オタメイト~幻想浪漫旅行~   作:まぐろ

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七話「紅魔館・後編」

 におのバーチャルスキル【イラストレーション】とは、描いた物を実体化させる能力である。

 何処にでも...何もない空間でも描く事が可能で再現度が高ければ高い程、その描いたものと同じ性能を得る事ができる。

 今回におが描いた銃は...

 

 白い方は 全長33.5cm 重量4kg 口径 454カスール装弾数7発 使用弾13mm爆裂徹甲弾 弾頭ランチェスター大聖堂の銀十字錫を溶かして使用した。454カスールカスタムオートマチック

 

 黒い方は...純銀マケドニウム加工水銀弾頭弾殻 マーベルス科学薬筒NNA9 全長39㎝ 重量16㎏ 13㎜炸裂徹鋼弾「ジャッカル」

 

 パーフェクトだ におッ!

 

 (なんか僕のスキルをバカにされたような気がする)

 

 におは得たいの知れない怒りを覚えながら襲いかかるゾンビ達に銃口を向け引き金を引いた。

 

 「アガァ!」

 

 「ウグァ!」

 

 「アベシッ!」

 

 におの銃により一掃されるゾンビ達であった。

しかしゾンビの数は凄まじく倒しても倒してもキリがなかった。

 

 「フラン様!お手数ですが僕の背中にしがみついてください」

 

 「わ、わかった」

 

 フランはにおの言うとおり背中にしがみついた。

 

 ふにっ

 

 (うっひょーフランたん柔らけぇ...)

 

 一瞬、邪な事を考えていたにおだったが「違う違う」と首を横に降る奇行を行動をとる、におにフランが「大丈夫?」と心配した。

 

 「お、お気になさらず!それよりもこのまま突っ走りますので、しっかり捕まっていてくださいね!」

 

 におがそういうとフランはぎゅっと掴み、におはゾンビの群へと突っ込んだ。

 

 「アアア...」

 

 向かってくるにおにゾンビ達は襲おうとした。

 

 バンッ!バンッ!バンッ!

 

 におは近づくゾンビの額を撃ち抜きながら進んでいた。

 部屋から出たにおは立ち塞がるゾンビを倒しながら階段を駆け上がった。

 

 (それにしても何処から涌き出てきてるんだろう...その涌き出てるポイントを潰さないと解決にならない...)

 

 そうしている内に、におは階段を登り終え図書館にたどり着いた。

 におは辺りを見渡した。

 

 (ゾンビはいない?良かったどうやらここは湧いてないみたいだね)

 

 ここはまだ湧いていないと思いにおは安堵した。

 

 (だけどまだ安心してる場合じゃない!階段を塞がないとゾンビ達が這い上がってくるにちがいない!)

 

 におは振り返り案の定と言わないばかしにゾンビ達が図書館へ侵入しようとしていた。

 におは銃をしまいペンを出しバーチャルスキルを発動した。

 におは大きな本棚を描き階段を塞いだ。

 

 「これでよし...」

 

 におがそういうとフランは背中から降りた。

 

 「にお...あれは一体何?」

 

 「僕にもわからないです...ただ見た目からしてゾンビの類いかと...」

 

 「におが道を塞いだからもう安心だよね?」

 

 フランがそう聞くとにおは難しい顔をして「いや...まだ安心したらダメだよ」と否定した。

 

 「図書館には、まだいないようですがそれは時間の問題です。とりあえず今は地上に出てレミリア様達と合流して事態の報告をしなければ」

 

 「そ、そんな...」

 

 フランはガクッと膝を着いた。

 

 (かわいそうに不安でいっぱいなのだろう...ここは僕が勇気付けないと!)

 

 「大丈夫です僕が付いていますので安心しt」

 

 におはフランを安心させようとしたがなぜかフランは「違う」と言った。

 におはその言葉の意味が分からず「何が違うのですか?」と聞いた。

 

 「におがいて安心はしてるよ?だけど変なんだ」

 

 「変?」

 

 フランは徐に手を出し近くにあった本に向け能力を使おうとした。

 しかし何も起こらない...

 

 「能力が使えないの...それに吸血鬼の力まで弱まっていて...まるで人間にでもなったかのような」

 

 (そう言えば確かにフラン様...全力で抵抗していたのにゾンビに傷一つ付けれてなかった...本来なら、とるに足らない存在)

 

 「フラン...におの邪魔になる、足手まといだよね」

 

 「!?」

 

 涙目になりながら言うフランに思わずにおは抱き締めた。

 

 「に、にお!?」

 

 「そんな事ありません...僕はフラン様がいて僕は助かっていますよ」

 

 「な、何で?」

 

 「実は僕...ああいう系の苦手なんですよ...もし1人だったら怖くて怯えていたに違いない...だからフランがいて僕は嬉しいよ」

 

 「そ、そうなの?」

 

 におはフランと顔を見合わせてニコッと笑った。

 

 「それに1人より2人の方が敵がいたら気づきやすいので越したことないです」

 

 「...うん、それもそうだよね!」

 

 フランは元気になった。するとにおは徐にペンで何かを書き始めた。

 

 「ですが力が出ないのは不便ですね...念のためにこれを持っていてください」

 

 におはフランに丸い何かを渡した。

 

 「これって?パイナップル?」

 

 「手榴弾です言わば爆弾です。もし何かあったら、このピンを抜いて放り投げてくださいね」

 

 フランは元気よく返事をし手榴弾を持っている手とは違う手でにおの手を握った。

 

 (おっひょーフランたんと手を握ったぞ!さいこーdだから違うッ!)

