言ってなかった! 姫花さんに失礼な態度取っちゃうのはとってもほよほよしないことです!
「あ、わたし、神峰ほよんっていいます! 姫花さんに憧れて最近ふわプリアイドルになりました!」
「そう、ほよんちゃんっていうのね。かわいい」
「えへへ……うれしいです」
姫花さんの笑顔が素敵すぎて照れちゃいます。
「では、行きましょうか」
「はい!」
わたしは姫花さんと一緒に歩き始めました。
ほよ~……姫花さん綺麗~。
歩きながら姫花さんに見惚れてしまいます。
金色のふんわりウェーブロングな髪も、サングラスの隙間から見え隠れする藍色の瞳も、何もかも綺麗だよ~。
姫花さんが着ている黄色いカーディガンに白いロングスカートも、おとぎ話の羽衣みたいに姫花さんの美しさを引き立ててるよ~。
「ほよんちゃん」
あっ、また姫花さんがわたしに手を伸ばして来てくれてるっ。うれしい。また頬に触れてくれるのかな。それとも頭をなでてくれるのかな。
「前見ないと危ないですよ」
「あ、はい。ごめんなさい」
頭を掴まれて首を前に向けられました。わたしへ手を伸ばしたのはこのためだったみたいです。
なんだかちょっと残念な気分。でも事故に遭うかもしれないから仕方ないね。ママにはいつも車に気をつけなさいって言われます。
「まずは、ここから近いしいろいろあるので、商店街から見ますか?」
「ええ、お願いするわ」
商店街につきました。
「ここのたい焼き屋さん、おいしいんですよ」
「なら食べてみましょう」
姫花さんはクリーム味のたい焼きを買いました。わたしはお小遣いの残りが心配なのでやめておきます。
「ほよんちゃんは食べないのですか?」
「お小遣いの残りが厳しくて……」
「なら半分こしましょう?」
「え、え、いいんですか?」
うれしい。けれど恐れ多い。でもやっぱりうれしい。
「いいですよ。はい」
半分に割られたたい焼きの頭の方を渡されました。姫花さんは尻尾の方が好きなのかな。
「ありがとうございます!」
受け取って、お互いパクっと食べます。
「どうですか姫花さん?」
「とても美味しいですよ」
「よかったー」
たい焼きを食べ終えてまた商店街を歩きます。
「あー服ほつれちゃった! さいあくー」
見知らぬ女子高生のお姉さんが困った声を上げていました。
姫花さんは速やかにお姉さんのもとに近づいて、どこからともなく取り出した裁縫道具でシュパシュパと一瞬でほつれた服を直しました。
「すご。ありがとねー」
「いえいえ」
颯爽と去る姫花さん。
「ほよほよ~すごーい!」
さすが姫花さん!
「お料理を失敗しちゃったよ~」
なぜか道端で鉄板料理を作っているお姉さんが嘆いていました。
姫花さんはまたもやお姉さんに近づいて、テコを使ったすごい動きで鉄板料理をシュパシュパと完成させました。おいしそうです。
「美味しい。私より作るの上手いんじゃない? お嬢さんどうやったか教えてよ」
「はい。まずは薄力粉を――」
姫花さんはお料理もとっても上手みたいです。
さすが姫花さん!
しばらく商店街を歩いて一通り案内し終わった後、わたしの家も姫花さんに知ってほしくてお家まで連れてきてしまいました。
「ここがわたしのお家ですよ姫花さん! ふわふわかわいいケーキ屋さんなんです」
わたしのパパとママはパティスリー(ケーキとかお菓子のお店)を経営しているのです。お家と繋がってて、一回の半分くらいがお店になっています。
「まぁ素敵」
ふわふわぱてぃすりー、と書かれたふわふわかわいい看板を見て、姫花さんは目を輝かせてくれました。
店内に入ると、ママがケーキショーケースの向こう側から迎えてくれます。ママの髪は桃色で長くて、垂れた優しい目をいつもしています。
「いらっしゃいませ。……あら? ほよんと、お友達?」
「はい、お友達です。ごきげんようお母さま」
お友達! 姫花さんにお友達だって言われちゃった! ほよほよほよ~! テンションが上がります! うれしい。
いえわかっています。今のはわたしのお友達だと言わなかったら、ならあなたは何者なのとなってしまうから、姫花さんはわたしをお友達だと言ってくれただけなのです。変装しているぐらいなのですから。正体がばれてしまうことを避けたいから話を合わせてくれただけなのです。わかっています。
でもやっぱり憧れの姫花さんにお友達だと頷かれたら嬉しくなっちゃうよ。
「今日は遊びに来てくれたの?」
「はい。ケーキをおひとつ購入させて頂けたらなと」
「遊びに来たのなら、ひとつくらいおやつで出すよ?」
「いえ、素敵なお店ですから、買って食べてみたいんです」
「あらありがとう。それなら」
「姫花さん、イチゴクリームケーキがおすすめです!」
「これですかほよんちゃん? とってもふわふわかわいいですね。ふわかわな輝きを強く放っているのを感じます」
「ふわふわかわいいの頂点な姫花さんにそう言われるとすごくうれしいです!」
ほよほよほよほよほよ~。
「これにはママオリジナルのほよほよクリームを使っていて、おいしさの秘訣になっているんです」
「では、頂きますね」
イートインで姫花さんは食べていくみたいです。
わたしは姫花さんの正面に座って両手で頬杖をついて姫花さんを眺めます。
「とっっても、美味しいです~!」
ケーキを頬張って笑顔になる姫花さんがすっごくかわいい!
いやさすがにかわいすぎるよ。信じられないくらい素敵だよ姫花さん。
うぇへへへへ~姫花さん姫花さん姫花さん~ほよほよよよよ~。
わたしはメロメロで幸せな時間を過ごしていました。