オタメイト~幻想浪漫旅行~   作:まぐろ

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十五話「ドキドキ♡海月高校・前編」

 5月1日...世間では春という季節にも関わらず、日中でも未だに肌寒く、朝や夜といった時間帯はなお寒く、人というものは温もりにしがみつき依存したくなる生き物だ。

 今まさに寒さから身を守るかのように黒髪の青年は自身の体温で温もった布団の中で踞り、心地よく眠っていた。

 

 ジリリリリン!

 

 それを、よしと言わないとばかりに斜めに前に置かれた目覚まし時計が鳴り響き、少年の意識はうっすらと覚まし、音から逃れるかのようにさらに布団の中へ潜った。

 しかし目覚まし時計の音は鳴り響き、徐々に音が大きくなっていくような感覚に襲われた少年は痺れを切らし布団から脱し目覚まし時計を止めた。

 まだ目覚めて間もないのか少年の意識は朦朧としており、半開きの目で時計を見た。

 意識は朦朧としているが長針は6と5の間、短針は7と8の間である事はわかると、青年は再び余熱のある布団の中に入り就寝に移るつもりだった。

 しかし少年は再び布団から脱し目覚まし時計を両手で掴み、針の位置を再び確認しながら「7時...半?」と青ざめた表情で呟いた。

 

 「遅刻じゃないですかッ!!」

 

 少年は絶叫しながら布団から飛び起き急いで根具を脱ぎ初め学生服を取り出し着替え始めた。

 何故青年は慌てているかと言うと青年は学生であり、青年の属する学校は8時から朝礼が始まり、7時半とは青年から見たら寝過ごし遅刻しているというのである。

 よく見るとズボンの前後が逆さまになっていたり、それを急いで脱ごうとしたら顔から転けてしまったり、見当たらない靴下を探したり、とトラブルに見回り青年が着替え終えた際の時間は7時40分となり青年の焦りは更に加速した。

 自身の住んでるアパートから急いで出て「ヤバいヤバいヤバいヤバい」と口をしながら全力で走った。

 

 青年の名は『射命丸 文斗』[しゃめいまる あやと]と言い、文斗は『海月高校』と呼ばれる高校に通よう2年生である。

 

 「間に合え間に合え、間に合ってくださ~い!!」

 

 文斗は間に合う事を祈りながら走り、視界に学校が見え、目と鼻の先になったにも変わらず学校の前にある信号は既に点滅しいる最中で、赤へと代わり文斗は惜しくも止まる事となり、足踏みしながら青になるのを待つはめになった。

 

 「あーもうこんな時にッ!」

 

 文斗は愚痴りながら待っていると、文斗が向かいたい学校側の歩道に赤い瞳を持ち、銀髪でセミショートの髪をハーフアップにした海月高校の女性様の学生服を来た女の子が通るの見た。

 

 (な、何でしょうあの子、見ない顔ですね...この時期でしたら転入してきたのでしょうか?...それにしても綺麗だな)

 

 すると銀髪の子は文斗の方に気付きにこりと笑い会釈をし振り返り校門を通った。

 文斗は思わず見とれてしまい、それは銀髪の子が校内に入るまでにもなり信号が青になってるにも関わらず見とれてしまい、青だと気づいた時は急いでわたり校内へと入った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 文斗は勢いよく教室に入るや否や「セーフですか!?」と言うと金髪で毛先が赤くそまった女の子が咳に座りながら、親指を立て「セウト!」と言った。

 文斗は教室の黒板側に目線を向けたがそこには誰もいなく金髪の女の子に向けて「セーフじゃないですか」とため息をつきながら金髪の女の子の真後ろの席に座った。

 金髪の女の子の名は『高酒 歩』と言い幼少期の時からつるんでおりいわゆる幼なじみというやつである。

 

 「いや~時間はアウトだよ?だけどよっちゃん来てないからセーフ...だから間を取ってセウト?見たいな?」

 

 文斗は時計をみると針は8時を過ぎ、確かに時間で言えば遅刻していると理解した。

 

 「にしてもどうしたんでしょうか?依姫先生なら時間ぴったりに朝礼するのに...」

 

 2人が言う依姫先生とは2人がいるクラスの担任を勤める『綿月 依姫』[わたつきの よりひめ]の事であり、真面目と言う言葉は依姫の為にあると言わないばかりの真面目であり、遅れた生徒には叱りつける鬼先生なのだ。

 文斗がそう言うと歩は不適な笑みをし「なんですかその顔?」と文斗は気味がるがった。

 

 「実は...噂によると転校生が来るらしいんだよ」

 

 「転校生?何でまた...あ」

 

 文斗は今朝目撃した銀髪の子を思い出し(あの子か)と気付き、その様子に歩は「お?その様子だとご存じって感じ~」と聞き、文斗は学校に着く直前に出会った銀髪の子の話をした。

 

 「にゃるほど~多分その子で間違いない感じだにゃ~...というか文斗~その子の話しをしている時ずいぶんと良い顔をしていたけど、まさか一目惚れした感じ~」

 

 「んな!?///」

 

 「デジマ?!その反応は黒っしょ!」

 

 「ち、違いますよ!ただ綺麗だなーって思っただけで好きになってなんか///」

 

 「いやいやいや無理あるっしょ?そんな反応されたら惚れた意外何もないっしょ?」

 

 「からかわないでくださいよ『歩さん』!!」

 

 「からかうに決まっt...え?」

 

 すると歩は急に固まり、その様子に文斗は不思議がり「何ですか?」と聞いた。

 

 「いや...今、私ちゃんのk」

 

 歩が何か言おうとした瞬間、前の扉がガラッと開き、薄紫色の長い髪を、黄色のリボンを用いて、ポニーテールにし、瞳の色は赤紫色をした女性が「遅れてすまない」と言いながら教室に入り教卓に立った。

 彼女こそが2人が話していた依姫先生であり、依姫が来るや否や何名かの生徒達が「依姫先生が遅刻って珍しいですね?」や「校長といちゃついていたんですか?」とヤジをとばし依姫は「話しをしていただけだ!」と怒鳴った。

 すると文斗の前に座っいた歩が手を上げながら「もしかして~転校生の事で話していたんですか?」と聞くと依姫は一呼吸を空け「ああ」と言った。

 

 「ここにいる何人かは耳にしているようだが、今日からこのクラスに新しいメンバーが加わる、入って来なさい」

 

 依姫はそう言うと教室のドアが開き、そこには文斗が今朝出会った銀髪の少女が教室に入り、依姫の隣に異動しクラスメイトに正面を向けた。

 クラスはざわめき初め「綺麗...」や「かわいい」や「新しい推しが来たでござる」等、銀髪の少女の事をほめるような事を言っていると、依姫に「みんな静かに」と全員に促した。

 すると銀髪の子は文斗に気付き今朝と同じ笑顔をした。

 文斗は思わずドキッとした。

 

 (も、もしかして私にしたのか?)