 

 愉悦に浸りそうになったが、邪の感情を振り払らい、におはフランを連れて駆け足で歩いた。

 するとフランは辺りをキョロキョロとして「パチュリーがいないね」と呟いた。

 

 「パチュリー様はレミリア様とお茶会をしているはずですね」

 

 「ふーん...小悪魔達も同席してるの?」

 

 「いいえ?小悪魔先輩や他のメイド達は作業しているは....ず」

 

 におはピタッと立ち止まった。

 

 (何で誰もいないの?)

 

 誰もいない図書館に疑問を抱いた瞬間だった。突如とにおとフランの鼻にあの刺激臭がした。フランは思わず鼻をつまんだ。

 

 「臭い!」

 

 (こ、この臭い...まさか!?)

 

 におは先ほど自信が塞いだ階段の方を振り向いた。

 本棚はガタガタと揺れていたがゾンビが抜け出している様子はなかった。

 

 (隙間から臭ってきたのかな?いずれにせよ早くここから離れないと)

 

 そんなことを考えていると、フランがにおの服を引っ張った。

 

 「ね、ねぇ...にお」

 

 「大丈夫ですよ階段からはゾンビは出てきていn」

 

 「ち、違う、あれ...何?」

 

 におは横目でフランが怯えた表情で階段の反対方向に指を差していた。

 におは嫌な予感がした。フランが指す方に目を向けた。

 そこにいたのは一匹の犬だった。

 

 「犬?」

 

 犬は2人の方へ走り出した。

 その姿は、皮膚は爛れ骨や肉、内臓がむき出しており、犬は歯を立て唾液をばらまきながら、まるで獲物を見つけたかのような眼光をしていた。

 

 「ヴァン!」

 

 「フラン様!僕から離れないでくださいね!」

 

 におはフランを背後に回し犬に銃を打った。

 

 ヒュン

 

 (か、躱した!?人形に比べてやっぱり素早いっ)

 

 におは乱射したがそれでも当たらず苦戦していた。

 

 (まずい...このままだと追い付かれる!こうなったら)

 

 におは乱射をやめて一点に集中した。

 

 (飛び付いてきた瞬間を狙う...)

 

 互いの距離が2メートルに充たなくなると犬はにおへ飛びかかり、におは引き金を引いた。

 

 バンッ!

 

 「キャイン!」

 

 断末魔と共に犬の頭がぶっ飛び、残った体は「グチャ」と生々しい音を立てながら地面に落ちた。

 におは倒した事に安堵し、ため息をついた...がそのつかむ間の事だった。

 

 「ヴァン!」

 

 あの鳴き声が聞こえた。

 「まだいるの!?」と言いながら鳴き声のする方に視線を向けた...やはりゾンビ犬がいた。

 におはまた倒さなくちゃいけないのかと嫌気をさしていた。

 しかしそんなにおに、更に追い討ちをかけるように2匹、3匹とゾロゾロと現れだし、しまいには10匹となり、2人を睨み付けていた。

 におとフランは唖然とし、犬達が一声に走り出した瞬間、におは「背中にしがみついてください!」とフランに呼び掛けフランはすかさずしがみつき、におは走り出した。

 

 「におどうするの!?」

 

 「とりあえず今は逃げながら打ちます!お手数ですが前方に障害物があるか確認してくれますか?」

 

 「うん、わかった!」

 

 におは後ろ向きになりながら打ち始めフランは前方を見つめた。

 

 「にお!5秒後右に曲がって」

 

 「わかりました」

 

 フランの言うとおり、におは右に曲がった。

 

 (曲がり角で出てくるタイミングを見計らったら何体か倒せるかも)

 

 そう思ったにおは敵の距離感とタイミングを見計らい構えた。

 

 (今だ!)

 

 におは銃を打ち、犬の頭が出てきたタイミングで銃弾が3匹に命中した。残党は前の仲間が倒れて走る速度を緩んだ事により外してしまった。

 

 (あと7匹...)

 

 「次は10秒後左だよ」

 

 におは左に曲がろうとした時だった、4匹が別の方向へ曲がるのが見えた。

 

 (ふた手にわかれた!?挟み撃ちするわけね...だったら)

 

 におは何かを思いつきフランの指示とは関係無しに右折した。

 

 「にお急にどうしたの?」

 

 「一網打尽にする策です。フラン様物音を立てないように」

 

 「う、うん」

 

 におは通路をジグザグに動き回り犬達を錯乱させた。

 そしてしばらくし、ふた手に別れていた犬達は合流して互いに辺りをキョロキョロとし始め、2人を探し始めた。

 

 「僕たちはここだよ」

 

 犬達は声がする方を見た...におは真上で待ち伏せていた。

 におは犬達に弾丸の雨をお見舞いさせ、その場にいた犬達を仕留めた。

 

 「ふぅ何とかうまくいった...」

 

 「におの作戦通りだね。におがいれば怖いもの無しだよ!」

 

 

 「これ以上増えたら流石の僕でも辛いかな、なんて...あれ?」

 

 におは6体の、犬の死体を見て違和感を覚えた。

 ...1匹足りない

 

 「ヴァンッ!」

 

 「っ!?」

 

 におが足りない事に気づいた時だった。犬の残当が背後から現れたのだ...待ち伏せていたのは、におだけではなかった。

 犬はにおではなくフランに襲いかかろうとしていた。本能的なのか、におは敵わないとわかってなのか、フランを標的にした。

 

 (しまった!)

