オタメイト~幻想浪漫旅行~   作:まぐろ

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八話「地霊殿」

 とある西洋風の建物の内部である人物が歩いていた。

 その人物は建物とは対して和風の袴姿をしており、銀髪で同色の狐耳をした糸目の女性だった。

 女性は黒に、赤色または紫色の市松模様に彩られた床を歩き、ステンドグラスの天窓から反射した光に目が遮られ、手で目元を隠す素振りをした。

 

 「...地底と言うのに何故こんなに眩しいんだ?...やっぱり灼熱地獄跡から射し込んでいるからか?」

 

 中庭らしき場所にある大きな穴を見つめながら、そう呟いた。

 女性はまた歩き初め辺りをキョロキョロとしだし何かを探していた。

 

 「しかし、出入口は何処だ?そもそも儂はどうやって入ってきた?さっきまで路地とかを歩いていたはずだが」

 

 女性はぶつぶつとしゃべっていた。自分から入ったんだから、それぐらい覚えてろよ。

 

 「...なんか無性にあのアホを殴りたくなった」

 

 おっと...女性は得たいの知れない怒りを覚えながら出入口を探していると、それらしき扉の前にたどり着いた。

 

 「あー...確かこんなんだったなー...直ぐに見つかって良かったぜ、住人の誰かに出くわす前にさっさと出ていk」

 

 「お姉さん何してるんだい?」

 

 女性がドアノブに触れようとした瞬間、背後から呼び止められ女性は後ろを振り返った。

 そこにいたのは猫耳が生えた赤髪の両サイドで三つ編みにした少女が立っていた。

 

 (うわ...出会っちまった)

 

 「ちょいちょい、そんな嫌そうな態度は失礼じゃないか、そもそもあんたここの住人じゃなくて侵入者だろう?」

 

 「侵入者と言えばそうだな...すまない迷ってしまって出口を探していたんだ」

 

 女性はそう説明をすると猫耳っ子は「そうなのかわい?大変だったね」と何故かあっさりと受け答えた。

 そんなあっさりとされ、自分が言ったにも関わらず女性は思わず「...信用するのか?」と聞いた。

 

 「嘘はついていないみたいだからねーあとはまぁ...同じ獣の妖怪の吉身だしね」

 

 「...妖怪?」

 

 「お姉さん妖怪だろ?その耳からして狐だと思ったけど、違うのかい?」

 

 女性は一瞬頭を悩ました。

 

 (あ、幻想郷にいる時は儂は妖怪にされるんだった)

 

 自身が今、妖怪であることを思い出した女性はうなずいた猫耳っ子は「やった当たった!」と喜んでいた。

 

 「お姉さん出口を探しているなら、そこで合っているよ」

 

 「おお、やっぱりか...悪いな邪魔して、それじゃあ」

 

 女性は再びドアノブに触れようとしたが猫耳っ子に「ちょっと待っておくれ」と、また呼び止められた。

 

 「早く出ていきたいみたいだけどさ、このままお姉さんを行かせる訳には行かないんだよねー」

 

 「どういう事だ?」

 

 「迷って入ってきたと言えど、一応お姉さんは侵入者なんだよねー...悪いんだけど主人の所へ来てもらわないといけないんだよ」

 

 (勝手に入って来たのだから、どうケジメをつけてもらうか...てところか)

 

 女性は糸目を少しだけ見開きの「...断ると言ったら?」と伝えたら、猫耳っ子は自身の手を出し妖怪の力を使ったのか、爪を伸ばし、女性に見せびらかし「無理やりでも連れていくさ」と答えた。

 

 (逃げるのは簡単だ、だが後々がめんどい事になりそうだからおとなしく言うとおりにするか)

 

 女性はため息をつき猫耳っ子の言葉を了承し、猫耳っ子は「理解が早くて助かるよ」と言った。

 

 「それじゃあ早速だけど、おね...そう言えば自己紹介がまだだったね。あたいの名前は火焔猫燐って言うんだ、長いから、お燐って呼んでくれたらいいよ、お姉さんの名前は?」

 

 お燐と名乗る猫耳っ子がそう質問すると女性は銀色の髪をなびかせながら口を開けた。

 

 「狐龍 咲[こたつ さき]...咲と呼んでくれ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「仲間とはぐれたなんて、咲さんは大変だね」

 

 「そうだろ?あのアホ見つけ次第一発ぶん殴ってやる」

 

 「でもその子、ただの人間なんだろう?咲さんの力で殴ったら死ぬんじゃない?」

 

 「あいつはゴキブリ見たいにしぶといし、仮に死んでも蛆虫みたいに沸きだすから大丈夫だろ」

 

 「人間扱いされてなくない、その子?」

 

 咲とお燐は廊下を駄弁りながら歩いているとと他の扉より一際目立つ扉が見えてきた。

 

 (あそこに主がいる見たいだな...)

