オタメイト~幻想浪漫旅行~   作:まぐろ

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十九話「白玉楼・前編」

 雷鼓達を追っていた咲達、その最中ふとお燐が離れた先に雷鼓達の姿を目視し「居た」と咲に伝えた。

 咲の視界にも雷鼓達の姿をうつし、咲はおもむろに雷鼓に向けて刀を投擲した。

 刀は一直線に飛び雷鼓の顔をかすり、雷鼓は目を見開き驚き、他のメンバーも驚いた。

 

 「っ!?」

 

 すると雷鼓は咲達の方を向き「あら、案外早く来たじゃない」とまるで咲達が来る事がわかっていた素振りに咲は雷鼓に不信感を抱いた。

 

 「その言い方...儂らが来るのをわかっていた感じだな」

 

 「だってそうでしょ?貴女達は私達を止めたそうにしていたから」

 

 雷鼓達の目的は不具合の力で幻想郷を盛り上げる事、一方咲達はその不具合を除去する事が目的である。

 それをわかっておきながら、咲にわざと勘づかさせるような素振りをしたのか...咲は更に不信感を抱いた。

 

 「わからんな、あの時余計な事を言わず去っていたら逃げれていたかもしれないのに...何であんな事言った?」

 

 「そんなのわかりきってるでしょ?貴女の事をもっと知りたいからよ!」

 

 雷鼓はそう言いながら太鼓を叩き同様に九十九姉妹も楽器を鳴らすと咲達を中心に8つのオブジェクトが縁を描くように現れた。

 

 (やっぱり太鼓の達人だけじゃなかったか...雷鼓達が持っている能力は恐らく『音ゲーの世界と概念[ルール]の再現』それを考慮して、この8つのオブジェクトを連想するのは...『maimai』で間違いないな)

 

 咲はオブジェクトの正体に気がつき構えた。

 

 「さぁ、私達を楽しましてね...咲♪」

 

 「!?」

 

 雷鼓の言葉に寒気を感じた咲はお燐とこいしに「互いに背中を合わせろ!」と指示をした。

 2人は直ぐに指示通り背中を合わせた。

 

 「咲さん一体どうしたんだい?」

 

 「詳しい事はやりながら説明する」

 

 咲がそう言った瞬間、雷鼓たちは説明無しに演奏し初めると咲達の足元にリング状の物が現れ、そのリングがオブジェクトのある方へと向かい初めた。

 それを見てこいしは呑気に「綺麗♪」と言い、一方お燐は何が何やらわからないが、とりあえず今の状況がヤバいと言うことは分かりパニックになっていた。

 すると咲は猛スピードでリングを追い抜き、リングが向かっているオブジェクトにたどり着き咲はリングがオブジェクト当たるタイミングに触れ「ピロン」と音がなるだけでとくに何もなかった。

 再びリングが現れると咲が「リングがそれに当たるタイミングに触れろ!」とお燐に言った。

 お燐は「わ、わかったよ」と戸惑いながら向かった。

 お燐が向かった間もなく別のリングが表れるな否や咲はこいしに「お前も迎え!」と言うと、こいしは「は~い♪」と返事をし向かい、お燐とこいしはタイミングを合わして触れた。

 一安心もつかぬ間リングは無数に現れだし、咲は「さっきと同じようにしてくれ」と指示をし、お燐とこいしはリング来るオブジェクトに触れ続けた。

 

 「言われるがままにしてるけど、これで合ってるだよね咲ちゃん?」

 

 「ああ、その調子でやってくれ複雑なやつは儂が対応する」

 

 「もう!なんだいこれは!?三途の川でやったやつと違って難しいんだけど!」

 

 「そりゃあそうだろ、あいつらからしたら同じやつを出すなんてつまんないだろうからな」

 

 咲はそう言いながら矢印状の、道のようなものを走りながらなぞった。

 

 「というより何、急に初めてるのさ!説明ぐらいしなさいよ、あんたら!」

 

 お燐は怒りながらそう言うと雷鼓はとぼけた表情で「咲がいるから大丈夫でしょ?」と言った。

 さらにお燐は怒り「あたいらが良くないんだよ!失敗したらどうするんだよ!」と言い、雷鼓は親指をたて「大丈夫!3人とも1回ピチュるだけだから」と答え、お燐は「よくねーわ!!」とぶちギレた。

 

 (自分らが早く楽しみたいからって説明をはぶきやがって...理性がなくなって欲望むき出しだな...)

