■最もキヴォトス向きの食材
アカシア「弾丸ドングリは鉄のような硬度もさることながら、振動を感じると銃弾並の速度で実を飛ばしてくる、危険な植物だ」
アカシア「加えて発射されたドングリは地面に落ちると、即座に毒性の芽を出す。もちろんその時点で食用にはならなくなる」
アカシア「なので放たれたドングリを着弾前にキャッチする必要があるのだが…文字通り銃弾を素手で掴むようなものだ。旬の季節には毎年怪我人が多発する、危険な食材だったんだ」
アロナ『なるほど、それじゃあ…』
ヘルメット団A「あいてっ!眉間に当たった!」
ヘルメット団B「ちょっと、ヘルメットはちゃんとしときなさいよー。目に入ったらマズイんだから」
ヘルメット団C「3番エリア採取してきたよー」
ヘルメット団D「オッケーそこ置いといて!ついでに2番エリアのドングリ、粗悪品取り分けておいたから製粉場に持ってって!」
アロナ『キヴォトスの生徒にはノーリスク、ってことですね!』
アカシア「銃弾程度じゃ擦り傷にもならないからな。地面にさえ落とさなければいいのだから、低反発素材のシートを敷いてあえてドングリを喰らい、シートの上に転がったのを拾えば簡単だ」
ラブ「それをうちらヘルメット団に任せてもらえて嬉しいよ。あぶれ者のうちらに、しっかりした仕事をくれてさ。ホント、アカシア先生には頭上がんないよ」
アカシア「いやいや、私は君たちに適任だと思って任せただけだよ。その後こうして弾丸ドングリ料理専門のカフェを開いたり、採取の際に出た粗悪品を製粉する施設を整えたりしたのは、君たち自身の手柄だ」
ラブ「その相談をした時に親身になって聞いてくれて、信頼のおける業者を紹介してくれたのもアカシア先生じゃないか。先生が居なきゃうちら、今でもキヴォトスの鼻つまみ者のまんまさ」
アロナ(アカシア先生が弾丸ドングリの農園をヘルメット団に任せたいって言い出した時は驚きましたが…ラブさんたちに明確な役割を持たせることで使命感を抱かせ、安定的な食事と給料を確約すると同時に、彼女たちが農園の経営に集中することで治安の向上にも繋げる…リンさんも感心しきりだったし、本当に上手い手を思いつくなあ…)
アカシア「それよりも、ラブが開発した弾丸ドングリ料理を食べてみたいな。このどんぐり粉のざるそば、大盛りで頼むよ」
アロナ『じゃあ私はどんぐりパンケーキ、チョコレートソースで!』
ラブ「あいよ先生!厨房、アカシア先生からのご注文だ、気合入れて作っぞー!」」
< オオー!!
アカシア「ふふ、頼もしい子たちだな」
アロナ『先生が導いたおかげですよ』
■ダイエットフィッシュ会議in山海経
シュン「ココナちゃんお待たせ、ご飯出来たわよ~」
つ コラー玄米
つ もち肌もやし
つ コラーゲンキノコ
つ サラサラ豚
ココナ「はぁ…またこれですか。いや美味しいしいいんですけどね…」
シュン「あら、好き嫌いはダメよココナちゃん?」
ココナ「好き嫌いじゃなくて、これ全部シュン姉さんの好物…というか美容に良い食材ばっかりじゃないですか。シュン姉さんが食べたいものなんだから、シュン姉さんだけ食べてればいいでしょう…」
シュン「私とココナちゃんで別々に料理作るなんて手間じゃないの。そんなこと言うなら自分の分は自分で作りなさい?」
ココナ「食べないとは一言も言ってないですよ、頻度が多過ぎるって言ってるだけ…はぁ、今からこの調子じゃ、ダイエットフィッシュやメラニングラミーが正式に配布されたらどうなることか…」
シュン「………」
ココナ「…どうしたの、姉さん?」
シュン「………ダイエットフィッシュって、何のこと?」
ココナ「えっ」
ミナ「(気絶中)」
キサキ「い、いや違う!違うんじゃよシュン!お主を除け者にしたとか独占しようとしてたとかそういうのではなく!ホラ、非常にセンシティブな生物じゃから、ミレニアムによる人工繁殖が成功してからじゃないと要らん混乱を招くことになるし、何より万が一梅花園の子供たちの耳に入ったら、あっという間に噂が広まってしまう恐れがあったから、言うに言えなかっただけで…それに今みたいに暴走する恐れもあったし、いやお主の克己心を信じていなかったわけではなく、というかこうして実際に暴れておるんじゃから妾の方策は正しかったと…いやすまん馬鹿にしたわけでは―――」
< アーッ!?