 

 依姫はチョークを銀髪の子に渡し「これで自分の名前を書いて自己紹介を」と言うと銀髪の子は「はい」と言いチョークで自分の名前を書き始めた。

 書き終わるとそこには『稀神 サグメ』[きしん さぐめ]と書かれており「今日くらこのクラスに入る稀神 サグメです。よろしくお願いします」とサグメは挨拶すると、依姫は「という訳だ、みんな仲良くするだぞ」と言いながら拍手し、それに吊られるようにクラス中のみんなも握手した。

 依姫は文斗の隣にある空いてる席を差し「サグメの席はあそこだ」と言うとサグメは「はい」と言い自分の席へと向かった。

 席に着くや否や歩が「私ちゃんの名前は高酒 歩よろしくね」と言い、サグメも「はい、稀神 サグメです。よろしくお願いします」と答え席に座った。

 サグメは隣の文斗の方を向き「今朝お会いしましたね。よろしくお願いします」と丁寧に言うと文斗「あ、よ、よろしくお願いします」と、どこかぎこちない様子で挨拶した。

 そんな様子にニタニタ笑っている歩に小声で「笑わないでください!」と言った。

 

 「それじゃあ転校生も紹介した事だし授業始めるぞ、全員古文の教科書35ページを開いて__」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 授業が終わるや否や、当然と言うべきかサグメの周りにはクラスメイトが集まっており「何処から来たの?」や「好きなものは?」や「恋人はいますか?」等の質問責めを受けてサグメは少し困ったが、直ぐに落ち着いて質問に答えていった。

 一方文斗と歩はそれを遠くから離れて見るかのように教室の角でいた。

 

 「やっぱりああなるよね~転校生って、学園物あるあるって感じ?」

 

 「漫画の見すぎ...と言いたいですが現にそれっぽくなってるから何も言えませんが」

 

 そんな会話をしていると文斗の背後からドンッと押される感覚に襲われ思わず「うぉ!」と文斗は驚いた。

 2人は後ろを振り向くと、そこには緑色の髪をした女の子が悪巧みした表情が立っており、文斗の背中を押したのはこの子であるようだ。

 彼女の名前は『東風谷 早苗』文斗と歩とは中学からの先輩と後輩でその時から仲が良く、文斗とは同じ『新聞部』で活動している。

 

 「お!さなっちじゃん、おっはー」

 

 「おっはーです歩先輩♪、それと文斗先輩♪」

 

 「ついでみたいに言わないでください...というか何しに来たのです?」

 

 「先輩達のクラスに転校生が来ていると噂を聞いて...あ、どうやらあの人ですね!」

 

 早苗はサグメに気付きそう言うと文斗がサグメの名前を教えた。

 

 「サグメ先輩ですね、とても綺麗な方じゃないですか!」

 

 「さなっち聞いてよ~こちらの文斗パイセンさんどうやら一目惚れしたご様子でして~」

 

 「それまじですか!?私と言うものがありながら浮気とかサイテーですね」

 

 「何ですか浮気って、別に私達そんな関係じゃないでしょ?」

 

 「うっわー...そうやって何人もたぶらかすだけ、たぶらかして、いらなくなったらポイするんだ文斗って...」

 

 「ヒドイ!文斗先輩サイテー!うえーん歩先輩慰めてくださ~い」

 

 早苗はそう言いながら歩のもとへかけより泣いていると歩は「よーすよすよす、こんなかわいい後輩ちゃんを泣かすなんて、なんて奴なんだ文斗は」と文斗を目の敵をするような態度をとった。

 

 「待て待て待て、何故そうなるですか?そもそも私はたぶらかした覚えはないし捨てた覚えもないのですが?そもそも嘘泣きしてるのバレバレだからね?」

 

 文斗がそう言うと早苗は一瞬ベーと舌を出し「な~んだ、ばれていたんですね」とふてぶてしく言った。

 

 「当たり前でしょ、全く...本当に小悪魔なんですから『早苗さん』は」

 

 文斗がそう言うと歩と早苗は口を揃えて「「え?」」と言い、それを聞いた文斗も「え?」と言った。

 

 「な、何ですか?...急に私を『さん』付けで呼ぶなんて?普段は呼び捨てなのに」

 

 「え?私そんな事、言いました?」

 

 文斗はそう聞くと歩は「うん」と頷いた。

 

 「というより、さっき私ちゃんの事もさん付けで呼んでたよね?何?なんかの遊びかなんか?」

 

 「いや、そういうつもりは...」

 

 すると早苗が何かに気づき「歩先輩!歩先輩!」と声をかけた。

 

 「どうしたんだい、さなっち?」

 

 「あれですよ、あれ、サグメ先輩で頭がいっぱいになって更に頭がおかしくなっているんですよ!」

 

 歩は納得し「あー、なる」と言った。

 

 「そんなわけ無いですよ!というより更に頭がおかしくなったてどう言う事ですか!」

 

 文斗はそう怒鳴ると早苗は「キャー先輩が怒ったー」と逃げ出し、文斗「待ちなさい!」と言い追いかけた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 昼休み...