 

 目的地だとわかった咲は眉間にシワを寄せ明らかに嫌そうな顔をした。それに気遣いた、お燐は微笑みながら「そんなに強張んなくていいよ」と咲を宥めた。

 

 「別にとって喰おうだなんて思っていないさ、さとり様はあたしらみたいな動物が大好きだから良いようにしてくれるさ」

 

 今更ながら説明をするけど、この西洋風の建物は【地霊殿】と呼ばれており、主の名前は【古明地 さとり】であり、咲が今から会いに行こうとしている人物である。

 さとりは【心を読む程度の能力】の持ち主で、その力を駆使し対話の出来ない動物とコミュニケーションを取るなどして、動物を愛し、愛されている。

 咲とお燐は扉の前に立ちお燐がノックしようとすると、咲が「そんな事は知っている」と呟いた。お燐は「そうなのかい?それならなんでそんなに不安気にしてるんだい?」と質問した。...すると

 

 「入っていいわよ」

 

 咲が答えかけようとした瞬間、扉の奥から女の子の声がして、お燐が「わかりました」と返事をして、扉を開けた。

 扉が開くと、そこにはピンク色の髪をした少女が優しく笑みを浮かべていた。

 少女の手元にはペンと書きかけの用紙があった。何かしらの作業の途中のようだ。

 

 「お燐、案内ご苦労様」

 

 「いえいえ、何のこれしきですよ」

 

 「ふふ、そうね....そして」

 

 少女はチラッと咲を見てにこりとほほえんだ。

 

 「ようこそいらっしゃい...狐龍 咲さん」

 

 少女の態度に咲は眉間にしわを寄せた。

 

 「名乗っていないのに名前を知ってる...流石、悟り妖怪だな...気味の悪い能力だな」

 

 咲は嫌みのように口にした。

 

 「おっしゃる通り...だけど初対面で外から来たにも関わらず私達の事情を知っている貴女『達』の方こそ気味が悪いんだけどね...どうしてかしら?」

 

 咲の嫌みを返すようにさとりは言い返すと、咲は少し眉間をピクリと動かし「...そこまで読んでるなら説明不要だろ?」と答え、さとりは「それもそうね」と納得してしまった。

 

 「とは言えど...ある程度の質問には答えて貰いますわよ、咲さんを知るために...貴女達が敵かどうかとかね」

 

 咲はめんどくさ気に「好きにしろ」と答えた。

 

 「それじゃあ始めに...貴女達はどこから来たのかしら?」

 

 「電子の世界って言うところだ」

 

 「どんな場所かしら?」

 

 咲は少し唸った。

 

 「まぁ...簡単に言うと色んな世界に行ける場所だな、詳しい事は言えないがな」

 

 (言えない?隠し事は私には通用しないわよ)

 

 さとりは『サードアイ』を使って咲の心を呼んで見た。

 しかし、心を見たものの咲が口にした通りの情報しかわからず、詳しい内容はまるでテレビの砂嵐のように遮られてわからなかった。

 

 (読めない...)

 

 心を読もうとするさとりに気づいた咲は「読めないのか?」と聞き「ええ」とさとりは答えた。

 

 「読めないって...本当ですか、さとり様!?」

 

 「部分部分がね...何かの術かしら?」

 

 (さとり様でも読めないなんて...そんな事あり得るのかい?)

 

 咲はため息混じりに「虹村の仕業だな」と呟いた。

 

 「...悪く思うなよ、あまりこちらの情報が漏れたら、その世界に影響が及ぶからな...特に幻想郷はな」

 

 「本当のようですね...ではこの話は首を突っ込まないで起きましょう」

 

 さとりは少し残念そうにして言うと咲が「おう、そうしてくれ」と答えた。

 

 「次の質問です。貴女達の目的は?」

 

 「...旅行だ」

 

 お燐は驚いた表情をし思わず「は?」と言ってしまった。

 お燐の内心はあまりにも意味不明すぎて本当かどうか疑ったが、さとりが「本当よ」と言い、お燐の疑いをはらった。

 

 「それにしても旅行に幻想郷へ来るなんて...なに考えてるのかしら」

 