 

 咲は「虹村みたいだな」と呟いた。

 それはさておき、咲の的確な指示や三途の川で音ゲーを経験したためか、お燐とこいしは順調よくやっていた。

 

 (よし、この調子なら大丈夫だな)

 

 そんな咲達を見て雷鼓が「う~ん...もうちょと刺激が欲しいわね」と呟いた。

 

 「...そうだわ!」

 

 雷鼓はそういうとスペルカードを取り出し「一鼓『暴れ宮太鼓』!!」と言うと咲達の真上から太鼓が落下してきた。

 

 (あいつ弾幕まで撃ちやがった、めちゃくちゃもいいところじゃねーか)

 

 咲は難なくかわすが、こいしは「わわ!!」と危なっかしいがかわした。

 

 「危なっ!?」

 

 お燐もかわした...しかし、お燐はオブジェクトに向かっている最中で「しまった!?」と慌てた。

 しかしリングはオブジェクトに触れる寸前でお燐は諦めかけた。

 するとたまたま近くにいたこいしが間一髪オブジェクトに触れ「セーフ!」とTポーズをとった。

 

 「ありがとうございます。こいし様、助かりました!」

 

 お燐が礼を言うとこいしは「どういたしまして!」と満面な笑みで返した。

 

 「それよりも弾幕もやるなんて、ちょっとずるくない?」

 

 「弾幕との合わさり...美しいでしょ?」

 

 雷鼓がそう言うと響子達も賛同して弾幕を飛ばし始めた。

 咲は(駄目だこいつら、自分の事しか考えてない)と呆れた。

 雷鼓達は音楽、弾幕、音ゲーの力を使い咲達を苦しめた。

 咲は眉間にシワをよせ内心早く終われと感じていた。

 

 「いいわよ、いいわよ。楽しくなってきたわ...貴女も楽しいわよね、咲!」

 

 (この顔見てどこが楽しいんだよ)

 

 咲の気持ちも考えず雷鼓は再びスペルカードを取り出し「二鼓『怨霊アヤノツヅミ』」と言いV字に並んだ弾幕が咲達を四角く囲うように飛び交った。

 

 (くっ!このままだとらちがあかないな、儂はともかくこいつらがきついだろう)

 

 咲はキツそうにしているお燐とこいしを見て長続きしないと悟った。

 

 「...物は試しだな」

 

 咲はそう呟くと刀を抜き、刃先に風をまとい始め「風符『塵旋風』」と言い弾幕を出している響子とミスチーに向けて風の刃を飛ばした。

 

 「無駄よ、今の私達は天から守らているわ!」

 

 雷鼓は咲があがいているのだと思いそう言ったが、咲は何処と無く、信念がある表情をし雷鼓は不思議に思った。

 

 ピチューン!

 

 弾幕が被弾する音がした。

 その場にいた全員は音のする方に目線向けると、そこには弾幕を受け目を回し倒れこんだ響子とミスチーの姿に咲以外の全員が驚いた。

 

 (やっぱり、守りはなくなっているようだな!)

 

 咲が雷鼓達を気を引こうと投げた刀が雷鼓の顔をかすった時から咲は攻撃が通じるのではないのかと考えていた。

 だが直ぐに試さなかったのは確信がなくある程度様子を伺ってから試そうとしたが、それどころじゃなくなった為、一か八か試したのだった。

 その読みは見事的中し、咲は「いつまでも天が守ってくれるなんて思うなよ?」とニヤリと、笑いながら言った。

 突然の出来事に何が起きたのかわからない雷鼓達はフリーズした。

 

 「お燐、こいし、お前らは姉妹を倒せ!このオブジェクトのやつは儂にまかせろ!」

 

 「わかったけど、咲さん1人で大丈夫なのかい?」

 