 

 「ひ、ひぃ」

 

 犬の牙がフランの肩に触れそうになり絶体絶命だった...その瞬間だった。

 

 ヒュンッ ザジュッ

 

 「キャイン!」

 

 犬の頭部にナイフが刺さり、犬はその場で倒れ混み絶命した。

 そのナイフに見覚えがある2人はナイフが飛んできた上の方向に目線が行き、咲夜が本棚の上で立っていた。

 

 「ご無事ですか!妹様、にお」

 

 「咲夜さん!?」

 

 「咲夜!」

 

 2人は驚きと同時に喜びに溢れていた。

 

 「咲夜さん、どうしてここに?」

 

 「説明はあとよ!2人とも早く登って」

 

 「一体どういうk」

 

 におがそう言い掛けた瞬間、人形ゾンビのうめき声が聞こえ、その方向を見ると人形がぞろぞろと涌き出ていた。

 

 「そういう事よ」

 

 状況を理解したにおはフランに、背中に乗るように伝えフランが背中にしがみつき、におは本棚をよじ登り人形が来る前に咲夜の元へ着いた。

 たどり着くや否やフランは咲夜にかけより抱きしめた。

 

 「助けくれてありがとう咲夜」

 

 「おふっ...いえいえいえ大したことは無いですよ...妹様がご無事でぐへへ」

 

 だらしない顔をする咲夜に親近感を抱くにおだった。

 

 「咲夜さん助けていただきありがとうございます」

 

 におが感謝を述べるとだらしない顔をしていた咲夜は我に戻りキリッとした表情になった。

 

 「におも無事で良かったわ、その様子だと地下にも奴らが現れたのね」

 

 にお達の状況を把握しているような素振りな咲夜に、におが「もしかして地上にも?」と質問すると頷いた。

 

 「突然だったわ...奴が現れてからゾンビが至るところから現れたのは」

 

 「奴が現れた...一体どんなのが」

 

 「一言で言うと化物よ...図体はデカく手は鋭利な爪を持っている...正直言って今の私達では到底敵わないわ」

 

 「そいつが元凶でしょうか?」

 

 「おそらくね。ゾンビだけじゃなくて力も出せなくなって、私はともかくお嬢様達まで、まるで人間見たいに非力になって」

 

 どうやら能力を使えないの全員にも影響があったのだとわかり「フランだけじゃないんだ」と呟いた。

 

  「お嬢様ったら危険だから避難したのに、力が出せないとわかっていても、取り残されたフラン様を探そうと館内に乗り込もうとするから困ったものよ」

 

 「お姉さまが!?」

 

 フランは目を見開かせて驚いた。

 

 「どうにかパチュリー様と美鈴が止めているんだけど...あれは時間の問題ね」

 

 フランはレミリアが自身の事を心配していると知ると思わず頬が緩みニヤニヤとしていた。

 そんなフランをにおと咲夜は心の中で(かわいい)と呟いた。

 

 「避難しているって事は、みんなは無事何ですか?」

 

 「何とか全員無事よ、あとは貴女達だけ」

 

 におは無事だと知り安堵の表情を見せた。

 

 「どうやらこの事態は館内だけみたいよ」

 

 「それはつまり外に出たら力は戻ると」

 

 すると咲夜の話を聞いてフランが「におだけ何で能力が使えるの?」と疑問に思い言った。

 

 「貴女使えるの!?」

 

 「話しを聞く限りそのようですね...」

 

 におは咲夜に大砲を出す所を見せた。

 

 「本当に使える...一体どうしてかしら?」

 

 「僕が外の世界から来たからでしょうか?敵は僕の事を知らないとか」

 

 「可能性は大ね...貴女がいてくれる事で解決の糸が見えるわ」

 

 「その元凶さえ倒せばいいんですね」

 

 「そういう事よ、とりあえず今はここから脱出しましょう。妹様は私が抱えるから、におは道を切り開いてもらえるかしら?」

 

 咲夜はフランを抱え立ち上がり、におも同様に立ち上がった。

 

 「悪いわね一緒にゾンビを倒したいのは山々だけど、力が出せないからナイフに限りがあるのよ」

 

 「それはまずいですね...ちょっと待ってくださいね」

 

 におはペンで小型のナイフを数本と中型のナイフを2本ほど描き咲夜に渡した。

 咲夜は唖然とした。

 

 「貴女...そんな事もできるの?」

 

 「あ、そうなんですよ...バーチャルスキル【イラストレーション】って言って実は使えるって事を忘れていて」

 

 におは「あはは」と苦笑いをし咲夜はやれやれと言わんばかしに呆れた顔をしていた。

 

 「ともかく武器の補助ができて良かったわ、サポートするから行くわよ」

 

 咲夜はナイフを構えそう言い、におは2丁の銃を持ち「わかりました!」と答え地上へ走りだした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 地上へたどり着いた3人は廊下の角でゾンビ達の様子を伺っていた。

 

 「アア...」

 

 「地下ほどではないですがやっぱり沢山いますね」

 

 「奴がいないのが好都合ね...今の内に出口へ向かうわよ」

 