 食堂

 

 「全く!早苗の奴、先輩を何だと思って」

 

 文斗は愚痴りながらカレーを食べていると、歩が白くて丸い何かを食べながら「かわいいからいいじゃん♪」と言った。

 

 「というか...何ですかそれ?」

 

 「ん?なんか~本日おすすめって書いてたから勝ったんだけど...はい、あーん」

 

 文斗は眉間にシワを寄せながら「欲しいなんて言ってないのですが」と言っておきながらも、進められた物を食べた。

 

 「...ん?モッチとして...もしかしてこれ団子ですか?」

 

 「正解~♪月見団子らしいよ、結構美味しいしょ?」

 

 「まぁ...そうですね」

 

 そんな話をしていると突如、誰かが咳払いをし2人はそれに気付き振り向くとそこには転校してきたサグメがお弁当箱らしき物を持ち「お隣いいですか?」と尋ねた。

 

 「OK~私ちゃん的にはサグサグとお話したいから大歓迎だよ!文斗もそう思うしょ?」

 

 「私もかまいませんよ」

 

 文斗はそう言うとサグメは「ありがとうございます」と言い文斗の隣に座った。

 文斗はサグメが隣に座った事に驚いた。文斗はサグメの横顔を見て思わず見とれてしまった。

 そんな文斗に歩はニタニタと笑い、それに気づいた文斗はにらみ返した。

 そんないざこざしている2人を見てサグメは思わず「フフッ」と笑った。

 

 「お2人は随分と中がよろしいようですね」

 

 「そうでしょう?私ちゃん達は大親友だからね!」

 

 文斗は気難しい顔をしながら「...昔からの付き合いですからね」と言うとサグメが「そうなんですね」とニコっと笑いながら自身の弁当箱を開けた。

 中にはサンドイッチが入っており、それを見て文斗は思わず「美味しそうですね何処で売ってるんですか?」と聞いた。

 

 「あ、いえ...これは売り物ではなくて...私が」

 

 「え!?もしかしてサグサグの手作り!?」

 

 歩がそう聞くとサグメは恥ずかしそうに頷いた。

 

 「デジマ!?凄いじゃん、思わずお店のやつかと思って調べてたわ」

 

 「そんな大げさな事言わなくてもいいですよ?」

 

 「大げさに言ったつもりはありませんよ?私達は思った事を言っただけです」

 

 文斗がそう言うとサグメは赤面するが、その表情は笑顔だった。

 

 ((かわいいなこの人))

 

 文斗と歩はにやにやしているとサグメは「私の話しは今はいいです!」と誤魔化した。

 

 「私はお二方の話しが聞きたくて」

 

 「お?私ちゃんに興味がある感じ?」

 

 「私、今日から転校してきた為、学校の事はあまり詳しくなくて...クラスの皆さんから聞いたのですが、お二人は学校の事が詳しいと伺って」

 

 2人が何故学校に詳しいと言うのは、文斗は新聞部に入っているため取材等で校舎中を回る事があるため、人や場所等には詳しい、一方歩は新聞部ではないが、学校中では人気者で色んな人達があつまるため噂や情報等に詳しいためであり、クラスメイトは2人を推したのだ。

 

 「ほうほう、実にお目が高い~いかにも!私ちゃんら学校の隅々むで把握しているのである!」

 

 「やっぱりそうなのですね!よろしければ学校の事を案内して欲しいのですが、この後お時間大丈夫ですか?」

 

 サグメがそう聞くと文斗は了承した。

 

 「...ああーめんご!私ちゃん、よっちゃんに職員室にプリント持ってくるように言われててさ」

 

 「よっちゃん?」

 

 「依姫先生の事ですよ、ていうか、先生そんな事言ってたk」

 

 文斗が何か言いかけた瞬間、歩が文斗をぐいっと寄せ、文斗は「何ですか!?」と言った。

 歩はサグメに聞こえないような声「嘘に決まってるじゃん察しなよ」と言った。

 

 「やっぱりですか!何故そんな嘘をつくんですか?」

 

 文斗もつられて小声でしゃべった。

 そんな二人を見てサグメは(やっぱり仲良いなー)と思った。

 

 「へいへいへい、何チャンス逃しているだよ」

 

 「今ならサグサグと仲良くなれるチャンスっしょ?」

 

 「?それだったら歩も一瞬に来て仲良くなればいいじゃないですか?」

 

 「だぁ、もうにぶちゃんだね文斗は!つべこべ言わず二人きりになれ!」

 

 「いや意味がわかr」

 

 何を言っても埒が明かないと思った歩は「という訳でめんご!案内は文斗がやってくれるから~」と言いながら急いでこの場を去り、文斗は「ちょっと!」と止めようとしたが、いなくなった。

 

 「何だか急いでる様子でしたね?それほど大事と言うことですね!」

 

 「いや、そう言う訳では...」

 

 文斗は否定しようとしたがめんどくさくなり言うのを止めた。

 

 「歩さんともお話したかったのですが、文斗さんよろしくお願いしますね」

 

 サグメはにこりと笑いながら、そう言うと文斗は一瞬ドキッとした。

 そんな2人を物陰から覗く人物がいた。

 

 「ふっ...ナイスアシスト私ちゃん♪」

 

 去った歩だった。

 そんな歩に、早苗がやってきて「何やってるんですか歩先輩?」と尋ねた。

 すると歩は親指をクイッと文斗とサグメの方を差し「ふっ、恋のキューピッドさ」と言い、早苗は覗きこみ察した。

 

 「なるほど...つまり私達のライバルと言う事ですね!」

 

 「え?さなっちもしかして狙ってたの?だったらまじめんご」

 

 歩がそう言うと早苗は一呼吸空き「冗談ですよ~」と言った。

 

 (お?これは三角関係かな~)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 放課後...新聞部の部室。

 

 「サグメ先輩の案内はうまくいきましたか?」

 

 文斗が昼休みの時に案内していた事が気になった早苗がそう聞くと文斗は見られたのかと思ったが、歩が告げ口したのだと気付き「歩から聞いたのですね」と言い、早苗は「はい」と元気よく返事した。

 

 「まぁ...楽しそうにしてたと思いますよ」

 

 そう言いながら文斗は執筆していると早苗に「進展しましたか?A、B、C、何処まで行きましたか?」と聞き文斗は動揺して執筆中の原稿をぐしゃとして、早苗に「あーあ」と言った。

 

 「何言ってるか意味がわからないのですが...ただ案内しただけですが?」

 

 「え~?だって先輩、サグメ先輩に気があるって歩先輩から伺って~」

 

 「あいつの仕業か...ん?というより何で不機嫌なんですか?」

 

 「べっつに~」

 

 どことなく拗ねている様子の早苗に文斗は理解できなかった。

 

 「何、何?何だか面白そうな話しをしているみたいね?私も混ぜてほしいよん」

 

 そんな2人の会話に興味を持ったのか赤髪で、長さは肩らへんまで伸ばしたセミロングの女性が話しかけた。

 

 「聞いてくださいよヘカテ部長!文斗先輩、私達と言う物がありながら今日転校してきたサグメ先輩に好意を抱いているみたいなんです!」

 

 「それは...有罪[ギルティ]ね」

 