ルミ「安らかに眠りなさい、キサキ…」
ココナ「流石に死んではない…と思いますけど…」
ルミ「というかココナは何で知ってたのよ」
ココナ「…シャーレに顔出した時に偶然話を聞いてしまって…姉さんには話が通ってるものと…」
ルミ「…キサキのやり方が間違ってたとは思わないけど…間が悪かったわね…」
ココナ「…引き金を引いた人間として、反省いたします…すみませんキサキ様…」
■背骨が丸ごと氷柱になったような
トキ「リオ様。ご命令通り、グルメ食材のレモンを数種類仕入れて参りました」
リオ「待ってたわ。早速ここに置いて頂戴」
ヒマリ「ようやく普通のレモン使って普通のレモネードを作るっていう当たり前の発想に至りましたか。タブレットだの合成レモネード風飲料だの、無駄な遠回りし過ぎなんですよ。横領して要塞都市作った人間と本当に同一人物ですか?」
エイミ「いちいち突っかからないでよ部長…トキ、いいから食材の説明お願い」
トキ「かしこまりました。では順番に説明させていただきます。まずはレモモン。桃の風味と甘味を兼ね備える高級レモンで、100%生絞りのジュースは一缶10万円する高級清涼飲料となるそうです」
ヒマリ「それは素晴らしいですね。目標額の達成に一役買ってくれそうです」
トキ「こちらはレーモンド。アーモンドの香ばしさを持つレモンだそうです」
リオ「…アーモンド風味のレモネード、試してみる価値はありそうね」
トキ「こちらはがんばレモン。栄養ドリンクとして絞って飲まれることも多いと」
ヒマリ「悪くないですが、何を思ってそんな名前付けたんでしょうか…?」
トキ「こちらはたちあがレモン。栄養ドリンクとして絞って飲まれることも多いと」
エイミ「さっきのがんばレモンと何が違うの?」
トキ「そしてこちらがしびレモン。樹木が避雷針となっていて、受けた雷を実に蓄電させて成長。最大で1万ボルトの電圧が流れているため、レモンスカッシュとして人気が高いと―――」
リオ、ヒマリ「「却下。今すぐミレニアム学区外へ捨ててきなさい」」
トキ「…呉越同舟の異口同音とは予想外です。正直これが最有力候補だったのですが、それほどまでに拒絶する理由を伺っても?」
リオ「少し考えれば分かることよ。そのしびレモンの果実そのものが蓄電しているというなら、その果汁を絞ったレモネードも帯電することになるでしょう?」
エイミ「まあそうなるよね」
ヒマリ「…雷を受けて育つような電力を持つレモンの果汁を絞り、飲むのに支障ない程度の電力を帯びたレモネードを売ったとして」
トキ「?」
エイミ「………あっ」
ヒマリ「仮にその帯電レモネードが、ミレニアム生が各々で所持、研究する精密機器にかかったら、どうなると思いますか?」
トキ「…わお。大惨事ですね」
エイミ「今私、生まれて初めて背筋がぞっとする感覚を味わった…暑くはなくなったけど、二度と味わいたくない…」
ヒマリ「最悪の予想ですが、賠償金で目標額が一桁増えますね」
リオ「そういうわけだから、直ちにミレニアム学区外に捨て…ると、アカシア先生たちが良い顔しないから、シャーレに事情話して預けてきなさい。一龍先生には私から伝えておくわ」
ヒマリ「ついでにミレニアム学区内への持込禁止食材として登録しておきましょうか。ヴェリタスに依頼して生息地の絞り込みも―――」
トキ「…犬猿の仲を繋ぐのは、やはり共通の敵なのですね」
エイミ「共通の敵っていうか、万民の敵だよ」
■その時世界が静止した
フローゼ「お待たせ~!ポイズンキングのスペアリブに、ゴルゴロプスとモノクロプスの串焼きに、ミサイルカジキのカルパッチョ!それにコバルトマト、ハム鯖、ツワモノバジル、ナプキンキノコのブルスケッタ!まだまだあるから、みんな一杯食べてね!」
アロナ『わ、わあ…!すごい量の食事です…!』
ペア「まあ、いくら料理があっても食い切れない、ってことはないんだけどさ…」
フローゼ「それでねあなた!私やっぱり難しいかなー、って思ってたのよ!曲がりなりにも特殊調理食材だし、条件見つけるまでに数週間はかかるんじゃないかって!そしたらちょっと出かけてた数時間の間にフウカちゃんは条件見つけててね!もう驚いたのなんのって…!」
アカシア「そうだな、特殊調理食材を正しく扱える料理人なんて、元の世界でも一握りだった。ましてや初見でとは驚くばかりだ。今後の成長に期待を抱かずにはいられないな、うん…!」
次郎(…この話、もう4回目じゃけど)
三虎(しっ!当のアカシア様が指摘してないんだから、口にだすな…!)