 咲は「問題ない」と言いお燐は「咲さんがそう言うなら」と咲を信じ九十九姉妹のもとへ飛び出した。

 こいしは「久しぶりの弾幕ごっこだ~」と嬉しそうにしながらお燐同様向かった。

 お燐は弁々に向けて弾幕を打ち「お姉さんの相手はあたいだよ!」と言い、弁々は「いいわ相手になってあげるわ!」と興奮気味に答えた。

 一方こいしは「じゃあ私は琴の娘とあーそぼ♪」と言い、八橋は自身の事を言っているのだと一呼吸空いてから気付き「私の名前は八橋だよ!」と怒りながら弾幕を飛ばした。

 お燐達が九十九姉妹と戦う事で1人になった咲に雷鼓は「本当に貴女だけ大丈夫かしら?」と言いながら弾幕を飛ばした。

 咲は『オーディオ・ビジュアル』の『クイック』を使い弾幕を華麗に避けmaimaiを淡々とこなした。

 

 「様子見で力を温存していただけだ...儂1人で充分だ」

 

 「貴女って人は...どこまで私を楽しましてくれるの!!」

 

 雷鼓は目を爛々とさせながら「三鼓『午前零時のスリーストライク』」とスペルカードを使った。

 雷鼓は3つの太鼓を召喚し、それぞれから大量の中弾を飛ばし咲を襲った。

 それでも咲のスピードは凄まじく楽々とこなし、雷鼓は更に興奮し「いいわよ!」としか言わなくなり咲は「語彙力が無さすぎだろ!」とつっこんだ。

 その頃、お燐&こいしVS九十九姉妹の弾幕ごっこは...

 弁々は楽譜を思わせる弾幕を放ち、八橋は音符の弾幕で円を作り飛ばした。

 お燐とこいしはかわしながら九十九姉妹に攻撃をした。

 

 「弾幕ごっこならあたいらの十八番さ!そう簡単に勝てるなんて思わないことだね!」

 

 お燐はそう言うとスペルカードを取りだし「食らいなっ!贖罪『昔時の針と痛がる怨霊』!」と言い、怨霊を召還し輪の形に並んで回転する怨霊と針弾幕を放射状に発射した。

 スペルカードを使ったお燐に弁々は「最初からクライマックスのようね!」と嬉しそうにした。

 

 (咲さんが1人で抱えている間に何とかしてた2人を倒さないと)

 

 お燐はすぐにけりをつけようとスペルカードを使ったが、お燐の願いと裏腹に弁々は楽しそうに弾幕を避けていた。

 

 (あたいと弾幕ごっこをしているだけならともかく、演奏で咲さんも相手しているって言うのに何で余裕なんだい!?)

 

 「こんなに楽しいのは生まれて初めてよ♪」

 

 弁々はそう言いながらスペルカードを取り出し「昂るわ♪楽符『ダブルスコア』」と言うと左は青、右は赤の傍ら五本の湾曲のレーザーを出し同時に音譜を型どった弾幕を大量に出しお燐を襲った。

 

 (弾幕の精度が凄い...不具合の影響でリミッターが外れているんだわ!?)

 

 弁々の凄まじい力の源に気がついたお燐だった。

 一方こいしと八橋はと言うと...

 

 「あははは!弾幕ごっこ楽しいね八橋ちゃん♪」

 

 「こいしちゃんも?一緒だね、私も楽しいわ!」

 

 弾幕ごっこを楽しんでいた。

 

 「力が漲る...音を奏でれば奏でるほど力が溢れ、今まで以上のパフォーマンスができる気がするわ!」

 

 八橋はそう言うとこいしは興味津々で「見せて見せて」と言い、八橋はその言葉を聞き嬉しくなり「いいわよ!」と張り切りスペルカードを取り出した。

 

 「楽しんでちょうだい!箏曲『下剋上レクイエム』」

 

 八橋がそう言うとこいしの足元から音符型の弾幕が飛び出し、八橋から中弾を飛ばした。

 こいしははしゃぎながら弾幕を避け、そんなこいしに八橋は「楽しそうにしている、こいしちゃんを見ているとこっちも楽しくなっちゃうわ♪」と言い弾幕の密度が更に増え、こいしは更にはしゃいだ。

