ふわプリ   作:ソウブ

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6話 憧れだよ! パラダイムハート!(3/3)

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 姫花さんがケーキを食べ終えて両手を合わせました。もぐもぐしてる姫花さんかわいかったな。

「次はどこに行きます? まだまだわたし案内できますほよ」

「いえ、ふわプリに行きましょう。そろそろライブをする時間ですから」

「ライブ! 見たい! 行きましょう」

「それでは、ほよんちゃんのお母さま、ごちそうさまでした、とても美味しかったです」

「ありがとう、また来てね」

「はい、是非に」

 わたしたちはふわふわぱてぃすりーを出てふわプリに向かいます。

 

 森林公園奥深くの場所、ふわふわSHOPの前に、姫花さんとお喋りしながら歩いて辿り着きます。

 そうしたら、タイミングよくくぅあちゃんとティピファちゃんも到着したところ――あれ、あの二人はパラダイムハートのスイさんとシルフィーさん!?

 

「くぅあちゃんとティピファちゃんもパラダイムハートと一緒だったんだ。すごい偶然!」

「どんな確率リボン……」

「パラダイムハートってなによ?」

「く、くぅあちゃん!? ふわプリに何度も来てるのにパラダイムハートを知らないの!?」

 すごくカルチャーショックです。

「だって、クールなアイドルになるのに集中してるし」

「猪リボン」

 こうなったらわたしがパラダイムハートの良さを教えるよ。

「くぅあちゃん、パラダイムハートはね、ふわプリのトップアイドルなんだよ。それでね、本当にふわふわかわいくて最高なんだよ」

「つまりクールのトップでもあるというわけね。どうりで、スイが激やばクールなわけだわ」

「そうなんだよ! すでにスイさんでパラダイムハートの良さに触れていたんだね」

 

 スイさんが姫花さんとシルフィーさんの肩に手をかけます。

「みんな女の子ひっかけてデートしてたんだねぇ」

「ティピファちゃんとのデート、楽しかったよ……」

「デート? あれデートだったリボン? ティピファはデートじゃないと思うリボン」

「私いつも通りクールについて学ばせてもらっていただけなのだけれど」

「わたくしたちの方は、確かにデートでしたね。楽しかったですよ」

「ででで、デート!!!!! わたし、姫花さんとデートしてたんだ!」

 やったっ。やたっ。ほよよよよ~っ!

 

「あ、そろそろライブ始めないと遅刻しちゃう時間だねぇ」

「そうだった。行こうか。リボンちゃんも……」

「三人ともぜひ観ていってくださいね」

「はい!」

「お手並み拝見させてもらうわ」

「勉強させてもらうリボン」

 ついにパラダイムハートの生ライブが見れるぞ~! ほよ~!

 

 六人でふわふわSHOPに入って、ゲートを通ってふわプリチェンジ! ふわプリに着きます。

 わたしとくぅあちゃんとティピファちゃんは少しだけ背が伸びてふわプリアイドルの姿に変身しました。

 パラダイムハートの三人の見た目は変わらなかったけど、よりアイドルとしての輝きが増しています。

 つまりはパラダイムハートの三人は、生まれ落ちた瞬間からふわプリアイドルの容姿を持っているということなのです。

 ほよ~……さすがトップふわプリアイドル。ふわふわかわいいのキラメキが眩しすぎます。

 そういえば、姫花さんたちの容姿がネットのライブ動画で見たのと同じだったからこそ、わたしは姫花さんたちだと一目で分かったのだと気づきます。だからこそ姫花さんは変装していたのでしょう。

 

 姫花さんはにっこりとわたしを見つめてきます。

「ほよんちゃん、ふわプリの姿もかわいいです」

「えへへ、ありがとうございますっ」

「くぅあちゃん、いいじゃん。その姿結構クールだねぇ」

「そうでしょう。クールでしょう」

「リボンちゃんは、素敵なリボンのお姫様みたいだね」

「磨き抜かれた計算のリボンコーデだから……」

 ティピファちゃん、今日はなんだかちょっと元気ない?

 

「ティピファちゃ――ん?」

 道の先から何かが一直線に飛んでくるのが見えます。マスコット?