 におと咲夜はアイコンタクトをとり、におが先に出て銃を撃ちながら走った。

 それに続いて咲夜もフランを抱え走り出した。

 フランは抱えられながら浮かない顔をしていた。それに気づいた咲夜は「大丈夫ですよすぐに安全な場所につれて行きますので」とフランを元気付けたが、それでも浮かない顔をしていた。

 

 (...これじゃあフランお荷物じゃん)

 

 一方におは次々と敵を倒しながら進み、出入口付近まで近づいていた。

 

 (あそこを曲がれば出口だ、フラン様を安全な場所へ連れていける)

 

 そう思いながらにおは角を曲がった。するとにおの視界に大きな人影が現れ、におは咄嗟に見上げて銃を向けた。

 

 「なっ!?」

 

 におは目を疑った。その人影の姿は3メートル程もあり異常発達した右手の馬上槍のような鋭い爪に赤い心臓のようなに脈打つ物が外部に露出しており他のゾンビ同様に皮膚の腐敗が進んでおり脊椎までもが露出している化物がいた。咲夜が言っていた元凶はこれに間違いないが、それよりもにおは別の事で同様していた。

 

 (なんで...タイラントが!?)

 

 毎度お馴染みの反応、まさしくこの化物は、におは知っている。

 その一瞬の戸惑いが仇となりタイラントは爪を振りかざし反応が遅れたにおは、もろに受けてしまい吹き飛ばされた。

 

 「がはっ!」

 

 「にお...!?」

 

 吹き飛ばされ壁に激突しその場で倒れこんだにおに咲夜は助けようとしたが曲がり角から出てきたタイラントを見て後ずさった。

 

 (くっ...油断した。タイラントがいる理由を考えている暇なんかないっ!今はこいつを倒して事態を解決しないと!)

 

 タイラントはトドメを刺そうとにおにゆっくりと近づき、におは反撃しようと右手から大砲を出そうとした。

 

 「大砲【46サンチ砲】...あれ?」

 

 におの手からは大砲は現れなかった。更に、におの頭部から治が流れだし体の痛みが癒えない事に気がついた。

 

 (ち、力が使えない!?)

 

 におはみんな同様ただの人間の体になっていたのだった。

 咲夜はその事に気付き助けようと一歩足を出したがそれ以上進めなかった。

 恐怖していた...能力が使えない以上あの恐ろしい怪物に近づくのは自殺行為だと理解していたからだ。

 

 「咲夜!このままじゃ、におが!におが死んじゃうよ!」

 

 フランもにおの危機を理解して咲夜にそう呼び掛けた。

 

 「っ...」

 

 咲夜もわかっている。だがそれでも体は動かず本能的に拒絶しているのだ。

 におはバッと立ち上がり2人に「僕の事は構わず脱出してください!」と叫んだ。

 

 「そんな事出来ないわ!」

 

 「僕が引き付けている今がチャンスなんです!だから早く!」

 

 「だとしても、お嬢様はこんなことは望んでいないわ!」

 

 「レミリア様の従者であれば、フラン様の安全が最優先です!」

 

 咲夜は「違う」と言いかけたが、におの言い分が正しいと思ってしまい言葉を濁らした...そんな2人の会話を聞いていたフランは顔を青ざめていた。

 

 (そ、そんなせっかく仲良くなれたのに...フランの事を受け入れてくれたのに...)

 

 「そんな事言わないで一緒に脱出しようよ!」

 

 フランは泣きながら、におにそう叫んだ、するとにおはフランの方に振り向き微笑んだ。

 

 「レミリア様と仲直りしてくださいね」

 

 (ど、どうしようこのままじゃにおがっ...助けたいけど、今のフランじゃ何も...)

 

 フランはどうしても助けたいと思うばかりだった。しかし能力は使えず、無力な自身に絶望していた。

 

 ...手榴弾を使えば?

 

 「!?」

 

 フランの脳内で何処からともなく声が聞こえた。それは幻聴なのか誰かが語りかけたのか定かではないが、フランは手榴弾を手にとった。

 

 ...もし何かあったら、このピンを抜いて放り投げてくださいね。

 

 フランは手榴弾のピンを抜きタイラントの方へ投げた。

 

 (あ、あれは僕がフラン様に渡した手榴弾!?)

 

 手榴弾はそのまま弧を描きタイラントの目の前に来た瞬間に...

 

 ドカーン!!

 

 手榴弾は爆発し、タイラントはダメージを受けたのか悶絶しながら後ずさった。

 

 「妹様!?一体何を投げたのですか?」

 

 「におからもらった爆弾、それよりもにおを救出するのが先!」

 

 「か、かしこまりました」

 

 フランに言われるがまま、咲夜はにおの元へかけよりフランは咲夜から降りて負傷したにおを2人で抱えた。

 

 「何してるんですか!僕を置いて脱出してくださいよ!」

 

 「嫌だ!におも一緒に脱出するの!におと一緒じゃなきゃ嫌だ!」

 

 「わがままを言わないでください、フラン様はレミリア様に謝って仲良くしなくてはいけないんです!」

 

 におの言葉にフランは頬を膨らませ「嘘つき!」と怒鳴った。

 

 「せっかく仲良くなれたのに、さよならなんて嫌だよ!一緒に謝ってくれるって言ったじゃん!におの嘘つき!」

 

 「そ、それは...」

 

 

 「フランじゃあ足手まといかもしれないけど...一緒にあいつを倒そうよ!」

 