 

 「あはは♪こんなに楽しい弾幕ごっこ、ずっと続いたらいいのに...」

 

 「そうでしょ、そうでしょ、こいしちゃん!私達の力を使えばもっと楽しくなるわ!」

 

 八橋はこいしが賛同したと思った。

 しかし先ほどまで楽しそうにしていた表情から一変、残念そうな表情をしながらスペルカードを取り出した。

 

 「でもごめんね八橋ちゃん...私はいいんだけど、他のみんながそれを望んでいないんだよね...茨符『コンファインドイノセント』」

 

 こいしはそう言いながら青い茨を出し八橋を襲った。

 八橋は華麗にかわし余裕の表情を見せた。

 八橋は新なスペルカードを取り出し「残念...せっかく仲良くなれると思ったのに」と呟いた。

 

 「こいしもそう思ったよ」

 

 こいしはそう言いながら自身が出した茨を引っ張った。

 すると八橋はチクりと身体中に痛みを覚え自身の身体に目線を向けた。

 八橋の身体にはこいしの茨が巻きついており、八橋は「いつの間に!?」と驚いた。

 こいしの能力は無意識を操る。こいしはあらかじめ茨を配置し、八橋の無意識を操る事で茨を隠し、タイミングを合わせ八橋の身体を縛った。

 

 「次は違う形で遊ぼうね♪」

 

 こいしはそう言いながら縛った八橋をぐるぐると回し投げた。

 投げた先にはお燐と戦っていた弁々がいた。

 

 「きゃあああああ!?助けて姉さーん!!」

 

 叫びながら飛んでくる八橋に気がついた弁々は「や、八橋!?」と驚きキャッチしようと思ったが間に合わずぶつかった。

 するとこいしが「今だよお燐!」と言い、お燐は「さすがこいし様」とすかさずスペルカードを取り出した。

 

 「これで終わりだ!屍霊『食人怨霊』」

 

 お燐がそう言うと九十九姉妹の周りに怨霊が無数に現れ九十九姉妹へとより爆発した。

 

 ピチューン

 

 被弾した音共に九十九姉妹は倒れ混み、それと同時に咲が担当していたmaimaiのオブジェクトが無くなった。

 

 (よくやった二人とも!)

 

 雷鼓は九十九姉妹の方に振り向き「嘘!?」と驚いた。

 その気を逃さまいと咲はすかさず雷鼓のもとへ行き鞘に納めた刀を兜割りをする体制をとっていた。

 雷鼓はそれに気がつき対応しようとしたが時既に遅し、刀は炎をまとい咲は刀を振り下ろしていた。

 

 「些はこれで頭を冷やせ!陽符『炎天』」

 

 咲の炎の刀は雷鼓の頭上を命中させ雷鼓は地面に叩きつけられた...炎属性の技なら逆に熱くなるんじゃないのかな?

 叩きつけられた事で土煙がまった。

 しばらくすると煙ははれ、咲は刀をしまい、叩き付けられた雷鼓は頭から血を流し「いったー」と頭をさすりながら起き上がった。

 

 「ちょっと咲、やりすぎじゃないの?」

 

 雷鼓は文句を言いながらハンカチを取り出し血を拭いた。

 

 「緊急時なんだから、それぐらい我慢しろ」

 

 (この様子だとある程度理性は戻ったようだな)

 

 血を拭き終えた雷鼓は「貴女に感謝しないとね」と言った。

 

 「...もともとこの事態は儂の原因でもある、お前らは悪くない」

 「そうであっても礼ぐらい言わせて、貴女のおかげで大事な事を思い出したのだから」

 

 雷鼓はそう言いながら中に浮いた。

 咲は「思い出しただと?」と少し引っ掛かりそう聞いた。

 雷鼓はニヤリと笑った。

 

 「私達だけで楽しまず『あの子達』も咲と楽しんでもらわないと!」

 

 雷鼓はそう言いながら飛び立った。

 

 「ちっ、あいつまだ影響が!?」

 

 咲は直ぐ様、雷鼓を追おうとした...