 「おう、それは発案した『バカ』と実行した『アホ』に言ってくれ」

 

 「是非ともその2人に会って見たいですね。何を考えているのかを」

 

 「やめとけ、覗いたら頭がおかしくなるぞ...特に『アホ』の方はな」

 

 「...ご忠告ありがとうございます。どうやら貴女は私達とは敵対するつもりはないようですね」

 

 さとりは質問し終わり納得した。するとお「良かったね咲さん」てお燐がニコニコと笑っていた。咲は「最初っから敵じゃないって言ってるだろ」とため息をついた。

 

 「貴女の状況は理解しました...この後仲間を探しに行かれるのですね?」

 

 「ああ、そのつもりだ」

 

 「でしたら、お燐を連れて行けば良いですよ?その子、よく地上へ遊びに行くから、良い案内人になるはずです。良いかしらお燐?」

 

 さとりはお燐に了承を伺うと元気よく「合点承知!お任せください」と返事をした。

 

 「そうか、それは助かr...」

 

 (いや待て...何でこんなに手を貸してくれるんだこいつは?)

 

 何か裏があると思った咲は疑いの眼差しを向けると、さとりはニヤリと笑い「ご察しがよろしいようで」と言った。

 咲は強ばった顔をして「...条件はなんだ?」と聞いた。

 

 「そんなに警戒しなくてもいいですよ...大したことないので」

 

 そう微笑んださとりに咲は嫌な予感がした。

 

 「...咲さんの予想は当たってますよ」

 

 さとりは咲の心を読み、微笑みから不適な笑みへと変わった。

 

 「咲さん...私のペットになる気はありませんか?」

 

 「絶対に言うと思った!断るッ!」

 

 やはりと言わんばかしに咲は声を荒げた。さとりもやはりと「言うと思いましたよ」と返した。

 

 「お前が動物を愛し、愛されている時点で予感してたわ!お前見たいな奴が近くにいるからな!」

 

 「旗八さんですか...なんだかその方とは気が合いそうですね」

 

 旗八に興味を抱いたさとりに咲は「多分バリバリに合うぞ」と言った。

 

 「しかし悪い話しではないですよ?」

 

 咲は疑いの眼差しを向けながら「...何が?」と聞いた。

 

 「咲さんにとって良い環境を提供しますよ?」

 

 「具体的に言うと?」

 

 「衣食住はもちろん...うちで作ってる温泉まんじゅう食べ放題ですよ!」

 

 「ほう、なかなか魅力的だな」

 

 興味を抱いた咲にさとりは「ならば!」食い気味になると咲はそれを「まあペットにはならないけどな」と断った。

 

 「な、何故ですか!咲さんは甘味が好きなはずですよね?」

 

 「確かに好きだが、その程度ではならないぞ」

 

 「ぐぬぬ...ならば、景色はどうですか!」

 

 さとりはそう言いながら部屋にある透明な扉へと向かい開けた。見た感じベランダのようだ。

 

 「景色?」

 

 「...ここから見る旧地獄の景色は良いものですよ」

 

 さとりは手招きをし、咲はそれに応じてベランダから見る景色を見た。

 燃えやがるような赤、ここが旧地獄とは思えないぐらいに輝く黄色等の提灯で照された町並み、遠く離れてもわかるぐらいに賑わう光景に咲は思わず「...綺麗だな」と口をこぼした。

 

 「そうでしょ、ここにいれば毎日見えますよ...どう?」

 

 「毎日だったら飽きるだろ、それにずっとこれしか見えないとか...不自由すぎるだろ」

 

 「外出の許可をあたえますから!」

 

 「だとしたらペットになる必要ないだろ」

 

 もっともな事を言われて、さとりは「ぐぬぬ」と言わないばかりの表情をした。

 

 「...!ふふふ」

 

 さっきまで悔しがっていた顔が一変し自信に満ち溢れた顔をしだすさとりに咲は不気味に思い「なんだよ」と聞いた。

 

 「プリズムリバー三姉妹...鳥獣戯画...をご存じのようですね」

 

 「!?」

 

 咲の脳に電流が走った。

 さとりが口にした2つの言葉は咲が幻想郷に来て一番やりたいもの....そう『ライブ』である。

 

 「ちっ...儂の頭の中をまじまじと見やがって」

 

 咲は音楽を愛しており、幻想郷で音楽での関連があるそのチームとコラボライブがしたいと思っていたため、さとりにその事を看破されたのだ。

 

