シャーレの先生 アカシア   作:電シャーク

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グルメあーかいぶっ!⑬

■阿慈谷ヒフミの美食屋伝説⑥

 

ヒフミ「この間ふと思い立って、ペロロ様のよだれを舐めてみたんですけれど」

コハル「ごめんのっけから全く意味が分かんないわ」

ヒフミ「これがすっごく美味しかったんです!飲み応えもコクもあって、鼻から抜ける風味も心地良くて…!」

ハナコ「多分ただの鶏がらスープだと思いますよそれ」

ヒフミ「これを使わないのは惜しいと思い、アズサちゃんに協力を依頼して、一品作ってみることにしたんです!」

アズサ「フンス!(ᓀ‸ᓂ)」(←自慢げな顔)

コハル「アズサあんた友達に頼まれて初めて作る料理の素材がヨダレで良いの?」

ヒフミ「アズサちゃんと数日間試行錯誤を繰り返した末、天啓のように降りてきたアイディア!それを形にしたのが、この…!」

アズサ「『ペロロ様のよだれ入りラー油をペロロ様の蒸し御肉にかけたもの』だ」

ハナコ「要するによだれ鶏ですね」

コハル「もっと早く思いつきなさいよそのアイディア」

ヒフミ「もー!何でそんなにテンション低いんですか二人とも!」

コハル「明日テストで勉強しないといけないのに付き合わされてるからよ!」

ハナコ「数日間試行錯誤繰り返したって言ってますけど、その間の勉強はどうしてたんですかヒフミちゃん?」

ヒフミ「勉強するなら栄養補給も必要です!ということでホラホラ早く早く!」

アズサ「私が今もてる技術の全てを費やした一品だ。ぜひ食べて感想を聞かせてくれ」

コハル「いただきます―――(モグモグ)…うーん…」

ハナコ「いただきます―――(モグモグ)…えーっと…」

ヒフミ「あ、あれ?反応イマイチ…?」

コハル「…アズサ、これラー油が肉の味に負けてるわよ。御下賜肉の味の印象が強すぎるってのもあるけど…」

ハナコ「ラー油を作る時に、元の鶏がら…もとい、よだれの味を消さないようにし過ぎて、ラー油感が薄く、結果的によだれ鶏にはなってないというか…」

コハル「ハッキリ言うと、ただの蒸し鶏。ラー油である必要性もよだれを使う理由も無いわよこれじゃ」

アズサ「そ、想像より遥かに厳しい意見…(ガクリ)」

ヒフミ「やっぱりフローゼ先生の授業を経た二人の舌を満足させるには至りませんでした…(ガクリ)」

コハル「はい栄養補給終わり。観念して勉強しなさい」

ハナコ「二人ともちょっと厳しくいきますからね」

ヒフミ、アズサ「「はーい…」」

 

これが後のヒフミのフルコースの前菜、『よだれペロロ様』の原型となるのであった。

 

 

 

 

 

■食術とは一体なんだったのか

 

セリカ「アカシア先生の世界、美食やそれに関する技術がすごく発展してたのは理解出来たんですが…それ以外の職業って、どんな感じだったんですか?」

アカシア「料理関係以外の職業か…何せグルメ時代だったからなぁ。どんな職業でも多かれ少なかれ関わっていたよ。投資家なんてのは最たるもので、食材や料理技術、それを提供する企業の動きを見るっていうのが大前提にあったからな」

セリカ「確かに、料理や食材にまつわるものが一番株価が上下しそうですね」

アカシア「他の職業だと、文章で人の腹を満たすグルメ文豪や、美食旅行を提供するグルメツーリストとか…」

セリカ「文章で満腹に…!ぜひ読んでみたいです!」

アカシア「ノッキングを用いるグルメ整体師、散髪しながら料理を出すグルメ美容師、天体の動きを見て猛獣の出現を予測するグルメ天文学者…」

セリカ「…いや、グルメ美容師ってそれ要するに、散髪できる料理人なのでは?あと何で天体の動きで地球の動物の動きが予測出来るんですか?」

アカシア「あと、グルメ山賊やグルメ強盗団なんてのもいるな」

セリカ「それは職業じゃなくて、れっきとした犯罪者集団ですよ!?」

アカシア「そういえばグルメ仙人なんてのもいたと聞いたが…これは正直私もよく分からんな…」

セリカ「…言っちゃ悪いですけど、それってただの社会不適合者の自称とかでは…?」

 

 

 

 

 

 

■ありそうでなかった職業

 

イズナ「あれ、部長。床に這いつくばってどうしたので?」

ミチル「ちょ、イズナ!い、今は駄目!今ここに入って来ないで、そこに居て…!」

イズナ「…部長、コンタクトレンズしてたのですか?」

ミチル「違う!コンタクトレンズじゃなくて、かくれんぼを落としたの!」

イズナ「かくれんぼを…落とす???」

ミチル「ああもう、そうじゃなくて、グルメ食材よ!透明なさくらんぼで、熟して甘くなると見えるようになるっていう…!」

イズナ「なるほど、それを取り落として何処に行ったか分からなくなっていると…」

ミチル「大きさは普通のさくらんぼサイズだから、下手に踏み込んで潰されたらたまったもんじゃないのよ!せっかくアカシア先生から分けてもらったのに…!」

イズナ「―――ふふ、ふふふ!心配御無用ですぞ部長!イズナの身に付けたグルメ忍法、今こそお披露目の時!」

ミチル「ぐ、グルメ忍法!?」

イズナ「いざご賢覧あれ!イズナ流グルメ忍法―――味遁・白雪隠れの術!!