 赤髪の女性の名前は『ヘカーティア・ラピスラズリ』と言い、文斗とは一つ上の先輩であり、新聞部の部長である。

 ちなみにではあるが文斗が新聞部に入ったのはヘカテに憧れを抱いて入部したのだ。

 

 「違いますよ部長、これは歩と早苗が勝手に言っているだけでして決してそんな事は無いですよ」

 

 「嘘です!文斗先輩、サグメ先輩に見とれていたじゃないですか!」

 

 「それは本当!?文斗くん!私とは遊びだったのね...ぐすん」

 

 「誤解を招く言い方やめてください!ただ綺麗だなーて思って見てただけですよ!」

 

 必死で弁明しようとする文斗を見てヘカテは笑い出した。

 

 「冗談よw冗談よw文斗くんがあまりにも必死だから思わずね♪」

 

 文斗はほっとして「からかわないでくださいよ」と言った。

 

 「それにしても転校生か...何だか恋愛漫画みたいな展開のようね」

 

 「言われて見ればそうですね...となると主人公は文斗先輩ですね♪」

 「ヒロインはそのサグメちゃんと早苗ちゃん、歩ちゃんに...私ってところかな?」

 

 話し終わったと思ったのにまだ話を広げようとする2人に「まだやるんですか!?」と文斗は突っ込んだ。

 

 「いい加減にしてください」

 

 「あはは、ごめんごめんって」

 

 「まったく...冗談が過ぎますよ『ヘカーティアさん』」

 

 文斗がそう言うと何故かヘカテと早苗が驚いた表情をして固まり、そんな2人を見て文斗は「何ですか?」聞いた。

 

 「何ですかって、こっちの台詞よ、急に私の事を部長じゃなくて名前で呼ぶなんて、あーびっくりした」

 

 「え!?私そんな事言いました?」

 

 「何言ってるのよ?言ったわよヘカーティアさんってね」

 

 「な、何で?」

 

 「朝から変ですよ先輩?私と歩先輩も呼び方変えて『さん』付けで呼んだんですよ?」

 

 「本当?私としては部長より堅苦しくなくていいのだけど...2人からしたら他人行儀で変な感じするでしょ?」

 

 「まぁ...嫌ではありませんが、文斗先輩の今流行りなのですか?」

 

 早苗がそう質問すると文斗は「そうではないが...」と口を濁し、しばらくして再確認にするように「本当に言いました?」と聞き2人は頷いた。

 文斗は自信が知らぬうちに口にした事が不気味がり冷や汗をかき、そんな姿を見て2人は心配した。

 

 「色んな事があって疲れたんじゃない?今日はもういいから家で休みなさい」

 

 ヘカテがそう言うと、文斗は「すみません、お言葉に甘えます」と言って自身の荷物を持ち部室を出た。

 

 「文斗先輩大丈夫でしょうか?」

 

 「彼は頑張り屋だからね疲労が溜まっているのだろう...それじゃあ早苗ちゃん!文斗くんの分も一緒に頑張りましょうね」

 

 早苗は文斗を心配を横目に「はい」と返事した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 文斗の家...

 鍵があき、部屋に入る文斗は「ただいまー」と言うが誰も返事はなく、これは自身が独り暮らしであること忘れた訳ではなくこれは日頃の癖である。

 文斗はそのまま靴を脱ぎ、朝から放置されていた布団に倒れ混むようにダイブした。

 朝のような温もりはなく冷えきってはいるが何故か睡魔に襲われた。

 

 (朝走ったから...汗をかいて風呂に...入ら...なきゃ)

 

 やることがあるのに自身に言い聞かせ意識を保とうとしたが、それでも強い睡魔に文斗は瞼をゆっくりと閉じた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 翌朝...

 

 ジリリリリン!

 

 目覚まし時計が鳴り響き、眠りから覚めさせようとした。

 しかし既に青年は起きていた。

 普通なら騒音に耐えかねて止めるものだが、青年は止める様子はなかった。

 青年の表情は青ざめており、昨日の疲労が残っていると言うものとかではなく『何かを思い出し』、自身が危機的状況にいることがわかった表情をしていた。

 

 「な...なんじゃこりゃああああ!?」

 

 青年の叫び鳴り響いた。

 5月2日6時20分

 『射命丸 文斗』...改め『射命丸 文』は自身が人間の男子高校生と言う物として海月学園で暮らしており、月や幻想郷とは異なる世界にいることに気がついた。

 

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 教室...

 歩とサグメが楽しく話をしながら廊下を歩いており、自身達のクラスにたどり着き教室に入った。

 

 「あれ?今日早いじゃん文斗」

 

 入るや否や歩は既に教室にいた文にそう言うと文は「ま、まぁ」とぎこちない返事をした。

 

 「文斗さん普段はこの時間には登校しないのですか?」

 

 「いつもわね...どうしたんだい文斗さんよ~そんなにサグサグに会いたかったのかにゃ~?」

 

 「合ってると言えばあってはいますが」

 

 歩は予期せぬ返答にビックリし「お、おぉ...昨日と違って素直な反応じゃない」と言った。

 

 「別にいかがわしい理由じゃないですよ...一応確認に」

 

 最後の言葉がよく聞き取れなかったのか歩が「最後なんて?」と聞いたが、文に「何でもないです」と言った。

 歩とサグメは不思議に考えながらも自分の席に座った。

 

 (やっぱり...歩さんも昨日の私同様、幻想郷のいた時の記憶がないようですね。それに他の方達も...)

 

 (...あの人はサグメさん?でしたっけ?)

 

 文の知っているサグメとは『口に出すと事態を逆転させる程度の能力』を持つ『月の民』としてのサグメであり、今隣に座っているサグメとは違うと感じた。

 

 (それにここの担任の先生はあの依姫さんですし、確か校長は豊姫さんでしたね...)

 

 依姫は『神霊を呼ぶことができる程度の能力』を持つ、月の都の防衛と地上の監視などを請け負う『月の使者』のリーダーの一人。

 豊姫は『山と海を繋ぐ程度の能力』を持つ依姫同様、月の使者である。

 2人は姉妹であり、この世界でもどうやら姉妹であるらしい。

 

 (早苗さんは何故か後輩になっているし、先輩のヘカーティアさんって、確か...『3つの身体を持つ程度の能力』を持った地獄の女神でしたよね...私は何故気付けなかったのでしょうか?...というか何故、私達や月の方達、ヘカーティアさん意外の人達は全員うさ耳なのですか!)

