オタメイト~幻想浪漫旅行~   作:まぐろ

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六話「紅魔館・中編」

 「さぁ始めるわよ」

 

 血のように赤い槍を持ったレミリアがそう言った。

 

 「ッわかりました」

 

 軍服姿のにお右手から大砲を出した。

 2人の間に挟まるように咲夜は右手を上げ「これよりお嬢様対におの決闘を開始します」と言うと回りでは妖精メイドやホフゴブリン達が歓声を上げていた。

 

 「お嬢様、ご準備の方は?」

 

 「問題ないわ」

 

 レミリアは自信満々に答えた。

 

 「におは?」

 

 「...大丈夫です」

 

 におは冷や汗をかきレミリアとは逆に自信の無い返事をした。

 

 「それではお二方...構えてください」

 

 2人は戦う体制を取った。

 

 「レディ...ファイト!」

 

 咲夜は会戦のコールを言うと先にレミリアが動きだした。

 

 「精々私を楽しませなさい!にお!」

 

 におは複雑な顔をしながら構えた。

 

 (な、何でこんなことに...)

 

 何故こんな事になったのかというと遡ること少し前の話し...

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「私と戦いなさい」

 

 レミリアはにおに指を指しそう言った。におは一瞬、頭が真っ白になった。

 

 「あの...ごめんなさいよく聞き取れなくて...もう一度お願いします」

 

 「ん?メイドとしての能力は咲夜から聞いてるわ、美鈴と小悪魔、下働きの皆も評判もいいし、文句無しだわ、肉体の構造、貴女の種族もパチェから聞いているわ...貴女は素晴らしい能力を持っているわね、にお貴女の戦力を知りたいから私と戦いなさい」

 

 「いや、あの!」

 

 におは断ろうとしたが、それに感づいたレミリアは「これは命令よ」と無理やり押し付けた。におは顔をひきつり渋々承諾し...

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 そして現代に戻る。

 ガキンっと音が鳴り響いた。レミリアの槍とにおの大砲がぶつかり合い火花が飛び散った。

 両手で持っていた槍を片方の右手に切り替え、空いた左手を鋭く槍のように、におを刺そうとした。

 

 「っ!」

 

 におは即座に反応し、力強く押し退けレミリアとの距離を確保した。

 

 「ご、ごめんなさい!思わず飛ばしてしまって」

 

 「相手の心配をするなんて随分と余裕そうね...力も加減してるみたいだし?私も舐められたものね」

 

 におは内心ギクッとした。におは「そんなつもりはありません」と思わず誤魔化した。

 

 「どうかしら?本当にそう思うなら...」

 

 レミリアは左手からガード状の物を出した。

 

 (スペルカード!?)

 

 「全力を出しなさい!神罰【幼きデーモンロード】」

 

 レミリアはスペルカードを発動すると辺りにレーザーと光の球体が現れ、におを襲った。

 

 「っ!」

 

 所見の攻撃を回避したが新たに出現したレーザーは回避する事はできなかった。かろうじて大砲で防げたが威力がありにおは後ろに後ずさった。

 

 「くっ...」

 

 「ふっ、まだ全力を出さないか...だけど無理矢理でも引き出させてあげるわ!」

 

 レミリアはそう言うとにおの左右から光の球体を向かわせ挟み撃ちを狙った。

 

 「しまっt」

 

 球体は被弾したのか爆発がおき黒煙に包まれた。

 レミリアはスペルカードを解除し「ちょっとやりすぎたかしら?」と呟いた。

 すると観戦していたパチュリーがため息をついた。

 

 「レミィ...戦力が知りたいのに直ぐに終わらしたら意味ないでしょ?」

 

 「仕方ないじゃない...におが全力を出さないんだから」

 

 レミリアは開き直りその場を去ろうとしたら咲夜が「いえまだ決着は着いていないみたいですわよお嬢様」と呼び止めた。

 レミリアは振り返り目を凝らして見ると、黒煙は薄まりにおがまだ立っている事に気づいた。レミリアはニヤリと笑い「そうこなくちゃ」と再び構えた。

 

 (油断した...流石おぜうさま、次まともに受けたら無事じゃすまない...やっぱり全力を出さないと...いやいやそんな事できない)

 

 「...まだ全力を出さないつもり?」

 

 「出したら...みんなを巻き込んじゃう...だから出来ない」

 

 レミリアはチラリ観戦してる全員を見た。

 

 「なるほど...貴女が危惧する理由はわかったわ、だけど安心なさい。パチェが防壁の魔術を張ってるから被弾する事は無いわ、これなら全力を出せるはずよ」

 

 におはまだ浮かない表情をしていた。レミリアはそれに感づき「まだ何かあるの?」と聞いた。

 