 

 「大丈夫かい響子ちゃん、ミスチーちゃん」

 

 お燐は気絶している響子達を気にかけており、こいしもそろに同行しており、雷鼓を追いたい気持ちも反面、お燐達を置いてはいけないと思った咲は追うのを止めお燐のもとへかけよった。

 

 「...あら?追ってこないわね、まぁいいわ、待ってるわよ咲」

 

 雷鼓はそう呟きながら何処かへ向かった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「様子はどうだ?」

 

 「気絶しているだけだから大丈夫かな、あれ雷鼓さんは?」

 

 「逃げた、どうやらまだ影響を受けているようだな」

 

 それを聞いてお燐は「大変じゃないかい、直ぐに追わないと!?」と慌てた!。

 すると咲が「こいつらはいいのか?」と言い、自身が響子達を気にかける事で咲が雷鼓を追わなかったのだとわかり罪悪感を覚えた。

 

 「もしかしてあたいがこんな事をしているから追わなかったのかい...ごめんよ咲さん」

 

 「謝る必要はない、友人を気にかけるのは当たり前だ...お燐が気にする事はない、それにこうなったのは儂らが原因だ、むしろこっちが謝罪する側だ」

 

 咲はそう言い、お燐は「ありがとうよ」と感謝し、咲は「お、おう」と照れた。

 そんな照れる咲に、こいしはニヤニヤとしながら「咲ちゃんやさっしー」と煽ると咲は「斬るぞ?」と睨み、こいしはお燐の背後に隠れた。

 そんな事をしていると響子とミスチーが目を覚ました。

 

 「大丈夫かい響子ちゃん?」

 

 お燐はそう聞くと「お燐さん?私...一体?」と状況を理解していない様子にお燐は「覚えてないのかい?」と聞いた。

 

 「覚えては...いる、だけど何て言うか」

 

 歯切れの悪い響子に咲が「自分が自分じゃない感覚だろ?」と言い、核心をつかれた響子は「そんな感じです」と答えた。

 

 「三途の川にいた奴ら同様、こいつらも理性のトリガーが外れていたんだろ...九十九姉妹が異様に強いと感じなかったか?」

 

 咲がそう聞くとお燐は「確かに」と頷いた。

 するとミスチーが立ち上がろうとしたがよろめき思わず転んでしまい響子に「大丈夫ミスチー?」と心配した。

 

 「身体中が痛い...筋肉痛みたいに」

 

 「ミスチーも?実は私もなんだよね」

 

 「他に痛い所とか無いのかい?」

 

 「うーん筋肉痛ぐらいかな」

 

 「咲さん、これも影響によるものかい?」

 

 「恐らくな、肉体が限界を超えても理性が働いてないからな...まだ筋肉痛で済んだだけましかもしれないな」

 

 お燐は三途の川で起きた事を思いだし納得した。

 

 「ちょっと待ちなよ!だったら雷鼓さんヤバいんじゃないのかい?」

 

 お燐がそう言うとミスチーが「えっ雷鼓さん正気に戻って無いの!?」と食い付き、お燐は頷いた。

 ふと咲は雷鼓が逃げる前に言った言葉の事を思いだした。

 

 「そう言えばあいつ、儂に合わせい奴がいるような感じがしたが心当たりないか?」

 

 咲がそう聞くと響子とミスチーは目を合わし「「もしかして...」」と口を合わせ心当たりがある様子だった。

 

 「多分だけど『プリズムリバー三姉妹』の事だと思うよ」

 

 その名前を聞いてお燐は、ハッとなった。

 

 (確かプリズムリバーって咲さんが会いたいって言ってなかったけ?だけど話を聞く感じ、その人達も影響を受けて敵になってるんじゃ?)

 

 お燐は恐る恐る咲の顔を伺った。

 咲の顔は眉間にシワを寄せ、耳としっぽが滴れ、明らかに落ち込んでいた...お燐は察した、こんな形で会いたくなかったと...

 こいしもそれに察したのか咲の肩をポンと叩き「落ち込まないで咲ちゃん」と言った。

 咲は「うるせ」と小声で言った。

 

 (めちゃくちゃ落ち込んでるじゃん咲ちゃん...)