 

 今、文のいる教室は文と歩、サグメ意外全員うさぎの耳が生えており、見た目は多少違うがほぼ同じ見た目をしていた。

 

 (しかも名前は『レイセンA』『レイセンB』『レイセンC』って...モブキャラじゃないですか!)

 

 文は深く考え事をしていると、そんな文を見てサグメは心配した。

 

 「文斗さん深く唸ってどうしたのでしょうか?」

 

 「...さぁね、ああいう時はそっとしておくのが一番だよ」

 

 サグメは心配しながらも歩にそう言われ納得しざる得なかった。

  文は自身が今置かれている状況について考えていた。

 歩や早苗が幻想郷の、時の記憶ではなく、ここの世界で暮らしていた記憶に書き換えられている事に...そして自身も昨日まではそうだった事に。

 何故文だけがそれを思い出したのかはわからないが、文は自分以外にも覚えている者がいないのか探る事にした。

 

 「...」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 お昼休み...

 

 (...確かな事は、これは歩さんが言っていた世界の浸食による影響、どうにかしてここから脱出しなければ...しかし能力は使えないは、脱出方法わからないはで、どうすることも出来ない...)

 

 文の悩みの種は増えるばかりだった。どうすれば解決できるのだろうか、今幻想郷はどのような状況になっているのか等...文は不安にかられていた。

 

 「うーん...どうしたものか」

 

 「歩先輩昨日からどうしたのでしょうか?」

 

 「早苗さんもそう思われますよね」

 

 「歩先輩、大丈夫何でしょうか?」

 

 「うーん...さすがに今回は長いな、マジでなんかあった感じがする」

 

 「ど、どうしましょう!?もし深刻な事でしたら!?」

 

 「...とりあえず、放課後私ちゃんがさりげなく聞いてみるから、ヘカちゃんに今日も休むって伝えてもらっておk?」

 

 歩はそう言うと早苗は「わかりました」と返事をし、早苗はヘカテの所へ向かった。

 

 「...」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 放課後...

 文は文斗として部室に向かおうとしたが途中で鉢合わせになったヘカテに「今日も休みなさい」と言われ、帰る支度をし靴を履き替えていた。

 

 「私としたことが皆さんにご心配をかけてしまったようですね...」

 

 (このままでは不審に思われてしまう...しかし本当に文[私]の知っている皆さんではないですね。つまりこの状況...私1人で解決しなければならないと言う事...)

 

 「...本当にできるのでしょうか?」

 

 文は解決できるかどうか不安と孤独で押し潰されそうになりながら校内を出た。

 ふと校門に目を向けると、空を見上げながら立たずんでいた歩がいた。

 文はぼそっと小声で「歩さん」と呟くと、その言葉が聞こえたかのように歩は文に気がつき「やっほー」と手を振った。

 文は歩のもとへかけよった。

 

 「待っていたのですか歩さ...ん」

 

 「あはは♪また堅苦しい呼び方してるじゃん、何?なんかの漫画とかの影響?」

 

 歩がそう聞くと文は歯切れの悪い感じで「まぁ...そんなところです」と言った。

 歩が「久々に一緒に帰ろう」と提案し文は頷き、2人は校門を出て歩き始めた。

 

 「みんな心配していたぞ~昨日から文斗の様子がおかしいって」

 

 「す、すみません...考え事をしていて」

 

 「今回は随分と悩んでいる様子じゃないですか~...長い付き合いなんだから相談の一つや二つはしてくれてもいいのに」

 

 歩は頬をプクーと膨らませなが言った。

 文は打ち明けようと口を開けたが、『今の歩』に相談したところで意味がないと思い口を閉じた。

 そんな様子を見た歩は「私ちゃんには相談できない感じみたいだね?」と長い付き合いの勘で言い当てた。

 

 「...まぁ無理にとは言わないけど、あまり溜め込まないようにね?」

 

 「...はい、お気遣いありがとうございます」

 

 (歩さんは私の事を気にかけて優しいですね...これ以上迷惑はかけられませんね)

 

 文は歩の言葉に多少気が楽になった。

 

 (...少し鎌を掛けてみよっか?)

 

 「...にしても考えるより先に走り出す、あややがこんなに深刻そうに考えるなんてね?」

 

 「先に、じゃなくて考えながら行動をしているので...あっ....て...」

 

 文は一瞬、違和感を覚えた...先ほど歩が口にした言葉に

 

 「相談したくなったらいつでm」

 

 「ちょっと待ってください!歩さん」

 

 突然の文の大声に歩はビクッとなり「何!?急に大声だして!」とビックリした。

 歩は文の顔を見ると、文の表情は目を見開いており、思わず歩は「顔こわっ」と言った。

 

 「今...なんて?」

 

 「ん?相談したくなったらいつでも?」

 

 「ち、違います!その前です、私の事...」

 

 (この世界の歩さんは私の事を『文斗』と呼んでいた...私の聞き間違いでなければ、歩さんは私の事を『あやや』と言った。このあだ名で呼ぶのは...)

 

 「...その様子からして、やっぱり思いだしてる感じだね。昨日...いや今日の朝ってところっしょ?」

 

 歩がそう聞くと文は頷いた。

 

 「もしかして...歩さんは、あの歩さんですか」

 

 文がそう聞くと歩はキョトンとし、しばらくして「その言い方なんか変だよ~?」と笑いながら言った。

 

 「だけどまぁ...この状況ならそうなるかな?そうだよあやや、私ちゃんは幻想郷で出会った『高酒 歩』だよ」

 

 歩はニコッと笑いそう言った。その言葉を聞いて文は思わず目から涙が零れ、気がついた時には動いており文は思わず歩を抱きしめた。

 突然の事に驚き何がなんだか分からなかったが、抱きしめている文からすすり泣く声が聞こえ、文が今まで不安にかられていた事を察し、歩は文を強く抱き締めた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 文の家...