 「ふふ...私の助力があれば、その方々とライブができますよ?」

 

 「なんでお前にそんな事ができるんだよ」

 

 「鳥獣戯画さんのほうで知人がいましてね...その人に頼めば喜んで受けてくれますよ、もちろんプリズムリバーさん達も来てくれます」

 

 魅了的な案に一瞬口がにやけた咲に「良い案でしょ?」と満面なん笑みは見せた

 

 (くっ...なんて魅了的な...幻想郷に来たらライブをしたいと思っていた...現に作詞と作曲もしてるし)

 

 「是非とも聞きたいですね」

 

 「いちいち頭の中を覗くな、嫌がらせか?」

 

 「いえいえ、単純に聞きたいだけですよ、咲さんの歌声をね」

 

 咲は思わず頬を赤らめてさとりに「咲さんてかわいいですね」と呟き、咲は反射的にグーパンチをしたがヒラリと躱された。心が読まれてるからだ。

 

 「さぁ素直になったらどうですか?私に貴女の歌を聞かせてくださいよ」

 

 「...!」

 

 さとりの一言に咲は幻想郷に来る前の事を思い出した...

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「ぶつぶつ言ってるけどさっきーは幻想郷に行きたくないの?」

 「行きたくないなんて言ってないだろ」

 「行くんかい」

 「みんなは幻想郷に行ったらまず何がしたいの?」

 「妖獣達とたわむれたい」

 「西文ちゃんらしいね」

 「儂h」

 「鮪麗は食べ歩きがしたい!」

 「話を遮るな!」

 「あいた!」

 「で、結局さっきーは何がしたいの?」

 「コラボライブがしたいな」

 

 「コラボライブって事は...プリズムリバーちゃん達?」

 「鳥獣戯画あたりもだね」

 「そう、一度はやってみたいと思ってな...曲も作成中だし」

 「いいんじゃん!凄く面白そうじゃん」

 「行く気満々でワロタw」

 「んだよ、文句あるのか?」

 「ううん、ただ曲が出来たら鮪麗達に聞かせてほしいなーて思ってさ」

 「っ!」

 「あれ~さっきーもしかして照れてる~?」

 「うるせぇ...ま、聞かせてやるからちゃんと感想言えよ」

 「約束だよ♪」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 しばらくの間、項垂れていた咲はゆっくりと顔を上げた。

 その表情は決心がついたかのように見え、心を読まなくてもさとりは咲の次にする行動を理解し、咲を止めようと動いた。だが、咲はひらりと躱し、一瞬の内に出入口へと移動し扉を開けていた。

 出入口付近で待機してたお燐は突然現れた咲に「いつの間に!?」と驚きを隠せなかった。

 

 「悪いな、儂のライブの先行は既に決まっててな」

 

 そう捨て台詞を吐いた咲にさとりは「待って」と静止をしようとしたが既に咲の姿はなかった。

 

 「は、早すぎるっ...」

 

 「ちっ...あとちょっとだったのにー!もう少しであのモフモフしっぽとピョコピョコお耳が触れたのにー」

 

 咲を勧誘できなかった事にじたばたしているさとりにお燐はやれやれとした表情をしていると、キッと睨まれた。

 

 「お燐!咲さんを探してちょうだい、なんとしてもおさわりをするために、私はまだやることがあるからお願い!」

 

 「言うと思いましたよ...わかりました、探してきまーす」

 

 「よろしく!」

 

 お燐はまったりと受け答え、咲を探しに部屋を出た。

 お燐が出た後、さとりは椅子にすわりやりかけの作業をし始めた。

 

 「咲さんのあの力...【バーチャルスキル】実に興味深いですね」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 さとりの勧誘から逃れた(一時的)咲は館の出入口へと向かっている途中だった...

 しかし、咲の前にあるのは出入口ではなく大きな翼に胸部に赤い球体の瞳のような物が着いた黒髪ロングの少女だった。

 

 「うにゅ?お姉さんはいったいどこから来たの?」

 

 出入口とは真逆の灼熱地獄へとたどり着いていた。

 

 「な...なんでだ」

 

 「それは私のセリフだよ、なんでこんなところにいるの?」

 

 「セリフはそうだが儂のとお前のとでは意味が違う」

 

 頭を抱えてる咲に灼熱地獄にいた少女は不思議そうにしていた。

 

 (この翼が生えてるやつは確か...お空だったか?)