 

 (そりゃあそうですよ、自分が会いたかった人達全員と敵対するんですから)

 

 お燐とこいしは哀れみの目で咲を見つめた。

 2人の視線に気がついた咲は「それで、そいつらは何処にいるかわかるか!」と響子達に聞く事で誤魔化そうとした...勿論2人は((あ、誤魔化そうとしてる))と察した。

 

 「白玉楼です。私達白玉楼でプリズムリバーさん達と落ち合う話をしていて」

 

 (白玉楼かちょうど儂らが向かおうとしてたところだな)

 

 「あの...咲さん」

 

 恐る恐る言う響子に咲は「何だ?」と聞いた。

 

 「雷鼓さん達を止めに行くんですよね?」

 

 「ああ、そのつもりだ...儂らの邪魔をするつもりか?」

 

 咲はそう聞くと響子は「そんなつもりはありません!」と大声を出し咲はビクッとなった。

 

 「むしろお願いします!雷鼓さん達を止めてください」

 

 響子がそう言うとミスチーも「私からもお願いします」と頭を下げた。

 

 (理性が戻った事で自分たちのやってた事が危険だと...そしてこのままだと雷鼓の身にも危険があるとわかったようだな)

 

 すると咲は雷鼓が向かったであろう方向を向き「言われなくても止めるつもりだから安心しろ」と言って進み初めた。

 そんな咲にこいしは着いていき、お燐は響子に「あたいらがなんとするから安心して」と声をかけた。

 

 「ありがとうお燐ちゃん」

 

 「まかせときな、響子ちゃん達は九十九ちゃん達をよろしくね」

 

 お燐はそう言いながら咲とこいしと合流した。

 すると咲はフワッと中に浮き始め、そんな咲に、こいしが「えぇ、咲ちゃん飛べるの!?」と驚いた。

 咲は「お前らも飛べると思うぞ」と言い2人は試してみると飛ぶ事ができ、こいしが「本当だ!」とはしゃいだ。

 一方、お燐は疑問に思い「どういう事だいこれ?」と咲に聞いた。

 

 「飛べるようになったのはさっきの戦いに勝ったからだろ、あいつらを守っていたやつも三途の川の時に勝ったからなくなったのだろう」

 

 「その話だと勝てば勝つほど影響力が薄まってる感じのようだね」

 

 「まぁそうなるな、現状で言えば特殊な力はもちろんあるとして、一番厄介な理性を無くす力が残っているけどな」

 

 咲は嫌そうな顔をして「めんどくせぇ」と呟いた。

 そうこうしているとお燐が「あそこが冥界の入り口だよ」と言った。

 すると、こいしが目をこらしめ「誰か倒れてない?」と言いながら入り口付近に指をさし咲とお燐は指さす方を見た。

 こいしの言うとおり入り口の付近に人が倒れており咲達はすかさず向かった。

 倒れていたの銀色の髪をボブカットにし、黒いリボンがあるカチューシャを付けており、緑を主にした少女で、それを見てお燐が「この子、妖夢さんだよ」と言った。

 倒れている少女の名前は『魂魄 妖夢[こんぱくようむ]』と言い、咲達が向かっている白玉楼の庭師をしている。

 

 「何で妖夢さんが...一体何が?」

 

 「少々傷はあるが命に関わる事はないな」

 

 咲は妖夢の様子から雷鼓とやりあったと思った。

 

 「お燐、こいつの事を診ててくれ」

 

 咲はそう言うとお燐は「わかったよ」と答えた。

 

 「ねぇねぇ、こいしは何したら良い?」

 

 こいしはそう聞くと咲は少し嫌そうな顔をしながら「お前は儂についてこい」と答えると、こいしは「何か嫌々じゃない、咲ちゃん?」と不満そうに言った。

 

 「お前、妖夢を看るなんてできないだろ?」

 

 咲はそう言うとこいしは「うん!」と即答し、咲はため息をつき「だから、儂と来いって言ってるんだ」と言い、咲とこいしは白玉楼へと向かった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ここは冥界...罪の無い死者が成仏するか転生するまでの間を幽霊として過ごす世界。