 

 「あやや、落ち着いた?」

 

 先ほどまで泣いていたため文の目元は赤くなっており、鼻声で「はい」と答えた。

 

 「良かったですよ私意外に記憶がある人に出会えたのは」

 

 「やっぱり~文斗の悩み事ってその事だったんだね~解決できた見たいで良かったよ!」

 

 「いや、覚えているんでしたらいつも通りにしてくださいよ、また泣きますよ!」

 

 「ごめんごめんってw」

 

 「にしても本当に良かったですよ...歩さんはいつから記憶が戻られたんですか?私と一緒で今日の朝ですか?」

 

 「ううん?私ちゃんは昨日の朝だよ?」

 

 文は「私より先じゃないですか!」と驚いた。

 

 「目が覚めたら月の都じゃないなーて思ってさ、しかも覚えの無い記憶があるわで、あっ...絶対これ侵食の影響受けてるわ~てわかった」

 

 「やっぱり侵食による影響なんですね...という事は幻想郷全体がこの状況になっているのでしょうか?」

 

 文がそう聞くと歩は「いや、それはありえない」と即答した。

 

 「な、何故そう思うんですか?」

 

 「明確にはわからないんだけど、この侵食はそこまで広く無いと思うんだよね~...思い出してみ?この世界に来て何か違和感とか共通点とか無い?」

 

 「違和感...共通点?」

 

 文は考えた...そして、ある共通点に気がついた。

 

 「サグメさん、綿月姉妹の方達は月の民ですね!」

 

 「それな、そして他の人たちはうさ耳が生えていてレイセンと言う名前からして『玉兎』で間違いないね」

 

 玉兎とは月の都でくらす人型の兎であり月人のペットである。

 

 「てなると、ここは月...月の都で確定と思うっしょ?」

 

 「言われてみればそうですね...あれ、でもヘカーティアさんは月の民ではありませんよ?何故あの人はここにいるんですか?」

 

 「う~ん...憶測だけどヘカちゃんは月、地球、異界の地獄の中の、月の地獄を操るらしいじゃん?多分それを通して影響されたか、もしくはたまたまその時月にいたてかもしれないんだよね」

 

 歩の説明に文は納得した。

 すると文は更なる疑問がわき「私達はいつの間に月に着いたのでしょうか?」と言うと歩は不思議そうな顔をし「覚えて無いの?」と聞き文はキョトンとした顔で「え?」と言った。

 

 「まだ、侵食の影響があるっぽいね?よく思い出してみ?『私ちゃんらがこうなる前』の事を...『私ちゃんらが天界を出た後』の事を...」

 

 歩にそう言われ文は思い出そうとした。

 

 (確か...天界を出て私達は月には着いたが...)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 月の都付近...

 歩一行は無事に到着はしたもののトラブルに巻き込まれていた。

 

 「貴様ら!何しにここへ来た!」

 

 3人は月に来て直ぐに依姫に見つかり刀を向けられていた。

 

 「あ、あややややや!?見つからないように行動しようと思ったのに早速見つかってるじゃないですか!?」

 

 「どうしましょう文さん!?このままでは私達、バシュッゴォォされちゃいますよ!」

 

 「レミリアさんの事をバシュッゴォォって言わないでください!それにあれはやられる前の話しですよ!」

 

 「お?来て早々、案内人を配備してくれるなんて月の都は、お・も・て・な・し、おもてなし精神がパネェ」

 

 「なんで貴女はそんな呑気な事が言えるですか!?私達は今危機的状況なんですよ!?」

 

 歩の呑気な態度に文は怒鳴ると、早苗も同様にムスッとした顔で近づいた。

 

 (流石の早苗さんも怒りますよね)

 

 「歩さん!あの人は案内人ではなく庭師ですよきっと!刀持ってるから」

 

 「怒るとこそこ!?何故そんな理由で怒ってるんですか!それにあの人は案内人ではなければ庭師でも無いですよ!」

 

 そんな言い合っている3人を見て依姫は(仲間割れか?)と思った。

 

 「...とは言えど貴様らを野放しにする訳にはいかない」

 

 依姫は刀を3人に向け斬る姿勢をとった。

 それを見て早苗と文は思わず歩の後ろに隠れ、文が「べ、弁明の余地は?」と聞くと依姫は「無い」と即答した。

 すると依姫は刀を地面に向けると、文が「あ、あれは!確か刀を刺したら地面から刀が生えだす技ですよ!」と歩を揺らしながら言った。

 

 「えーそれ突き刺さったら痛いじゃ~ん、嫌だな~刺さりたくな~い!」

 

 歩はヘラヘラしながらそう言うが、依姫は有無を言わさず、刀を地面に突き刺すと、歩達の周りに刀の刃先が大量に地面から生え出て文と早苗は口を揃えて「「ヒィィィ!?」」と言った。

 

 「っ!?」(どういう事だ?私は奴らを突き刺すつもりでやったのだが、何故奴らの周りには現れない?何かの能力か?あの羽の生えてる奴と霊夢の色ちがいの2人、怯えそれどころではない様子...)

 

 「おぉ!マジで刀が生えた!チンアナゴみたいじゃん」

 

 (都に何か良くない物が来ていると報告があって出向いてみたが...こいつの仕業か)

 

 「そこの金髪の者...名は何と言う?」

 

 「ん?自己紹介した方がいい感じ?私ちゃんは高酒 歩だよ、気軽に歩って呼んでねよっちゃん♪」

 

 「貴様によっちゃんと言われる筋合いは無い、何しにここに来た?」

 

 (?先ほどまでは弁明の余地は無いとおっしゃっていたのに何故今さら...)

 

 (何故かこいつとは戦うなと言われている気がする...)

 

 「さっさと答えろ、返答次第では次は確実に仕留める」

 

 不機嫌な依姫にたいしてヘラヘラと笑いながら「そんなピリピリしないの~」と歩は言った。

 依姫は更に不機嫌になり文が「あまり煽らないでください!」と言った。

 

 「私ちゃんらは人を探しているんだけど、こんな感じの子達見たことない?」

 

 歩はそう言いながら写真を取り出し、手裏剣を投げるように飛ばし、依姫はそれをキャッチして写真を見た。

 

 「...見覚え無いな、仮にあったとしても私が始末してる」

 

 依姫はそう言うと写真を投げ歩はキャッチした。

 

 「歩さん、どうやらここにもいないようですね」

 

 「ん~やっぱり来てないか~...ぴえん」

 

 「すれ違いになってるのでしょうか?」

 

 (すれ違い...やはり反発してるから起きているのでしょうか?)

