シャーレの先生 アカシア   作:電シャーク

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グルメあーかいぶっ!⑰

■甘味よ我等を憐れみたまえ

 

マリー「サクラコ様、お菓子持ってきま…あれ、正義実現委員会のハスミさんも…?」

サクラコ「ああ、マリーありがとう…さあ、ハスミさんもどうぞ…カスタードたっぷりのシュークリームですわ…」

ハスミ「ありがとうございます…うう…美味しいです…」

マリー「え、えっと…どうなさったんですか?お二人ともその苗木の前で跪いていることに何か関係が…?」

 

サクラコ「この苗木は先日ハスミさんが見つけた苗木で、栗ームの木と言いまして…」

ハスミ「アカシア先生曰く、成木になると栗味のシュークリームやエクレア、栗ームぜんざいが実るそうです」

マリー「それは…大変美味しそうですね‼︎御相伴に預かっても…」

サクラコ「もちろんですわ。ハスミさんも私も、隠すつもりなどありません。実をつけたら皆様に紹介する予定でした」

ハスミ「私も委員会の皆だけでなく、スイーツ仲間のサクラコさんと分け合いたいと思い、こうしてシスターフッドが有する花壇を分けていただいていたのですが…」

 

サクラコ「…マリーさん、この土、舐めてみて下さい」

マリー「…?では失礼します…(ペロッ)!?え、これって…カスタード!?」

 

サクラコ「はい…『カスター土』という土です。元々アカシア先生の世界の植物であるこの木は、この土でしか育たないそうで…」

ハスミ「花壇に穴を掘ってこの土と苗木を入れて育て始めたのはいいものの…水をあげる度、カスター土から甘い香りが溢れ出て…」

サクラコ「実がなる前に土を食べ尽くしてしまいそうになるのです…!実際とても美味しいですし…!」

マリー「なるほど…それでカスタードのたくさん入ったお菓子を持ってきて、と…」

サクラコ「マリーさん、明日からあなたも水やりに加わって下さい…私たちだけでは我慢できず土を食べてしまいそうで…」

ハスミ「私もツルギに頼んでみます…うう、シュークリーム美味しいです…」

 

マリー「承知しました…あ、近付くとホントに甘い香りがしますね…」

ハスミ「抗いがたいでしょう…?だから他の人に頼みづらいんですよ…」

サクラコ「まるで花の蜜に誘われる虫ですわね、私たち…」

 

 

 

 

 

 

■長いものには巻かれよう

 

チアキ「ふと思ったんですけど…最近のマコト委員長、冴えてません?」

イロハ「え、いつも通りお間抜け晒してばっかりだと思いますけど…」

チアキ「それはまあそうなんですが、ゲヘナ学園全体に関わることについては割としっかり判断してるというか…生徒会長らしい仕事してるなって」

サツキ「…言われてみれば確かに。ここ半年のマコトちゃん、イブキちゃんに関わらないことでも、ちゃんとトップとしての判断してるわね」

チアキ「何より風紀委員とよく報連相取るようになったっていうか、敵視する機会が明らかに減りましたよね?」

サツキ「本当にそれ!給食部とかでも嫌味言いつつ対面でご飯食べてるし、以前ほど仕事を風紀委員に丸投げしなくなったし…」

イロハ「元が底辺ってのもあると思いますけどね…まあチアキの言うことも理解できますし、その理由も明白ですよ」

「「というと?」」

イロハ「フローゼ先生ですよ。フローゼ先生がゲヘナに居るから、しっかり仕事してるんです」

「「どういうこと??」」

イロハ「ほら私たちとフローゼ先生、初対面で戦車バラバラにされた挙句、包丁突き付けられて脅されたじゃないですか」

サツキ「うん」

イロハ「あれで格付け決まっちゃったんですよ。フローゼ先生が上で、マコト先輩が下」

サツキ「なるほど」

イロハ「要するに、自分がゲヘナのトップだって自覚だけはあったから、マコト先輩は好き放題出来てたわけですが…明確に自分より上の人間てのが現れちゃったもんだから、委縮しちゃってるんです」