 

 少女の名前は霊烏路 空、灼熱地獄の管理をしており、さとりのペットである。

 

 「よくわからないけど...それよりもここは立ち入り禁止なんだよー、侵入者は排除しなさいってさとり様に言われてるから排除するね」

 

 無邪気な笑みをしながらえげつないことを言うお空は右腕に付いている多角柱を咲に向けた。

 

 (ちっ、こっちの意見も聞かずに即バトルかよ、こいつはたしか核融合を操る能力だったか?儂の属性とは相性最悪だからめんどうだな)

 

 「まてまて侵入したのは悪かったが、儂は直ぐに出ていくつもりだから安心しろ」

 

 咲がそう言うとお空は「うにゅ?そうなの?」と言い多角柱をおろした。

 

 「おう、だから無闇な争いは避k」

 

 「まぁでも侵入してきたんだから排除はするね」

 

 お空は再び多角柱を咲に向けた。

 

 「お構い無しかよ!」

 

 咲は対抗するように何処からともなく刀を取り出した。その刀から白い靄のようなものが溢れだし、それに気づいたお空は不思議そうに見つめた。

 

 「その刀から出てる白い物は何かな?」

 

 お空の質問にさきは「これは冷気だ」と答えた。

 

 「冷気かーどおりで部屋の温度が下がったなって思ったら、それのせいかー...あれ?てことはお姉さんって氷タイプってやつ?だとしたら私との相性最悪じゃん」

 

 「だからやりたくなかったんだよ」

 

 「それもそっか、負けるってわかってるから戦いたくないのは当然だよねー」

 

 お空の一言に咲は癇に触ったのか閉じてるような瞳が見開き威圧した。

 

 「...ッ」

 

 空気が凍るような感じがした。灼熱地獄にも関わらず寒気がしたお空は一歩後退った。

 

 「戦いたくない理由はめんどくさいからだ...調子にのるなよ?」

 

 (この肌にピリピリとするこの感覚っこの人ただ者じゃない!?)

 

 お空は驚きと恐れを感じたが...それ以上に期待を感じていた...戦ってみたいと。

 2人に緊張が走り、戦いのゴングが今か今かと思っている最中、突然。

 

 「おや?咲さんこんなところにいたのかい?」

 

 間を割るように、2人にとって聞き慣れた声が入った。

 咲の後を追っていたお燐だった。

 緊張はほどき2人は武器を下ろした。

 

 「んだよ、お前かよ」

 

 「お前って、その言い方はあんまりじゃないかい?」

 

 咲とお燐が会話している姿をみてお空が「もしかしてお燐の友達?」と質問した。お燐は「まー...そうであって違うような」とあやふやに返事するお燐に咲が「友達じゃねーし」と食いぎみに答えた。

 

 「まぁいずれそうなるんだから友達みたいなもんだよ」

 

 「いずれそうなるって...どういう事お燐?」

 

 「さとり様が咲さんを是非とも家に来て[ペットに]ほしいんだって」

 

 お燐の説明に納得したお空は「なるほどー」と頷いた。

 

 「何回も言うがペットになんかならないぞ儂は」

 

 「あんな事言ってるけど、どうする?」

 

 「どうするも何も私らはいつも通りはするしかないだろ?」

 

 「それもそうだね」

 

 咲は嫌な予感がした。

 

 「...おい、まさか」

 

 その嫌な予感は当たり、お燐は手先から爪を伸ばし、お空は多角柱を咲に向けた。

 

 「なる気にならないならー」

 

 「無理やりにでも!」

 

 「結局こうなるのかよ!」

 

 めんどい戦闘から逃れると思った矢先、お燐が加わると言う更にめんどう事になり、咲は眉間にシワを寄せながら刀を取り出した。

 体制をとった咲にたいしてお燐は咲の方へと向かい組み付こうとした。

 咲は華麗に躱し上の方へと向かった。

 

 (やっぱりはやいなー...ていうか咲さん戦おうとしないで逃げようとしてる?)