 

 3人はそんな会話をしていると依姫が「要はそれだけなら、帰れ」と言われ早苗が恐る恐る「見逃してくれるのですか?」と訪ねると「私の機嫌が良い内にな」と言った。

 文は(あからさまに不機嫌じゃないですか)と思い、口にしようとしたが、ぐっとこらえた。

 

 「え~私ちゃんとしては月の都を観光したいんだけど~」

 

 歩がそう言うと依姫の表情がさらに険しくなり、それに気づいた文が歩を引っ張り「帰ります!帰らせていただきます!」

 

 「ちょっとあやや!まだ返事聞いてないんだけど!」

 

 「表情が語ってるじゃないですか!バシュッゴォォされる前に帰りますよ!」

 

 (文さんも言ってるじゃないですか)

 

 その時、光が突如現れ、その場にいた4人はあまりの光に目が眩んだ。

 

 「眩しっ!?」

 

 「な、何ですかこの光!?」

 

 「っく...しまっt」

 

 光は輝きを増し、全員は凝視する事はできず瞼を閉じた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「思いだしました!あの時、光に包まれて、意識がなくなりそして...」

 

 「気づいたらここに...どうやら私ちゃんと同じみたいだね」

 

 

 思い出した文は何故か青ざめだし歩は不思議そうな顔した。

 

 「歩さん...ここから抜け出したとしても依姫さんに始末される未来しか見えないのですが?どちらも詰みなのですが?」

 

 文がそう言うと三秒ほど間が空き歩はそっぽ向き「ちょっと!知らんぷりしないでくださいよ!」と叫んだ。

 

 「今はそんな事考える暇はないよあやや!私ちゃんらはこの状況を脱する方法を探さなければ!」

 

 歩が話を変えた事に文は(話しそらしたなこの人)と思ったが、歩の意見には納得してしまい「そうですね」と言った。

 

 「ですが、私にはどうしたらいいのかわからず仕舞いでして...歩さんは何か手掛かりとか掴めましたか?」

 

 「ん~私ちゃんもそれと言う策はないけど」

 

 歩はそう言いながら文の姿をジーと見つめた。

 

 「な、なんですか?」

 

 「憶測だけど、私ちゃんはこの世界は『ギャルゲー世界』だと思うんだよ」

 

 「ギャルゲー?何ですかそれ?」

 

 文がそう訪ねると歩は頭を手で抑え「あちゃー!言ってもわからないかー」と言った。

 

 「何て説明したらいいかな~あ、そだ、あややは恋愛漫画とか少女漫画とか見る?」

 

 「え?まぁ鈴奈庵で何度か拝借はしましたが」(本当は愛読してますが...)

 

 「それだったら話が早い!ギャルゲーて恋愛シュミレーションゲームって言うんだけど」

 

 「それと恋愛漫画と何が関係あるのですか?恋愛要素しかないのですが?」

 

 文はそう質問すると歩は不適な笑みをし「あややは漫画を見て自分がこの世界中にいたら...って思った事あるしょ?」と質問を返し文はビクッとなり「い、いえ」と否定したが歩に嘘だと見破られ「図星だな~」とニタニタ笑いながら言った。

 

 「漫画や小説を読むなら誰しもが通る道だから恥ずかしがる事はないよ?まぁいわゆる『もし自分がこの人の立場にいたら』とか『好きなキャラとこんな恋愛ができた~』を擬似的にできるのがこの『ギャルゲー世界』と言うわけ」

 

 「ギャルゲーの事はわかりましたが、何故歩さんはこの世界がギャルゲーだと思ったのですか?」

 

 「私ちゃんが意識が思ったタイミングの昨日、サグサグが転校生として現れたタイミングが何となく恋愛漫画のお決まりパターンだな~って思ってさ」

 

 「確かにそう言われてみればそうですね...恋愛漫画の十八番ですよね!」

 

 「そゆこと♪この世界のクリア条件は告白に成功するのが条件だと私ちゃん的には思うのよ」

 

 「それが正しいかどうかはわかりませが、物は試しですね」

 「まぁソユワケだから、昨日の出来事からして、サグサグ、さなっち、ヘカちゃんが攻略対象ヒロインっぽいね、あややには大分負担がかかるけど頑張ってね」

 

 「わかりましt、いや、ちょっと待ってください」

 

 「ん?ああ、大丈夫大丈夫私ちゃんも全力で協力するから心配しないで!」

 

 「そうではなく!何で私が攻略とかをしなくてはならないのですか!?この世界だと歩さんの方が周りからの支持もありますし、そちらのほうが早いのでは?」

 

 「確かにそれの方が手っ取り早いだろうけど、意味ないっしょ?」

 

 歩がそう言うと文は「何故ですか?」と聞き、歩は何故かキョトンとしていた。

 

 「共通点には気づいてるけど、違和感には気付いてない?...いや、気づいてるけど、それどころじゃなくて忘れてる感じ?」

 

 文は何が何やらで「どう言う事ですか?」と聞き「やっぱりかー」と口にした。

 

 「あややは思わないの?何で自分だけ男になっているのかを」

 

 歩にそう言われて文は気がつき「た、確かに!?」と言った。

 

 「ですが私は女ですよ!?同じ性別ですよ?」

 

 「恋愛に性別なんて関係ないぞ☆ぶっちゃけこの憶測はあややの、今の姿を見て思った事だからね?あやや自身も言ってたっしょ?昨日の出来事は恋愛漫画の十八番だって、あの状況どう考えても、あややが主人公じゃない♪」

 

 「うぐ...信じたくないですが、信じ得ざる終えない...」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 5月3日...4時限目...体育実習...

 文達のクラスは運動場であつまり体力測定を測っていた。

 

 (歩さんが言うにはヒロインの好感度をあげるとの事で...そのためにはアピールをするのが大事と)

 

 文はそう考えながらクラウチングスタートの体制をとっていた。

 ちょうど文は100メートル早のタイムを計ろうとしていた。

 どうやらこの世界の文も足に自信はあるようで、文はそれを生かして攻略対象のサグメにアピールをしようとした。

 

 「よ~い...スタート!」

 

 呼び声とともに発した空砲と同タイミングで文は走りだした。

 妖怪時の時と感覚は違うが、それでも文の足は早く、直ぐにゴールした。

 

 「タイム...!?10秒73」

 

 文のタイムを聞いた男子生徒達は熱狂した。

 文はうまくアピールできたと思い、サグメの方に目線を向けた。

 しかしサグメは隣にいた同クラスの女子と話しをしていて文のアピールは虚しくも無意味だった。

 

 (見てないんかい!!)