 「レミリア様を傷つけてしまう...」

 

 におがそういうとレミリアはキョトンとして次第に笑いがこみ上げ大笑いした。

 

 「あはははは!私の体を気遣うわけね!あははは!」

 

 「わ、笑わないでください!僕は真剣に」

 

 「いやw...ははwまさか相手に気遣われるとはいつ以来かしら...心配しなくても私はそんなに柔じゃないし」

 

 「におの全てを受け止めて見せるわ」

 

 レミリアがそう言うとにおは目を見開いた。

 におはレミリアの言葉に懐かしさを覚えた。何故かというと、遠い昔に仲間の1人がにおに言った言葉と酷似しいたからだ。

 

 [におの全てを受け入れるよ]

 

 無邪気な笑顔を思い浮かべ、におは「ふふ」と笑った。

 

 「何が可笑しいんだ?」

 

 「ごめんなさい昔の事を思い出して」

 

 におは大きく深呼吸をし覚悟を決めたのか「よし!」と意気込んだ。

 

 「お待たせしました。ここからは全力で行きます!」

 

 におは魔力を高めた。レミリアは膨張するにおのオーラをみて本気だと理解し槍を構えた。

 

 「ふっ...待ちくたびれたわ」

 

 「負けても怒らないでくださいね」

 

 におの煽りにレミリアは高笑いした。

 

 「言うようになったわね!だけどその自信は直ぐに砕いてやるわ!」

 

 レミリアも魔力を高め槍をにおに向け全力で向かった。

 におは右手の大砲をレミリアに向けエネルギーを込めた。

 レミリアは避ける様子は無く真っ正直から受けようとした。

 

 「大砲【46サンチ砲】...放てぇ!」

 

 ドゴォン!!

 

 におの大砲から砲弾が飛び出た。その砲撃の音は凄まじく地響きが鳴り響いた。

 レミリアは砲弾を槍で受け止めた。

 

 「っ!?」

 

 (な、何よこの威力!?...弾き変えそうと思ったけど、これはッ!)

 

 レミリアは踏ん張ったが、それでも威力は弱まらず、レミリアは圧される一方だった。

 

 「ふんッ!」

 

 弾き返すのは不可と判断しレミリアは槍を傾け大砲の軌道を反らした。

 バゴオォン!!

 反れた大砲は飛んでいきパチュリーが張った防壁へとぶつかった。

 

 「素晴らしい威力だわ!だけどそれだけじゃあ私を倒せないわよ!」

 

 (とは言うものの...流石にあれをもう一度受ける訳にはいかないわね)

 

 レミリアは大砲の対策として宙に浮いた。

 

 (流石ですねレミリア様、空中なら大砲の攻撃は回避しやすいとわかっている)

 

 「まだまだあります!レフトアーム・ウェポン」

 

 レミリアの強気な煽りに、におはそれに答えるように左手から新たな武器を出した。

 

 「...それがパチェが言ってた【機関銃】かしら」

 

 「その通りです...回避しないと蜂の巣になりますよ!」

 

 におはレミリアに機関銃を向けた。

 

 「対空【九十六式25ミリ機銃】発火!」

 

 におの機銃から無数の弾が放たれた。レミリアは直ぐに反応し、横に飛行した。

 

 (名前の通り対空ね。回避するのが一苦労だわ...私じゃなければね)

 

 レミリアは弾幕を四方八方と避けた。

 

 「ふっ、この程度の弾幕...ぞうさでもない!」

 

 (くっ...やっぱりこの程度ではかすりもしないか...なら!)

 

 におは機銃を打ちながら右足を上げた。

 

 (ほう...まだあるのか)

 

 「ライトレッグ・ウェポン」

 

 におの右足から鎖付きのアンカーが現れた。

 におは右足を上げながらくるりと回りだし、鎖付きのアンカーを振り回し始めた。

 

 「鎖界【アンカー・ネット】」

 

 機銃による弾幕と有象無象に振り回すアンカーがレミリアを襲った。

 

 「弾幕に加えてアンカーの振り回しと来たわね...なかなかエグい事するわね」

 

 「そうでもしないとレミリア様のスピードには追い付けないので」

 

 におの言葉にレミリアはギロとにおを睨んだ。すると突然レミリアの姿が消えた。

 

 「き、消えた!?」

 

 におは回転を止めレミリアを探そうと辺りを見渡したら背後から寒気を感じた。

 

 「私は吸血鬼よ、人が作った道具ごときにとらえれるとでも?」

 

 におは冷や汗をかいた。

 

 「やっぱり早いですねレミリア様...」

 

 「面で競おうとするのはいい考えよ、だけど相手が悪かったわね。何せ、このレミリア・スカーレットが相手をしているのだから」

 