一龍(にしても、こんな浮かれ気分なフローゼ様、初めて見たわい。というかちょっと呑んどるよな?)
アロナ(突然シャーレにやって来て皆でご飯食べましょう!って宣言した時にはすでにちょっと呑んでたと思います…)
ペア(この食事回に呼ばれた時点で相当テンション高かったからな…よっぽど一番弟子の成長が嬉しかったんだろうが…)
フローゼ「はぁ…ねえ、あなた」
アカシア「ど、どうしたフローゼ?」
フローゼ「娘って…いいわよねぇ…」
アカシア「」
一龍「」
次郎「」
三虎「」
フローゼ「一龍も次郎も三虎も、もちろんトリコもスタージュンも、私の可愛い息子だけど…ほら、みんな男の子じゃない?今まで女の子を育てたことってなかったから、フウカちゃんたちの成長を見守るのって、凄く新鮮でね?節乃ちゃんは出会った時にはもう、ほぼ完成してたから…娘の成長を見守るのって、こんな気持ちになるんだなって―――」
アロナ『ちょ、フローゼ先生、フローゼ先生…!』
ペア「フローゼお前、とんでもないこと口走ってるぞ…!?」
フローゼ「?」
フローゼ「………」
フローゼ「……!!?」
フローゼ「ちちちち違うのよあなた!?娘がほ、ほ、欲しいとかそう言ってるわけじゃなくてね!?フウカちゃんを見守るのが娘の成長を見守ってるような感じだって話で…!?」
アカシア「」
一龍「」
次郎「」
三虎「」
ペア「駄目だ、4人とも聞こえてない!爆弾発言過ぎて思考がフリーズしてるぞ!?」
アロナ『アカシア先生―!?一龍先生も次郎先生も三虎先生も、気をしっかりー!?』
フローゼ「あなたー!?一龍、次郎、三虎ー!?お願いだから訂正させてぇ!!?」
(余談:目を覚ました三兄弟の一言目)
一龍「つまり愛清フウカはワシらの妹?」
次郎「アカシア一家は5男1女の8人家族?」
三虎「いや、弟子はまだ二人居る。つまり5男3女だ」
ペア「まだ混乱から覚めてねえな!?」
アロナ『うわーん、誰か気付けお願いしますー!?』
フウカ「何か私の知らないところで大きな事件が起きてる気がする…」
投稿遅くなってしまい申し訳ありませんでした。一か月経ちようやく仕事が落ち着いてきたため、執筆の時間を取ることができました。次話のシスフ回についても、今月中に投稿できると思います。
活動報告でも書きましたが、アンケートで得票率3位だったセミナー回を書いた後、仮の最終回を書き、一旦完結としたと思います。
その後は完全不定期更新として、出来上がり次第アップしていく形にしていきます。どこで力尽きるかは分かりませんが、アンケートで募集した他の話や、以前から言及してるアスナメイン回も形にしたいな、と考えてます。どこで力尽きるかは分かりませんが(保険)
それでは、感想お待ちしております!