 

 アピールが出来ずガッカリした。

 

 「今年もお前がナンバーワンだな、流石文斗!!」

 

 ガッカリしている文に野太い声の誰かに話しかけられ、文は振り返った。

 するとそこにさ身長が2メートルほどあり筋肉質で屈強なジャージ姿の男が立っており、思わず文はビクッとした。

 この男は体育教師で見た目から生徒からは『ごり崎先生』と愛称で呼ばれている。実はごり崎先生は全運動部の顧問を努めている化け物である。

 もちろんうさ耳つきが生えている。

 

 (この見た目でうさ耳とかヤバすぎではないか?)

 

 「そんなお前が運動部ではなく新聞部にいるのが非常にもったいないと思うが...どうだ文斗運動部に入らないか!!」

 

 文斗にたいする評価が爆上がりのごり崎は文を運動部に勧誘するが文は何となく嫌で「あ、遠慮します」と塩対応しごり崎から離れていった。

 

 「そうか!だか入りたくなったらいつでも相談にこい!!俺はいつでも待ってるぞ!」

 

 (なんでこの人はこんなに私推しなんですか?)

 

 文はごり崎にたいする好感に、不思議がりながら歩の隣に移動した。

 

 「おやおやおや文斗先生、ヒロインの好感でなく、ごり崎先生の好感を上げて良いのでしゅか~?このままだと『ごり崎ルート』に行っちゃうぜ☆」

 

 「私はサグメさんにアピールしたつもりだったのですが、当の本人は見てなくて...て言うか何ですか、ごり崎ルートって!?」

 

 「ごり崎ルートって言うのはね全国制覇を目標にした笑いあり涙ありの熱い青春ストーリーだよ☆」

 

 「何ですかそのむさ苦しいだけのストーリーは!?嫌ですよそんなルートになんか!」

 

 「なんかって言うな!ごり崎先生は悩む生徒の相談に乗ったり、困ってる人がいたらすぐに助けに行く優しい先生なんだよ!ちなみに趣味はスイーツ作り、かわいいっしょ?」

 

 「キモッ!?あの見た目でスイーツ作りとかギャグですか!?というかなんでそんなに詳しいんですか?」

 

 文がそう聞くと歩はどや顔で「私ちゃんはこの学校中の情報と噂は熟知している」と言った。

 

 「まぁ何はともあれ知りたい事があったら、なんでも聞いてくれよな!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 放課後...

 

 (今日は流石に部活へ行かないとですね)

 

 文は新聞部へ向かっていた。

 そんな時文は前から来る女子生徒に目が行きふとその生徒の事を考えた。

 

 (あれは確か...この世界の早苗さんと仲良くしているレイセンIさんでしたっけ?)

 

 文はレイセンIの事を見つめていると、そりに気づいたレイセンIは会釈をし、文は手を振って返した。

 その時何故かレイセンIは頬を赤らめ逃げるように走り出した。

 

 (何でしょうか先ほどの反応は?顔を赤らめて...まるで私にたいして恥ずかしくなったような、ん?)

 

 その時、文はふとあることが思いつき立ち止まり「ちょっと待ってください」とレイセンIを呼び止めた。

 レイセンIは一瞬ビクッとなり立ち止まり「な、何でしょうか?」と恐る恐る聞いた。

 

 (もしかしたらあの反応は私に好意を抱いているのでは?歩さんはヒロインを攻略すると言っていましたが、要は告白を成功させれば良いじゃありませんか、物は試しに...)

 

 呼び止められたレイセンIは何を言われるのかドキドキしていた。

 一方文もドキドキとしており、試すとは言えど緊張していた。

 

 「急な事で混乱するかもしれませんが...あのー」

 

 「?」

 

 「...私と付き合ってくれませんか!」

 

 「うぇ!?」

 

 突然の事にレイセンIは驚き像のように固まり、沈黙が続いた。

 しばらしてレイセンはピクリと動き、直ぐ様頭を下げ「ごめんなさい!」と断った。

 文は(デスヨネー)と思った。

 文は呼び止め急な告白にたいして謝罪をし、レイセンIは会釈をし、その場から離れた。

 レイセンIが居なくなった瞬間文は壁にもたれ「試しとはいえどフラれるのはくるなー」と言った。

 

 「やっぱり急な告白は駄目ですね。地道にやるs」

 

 その瞬間...突如、文の視界が暗くなりブラックアウトした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

  ジリリリリン!

 

 「っ!?」

 

 聞き覚えのある音に文は気がつき起き上がった。

 文の視界に映ったのは先ほどまでいた学校の廊下ではなく自身の家である事に気がついた。

 ふと文は鳴り響く目覚まし時計に目を向けた。

 6時20分

 文は朝に遡っていた。

 

 「...はぁ?」

 

 文は突然の出来事にフリーズした。そんな文に追い討ちをかけるように呼び鈴が鳴り響き、文は慌てて玄関にいき、扉を開けた。

 するとそこには満面な笑みをした歩が出迎えており、文は「あ、歩さん!?」と驚いた。

 

 「おっはーあやや♪単刀直入に聞くけど何かした?時間が巻き戻った見たいだけど」

 

 事の事態に気づき文のもとへ駆けつけたであろう歩がそう質問した。

 文は昨日レイセンIに告白し失敗した事、そしてその時に何故かブラックアウトして、このような事になった事を話した。

 

 「なるほど...告白に失敗して朝に戻ったわけね」

 

 「すみません、私がかってな事をしたせいでこんな事に」

 

 「何で謝るの?むしろ大成果じゃん!失敗したとか、攻略ヒロインじゃないからとかはともかく、告白がクリアの鍵ってのはわかった訳なんだから」

 

 歩のフォローのおかげで文は「確かに」と納得した。

 

 「他にもあるんじゃないかと思ってたけど、こうなればちょちょいのちょい♪あやや、誰を攻略しに行く?『美人な転校生』『かわいい後輩』『憧れの先輩』?」

 

 「うぐ、やはりこの中から選ばないといけないのでしょうか?」

 

 「当たり前っしょ!」

 

 「ですが...サグメさんはなんと言うか緊張するし、早苗さんは知人だからやりづらいというか...ヘカーティアさんは地獄の女神なので怖いというか...」

 

 「なんだかネガティブだねあやや、私ちゃんからしたら、サグサグはあややに好感あるみたいだし、さなっちは知人だからこそ、好みとかとかわかってやりやすいと思うし、ヘカちゃんはこの世界だと一年以上の付き合いがあるみたいだし、ある程度好感があるから良いと思うけど」

 

 歩の説明に文は悩んだ。

 

 「さぁ...誰を選ぶ?」

 

 「わ、私は...」

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