 フランの説得に、におは心が揺らいでしまい咲夜に説得してもらおうとチラッと見たが、咲夜は首を横に振った。

 

 「私は紅魔館の主、レミリア・スカーレットの従者...つまりお嬢様の妹であるフラン様も私の主...主の命令は絶対ですわ」

 

 「さ、咲夜さん...」

 

 「というのは建前で私も貴女を失いたくないわ...必ずみんな無事に脱出するわよ」

 

 咲夜は優しく問いかけた、におは2人の自身を思いやる気持ちに負け涙目になりながら頷いた。

 そして3人はタイラントから離れ一次離脱した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 離脱した3人はタイラントから離れた部屋へと逃げ込みにおの手当をしていた。

 

 「これでよし」

 

 「すみませんお手数をかけました」

 

 「別にいいわよ...そもそも貴女に頼りっぱなしの私が悪いんだから」

 

 咲夜はにおに「気にしないでいいわよ」と慰めたが、それでも自分に非があると落ち込んでいるとフランが「におは頑張ったよ」と満面な笑みで言い、におは少し気が楽になり「ふふっ」と笑った。

 

 「とは言えど...あの化物どうやって倒すべきかしら」

 

 離脱したものの策がないので、におと咲夜は頭を捻らしていた。

 

 「フランが投げた爆弾は?」

 

 フランがそう言うと咲夜が思い出したように「確かに効果はありましたわね」と呟いた。

 

 「にお、その爆弾って言うのまだあるかしら?」

 

 「残念ながらフラン様に渡した一つだけです...もっと作っておけば良かったです」

 

 におは残念そうにしているとフランが「やっぱり力出ないの?」と質問し、におは首を横に振り出来ない事を主張した。

 

 「武器を出そうにも出ないですし、再生も機能してないから、使えないですね」

 

 (再生能力まであるの?どれだけ多才なのよ、この子)

 

 「バーチャルスキルも使えn」

 

 におは右手を出し描く為のペンを出そうとするとパッとペンが現れた。

 予期せぬ事態に、におは驚き他の2人も同様に驚いた。

 におは恐る恐るペンで描くとたちまちに実体化し手榴弾が現れた。咲夜が戸惑いながらにおに「え...それ使えるの?」と訪ねるとにおは目を見開かせながら頷いた。

 

 (え...何でバーチャルスキルが使えるの?僕自身の力は使えないのに...待ってよ、そもそも何でタイラントが幻想郷にいる事態がおかしい、まるでバグ...もしかしてこうなったのて、僕達のせい?)

 

 この事態の要因に気づいたにおは更にみんなと離ればなれになった理由もそれだとわかり頭を抱えた。

 するとフランが「どうしたのにお?頭の傷が痛むの?」と優しく気遣った。

 フランの優しい気遣いがさらに、におの心をえぐり申し訳なさで頭がいっぱいになった。

 

 (ああああ!!絶対バーチャルスキルが原因じゃん!多分さっきまで僕だけが力を出せたのはバーチャルスキルのお陰だからに違いないじゃん!全部僕のせいじゃん!)

 

 次第にその感情は怒りへと代わり、におは決意した。

 

 (この怒りッ!タイラントにぶつける!)

 

 におは徐に武器を描き始め、咲夜の方を振り向いた。

 

 「咲夜さん、お願いがあるのですが!」

 

 「ええ、何かしら?」

 

 (僕達が要因だから凄く頼みにくいけど...多分1人でしようとすると2人の事だから絶対に怒るよね)

 

 「ねぇねぇ!フランは?フランは何したらいいの!」

 

 (む、無邪気な眼差しがッ!フラン様の眼差しが僕には痛いッ!)

 

 目を輝かせながら言うフランを見てにおは更に罪悪感が増した。

 

 「...ふ、フラン様にはある重要任務がありますので部屋に留まっていてください」

 

 「私は一体何をすればいいのかしら?」

 

 「荷が重いかもしれないですが囮になってもらおうかと...この中で1番俊敏な咲夜さんだと思うので」

 

 「確かにそうね、それで?囮になったら次は?」

 

 「はい、まずあいつを...」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 紅魔館内の廊...一体のゾンビが何者かにより吹き飛ばされ壁に激突した。衝撃によりゾンビの体はぐちゃぐちゃになり血や肉片等が辺りに飛び散った。

 吹き飛ばしたであろう者はズシズシと音を立てながら歩き辺りを見回していた...

 

 「ウグァァ...」

 

 その化物の回りにはゾンビ等の人影は一切なく怪物が殺し尽くしたのであろう...怪物は新たな獲物を探すために足を動かした。

 

 ヒュンッ ザシュッ

 

 怪物の背中にナイフが突き刺さった。

 怪物はナイフが飛んできた方向に目を向けると離れた場所に咲夜が立っていた。

 

 「確か...貴様の名前はタイラントって言うのかしら?暴れまわった責任...とってもらうわ!」

 

 咲夜は再度ナイフを投げタイラントの剥き出しの心臓に命中させタイラントは怯んだ。

 

 「ウガァァァ!」

 

 タイラントは雄叫びを上げて咲夜を標的にして走り出した。咲夜も走り出し一定の距離を保ちながらナイフを投げた。

 ナイフは刺さりタイラントは刺さったナイフを引き抜き、そのナイフを咲夜に向けて投げた。

 

 「!?」

 

 ナイフは物凄い速度で咲夜の真横を通り、ドゴォン!と凄まじい音を立てながら柱にぶつかった。

 やがて柱は崩れ落ちその原型を無くした。

 

 (かすりでもしても即終了ね、ナイフを投げても奴にとっての攻撃でもあるからリスクが高いわね)

 

 咲夜はナイフを仕舞いおびき寄せる事に専念した。

 

 ドゴォン!