ミチル「うわっ!?何その白い粉!?何を撒いたのよイズナ!?」

イズナ「ご心配なく、これは砂糖!『トリックトリー糖』といいまして、甘味だけでなく苦味や酸味に変化することもあるという不思議な砂糖!これが敵の目や舌に入ることで、感覚を狂わせ惑わすという、グルメ時代の新しいスタイルの忍者を象徴するが如き術!」

ミチル「確かに忍者っぽくはあるけど、そんなもんばら撒いて『ご賢覧あれ』とか言ったの!?」

イズナ「しかし今回は敵の感覚を狂わすためではなく。この振り撒いた砂糖が床に積もることで―――ほら部長殿!左斜め下に!」

ミチル「あ、なるほど!かくれんぼの場所だけ砂糖が浮き上がって…!よかった、無事に見つけられたわ…!」

イズナ「何でも三虎先生の部下には、多勢相手に危険な調味料を霧状にしてばら撒くことで敵を倒した方も居るとか…このイズナもグルメ忍法の開祖として、まずはそのぐらい出来るようにならねばなりませんね!」

ミチル「そうね、ありがとうイズナ、お手柄よ。…けど、床に積もった砂糖はどうするつもり?」

イズナ「………あっ」

ミチル「…掃除するわよ。ホウキとちり取り持ってきなさい」

 

 

 

 

■アカシア式Unwelcome School

 

☎︎<ジリリリリ…

アル「はい、便利屋68」

謎の女性『食欲か、愛情か』

アル「―――!『ただの食欲だ』」

謎の女性『お久しぶりね便利屋さん。またお仕事を頼みたいのだけど』

アル「ええお久しぶりです、マダム・キスマーク。いつもの荷運びですわね?喜んで♡」

謎の女性『ふふ、お忙しい貴女たちに毎回依頼するのは気が引けるけれど…治安の悪いゲヘナ学区からアリウス分校へ、安全に『品物』を運びだすには、実力のあるプロフェッショナルに頼むのが一番だものね?』

アル「遠慮なさらなくて結構ですわ、マダムは我が便利屋のお得意様ですもの。これからも信頼と実績の便利屋68にお任せくださいませ」

謎の女性『ふふ、頼もしいわ―――ではいつも通りに。報酬もいつもの口座に振り込んでおきますわ。では、三虎様にもよろしく(ガチャ』

 

アル「ふふふ―――みんな!!仕事が入ったわ!!二週間ぶりの仕事、マダム・キスマークからのいつもの依頼よ!!倉庫に向かって品物を回収するわよ、急いで支度して!!」

ハルカ「ハイっ、アルさま!!弾薬も目一杯持っていきます…!!」

カヨコ(…仕事がなくて、食料も貯金も底をついたタイミングで毎回…)

ムツキ(…アルちゃんがノリそうな設定で依頼を上げて、報酬と食事を差し入れてくれる…)

 

カヨコ・ムツキ((いつもありがとう、フローゼ先生…!!))

 

 

 

 

 

 

三虎「分かりますかアカシア様。これが演技力ってものです」(←一応報告に来た)

アカシア「…っ!!…っ、っ…!!」(←恥ずかしさに悶えている)

一龍「wwwww」(←笑い転げてる)

次郎「ヒーwwwヒーwww」(←笑い転げてる)

ペア「キwwスwwマーwwクwww」(←笑い死にかけてる)

 

 

 

 

 

■余談:兄弟たちによる論評

 

三虎「騙されてたじゃないかって言いますけど、あれは地球壊滅一歩手前っていう切羽詰った状況下で、気迫の凄さで無理やり押し通しただけですからね」

一龍「あれだけ愛情をもって育ててくれた父親を怒り狂って殺してくれって、そんな無茶苦茶な要求あります?それでその無理を押し通しそうとしてついた嘘がアレって、絶望的に演技力がないとしか言い様がないじゃないですか」

次郎「ほぼ騙されてた俺が言うのも何ですが、もし俺があの場に居てキスマーク云々聞いてたら全部悟って激冷めしてた自信があります」

三虎「というか、自我も時間もあったんですから、納得できるようなでっちあげのストーリー考えとけば良かったじゃないですか」

一龍「アカシア様の計画の一番の妨げになりそうだったのが、アカシア様自身の名声と嘘の下手さだったって自覚ありますか?」

次郎「マジで三虎とペア、それにトリコに感謝した方がいいですよアカシア様。全部理解した上で狂言にのって、テイストチェンジまでして要望叶えてくれたんですから」

 

 

アカシア「…っ、…っ!!」(←床に転がって身悶えしてる)

 

ペア「アロナちゃん、このやり取り録画してフローゼに送ってあげて」

アロナ『分かりました。フローゼ先生からも録れたら即送ってって連絡来てます』

ペア「ちなみに、一通り話を聞いたアロナちゃんの感想は?」

アロナ『アカシア先生の聖人ぶりは知っていますので…ちょっと無理があるかなぁって』

ペア「だよなぁ…」

 




なお自分でマダム・キスマークとか名乗ったフローゼ当人も、アルちゃんにそう呼ばれるたびに必死で笑いを噛み殺している模様。

アンケートは今話で締め切ります。たくさんの投票ありがとうございました。

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