 レミリアは自信ありげに語った。

 

 「貴女の戦力は充分にわかったわ。これで決t」

 

 「レミリア様...1つ勘違いしていると思うので言いますね」

 

 レミリアはふじぎそうに首を傾げた

 

 「僕は負けたつもりは無いですよ?」

 

 におの言葉にレミリアは嫌な予感がして後ずさろうとした。

 

 「レフトレッグ・ウェポン...海底【酸素魚雷】!!」

 

 におはこっそりと左足に魚雷を出し、レミリアに向けて放った。

 それにレミリアは反応に間に合わず魚雷の爆発に巻き込まれレミリアは吹き飛ばされた。

 

 (くっ私としたことが油断したわ!だけど守りの体制をとったからダメージは最初n)

 

 ドゴンッ

 

 「ガハッ!」

 

 レミリアは何かが背中にぶつかるような衝撃を受けた。その衝撃の正体を見ようと背後を覗くとそこには先ほどまで振り回していたアンカーが背中に食い込んでいた。

 

 (こ、これはさっきの!?まさか私が背後にまわる事を想定していたって事!?)

 

 食い込んだアンカーの鎖を目で手繰ると右足を上げたにおがレミリアを見つめていた。

 

 「ライトレッグ・ウェポン...リターン!」

 

 そう叫ぶとアンカーに繋がってる鎖はみるみるとにおの元へ縮まりアンカーと共にレミリアらにおの元へ引き寄せられた。

 

 (ぐっ...アンカーが体に引っ掛かって抜け出せないっ!)

 

 「これで逃げる事はできないです!覚悟してください!」

 

 におは大砲と機関銃、魚雷をレミリアに向けた。

 

 「これで勝ったつもりになるなっ!」

 

 身動きは取れないがレミリアも負けじとスペルカードを出し槍を持ち投擲の構えをとった。

 

 「逃げられないのはお互い様よ!私かにお、立っている者が勝者!」

 

 レミリアはニヤリと笑った。その笑みは戦いの高揚から来たものであり、におはそれに気付き笑い返した。におも同様に楽しんでいたからだ。

 

 「望む所です!全主砲解h」

 

 パリンッ!

 

 2人が攻撃しようとした瞬間パチュリーが張っていた防壁が崩れ出した。

 

 「な、何!?」

 

 突然の事に、におは思わず鎖の動き止めてしまい、アンカーを落としてしまった。

 レミリアは壊れた防壁に気をとられ「きゃっ」と声をあげアンカーと共に地べたに落ちた。

 

 「レミリア様大丈d」

 

 におがレミリアの事を心配して近づこうとしたが2人の間に入るように金髪の少女が降りた。

 その見た目はレミリアに酷似しており、その少女を見たレミリアは「ふ、フラン!?」と声を荒げた。

 

 (フラン!ももも、もしかしてあれが噂に聞くおぜう様の妹、フランたんでは!?)

 

 におは目を輝かせながらフランを見つめた。

 

 「何で貴女がここにいるのよ!部屋に戻ってなさい!」

 

 レミリアはフランにそう言うとフランは頬を膨らませレミリアを睨んだ。

 

 「お姉様だけ遊んでもらってずるいッ!フランも遊びたい!」

 

 フランは子供のように足をじたばたとした。

 

 (あ、暴れてるー...かわいいー)

 

 におは口もとが緩みニヤニヤと笑っていた。

 そんなだらしない顔をしている、におにフランは歩みより上目遣いで見つめた。におは思わず「おほっ」と奇声を上げてしまった。

 

 「貴女がにおだよね!フランと遊んで♪」

 

 (な、なんだこのかわいい生き物は!?凄く抱きしめたい!...いや早まるな僕よ、フランはおぜう様の妹...手を出したら殺されるっ!...うーだけどやっぱり...)

 

 におは両手広げぷるぷると震えながら葛藤していると、レミリアが「におから離れなさい!」とフランに怒鳴った。

 

 「今はにおと話をしてるだからお姉様は関係ないよ!」

 

 「関係あるに決まってるでしょ!におは私の従者よ!貴女の言う遊びに付き合ったら壊すに決まってるでしょ!」

 

 「そ、そんなのわからないじゃない!におは普通の人と違うんでしょ!だったらフランと遊んでも大丈夫なはずだよ」

 

 周りにいた観戦していた者達はまるで子供同士の喧嘩を見ている気分だったが、一方間近にいるにおはまだ抱きしめるべきなのか葛藤していた。

 するとレミリアの堪忍袋が切れたのか「いい加減にしなさいっ!」とフランに怒号を上げた。その怒号に流石のにおも驚き我に戻った。

 