 

 すると突然大きな音が背後から鳴り響き咲夜は振り返った。

 

 「い、いない!?」

 

 突如とタイラントの姿が失い咲夜は足を止め辺りを見渡した。

 

 (壁を突き破って何処に消えた...目ではわからない、音を頼るしかないわね)

 

 咲夜は耳をすましタイラントの居場所を探った...

 

 (立ち止まるのは危険だけど...奴を見失う訳にいかないわ)

 

 咲夜は集中して辺りを探った。すると遠くの方から何かが壊れていく音がすることに気付き音がなる場所を探っ。

 音はどんどん近づいていることに気がついた咲夜は手榴弾を取り出した。

 

 (出てきたタイミングでこいつを食らわせてあげるわ)

 

 咲夜は耳をすまして音がする方向を探った。

 

 (右、左?正面?後ろ...いやッ!)

 

 咲夜は視線を上に向けた。すると天井にヒビが入り、やがて崩壊するとタイラントが落ちてき、爪を咲夜に振りかざした。

 咲夜は間一髪に躱し手榴弾のピンを外しタイラントに向けて投げた。

 

 ドゴォン!!

 

 タイラントはもろに爆発を受け膝を地面に着けた。

 その隙に咲夜は体制を整え、タイラントとの距離を確保した。

 

 (何とか乗りきったわね...にしてもあの爆発を受けて、なおまだ生きているあいつ、どんだけタフなのよ!)

 

 そうしている内にタイラントは立ち上がり再び咲夜を追い始め、咲夜も同様に走りだした。

 

 (さて...もうすぐ着くわね)

 

 しばらくして咲夜はある部屋の前で立

 ち止まりタイラントが来ている事を確認し部屋の中へ入った。

 タイラントはそれに釣られ部屋に入ろうとした...するとタイラントの目の前にピンの取れた手榴弾が現れ爆発した。

 タイラントはダメージを受けた事により雄叫びを上げようと口を開けようとしたらタイラントに口にガボッと何かががっちりとはまった。

 タイラントの口には榴弾がはまっており、手榴弾が飛んできたであろう方に視線を向けると抜けたピンを持ったフランがいた。

 

 「フランのお家をめちゃくちゃにした罰だ!」

 

 フランがそう言った瞬間、手榴弾は爆発しタイラントは背中から倒れ悶え苦しんだ。

 

 「えーあれでも生きてるなんて信じられない!」

 

 「ですが奴にも限界があるはずですわ...」

 

 爆発による煙幕の中タイラントはバッと起き上がり2人を襲おうとした。

 

 すると咲夜がフランを抱えて左によると、地面に固定した口径20ミリ砲身が6本もあるM61 バルカンとスイッチを持ったにおがタイラントを睨んでいた。

 

 「これでも食らいなさい!」

 

 におはスイッチを押し砲身は回りだしバルカンを起動させ、銃弾の雨をタイラントに浴びせた。

 

 「ウゴォアアアア!!」

 

 バルカンの威力によりタイラントは後退り次第に壁へと追いやられていき、壁に張り付くような体制になった。

 やがてバルカンの弾数は少なくなり、回転の速度も落ちていった。

 タイラントは両手を失い足はボロボロで生きているのが難しい程の状態になっているがそれでも起き上がろうとしていた。

 におはバルカンのスイッチを手放し手榴弾を取り出した。「これでトドメです」と言いながらピンを外しタイラントへ投げた。

 

 ドカーン!!

 

 紅魔館中に爆音が鳴り響いた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 一方、紅魔館外...館内に入ろうとするレミリアとそれを必死に止めようとするパチュリーと美鈴が交戦していた。

 パチュリーは魔法で出した鎖で、レミリアの胴体を掴み美鈴も鎖を掴み引っ張っていた。

 

 「えぇい!いい加減離せッ!」

 

 「駄目ですよお嬢様ッ!危ないですよ!」

 

 「中では力が使えないのは貴女も知っているでしょ!」

 

 「尚更フランが危ないじゃない!フランはまだ地下にいるのよ!行かないわけないでしょ!」

 

 レミリアは足を一歩一歩と進みパチュリーと美鈴はじわじわと引きずられていた。

 

 「友人を易々と危険な場所に行かせるものかッ!」

 

 「そうですよ!それに咲夜さんが救助に行ってるので大丈夫ですって!におさんも中にいるんですから2人を信じましょうよ!」

 

 「だからと言って、ぐーたらと待っていられるかッ!」

 

 それを見ていた小悪魔と下働きのみんな(いつまでこのやり取りをするんだ)と内心思った。

 その時だった...門がひとりでに開き、交戦していた3人は敵が出てきたのかと思い戦闘体制に入った。

 門は完全に開き、中から出てきたのは服等がボロボロになった。におと咲夜、そして...フランだった。

 

 「フランッ!」

 

 「お姉様!」

 

 2人は歩み寄ろうとしたが昨日の事がちらつき思わず足を止めた。

 するとフランがにおの顔をチラッと見てにおは(なんだろう?)と一瞬思ったが昨日の事を思いだしガッツポーズをとり「大丈夫ですよ..」と優しく言った。

 フランは最初はもじもじとしていたが決心しレミリアと顔を見合わせ頭を下げた。

 

 「昨日は、わがままを言ってごめんなさい!」

 

 レミリアは目を見開かせて驚いた。するとレミリアは顔を赤くしながら恥ずかしげに「私も言いすぎたわ...ごめんなさい」て謝り、フランの元へ歩より抱きしめた。

 

 「無事で良かったわ」

 

 「お姉様っ...怖かったよ~」

 

 フランは泣きじゃくり、レミリアの目にも涙が浮かんだ。

 その場にいた者達は感動で涙する者や嬉しさではしゃぐ者や...