 比較的善良な霊達ばかりであるが、転生先の心配をせずに暢気に冥界観光をしている。

 静かだが四季が豊かで、春は美しい桜で埋まり、秋は紅葉で美しく染まる。

 そんな冥界に広大な日本屋敷があり、それが白玉楼である。

 そんな白玉楼の庭園には一際目立つ木がある、その木の名は『西行妖』と言う桜である。

 普段の西行妖はまるで枯れているような姿をしているのだが、今は花と蕾がいくつかつけていた。

 そんな西行妖の前で3人の少女達が演奏をしており、その少女達こそがプリズムリバー3姉妹で、右からルナサ、リリカ、メルランであり3人は楽しそうに演奏していた。

 楽しそうにしている3人に雷鼓がやって来て「みんな楽しんでる?」と元気よく聞くとメルランが「もちろん!」と答えた。

 

 「あれ?他のみんなは?」

 

 響子達がいない事に気がついたリリカがそう聞くと、雷鼓は残念そうな表情をしながら「実は来る途中で授かった力を使って勝負したんだけどね」と言った。

 それを聞いて察したルナサは「負けたんですね」と言うと雷鼓は「そうなよ」と答えた。

 

 「ふっ...奴らは我ら四天王の中でも最弱、四天王の面汚しめ」

 

 遠い目をしながら語るリリカにメルランは「そんな事言わない」とチョップした。

 

 「勝負に負けたぐらいでこの場に来ないなんて無いと思うのだけど...もしかして他にも何かあった?」

 

 「弾幕ごっこもしてのびちゃってるのよ」

 

 「今のあの子達にこの力と弾幕に勝てるなんて...巫女が動いてるの?」

 

 ルナサがそう聞くと雷鼓は不適な笑みを見せ「それが違うのよ」と言った。

 

 「響子ちゃん達を倒したのは、恐らく最近幻想入りした子で、私達が授かった力の事をよく知っている子なのよ」

 

 雷鼓はそう言うと3姉妹は興味が湧きメルランが「どんな子♪どんな子♪」と食い気味で聞いた。

 

 「焦らなくてもすぐにわかるわ」

 

 雷鼓がそう言った瞬間、雷鼓達の会話に割って入るように風の斬撃が飛んで来て雷鼓は嬉しそうに「早速来たわよ」と言い振り返った。

 振り返ると咲とこいしが下り立ち雷鼓は「待っていたわ」と言った。

 

 「雷鼓さん、もしかしてこの人?」

 

 「そうよ、彼女の名前は狐龍 咲よ」

 

 雷鼓は3姉妹にそう言うと「私の名前はルナサ、以後お見知りおきを」「メルランだよ、よろしくね咲ちゃん!」「色々と大きいな...あ、私はリリカだよ」と挨拶する3人にたいして、まだ引きずっている咲は嫌な顔をしながら「ご丁寧な挨拶どうも」と答えた。

 

 「あら?お燐ちゃんの姿が見えないけどついてこなかったの?」

 

 「お燐なら妖夢を見てもらってる」

 

 「妖夢?あー、もしかして入り口前で倒れてたあの子の事かしら?」

 

 雷鼓の態度に咲は(しらばっくれやがって)と思った。

 

 「まぁそんな事より、今は私達と楽しみましょうよ!」

 

 雷鼓はそう言いながらスティックを振り上げ、3姉妹も自身達の楽器を持ち演奏しようとした。

 すると咲は「そうはさせるか」とオーディオ・ビジュアルのストップを使い雷鼓達の動きを止めた。

 

 「悪いがお前らの思い通りになるとは思うなよ」

 

 咲はそう言いながら刀を抜き雷鼓達を倒そうとした。

 そんな咲にこいしは「うわー容赦ないよ咲ちゃん」と引き気味に言い「そんな事言ってる場合か」と答えた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 一方その頃、冥界の入り口付近で倒れていた妖夢が「...ん...ここは?」と目を覚まし「気がついたかい妖夢さん」と声をかけた。

 

 「あ、貴女は...火焔さん?私は一体?」

 

 妖夢はそう言うとお燐は妖夢が冥界の入り口で倒れていた事を話した。

 すると突然妖夢は「そうだ!私行かないと」立ち上がった。

 お燐は慌てて「無理しちゃダメだよ」と止めようとしたが、妖夢は「止めないといけないのです!」と答えた。

 

 「雷鼓さんの事?それならあたいの仲間が止めに行ってるから心配はないと思うよ」

 

 お燐がそう言うと妖夢はキョトンとした顔で「堀川さんも来ているんですか?」と言い、お燐はアレ?となった。

 

 (てっきり雷鼓さんが妖夢さんを気絶させたばかりだと思ってたんだけど...)

