■教育に悪いと言った理由
アツコ「~~~♪」
三虎「ご機嫌だな、アツコ」
アツコ「あ、三虎先生、それにミサキも。見て下さい、とっても綺麗に花が咲きました」
三虎「ああ、見事なものだ。流石は園芸部部長だ。好きこそものの上手なれ、だな」
アツコ「正直に言うと、不安でした。花を育てるのは好きでしたけど、スクワッドのメンバーと離れて、ひとり違う部活を立ち上げて活動していくのが、やっぱり不安でたまらなくって…」
ミサキ「けれどこれだけ綺麗な花壇を作れれば、誰も文句はないでしょ。それに、グルメ食材の栽培も上手くいってるみたいだしね」
三虎「先日実った白桃菜も、料理班から非常に評判が良かったからな」
アツコ「三虎先生が仰っていた、『まずは腹を満たそう』という教え―――花も植物も、まずは種を植えて、その種に水と栄養を与えてお腹を満たすことで育っていく。自分で言うのは恥ずかしいですが、今の私は、植物を育てるという“料理”をしている料理人なんです」
三虎「そこで私の教えを持ち出されるのは、なかなか面映ゆいな―――…ん?あの花は…?」
アツコ「あの一際大きい花ですか?実はあの花、先日仲良くなったレッドウィンターの方からいただいたものでして…」
ミサキ「…何だろ、変わった匂いがする…ぶどう?」
三虎「…すまん、ちょっと電話する」
三虎「―――おいジジイ、お前また密造酒作ってるだろ?」
三虎「とぼけるな!ウチの生徒が育ててる花の中に、ワインフラワーが混じってたぞ!お前が仲良くしてるレッドウィンターの酒飲み生徒と共謀してるな!?」
三虎「二人だけでやるならまだしも、無関係な生徒を巻き込むんじゃない!!ついこないだアカシア先生に怒られたばかりだろうが、懲りろアル中!!」
アツコ「…え、ええと…」
ミサキ「…そのままで良いと思うよ、三虎先生かアカシア先生が何とかするから…多分」
■ダイエットフィッシュ会議inゲヘナ
マコト「―――というわけで、ダイエットフィッシュの入手を確約できたわけだ!!キーッヒッヒッヒッヒ!!」
イロハ「いや、先輩の手柄じゃないし、ミレニアムの提案に乗っただけじゃん」
チアキ「けど実際すごいじゃないですか、痛みも苦労もなく痩せられる魚だなんて…!」
サツキ「学園内だけでも引く手数多、学区全域で提供すれば、ボロ儲け間違いなしよ!」
マコト「その通り!!アカシア先生の世界では一時間一万円でコイツの泳ぐ温泉に浸かれたそうだが…キヒヒヒ、値付けが甘いなァ!!5倍…いや、10倍でも千客万来になるのは間違いない!!ゲヘナ学園の新たな財源として、我々万魔殿で管理して―――」
イロハ「ちょ、ちょっと待ってマコト先輩!今何て言った!?」
マコト「?いや、一時間一万円じゃ安すぎると…」
イロハ「そのあと!どこで泳いでるって!?」
マコト「どこって、温泉だが―――」
イロハ「―――
マコト「…あ」
サツキ「あ」
チアキ「あ」
イロハ「…今ダイエットフィッシュの生育条件について研究中らしいですけど…もしその結果、温泉にしか生息できない生態だった、とかだったりしたら…」
カスミ『ハーッハッハッハ!!ダイエットフィッシュが生息できる温泉を開発・保持できるのは、我々温泉開発部だけだ!となれば…分かるだろう?ダイエットフィッシュを管理するのは、誰であるべきか!!』
イロハ「…最悪の場合、温泉開発部が我々に並ぶ権力を有することに…」
マコト「―――よし、フローゼ先生に預けよう!!万が一にも温泉開発部の手に渡ることだけは避けなければならん!!」
サツキ「それが良いと思うわ。元々フローゼ先生の世界の生き物なわけだし…」
チアキ「風紀委員にも共有しておいた方がいいですかね…?ゲヘナの三大組織全体でダイエットフィッシュの情報を共有した方が…」
マコト「むむ…いや、温泉開発部に存在を知られるよりはマシか…。仕方ない、ヒナに給食部に顔を出すよう伝えてくれイロハ」
イロハ「了解です。直ちに連絡取ります。サツキ先輩もチアキも、外でダイエットフィッシュのこと漏らさないようにね?」
サツキ「当然よ。どこでアイツらが聞いてるか分からないからね…」
チアキ「存在知ったら力尽くで奪取して来そうですしね…」
■実はジャイアントシェルの方が100万倍デカかったりする
一龍「釣れとるかね、ネルちゃんや」
ネル「お、一龍せんせーチーッス。今日はイマイチだな。旨赤虫使ってるんだが、食い付きが悪ぃ。周りも似たような感じっぽいな」
一龍「ふむ、この港にも釣り人が増えたのう。ミレニアムの生徒だけじゃなく、他校の生徒や一般人も居る」
ネル「この港でフグ鯨が釣れたって話が出回ったからな」
一龍「釣れただけでどうにかなるもんじゃないんじゃけどなアレ。アスナちゃんが特殊過ぎるだけで」