 「駄目なものは駄目よ!今すぐ部屋に戻りなさい!」

 

 レミリア下に指をさしてそう言うとフランは涙目になり「お姉様の馬鹿!もう知らないッ!」と大声を上げると、フワリと宙に浮き下へと飛び降りた。

 におは何が何だかわからずオロオロとしていた。

 

 「あ、あの...レミリア様?」

 

 におは恐る恐るレミリアに声をかけたがレミリアは黙り込んだままだった。

 場の空気が静まり、風の音がよく聞こえる。

 

 (ど、どうしよう...気まずい)

 

 しばらくするとレミリアはため息をつき階段の方へと歩き「...興が冷めたから部屋に帰るわ」と呟き下へと降りた。

 美鈴やパチュリー達、観戦していた者達も続々と階段を降りた。

 におと咲夜だけが屋上に残っていた。

 

 「におは戻らないの?」

 

 咲夜はにおに気を遣ってそう聞いた。

 

 「...ちょっと風にあおられたい気分なので先に戻っててください」

 

 におがそう言うと咲夜は数秒ほど間を空き「お休みなさい」と呟き階段を降りた。

 におはその場に座り込みため息を付き夜空を見上げた。

 におの目には何故かあの時のフランとレミリアの悲しげな表情が浮かび上がり、におの脳内に焼き付いていた。

 

 「フランたん...おぜう様...」

 

 その日の夜におは2人の事が気にかかりなかなか寝付けられなかった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 5日目の夕方...

 

 「レミリア様!フランた...様に合わせてください!」

 

 におは頭を下げてレミリアにお願いした。

 レミリアはにおの急な発言にキョトンとした。一瞬間が空いたがすぐにレミリアは嫌そうな顔をし「断る」と拒否した。

 

 「そこを何とか!罰は受けますのでお願いします!」

 

 におはレミリアに再度頭を下げた。

 

 「...貴女自分が何を言っているのかわかっているの?」

 

 レミリアはにおにそう問いかけるとにおは「はい」と答えた。

 

 「なら尚更断る」

 

 「な、何故ですか!?」

 

 「自殺志望の従者を易々と了承する主が何処にいるのよ!」

 

 「自殺なんかじゃありません、フラン様の相手をするんです!」

 

 レミリアは「それが自殺なのよ!」とにおに怒鳴るようにつっこんだ。

 

 「あの子は【ありとあらゆる物を破壊する程度の能力】を持っているのよ?物はもちろん...生物だって破壊できるわ...力のコントロールが出来ないからあの子の意思とは関係無しになんでも壊してしまうのよ...自分が大切にしている物さえも」

 

 「大切な...物も」

 

 「新しいおもちゃやペットを買ってあげても直ぐに壊していつも泣きじゃくるのよ?嫌になるわ...あの子の悲しい顔なんて見たくないもの」

 

 レミリアは悲しげに語った。それを見てにおは昨日の事を思いだした。

 

 「もしかして...昨日の事後悔してますか?」

 

 におは思わず口に出してしまい、直ぐさま自分が失言していると知り口を押さえた。

 

 「無礼な事を言うわね貴女?」

 

 レミリアはにおを見つめてそう言うと、におは失言の謝罪をしようとしたがそれに覆い被さるように「そうよ、後悔しているわ」とレミリアはにおの失言を肯定した。

 におは「わかりました」と言い、それをレミリアは納得してくれたのだと思い一安心した。

 

 「ならよかったわ、それじゃあさっさと自分の持ち場につきなさい」

 

 「いえ尚更フラン様に会いに行きたくなりました。会いに行く許可をください!」

 

 におの発言にレミリアはお前は一体何を言っているんだ?と言わんばかしの表情をして呆れ果ててた。

 

 「貴女...私の話し聞いていたの?」

 

 「聞いたからこそですよ、僕は2人がこのまま、すれ違うままで終わりたくありませんので」

 

 「いやだから...私は、貴女の為にも言っt」

 

 「僕を信じてください!」

 

 におは熱い眼差しをレミリアに向けた。その眼差しにレミリアは少し圧され言葉を詰まらせた。

 いくら説得しても意味がないと察したレミリアは「勝手にしなさいと」言い、におがフランに会いに行く許可を了承した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 地下図書館よりさらに奥深くにフランドール・スカーレットの部屋がある。

 フランの部屋に続く扉の前に咲夜とにおが立っていた。

 

 「ここがフラン様の部屋...」

 

 「そうよ...おそらく昨日の出来事でベッドの中でうずくまっていると思うけど」

 

 「あー...やっぱり落ち込んでいるんですね」

 

 におは苦笑いしながらそう言うと咲夜が難しそうな顔でにおを見つめていた。

 

 「...やっぱり行くのね」

 

 咲夜がそう聞くと、におは「はい!」と自信満々に答えた。

 

 「お嬢様の説得でも聞かないなら私ごときの説得なんて耳に入らないでしょうし」

 

 「な、なんか言葉に刺を感じるんですけど」

 

 「あら?そう聞こえるかしら」

 

 咲夜は何故か満面な笑みを見せて答えた。

 

 (お、怒ってる!?咲夜さん絶対怒ってるよ!)