 一言でいうと、羽の生えた馬。太陽とハートの形をしたものが体の側面についてて、アクセサリーなのか体の一部なのかはわからないけど、いい感じのアクセントになってて印象的だと思いました。

「ミカ、来ましたね」

「はい、姫花様。ライブを始めましょう、皆さん待っていますミカ」

「その前に紹介だけでも。この子はミカエル。わたくしたちパラダイムハートのマネージャーです」

「ほよ! パラダイムハートのマネージャー! よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いしますミカ。あなた方もふわプリアイドルとして素晴らしいライブに精進してくださいねミカ」

 真面目なマスコットさんです。パラダイムハートのマネージャーなのだからきっとすごいマスコットさんなのでしょう。

「やはりトップを補佐するマスコットだけあって風格があるリボンね」

「エヘイエーも負けてないわよ。多分」

 

「多分はひどいエヘ」

 王冠を被った白いお饅頭みたいなマスコット、わたしたちのマネージャーエヘさんが近くを浮遊しています。

「エヘイエー、来てたのね」

「エヘはほよんとくぅあのマネージャーエヘ、ふわプリに来たら大体認知してるエヘ」

「それはそれで監視されてるみたいでちょっといやリボン」

「監視はしていないエヘ、来たらわかるだけで。呼ばれたらすぐ飛んでいけるようにエヘ」

 

「エヘイエー、あなたマネージャーをしているんですねミカ」

「なんだエヘ? なにか文句があるのかエヘ。ミカエル」

「いえ、あなたにちゃんとできるのか疑問だったのでミカ」

「できてるエヘが? なめんなエヘ」

「そうですミカ?」

「なんだその疑問げな顔はエヘ。喧嘩なら買うエヘ」

 エヘさんとミカエルさんは知り合いなのかな。いやそれよりも。

「ほよ! なに喧嘩してるの! 仲良くしなきゃダメだよ!」

「誰かを悪く言うミカは見たくないですね」

「……まあいいでしょうミカ」

「ふんエヘ」

 二人とも、ううん二匹かな、顔を不機嫌そうに背けながらも落ち着いてくれたようです。前に何かあったのかな。いつか仲良くしてくれるといいな。

 

「見て! パラダイムハートよ!」

「きゃー! 姫さまー!」

 ふわプリに来ているみんながパラダイムハートが来たことに気づき始めました。

 

「このまま人が集まりすぎますとライブ開始に支障をきたしますミカ」

「それでは、ライブを始めましょうか」

 姫花さんたちと一緒にふわパレスに向かいます。

 ふわパレスに着くと、わたしたち三人は観客席へ続く扉へ、パラダイムハートはエントランスゲートへ。

 わくわくで胸がドキドキします。

 ライブが始まるのを照明が落とされた観客席の最前列で待ちました。

 

 

「ふわふわポイントにデッキケースとコーデカードをセットしてくださいモコ」

 華園(はなぞの)姫花、西条(さいじょう)スイ、森林シルフィーの三人は不思議な色合いの空間でデッキケースを取り出す。姫花はバッグの中から、スイは短いスカートの中から、シルフィーはパーカーのフードの中から。

 取り出した瞬間それぞれのデッキケースが光を放ち輝く。

 一定以上の強さに達し、条理を超越したふわプリアイドルのデッキケースとカードは特殊な輝きを放つのだ。

 

「認識の変革を」

 

 姫花がデッキケースからふわプリカードを四枚ドローし、そのカードたちは掲げられた瞬間光り輝く。

 スイとシルフィーもカードを引き掲げ、スイのカードは空色に、シルフィーのカードはエメラルドに、姫花のカードは黄金に光を放つ。

 

 三人でふわふわポイントへスタイリッシュにカードとデッキケースを投入した。

 

「ふわふわでキラキラな装飾が散りばめられたドレスは高貴さを演出していますモコ」

 姫花のお嬢様ルックな服が刹那のあいだ消失し、黄金のドレスとティアラがその身に纏われる。

 

「パラダイムプリンセスコーデ」

 

 姫花はお姫さまらしい慎ましやかなポーズをとります。

「ふふ」シュパーンッ。(光の粒が飛び散るサウンドエフェクト)

 

「豪奢でありながら上品なドレスは、三人とも色違いのお揃いですモコ」 

 パーカーとスカートが消失して、シルフィーにエメラルドのドレスが着せられる。

 

「パラダイムフェアリーコーデ」

 

 シルフィーは踊るようなポーズをとります。

「んっ」シュパーンッ。

 

「お揃いのデザインながらも、スイだけへそ出しルックでスカートとトップスが繋がっていませんモコ。綺麗な腰のくびれと眩しいおへそが老若男女の目を釘付けにするモコ」

 スイは空色のドレスにコーデチェンジする。

 

「パラダイムスカイコーデ」

 

 スイは腰を反らしたセクシーなポーズをとります。

「えへぇ」シュパーンッ。

 