チアキ「ああー…そういうことですか…」

サツキ「つまり今のマコトちゃん、『下手なことしてフローゼ先生に怒られたくない』ってマインドで仕事してるわけね?」

イロハ「おそらくは。ヒナ先輩相手ならどんな手を使ってでも上に立とうとしますけど…フローゼ先生が相手じゃ、どんな分野だろうと逆立ちしたって敵いっこないですもん。そりゃ大人しくなるってもんです」

サツキ「…ねえ、マコトちゃんがフローゼ先生に頭が上がらないっていうなら、もう給食部がゲヘナ最高権力でいいんじゃない?」

イロハ「流石にそれ認めちゃったら、マコト先輩がやる気なくしてだらけるだけになるかと…」

 

チアキ「…というか、すでに名実ともにそうなってません?どう考えてもフローゼ先生がゲヘナのトップだって皆認識してますよ?」

イロハ「…それも、マコト先輩には言わないでおきましょう」

サツキ「…時間の問題じゃないかしら…」

 

 

 

 

 

■ドーナツトーク(真)

 

フブキ「エアコンの効いた部屋と柔らかいソファ、ゴロゴロしながら食べる美味しいドーナツ…いやぁ至福だねぇ。グルメ時代を迎えてどこの店のドーナツもクオリティ上がってるから尚更だよ」

アカシア「ははは、くつろいでるなぁフブキ。コーラも飲むかい?私の手作りだが」

フブキ「アカシア先生お手製のクラフトコーラかぁ、最高じゃん!飲む飲む!」

 

キリノ「(ガチャッ)失礼しますアカシアせんせ…あーっ!やっぱりここでサボってましたねフブキ!」

フブキ「げ、キリノ。見逃してよー、私疲れてるんだからさー」

キリノ「午前中から何に疲れてるって言うんですかもう!ほら早く巡回の続きを…」

アカシア「いや、実際にフブキは疲れてるんだと思うぞ。昨晩もドーナツ屋数店舗のコンサル業務を掛け持ちしてたみたいだしな」

キリノ「え?コンサル業務?フブキが??」

フブキ「…もーアカシア先生、何で知ってるのさ。そんで何で言っちゃうのさ」

アカシア「さすがにオーバーワークだと思ったものでな。今キヴォトス各地のドーナツ店、チェーンから個人店まで幅広く支援している、ドーナツ専門の覆面コンサルタント。グルメ食材の提供や仕入れルートの確保、味の品評や新作のプロデュースまで精力的かつ適確に行い、キヴォトスのドーナツのクオリティを大きく押し上げている謎の存在ってことで、界隈で噂になってるよ。今フブキが口にしているドーナツも、コンサルしてる店の商品だろう?」

フブキ「…はぁ、やっぱりアカシア先生に隠し事は出来ないねー。流石に連日何店舗も見て回ってると、しんどくてさー」

キリノ「ふ、フブキ、いつからそんな…というか、いつもぐうたらなフブキが何故そんな、聞くからに面倒なことに手を染めてるんですか!?」

アカシア「ぐうたらと言っていいかはともかく、私も気になるな。ドーナツ好きが高じたにしても、コンサルとしての働きぶりはかなり精力的だし、その割にはフブキ自身の儲けは度外視してるようだしな」

フブキ「…先生の世界の美味しいドーナツのこと聞いた時にさ、ドーナツを背負ったり実らせたりする野生動物がいるって言ってたじゃん?」

アカシア「ああ、確かに言ったな」

キリノ「野生とはいったい…」

フブキ「で、大概捕獲レベルも低くて捕まえやすい生物だって言うから、探してみたんだよ…で、見つけられたんだけど」

キリノ「見つけたんですか野生のドーナツを!?」

 