 

 怒ってる咲夜にびくびくと怯えていると、咲夜はにおに背を向け地上へと上がり始めた。

 

 「あ....案内ありがとうございます!」

 

 フランの部屋を案内をしてくれた咲夜に、におは感謝を述べると、咲夜は階段上がりながら「幸運を祈るわ」と呟いた。

 におは「よしっ!」と自身を鼓舞しフランの部屋をノックし扉を開けて「失礼します」と言い部屋に入った。

 におはフランを探すために辺りを見渡していると咲夜の言うとおりベッドでうずくまっているフランを見つけた。

 フランはにおをチラッと見た。

 

 「...何しに来たの?」

 

 「フラン様と遊びに来ました!」

 

 「...そんなの頼んでないし」

 

 「?昨日遊んで欲しいとおっしゃっていたような気がしたのですが?」

 

 「そんなの知らない!」

 

 (うーん...だいぶ引きずってるー駄々をこねる子供みたい...かわいい!)

 

 におはニコニコしながらフランを眺めているとそれを見ていたフランは「何よ」と嫌気に聞くとにおは笑顔のまま「いえ何も?」と答えた。

 

 「ともかく出ていってよ、フランと居たら駄目なんだから」

 

 「どうしてですか?」

 

 「フランは直ぐに壊す...貴女もフラン近づいたら壊してしまうから」

 

 フラン体を震わせながらそう言った。

 

 「僕はそう簡単に壊れませんよ?だから安心してください」

 

 「壊れるに決まってる...昨日だってそれを危惧してお姉様はフランを叱ったんだから、お姉様の言う事は正しい...」

 

 フランはさらに塞ぎこんだ。

 

 「お姉様はフランなんかより、貴女が大切だかr」

 

 「そんな事ありません!」

 

 フランの自虐的発言に、思わずにおは否定した。

 するとフランはにおを腕の間から睨み「絶対そうだよ」と呟いた。

 

 「レミリア様はフラン様の事、心配されt」

 

 「嘘だ!そんなの嘘に決まってる!」

 

 フランはにおの言葉を信用しなかった。

 思わずフランは能力を使ってしまい近くにあったテーブルを壊してしまい、その破片が飛び散り、におに当たった。

 

 「あ...」

 

 フランは傷つけてしまったと思い同様した。

 

 「いいから早く出ていってよ!さもないと本当に壊しちゃうよ!」

 

 フランは右手から燃え盛る剣のような物をにおに突き立て警告した。

 におは最初は燃える剣に驚き後ずさったが、におはゆっくりとフランに近づいた。

 

 「っ!?だから近づかないでってば!本当に...壊すよ!」

 

 警告から脅しへと変わっても、それでもにおはゆっくりと歩みよった。

 

 「壊れないよ、僕は...フランの全てを受け止めるから」

 

 におの言葉に気を許したのかフランは剣を下ろした。

 

 (...信用してくれたのかな?)

 

 におはそのままフランに近づき頭を撫でようと手を伸ばした。

 

 「...やっぱり駄目!」

 

 ザシュッ

 

 肉が裂ける音が部屋に鳴り響いた。

 一瞬気を許しかけたフランだったが、それでもいけないと、思わず剣を振り上げた。

 その瞬間、誰かの右腕が地面に落ちた。落ちた衝撃でフランの顔に血が飛び付いた。

 におの右腕がフランの剣によって切れ落ちたのだ。

 

 「あ....え?」

 

 におの右肩から血が溢れだした...床はにおの血溜まりが広がりどんどん床が赤く染まりだした。

 

 「なん...また、フランは...壊s...お姉様に....叱られ...」

 

 その光景を見たフランは錯乱し初めた。

 

 「落ち着いてフラン様!」

 

 錯乱するフランをにおは呼び止めた。しかしフランはにおの呼び声に耳が入らず、次第に狂気に染まり始めた。

 

 (ま、まずい!このままだと本末転倒だ!...そうだ!)

 

 におはフランの気を向けてもらう為に大砲を出し空砲を打った。

 

 ドゴォン!!

 

 「!?」

 

 フランは大きな音に驚きにおに視線を向けた。

 

 「あ、あれ?」

 

 切れたはずの、におの右腕が何故かあり、フランは目を疑った。

 

 (な、何で腕が...もしかして幻覚でも見てたんじゃ...)