 

 逃げようとする咲にお空はすかさず多角柱を咲に標準を合わしレーザーを放った。

 

 「っ」

 

 咲は間一髪に避けて、お空の方へ目線を向けた。

 

 「逃げようだなんてそうはいかないよ」

 

 「ちっ」

 

 「私達を相手に、そう簡単に逃げれるとは思わない方がいいと思うよー」

 

 ふてくされた表情で「ああ、そうかよ」と呟く咲にお空が「いい加減あきらめなよ」と言い咲は無視した。

 

 「お空の言うとおりさ、むしろそうやって動き回れて攻撃がもろに食らって死なれちゃあ困るんだよねー、おとなしくしててくれない?」

 

 「忠告どうも、だが心配はいらないぜ、お前らの攻撃は儂には当たらないからよ」

 

 嫌みに笑いながら挑発的に言う咲に対して2人はムッとなった。

 

 「ふーん...じゃあ何処まで避けられるか見ものだね!」

 

 特に怒りを顕にしたのはお空だった。お空は再びレーザーを放った。咲はヒラリと躱した。

 

 「ふん、甘えんだよ、そんなんじゃあ当たらねーぞ」

 

 咲は更に挑発し「こいつー」と言い多角柱のレーザーだけではなく無数の球体を作りだし咲に放った。

 

 「どうだ!」

 

 (弾幕か、点ではなく面で攻めるの悪くないな...ま、だからなんだって話しだがな)

 

 咲は弾幕を軽々しく避けた。それにたいしお空は「ぐぬぬ」と悔しがり、その様を咲はニヤリと笑っていた。

 

 (威力はやばそうだが、この速度なら体したことはn)

 

 余裕にしていた咲だったが突如背後から殺気を感じて振り向くと、そこには鋭い爪を振りかざそうとしたお燐がいた。

 

 「!?」

 

 気づけたおかげで攻撃は回避でき、お燐が「あちゃー気づかれたかー」と残念そうにし、そう言えばこいついたなーと咲は思い知らされた。

 

 (流石に2対1はめんどいな、長引くとキツいし)

 

 咲は動きを止め唸りだした。ついにあきらめたのかと思った2人は攻撃を止めた。

 しかしその油断が災いとなり、咲が「...一気に終わらすか」と呟き持っている刀を振り上げ刀に力を込めたのか白い冷気が更に溢れだした。

 お空は攻撃が来ると察知し多角柱を向けエネルギーを溜め始め赤から青へと変色した。

 

 「ちょ、ちょっとお空!?なんか力み過ぎてない!?」

 

 「これぐらいしないと諦めないでしょ」

 

 次第に光は青から白へと代わり激しく輝き出した。

 

 「爆風『メガフレア』!!」

 

 お空がそう叫びながら放ったレーザーは咲へと向かい次第に近づく輝きを咲は静かに見ていた。

 

 (まともにやりあったら終わりだな、まぁ別に正面からやり合うつもりはないからいいけどな...技ではないが一応この世界のルールに合わせて名付けるか)

 

 咲は刀を力強く握り勢いよく降り下ろした。

 

 「...雪符『氷霧』」

 

 振り下ろしたと同時に白い靄が勢いよく広がり灼熱地獄の周辺が真っ白に染まった。

 

 「わっ!」

 

 (真っ白で何も見えないっ)

 

 辺りが真っ白になった事で咲の姿が見えなくなり何処から攻撃がくるのかお燐は警戒して辺りを見渡した。

 

 (どこから来る?)

 

 しかしいくら待てども来ず、次第に視界は戻っていき...

 

 「あ、あれ?」

 

 咲が居ない事に気がついた。

 咲は視界を悪くする事で離脱したのだ。

 

 「逃げられたかー」

 

 「咲さん逃げ足早いねー」

 

 「あのひと咲って言うんだ」

 

 今さらかよっとお燐はガクッとした。そんなお燐の行動が理解できず、お空はポカーンとしていた。

 

 「まあいいけど...それよりも、また匂いをたどって探すしかないかー」

 

 「手伝おうか?」

 

 「気持ちはありがたいけど、お空は管理があるからできないでしょ」

 

 お空は「そうだった」と言い仕事を忘れていたお空にお燐はまたしてもガクッとした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 灼熱地獄から抜け出し再び出口へと向かう咲は口元に手をつけ考え事をしていた。

 

 (おかしい...儂は確かに出口へと向かっていたはずだ道を間違えるはずがない)

 

 「道を間違えたか?あの虹村(バカ)じゃあるまいし...」

 

 急な鮪麗への罵倒に遺憾である。

 

 (だが間違えたのは事実だし『無意識』に間違えたか?)