ネル「つーか今日、C&Cのメンバーも釣りに来てるぜ。それぞれ別の場所で釣りしてるから、アスナならまたフグ鯨釣り上げてるかも―――」
アスナ「あ、リーダー居た!それに一龍先生も居るー!おーい!」
純金クジラ「ブォォーー!」
(金色のクジラに乗って海からやって来るC&Cの面々)
一龍「………」
ネル「眩しっ!?おいアスナ、何だその金ピカのクジラ!?」
アスナ「あっちの港に迷い込んでたから、手持ちのグルメ食材あげたら懐かれた!」
カリン「アスナ先輩が背中に乗りたいって言ったから、一緒に乗せてもらって遊泳してたんだ」
一龍「…純金クジラじゃな。普段深海に生息してて、捕獲はおろか出会うことすら困難なはずなんじゃけど…アスナちゃんだからのー…」
ネル「まあアスナだしな。にしてもまさか別のクジラ連れてくるとはなー。クジラ惹き寄せる食運とかだったりすんのかな?」
一龍「…もしそうだとしたら、最終的に鯨王まで呼び寄せてしまいそうで怖いんじゃけど」
ネル「何、そいつ?」
一龍「口開いて吸い込むとブラックホールが発生するクジラ」
ネル「怖っ!!?キヴォトス滅びるじゃん!?」
■神の料理人、慈愛の怪盗と出会う
フローゼ「失礼するわね、『慈愛の怪盗』―――清澄アキラさん」
アキラ「―――こちらこそ初めまして、フローゼ先生。ゲヘナのどんな荒くれ者も貴女の前では頭を垂れると噂に聞いていましたが…噂以上でしたわね。私が美術品を収蔵する隠れ家をこんなにもあっさりと…」
フローゼ「驚かせてしまったならごめんなさいね。ここには一人で来ているし、誰にも言うつもりは無いから安心して?」
アキラ「…貴女が言うならそうなのでしょう。捕まえるつもりならとっくに終わっているはずですし。それでは、ご用件を伺っても?」
フローゼ「あなたがこれまで盗んだもののリストを拝見したのだけど、その中にひとつ懐かしいものがあって見に来たの。モーニングローズという花の種なのだけど…」
アキラ「それならこちらですわ。頂戴したは良いものの、なかなか発芽せず…」
フローゼ「あら、それなら植え方を教えるから一緒に育てない?今からなら2か月後の満月に間に合うわ!とっても綺麗な花が咲くのよ!」
アキラ「…咎めないのですか?ここにあるのは全て盗品。悔やむことも言い繕うこともしませんが、薄汚い盗人と詰られるのも当然で…」
フローゼ「あら、私の目にはこの美術品たちはあなたに盗まれて喜んでいるように見えるけれど」
アキラ「え?」
フローゼ「そもそも私に人を咎める権利なんてない、というのもあるけど…私たちの世界にはね、食材が料理人を選ぶ、という考え方があるの。食材の方から料理人に寄っていく、もしくは料理人自身が食材を惹きつける力…それと同じで、美術品たちの方が、あなたに盗んでほしい、あなたの手に納まりたいと思って、あなたに寄っていっているんじゃないかしら?」
アキラ「美術品たちが…私を…?」
フローゼ「あなたの美学を否定しているわけじゃないわ。むしろ逆。あなたの美学に惹かれて、あなたに認められたいと美術品たちが思い、あなたのもとに集っている…そして、認められて、ここに居て、輝きを放っている。例え誰があなたを咎めたとしても、ここに居る美術品たちは、あなたを認めてくれている。そう思うわよ?」
アキラ「っ…!フローゼ先生…!わたし…!」
フローゼ「さぁ、慈愛の怪盗さん。まだ答えを聞いてないわーーー一緒にモーニングローズの花が咲くのを見ましょう?」
アキラ「はい…はいっ!ぜひお願いいたしますわ!」
フローゼ「ありがとう。それじゃあ植え方と育て方を説明するから―――お茶でも淹れて、ゆっくりお喋りしましょうか♡」
~3か月後~
アキラ「本日よりフローゼ先生の弟子として給食部に席を置かせていただきます、
フウカ「大歓迎よ!!ついに来た給食部の新入部員…!!」
ジュリ「私も先輩になるんですね、嬉しいです!!料理以外なら何でも聞いてね!!」
ルミ「私にとっても初めての妹弟子になるのね…!フフフ、ますます頑張らなくちゃ…!!」
『神授の料理女王』愛清フウカ。
『料理界の開拓姫』朱城ルミ。
『愛情料理の聖母』清澄寺アイこと、清澄アキラ。
後のキヴォトスのグルメ文化を引っ張り続ける、『神の料理人の三弟子』、初めての邂逅であった。
地味にアカシア不在回でした。
清澄+慈愛=清澄寺アイ。名付けた後で知ったんですが、千葉県に実在するみたいですね、清澄寺。しかも日蓮上人が最初に入山、出家したという、滅茶苦茶由緒あるお寺でした。
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