 

 フランはそっと自身の頬をさわった、幻覚を見ていたなら顔に飛び散った血がないのではと思ったからだ、しかしその予想は裏腹に、ぬるっと手がすべりフランの手のひらは真っ赤に染まっていた。

 よく見ると床の血溜まりもある事に気づいた。

 

 「幻覚じゃない...でも、何で腕が?フランがにおの腕を切ったはずなのに...」

 

 「僕の体は自己再生能力があってね。負傷したら瞬時に再生するんだ...そして僕から離れた一部は塵となって消える」

 

 しばらくするとフランの顔についた血や床の血溜まりは塵のようになり跡形も無くなかった。

 

 「...におって人間...なの?」

 

 フランの質問に対して、におは難しい顔をした。

 

 「うーん、人間と言えば人間だけど...僕は人工的に作られた人造人間(ホムンクルス)なんだ」

 

 「ホムン...クルス?」

 

 におはニコッと笑いながら歩みよりフランの頭を撫でた。

 

 「これでわかったくれたかな?僕は壊れないって」

 

 「本当に...壊れない?」

 

 「壊れないよ!...ちなみにだけど動力源のコアを傷つけても体以上の再生能力があるから安心して!」

 

 におは自信満々に話した。するとフランは目を輝かせながら「すごい!」と、はしゃいだ。

 

 「フランの力でも壊れない人間、初めて見た!ねぇねぇ遊んでくれるだったよね!」

 

 (きゃ、きゃわわ!やっべ!まじで可愛すぎない?)

 

 「そうだよーフランは何して遊びたいの?」

 

 におがそう質問したらフランは「昨日の!」と即答した。におは昨日の出来事を思いだし「もしかして弾幕ごっこ?」と聞いた。

 

 「うん!フラン、弾幕ごっこ大好き!におが強いって聞いてから戦いたいって思ってたから!」

 

 「いいですよ、だけどフラン様、いくらフラン様でも僕は手加減しませんよ」

 

 「フランこそ手加減しないから!におに絶対勝つ!」

 

 (負けず嫌いな所もレミリア様そっくりだなー姉妹揃ってかわいい!)

 

 フランはやる気に満ち溢れており、におはそれを見て鼻血を垂らしたが瞬時に拭き取りニコッと笑い、手をたたいた。すると背後から笛を咥えたホムンクルスが一体現れ2人の間に割って入ってきた。

 

 「わぁ!何これ?もしかしてこれもにおの力?」

 

 「そうだよホムンクルスちゃんて言うんだけどね、今からこの子が笛を鳴らすから、それが開始の合図だからね」

 

 「うん、わかった!」

 

 元気よく返事をしたフランはにおから少し離れ戦う体制をとった。

 におもそれを見て大砲と機関銃を出してホムンクルスに「お願いね」と呼び掛けた。

 ホムンクルスは頷き大きく息を吸い込み笛を大きく鳴らした。

 鳴らした同時にフランはスペルカード、におは大砲を構えた。

 

 「禁弾【スターボウブレイク】!」

 

 「大砲【46サンチ砲】...放てぇ!」

 

 2人の攻撃はぶつかり合いその激しい閃光が部屋中を包んだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 一方その頃...地上のコルセットでレミリアとパチュリーはお茶会をしていた。

 レミリアはティーカップを片手に持ちながらぼーとしていた。

 それに気づいたパチュリーは「どうしたの?」と聞くとレミリアは慌ててティーカップを口に付け「何でもないわよ」と答えた。

 

 「...あの子が気になるの?」

 

 「...」

 

 「訂正するわ、あの子達が気になるの?」

 

 「...別に気にしてなんか無いわ」

 

 あからさまに不機嫌になったレミリアにパチュリーは見透かしたように「ふっ」と鼻で笑った。

 それに対してレミリアは「ぐぬぬ」と唸り声をあげた。

 

 「ええ!心配よ!2人が心配で仕方ないわよ!悪い?」

 

 「そんなこと言ってないわよ...ただあからさますぎてね」

 

 ニヤニヤと笑うパチュリーを見てレミリアは赤面しながらそっぽを向いた。

 

 「...私も心配よ」

 

 「パチェも?意外ね」

 

 「意外って何よ...だけど今は信じるしかないわ」

 

 「そうね...」

 

 レミリアはため息をつきお茶を飲もうとしたが、中身が入って無いことに気付き咲夜を呼んだ。

 

 「...あれ?咲夜ー!」

 

 「...来ないわね」

 

 「おかしいわね案内をしに行っただけなのに...咲夜!」

 