 

 「うへへ...かわいい者の抱きしめあいは良いものですね咲夜さん」

 

 「まったく...最高よ!!」

 

 ヨダレと鼻血を滴しながらニヤニヤする変態どもがいた。

 しばらくしてフランは泣き止みレミリアが「落ち着いた?」と聞きフランは頷いた。

 2人は抱き合うのをやめ少し距離をとり手を繋いだ。

 レミリアは、におと咲夜の方を向いた。

 

 「にお、咲夜、フランを助けてくれた事、礼を言うわ、ありがとう」

 

 「もったいないお言葉です。主の命に従うのが従者の勤めです...それに私はたいしたことはしていません...フラン様を護衛しここまでこれたのは、におのおかげです」

 

 するとフランが「そうなんだよお姉様!」と同じた。

 

 「そう...にお改めて礼を言うわ、ありがとう」

 

 「い、いえ僕は別に」

 

 「それにねお姉様!におのおかげで化物を退治できたんだよ!」

 

 「化物って...まさか!?」

 

 「はい、この騒動の元凶と思わしき奴です。撃退したら塵のように跡形も無くなり、他のゾンビ達も同様に消えました」

 

 「あいつか...私直々に成敗してやりたかったけど...と言うよりどうやって倒したのよ」

 

 「あのね!それもにおのおかげなの、におだけ力が使えてね!あ、でも途中で使えなくなったりしたけど、それでね」

 

 フランは館内で起きた出来事をウキウキした表情でレミリアに語った。

 におの無双、咲夜が窮地を救った事、自身がにおを助け、タイラントを撃破した事を、嬉しげに語るフランにレミリアはやさしい表情で話を聞き、パチュリーや美鈴、小悪魔はその話しに興味津々に聞き、下働きの全員もその話しを聞き、先ほどまで不安や恐怖で包まれた空気が一変し、穏やかで楽しい雰囲気で溢れていた。

 

 「ふふ...事態も解決しお嬢様達も仲直りできて良かったわね...全て貴女のお陰よにお...にお?」

 

 咲夜はそう言いにおの方振り向くと、におは険しい顔をしていた。

 

 「...こうしてあの化物を倒したの!」

 

 フランの話しが終わった途端、周りは歓声の嵐に包まれた。興奮する者が多くなりお祭り状態になりそうになっていた。するとレミリアが手を叩き、その場を沈めた。

 

 「宴会するのは後よ、奴らにめちゃくちゃにされた館内の後片付けが先よ、手分けして片付けるわよ」

 

 レミリアがそういうと下働きの者達は渋々と片付けをしに行った。

 

 「におと咲夜は先の戦闘で疲れているだろうから、しばらく休憩よ宴会の時はご馳走は作ってもらうけど」

 

 「...あ、はい、かしこまりました」

 

 咲夜は応じたが、におは黙りこんでいた。レミリアは「どうしたの?」と心配で聞いた。

 

 「...後片付けは僕が責任を持ってしますのでみなさんは何もしなくていいですよ」

 

 レミリアはにおが言っている意味がわからなかった。

 

 「何を言っているの?貴女は事態を解決してくれたのだから責任を感じる事は無いわよ、今はゆっくりと休みなさい」

 

 「いえ...既に僕のホムンクルスちゃん達が片付けをしています。ですから何もしなくていいですよ」

 

 レミリアはにおの行動に不振を抱いた。そして何かを察したレミリアは「何があった?」と聞いた。

 におは口を噛み締め、覚悟を決めたような表情でレミリアを見つめた。

 

 「レミリア様...今回の事態は、僕...僕達のせいなんです」

 

 におの告白にみんなは驚いた。

 レミリアは最初は驚いたが頭を整理をして冷静に「どういう意味?」とにおに聞いた。

 におは話した。自身が来た世界の事と仲間とはぐれた事、バーチャルスキルの事、バーチャルスキルによってタイラントが現れた事を話した。

 その場にいた全員は驚愕しフランは何が何だかわからなかった。

 

 「...なるほどね、そう言われてみればにおの言っていることがわかったわ」

 

 「はい、ですのでこれ以上皆さんに迷惑をかけたく無いので...僕はここから出ていきます」

 

 レミリアは数秒間、沈黙した。そして「わかったわ...」とにおの意見を採用した。

 

 「え!?...待ってよお姉様!におは悪くないよ!におはフランを、紅魔館を救ってくれたんだよ!」

 

 フランは涙目になりながら訴えた。しかしレミリアは意見曲げる気はなかった。

 

 「その発端を作ったのはバーチャルスキルと言うやらよ、つまりバーチャルスキルを持つにおが原因...出ていって当然よ」

 

 「そ、そんな...」

 