 

 「...無意識?」

 

 咲は足を止めた。そして何かに感づき辺りを見渡し初め探りをかけた...何者かの気配を。

 

 「儂の無意識を操って出口から遠ざけてるだろ?」

 

 「...」

 

 「近くにいるのはわかってる、出てきたらどうなんだ?『こいし』」

 

 咲がそう言うと何処からともなく少女の笑い声が聞こえ、先ほどまで人影1つなかった咲の前方に突然帽子を被った1人の少女が現れた。

 

 「よくわかったね...自己紹介したっけ?」

 

 少女の名前は『古明地こいし』さとりの実の妹で『無意識を操る程度の能力』を持っている。その力を使って咲を咲を路頭に迷わせていたのだ。

 

 「いや、こちらが一方的に知ってるだけだから気にするな」

 

 こいしは頬をプクーと膨らまし「ふーん、そうなんだ」ど不満気味に言った。一方的に知ってる事にたいしてだろう。

 

 「一応聞くが、何故こんな事をした?」

 

 不満気味の表情から一変ニヤリとこいしは笑い「お姉ちゃんと同じだよ」と答えた。この言葉の意味はさとりが咲をペットにしたいと同様のように、こいしも咲をペットにしたいと言う意味なのである。

 

 「...いつからだ?」

 

 咲の質問にこいしは「ん?」と言った。質問の意味が理解できなかったきらだ

 

 「とぼけるな、儂はここには行かないようにしていた、こうなる事がわかっていたからな...いつからだ?」

 

 「ありゃりゃ鋭いね~そうだよ、旧都ですれ違った時からだよ~」

 

 咲はため息をつきながら「だろうな」と呟いた。

 すると、こいしは咲に抱きつき上目遣いで「ねぇねぇ咲ちゃ~ん、家で暮らそうよ~」とおねだりをしたが「断る」と即答し、こいしを払いのけた。

 

 「おめぇらのペットになったりするものな、らろくな目に遭うに決まってる!咲ちゃん言うな」

 

 「え~そんな事ないよ~きっと幸せいっぱいになると思うんだけど~、咲ちゃんなら大丈夫だよ!」

 

 「その自信は何処から沸くんだよ、あと咲ちゃん言うな」

 

 「自信ありありだよ!私とお姉ちゃんの手にかかればみんなイチコロだよ!だから家でくらそうよ咲t」

 

 「咲ちゃん言うな」

 

 こいしはその場でじたばたしながら「いいじゃんそれぐらい」と駄々をこねた。咲はその様を見てため息ついた。

 

 「...どうでもいいが、儂の邪魔するなよ!」

 

 こいしは元気よく「は~い」と返事をし、咲は再び出入口を目指した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 しかし一向に出入口にはたどり着かない。

 しびれを切らした咲は刀を抜きこいしへと振りかざした。こいしはすいっとよけ咲との間合いをあけた。

 

 「も~う、そんな危なっかしい物振り回さないでよ」

 

 「自業自得だろ!お前まだ儂の邪魔してるだろ!」

 

 怒りを露にしている咲にたいして、こいしは舌を出しおちょくるような表情をした。

 聞こえるはずもない「てへぺろ☆」という擬音が咲の耳に聞こえたような気がした。

 咲はもう我慢ならんと、こいしの方へ歩み寄ろうとした瞬間、背後から「まだこんなところにいたのかい?」とまた聞き覚えのある声がした。

 咲は振り替えると呆れた表情をしたお燐がいた。

 

 (最悪だ)

 

 「咲さん、もしかして方向音痴って奴かい?」

 

 咲は食い気味に「違う」と否定し「こいつのせいだ!」と刀を前方へと指すように向けた。

 お燐は刀の先を見るとニコニコと笑いながら「やっほー」と手を振るこいしがいた。

 全てを察したお燐は「あちゃー」と頭に手を当てた。

 

 「こいし様...」

 

 「なに~?」

 

 「GJです」

 

 お燐は満面な笑みで親指を立ててそう言うと、こいしも親指を立て満面な笑みで返した。

 咲は頭を抱えた。

 

 「さぁこいし様、咲さんを取っ捕まえて我が家族に加えましょう!」

 

 「ガッテンだい!」

 

 2人は咲を挟み捕らえようと体制をとった。

 

 (こいしでもめんどくせーのにお燐まで来やがって最悪だ...ここはめんどうなやつらばっかで嫌になるな)

 

 咲は刀を振りかざした。

 先ほどお燐とお空にやった技を使おうとしたが、それにいち早く気づいたお燐が咲の懐へ近づき刀の持ち手を掴み技を封じ込めた。

 

 「同じ手は通じないよ」

 

 封じられた事にたいして舌打ちを鳴らし刀から手を離し、お燐から距離を離した。咲から刀が離れる事により、刀はまるで氷が溶けるようになくなり跡形も無くなった。

 ふとお燐は咲の方を見るといつの間にか咲の手元には刀が戻っていた。

 