 パラダイムハートの三人が、ユニット固有ステージに飛び出してきます。ハートが幾つもゆったりと飛び交い、そのハートの色は虹色の七色に、黄金と空色とエメラルドが追加されて十色のグラデーションを描いています。

 

「きゃーパラダイムハートー!!!!!」

「素敵すぎる―!!!!!」

 観客の女の子たちの声援が過去最高潮です。熱狂を帯びた音の圧が素敵な気持ちの力感情的エネルギーとなって会場に充満します。 

 

「姫花さーん!! ほよ~!!」

 わたし、神峰ほよんもたかぶる感情にまかせて叫んじゃいます。

 

「ふわプリアイドルのトップ「ふわプリプリンセス」であるパラダイムハートのライブが始まります。皆さんご堪能ください」

 鎧の人の司会にもいつもより熱がこもっているように感じられます。

 

 姫花さんをセンターにマイクを持ちました。それぞれのイメージカラーのマイクを握って、曲が流れ始めます。

 

 曲名は「革新的ときめきハート」

 

 ~♪

 

「ずっと信じていた

 この気持ち いったいなんだろう

 前の気持ちをわかっていないまま 新しく感じた気持ちに翻弄

 けれど 胸が高鳴ってしまうよ わたしたちは 光の蕾

 信じて 花開いたのなら 新しい道が開けるよ

 覚醒(めざ)めて 革新的ときめきハート」

 

 ふわふわ劇場 オープン!

 

 ここは宇宙。

 宇宙空間にキラキラと輝く光の足場が無数に浮かぶ。

 

 さあ。

 いこう。

 

 無数にある足場をパラダイムハートの三人はありえない動きで移動していく。あの三人以外には不可能な軌道。すべてを魅了する超身体能力がみんなの視線を吸い寄せる。

 飛んで跳ねて、走っていく。上へ向かって。

 

 みんなで。

 今から。

 

 登って行く。そうして光輝く頂点に辿り着くと。

 ジャンプする。

 

 私たちのパラダイムシフト。

 

 三人で手を繋いで、観る人全員の心がドキドキして、わーってハッピーになっちゃうような決めポーズ。

 

「ふわふわな キュートな 革命(エヴォリューション)

 わたしたち 待っているから

 フェミニンな光の その先へ

 広がった世界の中で わたしたちは唄う 革新的に

 ときめきハート」

 

 ライブが、終わってしまいました。

 

 ふわチケGET!

 

 周りの歓声が耳に入りません。

 わたしは今、胸の内から焦りが湧き上がって止まらないのです。

 さっきまでの浮かれ気分は吹き飛んでいます。

 今観たライブが、とっても素敵な、今ある中で一番いいふわプリライブだと思ったから。

 そう、一番いい、一番上。自分よりもずっと先の、上を、ドン、と見せつけられたんです。

 姫花さんたちのライブを見てテンションが上がって、すっごく楽しい気持ちになったのは本当です。

 けれどその気持ちを押しのけて、焦りとモヤモヤがいっぱい押し寄せてくるんです。

 

 パラダイムハートのライブ自体は、画面越しに何度も見ていたのに。

 生で、実際に見るのは全然違いました。別格です。これが頂点。

 モヤモヤする。モヤモヤします。

 この気持ちはなんなのかな。

 ほよ。

 ほよ~~!

 

 

 やっぱりスイはやばいわ。

 クール濃度が高すぎるのよ。

 パラダイムハートの三人がそろってライブしたら、さらにクール濃度が何倍にもなったわ。

 あんなふうに、最高のクールと認められながら、わーきゃーいわれたいわ。ただのクールではなく、一番上のクールよ。

 私も、もっともっと高みへ行くわ!

 

 

 森林さん、この上なく楽しそうリボン……。

 眩しい。羨ましいリボン。

 ティピファもあんなふうに楽しくライブして輝きたいリボン。

 ティピファも、早く、ライブしたいリボン。

 

 本番への挑戦に、臆している場合じゃないんだリボン……。

 

 

 

 AIモコの、ふわプリコーデ紹介のコーナー☆

 

「今回紹介するのはこちら「パラダイムプリンセスコーデ」モコ」

 

「このコーデは華園姫花が「ふわプリプリンセス」になったときに誕生したんだモコ」

 

「見る者の心を必ずときめかせるデザインは、正に「ふわふわかわいい」という概念のお姫様というべきドレスモコ」

 

「以上、ふわプリコーデ紹介のコーナーでしたモコ~」

 

 

 

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