 「ご迷惑をおかけしました。一週間...お世話になりました」

 におは頭を下げ、その場を立ち去ろうとした。一刻も早くこの場から離れるために、するとにおは誰かに引っ張られる感覚に襲われ振り返るとフランがにおの手を引っ張っていた。

 

 「嫌だ!嫌だよ!におと離れたくないよ!」

 

 「...僕も離れたくは無いです...だけど仕方が無いんですよ、僕がいればフラン様やレミリア様、皆さんの迷惑になるので」

 

 「で、でも...」

 

 フランも内心はわかっていた...わがままを言ってはいけないと、それでもフランはにおと一緒にいたい意志が強く、中々に手を放せなかった。

 

 「せっかく仲良くなれたのに...こんな別れ方嫌だよ!」

 

 フランは涙を流しながらにおを訴えた。におも涙を浮かべながら「フラン様...」と呟いた。

 するとレミリアがフランをぐいっと引っ張り、におから引き剥がした。

 

 「はいはい、そうやって引っ付いていると、におが困るでしょ」

 

 「何するの!このままじゃにおが行っちゃう!」

 

 「わがままを言わない!ちょっとの間だけ離ればなれになるぐらいでダダをこねないの!」

 

 「やだやだやだやだ!離れたk...え?」

 

 レミリアの言葉にフランはきょとんとした。におも他のみんなも同じくきょとんとし、そんな全員にたいしてレミリアは「ん?どうしたのみんな?」と不思議そうに聞いた。

 

 「いや...あの....レミリア様...今なんて言いました?」

 

 「え...どうしたのみんな?」

 「いやその前です」

 

 「...ちょっとの間、離ればなれなるぐらいで駄々をこねない?」

 

 「え?」

 

 「え?」

 

 ますます訳がわからなくなったにおは、思わず「僕の話しを聞いていました?」とレミリアに質問した。

 

 「聞いていたわよ?バーチャルスキルがあるからこんな事態が発生したのでしょ?」

 

 「は、はい...ですから僕はここから出て行くと」

 

 「仲間達と合流して元の世界に帰る。合ってるでしょ?」

 

 「あ...はい...あれ?」

 

 におは混乱した。話が合ってるのにまるで通じていないような感じがしていたからだ。

 

 「...まさかと思うけど貴女、元の世界に帰ったら戻ってこないつもりかしら?」

 

 「そ、そうですが?」

 

 におはキョトンとした顔でそう言うとレミリアは直ぐ様グングニルを取り出しにおの頭をしばいた。

 

 「なーに勘違いしてるのよ!事態の解決は解決で、借金はチャラにしたつもりは無いわよ!元の世界に逃げてもそうはいかないわ!一旦帰ったら直ぐに戻ってきて働いてもらうんだから!」

 

 「やっぱり僕の話し聞いていないじゃないですか!僕がいたら駄目なんです!皆さんに迷惑がかかるから」

 

 「それはバーチャルスキルが付属しているからでしょ?外せばいいじゃない?」

 

 「それは...そうですが」

 

 思いがけないレミリアの反応に、におは困惑し「許してくれるんですか?」と思わず聞いた。

 

 「許すつもりは無いわ、私としては今すぐにでも出ていってもらいたいわ」

 

 「だったらっ!」

 

 「2度と顔を出すなとは言ってないわ、ちゃんと事態を解決したら戻って来なさい」

 

 「っ!?」

 

 「におは...また紅魔館に戻ってきて良いってこと?」

 

 「当たり前よ...におは私の使用人なんだから」

 

 フランは喜びはしゃいだ、レミリアは優しく微笑んだ。

 

 「できる限り早く解決しなさい、かかりすぎたらフランが暴れるかもしれないからね」

 

 「暴れないよ!ちょっとおとなしく待ってるから」

 

 におは涙を浮かばせながら「本当によろしいんですか?」と聞いた。

 

 「くどいわね。主が良いと言ったのだから、素直に喜びなさい」

 

 「っ~ありがとうございます」

 

 におは深く頭を下げた。

 するとレミリアは何かを思いつき咲夜を呼んだ、咲夜はすかさずレミリアの側に近寄った。

 

 「におがとんずらしないように監視とついでにサポートをしなさい」

 

 レミリアがそう言うと咲夜は微笑み「かしこまりました」と名を受けた。

 

 「そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ」

 

 「効率のためよ、人数が多い方が早くできるでしょ?」

 

 「確かにそうですが...」

 

 「わかったなら、さっさと行きなさい」

 

 レミリアは手であしらうような素振りをして館へと戻ろうと歩きだした。

 

 「早く仲間が見つかるといいですね」

 

 「美鈴さん...」

 

 「幸運を祈るわ」

 

 「頑張ってくださいね」

 

 「パチュリー様、小悪魔先輩っ」

 

 紅魔館組が労いの言葉をかけたのち何人かの下働きの者達も会釈をしてレミリアについて行った。

 最後に残っていたフランはにおを抱きしめた。

 

 「待ってるからね。次に来たときはお仲間さんも連れてきてね」

 

 無邪気に笑うフランに、におは笑顔で答えると、フランは満足しにおから離れレミリアの方へと向かった。

 

 「さて、まずは人里で情報収集よ、もしかしたら仲間もそこにいるかもしれないし、行くわよ」

 

 「...はい、よろしくお願いします」

 

 咲夜とにおは宙に浮かび人里へと向かい、におと咲夜の仲間捜索が始まったのだ。

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