 「すごーい!咲ちゃんって刀を自在に出す事ができるんだ!」

 

 「厳密に言えば氷で刀を生成してるがな、次咲ちゃん言ったら殺すからな?」

 

 マシマシな殺気にこいしは「こっわー」と余裕そうに答えた。

 

 「こいつをやったら次はお前だからな」

 

 「ふ~ん」

 

 咲の言葉にあまり興味が無さげな返事に咲は何か違和感を覚えた。するとこいしは咲に背を向けゆったりと歩き始めた。

 不可思議な行動に咲は不信を感じ警戒した。

 

 「..お燐ばっかり構ってないでさ~私もかまってよ~」

 

 こいしは振り向いた。まるで子犬が上目遣いをするようにあざとかわいい表情をするこいしに咲は思わずかわいいと思った。しかし、それ同様に寒気を感じた咲はこいしとの距離も空けようとした。

 するとこいしは右手で何かを引っ張る動作すると咲はまるでロープでぐるぐる巻きに合うような感覚と棘が体に食い込むような痛みに襲われ身動きが取れなくなった。

 

 「!?」

 

 よく見ると咲の体は青い茨のような物が巻き付いている事に気がついた。

 

 (い、いつの間に!?いや...こいつの力で気づけなかったのか)

 

 咲は茨を引きちぎろうしたが軟らかい性質と棘のせいでうまくほどけなくもたついた。

 

 「無駄だよその茨は軟質でそう簡単には千切れないよ?お燐ばかり見てるからこうなるんだよ~」

 

 「いや...お前の能力からして無理だろ!」

 

 咲のツッコミにたいしてこいしは「それもそっか」と返し咲はイラっとした。

 

 「こうなればこっちのもんだよねり暴れてると痛いでしょ?大人しくしたら?」

 

 「誰がそんな事聞くかよ、ガチガチに凍らせて壊せばいいだけだ」

 咲は体から冷気を出し茨を凍らし始めた。

 しかしそうはさせまいとお燐が爪を咲の首もとへ近づけ「それ以上したらもっと痛い目に合うよ?」と脅しをかけた。

 咲はギロっとお燐を睨むがなす術がなかったのか冷気を出すのを止めた。

 

 「ふぅ、やっと諦めてくれたかい、それじゃあ早速さとり様の下h」

 

 「【バーチャルスキル】...【オーディオ・ビジュアル】」

 

 「「!?」」

 

 2人は咲が何かしようとした瞬間抑えこもうとしたが...

 気付けば咲の姿は無く粉々になった茨の破片だけが残っていた。

 

 「いつの間に!?」

 

 「全然見えなかった?!」

 

 お燐はあまりにも理解のできない事が起こった事に驚愕し、こいしは咲が近くに潜めていないか辺りを見回した。

 

 (さとり様といた時もそうだった...いきなり姿形もなくなった!?)

 

 お燐は戸惑ったが次第に状況を理解して、既に咲は自分たちか離れており、地霊殿から抜けていると確信した。

 

 「こいし様!咲さんは既に私達から離r...あれ?」

 

 お燐はこいしに状況説明をしようとこいしの方に振り向いたが、既にこいしの姿はなかった。

 

 (こいし様も居ない事に気がついたみたいだね。それにしてもどうやってあの状況から抜け出しのだろうか...)

 

 そう考えている内に背後から「苦戦しているわね」と話しかけられたお燐はドキッとしゆっくりと振り向くと、そこに主人であるさとりが立っていた。

 

 「も、申し訳ございません!私が不覚を取ったばかりに」

 

 「気にしなくていいわよ、むしろそうなるだろうって思っていたから」

 

 お燐はさとりの言葉に疑問を感じ「と言うと?」と聞いた。

 

 「お燐も体験したでしょ?咲さんが急に姿を消した状況を、あれは咲さんの能力【バーチャルスキル】よ」

 

 お燐は【バーチャルスキル】と言う単語を聞いて、はっ、とした。

 

 (バーチャルスキルって...確か咲さんが口にしていた【オーディオ・ビジュアル】だっけ?)

 

 「そうそれ...咲さんはその力を使って忽然と姿を消したりしたのよ」

 

 お燐は「なるほどー」と納得した。

 

 「だけど、言葉ではどういう能力かわかりませんね。瞬間移動みたいなものでしょうか?」

 

 「私も最初はそう思ったわ、だけどお燐が体験した状況を見て恐らく...」

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