 レミリアは再び呼び出しても咲夜は現れなかった。しかししばらくすると階段をかける音がしレミリアは「やっとか」と呟いた。

 扉が勢いよく開いた。

 

 「お嬢様!パチュリー様!ご無事ですか」

 

 そう言いながら現れたのは咲夜では無く美鈴だった。

 

 「美鈴!?何で貴方が...それにご無事でしたかってどういうことよ」

 

 「それが...」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 地下フランの部屋

 2人の弾幕ごっこは終ドローと言う形で終わった。

 

 「すごい!すごい!」

 

 フランはにおの武器をまじまじと見つめながらはしゃいでいた。

 

 「大砲、機関銃、魚雷!あとアンカーって言うのかな?全部すごい!」

 

 誉められて満更でもないにおはだらしない顔をしていた。

 

 「フランこんなにすごい武器初めて見た!」

 

 「そっか幻想郷にはこんな物は無いんだね」

 

 「におは外の世界からやってきたの?」

 

 フランの質問に、におは「そうだよ」と答えた。

 

 「1人で?仲間とかはいないの?」

 

 フランの質問に、におは苦笑いをしたわ。

 

 「いるよ、本当はみんなと幻想郷に来たんだけどはぐれちゃってね」

 

 「はぐれたんだったら何で見つけに行かないで、なんでここで働いているの?」

 

 フランの悪意の無い言葉がにおの心をえぐった。

 

 「んー...実は仲間を探している内に...ここにやってきて...暴走して物を...その....壊したり、迷惑をかけたりして借金を抱えて...返済するために働いていますー」

 

 におのもごもごとしゃべるとフランは大笑いした。

 

 「アハハハ!物を壊してみんなに迷惑をかけた!フランと同じじゃん!」

 

 「わ、笑わないでくださいよ!僕は真剣なんですよ!皆様に迷惑をかけたからお詫びにと思って」

 

 におは涙目になりながら訴えていた。

 するとフランはふと昨日のレミリアの顔を思い浮かび、笑顔だったのが暗い顔した。

 

 「...におも大切な人と離ればなれになるのはつらいの?」

 

 フランの急な質問に最初は戸惑ったが、におは「うん」と頷いた。フランは「そっか...」と呟いた。

 

 「...フラン様はレミリア様が大好き何ですか?」

 

 フランは頷いた。

 

 (あーどこまでもこの姉妹はそっくりだな...)

 

 「フラン...お姉様に馬鹿って言っちゃた...きっと嫌われたよね」

 

 フランは涙目になっていた。

 

 「そんなことありませんよ、先程も言いましたけど、レミリア様はフラン様の事を心配されていますよ」

 

 「...だけど、今回のできっと嫌われたに違いないよ」

 

 フランはうずくまりそう言った。

 

 「大丈夫です、嫌いになっていませんよ!もしあの事を後悔しているのなら謝ればいいんですよ」

 

 「だ、だけど...怖い...フラン怖いよ」

 

 フランは小刻みに震えだした。それを見てにおはフランの手をそっと握った。

 

 「僕が着いています!1人で怖いなら一瞬に謝りましょう、それなら怖くないですよ」

 

 におは優しく問いかけるとフランは顔をあげて小声で「うん」と頷いた。

 におはにこりと笑いフランの手を握りフランを立ち上がらせた。

 

 「それでは行きましょう!善は急げです」

 

 「うん...ありがとう、におのお陰で勇気が沸いたよ」

 

 「いえいえ、謝りたいと言う意志はフラン様自身、僕はただそれに付き添っただけですよ」

 

 におとフランは出入口へと向かい、におはドアノブを回し扉を開けた...

 

 

 その時におの鼻に強烈な臭いが突き刺さった。

 

 「っ!?」

 

 その匂いはまるで肉が腐り虫でも沸きだしそうなイメージを植え付けるような臭いだった。

 におはその臭いをよく知っている。

 

 (こ、これは死臭...人間の死体の臭いだっ!?)

 

 その瞬間、半開きだった扉は勢いよく開きにおはそれに引っ張られるような形となりフランの部屋から放り出された。

 におは横をチラッと見た。するとそこには人影があり、次第に人影ははっきりと映りその全貌を目の当たりにした。

 皮膚は青白く所々がカビのように真緑の斑点が浮かびあがり歯をむき出しにし、その口からは唾液のような物を垂らし、正気とは思えたない目付きをした大男がにおを睨んでいた。

 

 (な、なんだこいつ!?)