 

 「もしかしてプリズムリバー3姉妹が妖夢さんをこんな目に合わせたのかい?」

 

 お燐はそう聞くと妖夢は「違います」と答えた。

 

 「私がここで倒れていたのは白玉楼から飛ばされたのでしょう...」

 

 「飛ばされた...一体誰が?」

 

 「飛ばしたのは__」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 雷鼓達を倒そうとした咲は背後から殺気を感じた。

 咲は直ぐ様、ふりかえると目の前には無数の光輝く蝶の群がこちらに向かっており、咲は直感でこれが弾幕であるのと、この蝶に触れたらヤバいとわかり、こいしに「避けろ!」と言った。

 こいしも振り返り弾幕に気付き、咲とこいしは回避した。

 

 (この特徴的な弾幕...まさか!?)

 

 咲は弾幕が飛んでくる方に目線向けると、そこにはピンク髪のミディアムヘアーに水色と白を基調としたフリフリっぽいロリータ風の着物に幽霊を想起してしまう三角の形をした布が着いた帽子を被った少女が閉じた扇子を咲達に向けていた。

 

 「避けるなんて流石ね」

 

 「どういうつもりだ...幽々子」

 

 「あら?私の事知っているのね」

 

 少女の名前は『西行寺 幽々子[さいぎょうじ ゆゆこ]』ここ白玉楼の主にして妖夢の主でもある。

 そんな幽々子に気が向いてしまった為か雷鼓達は動き、咲とこいしが立っている場所が変わってるのと幽々子がいる事に雷鼓は「あれ?私達の知らない内に何か起きた?」と感づいた。

 「何で雷鼓達を手助けするような事をした...お前の従者、冥界の外でのびてたぞ、それをやったのはこいつらだぞ」

 咲がそう言うと「あの子、入り口まで飛んでいってたのね」と妖夢が倒れている事を知っていた素振りな幽々子に咲は不信感を覚えた。

 

 「妖夢がああなったのはこの子達の仕業じゃないわ...私がやったのよ」

 

 幽々子の言葉を聞いて咲は驚いた。

 

 「妖夢はお前の従者だろ?何でそんな事をした」

 

 「単純な話しよ、あの子が私の邪魔をしようとしたからよ」

 

 (従者が主に楯突いたのか?だがまて、確か妖夢は幽々子にたいして忠誠心は高いはずでは?...何か理由でもあるのか?)

 

 そう考えた咲は「何を邪魔したんだ?」と幽々子に聞いた。

 すると幽々子は扇子を咲の後ろの方にさし、咲は振り返った。

 幽々子がさしていたのは花と蕾を幾つかつけた西行妖の事だった。

 

 「不思議な事に、この子達の音楽を聞いたら力が漲るのよね。私も西行妖も...だけど妖夢ったら咲かせたら駄目だって言うのよ、酷いと思わない?」

 

 過去の話をしよう...以前、幽々子は幻想郷中の春を集めて西行妖を満開にさせようとし『冬が終わらない異変』を引き起こした。

 何故そのような事をしたかと言うと、西行妖に『何者』かが封印されており、幽々子は興味本位でその者を蘇らそうとし、そのために異変を引き起こしたのだ。

 つまり、幽々子は雷鼓達の力を利用し西行妖を満開させようとしているのだ

 

 「貴女も私の邪魔するつもり?ならねじ伏せるまでよ」

 

 幽々子はそう言いながら閉じた扇子を開き蝶形の弾幕を出した。

 咲は刀を幽々子に向け「くそめんどくせ事になったな」と呟いた。

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