フブキ「うん…ドーナツムリって言う…殻がドーナツになってるカタツムリ…

キリノ「え゛、カタツムリ…?」

 

アカシア「あー…確かに第一発見者はヴァルキューレとなっていたが…そうか、フブキが見つけていたのか」

キリノ「えっと、聞いていいのかは分からないんですけど…野生のカタツムリ、なんですよね?それって衛生的に大丈夫なんですか?」

フブキ「私もそう思って、恐る恐る食べてみたんだけど…人生で一番ぐらい美味しいドーナツだった…」

キリノ「美味しかったんだ…なら良かったんじゃ?」

フブキ「良くないよ!美味しいドーナツかもしれないけれど、カタツムリの殻なんだよ!?ナメクジの背中に乗ってたも同然なんだよ!?それが人生で一番美味しいドーナツだとか、絶対に認められない…!」

アカシア「なるほど…だからドーナツ店のコンサルしてクオリティあげて、ドーナツムリ以上のドーナツを生み出そうとしてるわけか…」

フブキ「野生のドーナツなんかに頼ろうとした私が間違ってたんだ…やっぱりドーナツは、人の手で作られるべきお菓子なんだ…!あのカタツムリを超えるドーナツを、何としても見つけてみせる、作り出してみせるんだ…!!

キリノ「うう…その決意聞いちゃうと、疲れてサボってるのを諌められない…!分かりました、私にも協力させてくださいフブキ!ドーナツの材料になるグルメ食材を見つける手伝いなら出来るはずです…!」

フブキ「うん、ありがとうキリノ…!頼りにさせてもらうよ…!」

 

アカシア(…ドーナツにかけるその熱意が、食運となって最上級のドーナツムリを呼び寄せてしまったのでは、とは言わないでおこう…)

 

 

 

 

 

■阿慈谷ヒフミの美食屋伝説⑦

 

ヒフミ「オウガイが釣れないです…」

アカシア「そんな簡単に釣れても困るんだが」

ヒフミ「アカシア先生からオウガイの生態を聞いたので、色々餌を変えてはみているんですが、全く反応がないんです…。ザリガニフィッシュとかカバザメとかデビルクロコダイルとか…」

ペア「順調に捕獲レベルが上がっていってる辺りに成長が伺えるな」

ヒフミ「アカシア先生、ペアさん、何かオウガイを釣るためのアイデアありませんか?」

アカシア「うーん…絶滅した希少生物だからなぁ…餌を変えたからってひょいと釣れるものでもないし…」

ペア「あ、ペロロジラはどうだ?」

ヒフミ「…ペロロ様を生餌にしろと…?」

ペア「違う違う、そういう意味じゃないからいきり立つな!御下賜肉の方だよ!」

アカシア「ああ、御下賜肉を釣り餌にするってことか?しかしオウガイだぞ?いくらグルメ界の生物の肉だからといって、貝が釣れるか?」

ペア「まあ十中八九無理かなとは思うが…同格の食材って言ったら、現状キヴォトスじゃそれぐらいだし、何よりペロロジラを愛し愛されている阿慈谷の食運なら、ワンチャンあるんじゃないか?」

ヒフミ「そう言われるとイケそうな気がしてきました…!ありがとうございますペアさん、私やってみます!」

 

アカシア(…保証もないのに乗り気にさせるようなこと言うんじゃないぞペア)

ペア(流石に無責任だったか…済まん、フォローの言葉考えとく…)

 

 

(数日後)

 

ヒフミ「釣れましたぁー!!」

 

「「そんなアホな」」

 

 

 

阿慈谷ヒフミのフルコース魚料理…オウガイ~ペロロ様の記憶~

 

 




ちなみに栗ームの木は、トリコ原作に出てきた「栗ー夢」とは別物です。アニメのOPで紹介されてた食材になります。

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