 

 「アガァアァ!」

 

 声帯が衰えているのか、うめき声に似た声をあげながらにおに襲いかかり、におの腕をつかみ噛みついた。

 

 「にお!?」

 

 「な、何するんですか!」

 

 しかしにおの体は鋼のように硬いため、におの腕を傷を負うことはなく、におはその大男を押し退けた。

 押し退けた先を見ると大男のような見た目をした男女合わせて7人程がぞろぞろこちらへと近づいていることに気づいた。

 

 (な、何こいつら...突然現れだして)

 

 「に、にお...こいつら一体?」

 

 「わからないです...生気が全く感じないし、それにこの臭い...まるで死体が歩いている」

 

 「それってゾンビ?」

 

 「そう...ですねゾンビとしか言い様が無いですね」

 

 「ァ...アア...」

 

 ゾンビ達はゆったりと2人に近づき初めていた、におはフランを背後に回し、左手から機関銃をゾンビに向けた。

 

 「これ以上近づくようであれば容赦なく撃ちますよ!」

 

 「アアア...ァァ」

 

 におの呼び掛けても、それでもゾンビ達は足を止める事は無かった。

 

 (くっやっぱり聞かないか...仕方ない、ここを乗り切る為にやむをe)

 

 「キャ!」

 

 その時だったにおの背後からフランの悲鳴が聞こえた。

 におはパッと振り替えった。フランの視線は床へと向いており、におも床を見ると地面から現れたのかフランの足をゾンビが掴んでいた。

 

 「アア..ア」

 

 「フラン様!?」

 

 「もう!なんなのよ!」

 

 フランは右手をゾンビに向けて能力を使い始めた。

 

 「きゅっとして...ドカァン!」

 

 フランは右手を何かを握る素振りをした。

 何も起こらなかった。

 

 「!?きゅとしてドカン!」

 

 フランは再び能力を使った。しかし何も起こらない。

 

 「アアアア」

 

 「な、何で!?何で壊れないの!」

 

 フランの危機に、におは機関銃をゾンビの額に直接当てた。

 「対空【九十六式25ミリ機銃】発火!」

 

 機関銃は激しく打ち出しゾンビの頭を粉々にした。

 

 「あ、ありがとうn!?にお後ろ!」

 

 フランがそう言うと、におは振り替えるとゾンビ達が目と鼻の先にいた。

 

 (し、しまった!?)

 

 ゾンビ達はにおの腕を掴みこちらへと引っ張りだした。

 におは抵抗して機関銃を鈍器のように振り回しゾンビの頭を打ち続けた。

 

 「こ、この!!」

 

 「きゃああ!」

 

 再度フランの悲鳴が聞こえた。におはフランに視線を向けると、先ほどの地面から現れたようにゾンビが無数に現れフランに寄ってたかっていた。

 

 「こっち来ないでよ!」

 

 フランはゾンビ達を足で蹴っていた。

 におは瞬時に機関銃を向けた。しかし直ぐに打たなかった。

 

 (だ、駄目だ!このまま撃てばフラン様に当たる!?)

 

 におは機関銃を下ろした。

 

 (このままじゃフラン様が!どうする?どう切り抜ける僕!)

 

 におは周りのゾンビを振り払いフランの元へ走った。

 しかし、また地面からゾンビが無数に現れ、におの前へと立ちふさがった。

 

 (ッ!ヤバい間に合わない、考えろ!考えるんだ僕!一体どうすれば!)

 

 「っ!...虹村ちゃん」

 

 におは思わず鮪麗の名前を呟いた。するとにおは「は!」と、あることを思い出した。

 

 (今まで何で忘れてたんだろう...これさえあればこの状況を打破できる!)

 

 「キモい...キモい...フランに近づかないで!」

 

 フランは抵抗していたが次第に疲れだし動きが鈍くなっていた。

 

 ガシッ

 

 「ひぃ!」

 

 ついにゾンビはフランの足を掴みフランを引き込もうとした。

 フランは必死にベッドを掴んでいた。

 

 「い、嫌...嫌だよ...咲夜、美鈴...パチュリー...お姉様」

 

 フランは家族の名前を呼び助けを求めた。しかしここにはその名の人物はいない...頼れるなのは...

 

 「助けてーにおッ!」

 

 バン!バン!バン!

 

 フランがにおの名前を叫んだ瞬間、破裂音が鳴り響いた。

 フランの足を掴んでいた。ゾンビの手は力が抜けフランは解放された。

 フランは何が何だかわからなかったが、におが助けてくれたと悟り「にお!」と叫び視線を向けた。

 案の定におが助けたが、しかしにおの両腕には大砲や機関銃とは違う武器を持っており、右は黒、左は白、銃ではあるが銃とは思えない程にそれは大きかった。

 ガシャンと音をならすと両銃から薬局がとびでゴーンど音を立て地面に落ちた。

 

 (す、すごい...におはまだあんな事ができるんだ!)

 

 それを見たフランは目を輝かせていた。

 

 「....バーチャルスキル【イラストレーション】」

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