シャーレの先生 アカシア   作:電シャーク

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最終回前の〆となるあーかいぶ、後編です。
一話前に前編が投稿されていますので、そちらを先に読んでいただいた方が納まりが良いかと思います。


グルメあーかいぶっ!㉕

■これから残す足跡

 

ノノミ「ビオトープ、ですか?」

一龍「うむ。我々の世界にあった動植物の生態研究、繁殖のための人工環境でな。グルメ食材を世界規模で流通させる上で必須となる、食材の研究・養殖を担う重要な機関じゃった。それをこのキヴォトスでも作りたいと思っていてな」

リン「ビオトープは自然環境ごとに設置することが望ましく、現時点でレッドウィンターの雪原地帯、オデュッセイアの海洋環境にそれぞれ設けることを予定しています。すでに両校には相談済みで、色よい返事をいただけています」

シロコ「ん、ということはアビドスは、砂漠のビオトープを?」

一龍「それもあるが、アビドスにはもうひとつビオトープを作りたいと思っとるんじゃよ。ほれ、今度三虎がメテオスパイスで環境の復元を行うじゃろ?その時にビオトープ用の用地を確保して、最適な環境を作りたいんじゃ」

アオイ「ビオトープは連邦生徒会…というより、シャーレ直属の施設となる予定だから、こちらで土地を買い上げさせてもらいたいの。とりあえずこの広さで、この金額で…」

アヤネ「え、メチャクチャ広…いえそれ以上に、何ですかこの金額!?今のアビドスの土地公示価格、この百分の一ですよ!?

ホシノ「うへぇ、アビドスが元々抱えてた借金も余裕で返せる額じゃん…マジで言ってるのこれ?」

アオイ「私も驚いたけど、一龍先生が算出したビオトープ設置後の経済予想では、こんなものはした金レベルよ。もちろんアビドスにもそれに匹敵するぐらいの経済効果が見通せるわ」

一龍「人も企業も雪崩のようにアビドスに押し寄せてくるじゃろうのう。 それこそかつてキヴォトス最大と言われた頃と同じか、それ以上になると思ってよい」

リン「とはいえ、すぐに答えを聞かせてほしいというわけではありません。 どの道まずは三虎先生による土壌の復活ありきですし、建設にも時間がかかります。ひとまず持ち帰って検討していただければ」

セリカ「そ、そうですね…話が大きすぎて、ちょっと頭が追い付かないかも…」

アヤネ「で、でも!前向きに検討したいです!アビドスの借金問題は片付いたわけですし、これでビオトープが完成すれば、アビドス復興はほぼ確実です…!!」

ノノミ「それに、アカシア先生たち肝煎りの案件かつこの規模で土地を開拓するってことになれば、ネフティスや他の企業からの融資も期待できます…!ハイランダーも最優先で交通網整備に力を貸してくれるはずです!」

シロコ「ん、アビドス高等学校の規模が三大校に並んで、 キヴォトス四天王になる日も近い・・・!」

 

ホシノ「ん~、でもさ一龍先生。ある程度アビドス側での管理も必要になるんだよね?この広さが二つってなると、さすがにちょっと重荷かも…」

一龍「それも問題ない。実力も土地勘もある人手に目星をつけてある」

ホシノ「ふぇ?」

 

 

 

クロコ「っ、クシュン!…ん、何か誰かに噂されてるような…」

 

 

 

 

 

■酒臭い息で寄り添って

 

ノドカ(天見ノドカです)

ノドカ(最近うちの酒造所は、新しい従業員を複数迎え入れました)

ノドカ(私とシグレちゃん、それに臨時で雇う工務部の子たちでは手が回らなくなってきて、困っていたところに、次郎先生が連れて来てくれたのです)

ノドカ(それが彼女たち───)

 

アケミ「ホラ貴女たち!動きが疎かになっていましてよ!もっとテキパキ動きなさい!」

舎弟『ウイッス、アケミさん!!』

(栗浜アケミさんと、その舎弟の子たちです!)

 

次郎「ほっほっほ、頑張っとるのうアケミちゃんや」

アケミ「まあ次郎先生!ええ、もちろん頑張らせていただきますとも。先生相手に力比べなどという愚行に及んだ我々を寛大な心で許していただけたばかりか、正式に雇って仕事まで任せていただけたんですもの。この御恩に報いなければ伝説のスケバンの名が廃りますわ!」

次郎「ありがとう。まあそう肩肘はらんでええ。頼りにしとるよ」

アケミ「お任せ下さいまし。ほら貴女たち!次郎先生がいらしているのだから、ご挨拶なさい!」

舎弟『ウス!!お世話になってます!!』

 

ノドカ(元七囚人という前科を聞いて、最初は震え上がりましたが、話してみると気風が良く、舎弟の方への指示と管理もしっかりしていて、現場監督としてとても頼れる方です!)

ノドカ(それに加えて、もうひとり───)

 

カヤ「ああもう煩いですねぇ!もっと黙々と仕事やってくれませんか、集中できないので!?」

アケミ「あら、この程度で集中が切れるだなんて、元から大して集中していなかったのでは?」

カヤ「矯正局あがりのチンピラが知ったようなこと言わないでもらえますかねぇ!?大体いい加減なんですよここの経営!ろくに収支も記録してないし…!」

シグレ「いやぁ、ごめんね?旨いお酒作れればそれでいいやって感じで始めたからさ、どこで何を仕入れたかとか曖昧で…」

カヤ「知ってますよ何べんも聞きましたよ!けど実際この酒のポテンシャルがあれば、業界最大手になることだって夢じゃないんです!次郎先生の存在もあるし、それなら私はここで成り上がってやるんですから…!」

 

ノドカ(元連邦生徒会、防衛室長の不知火カヤさん)

ノドカ(カイザー絡みの不正の数々が原因で信用も仕事も失ったところを、次郎先生が無理やり引っ張ってきました)

ノドカ(ここに来た当初は不満たらたらでしたが、意外とお酒の味が分かるみたいで、シグレや次郎先生の晩酌に付き合ってる内に、不満も口にしなくなりました)

ノドカ(現在は酒造の経理や事務を担当してもらってますが…ちょっと野心だだもれで怖いです。まあ、次郎先生が目を光らせてるので、滅多なことはないですけれど)

 

シグレ「あ、ノドカ。ひょっとして差し入れ?」

ノドカ「はい!酒粕とアカアオレンジのピールを使ったクッキーです!」

次郎「お、こりゃありがたいの。みんな、ノドカちゃんによーくお礼言って食べるんじゃぞ」

『あざっす、いただきまーす!』

 

ノドカ(今、私もシグレちゃんも、すっごく楽しい毎日を送ってます!)

 

 

 

トモエ「…脱獄した七囚人のひとりに、元連邦生徒会の防衛室長が合流してますけど、放置で良いんですかアレ…?」

チェリノ「良くはないけどどうも出来ん。というかおいらたちの総戦力に匹敵してる。極めつけに次郎先生が居るし…」

マリナ「まあ、次郎先生が七囚人と元防衛室長を見張ってくれてると思えば、納得でき…でき…うーん…」

 

 

 

 

 

■後輩思いの在り所

 

ミレニアム生A「すみません、ミレニアムレモネード、炭酸抜き氷少なめレモン多めで」

ミレニアム生B「今日って甘露草のシロップ入荷してます?してない、けどハニーロックの蜜が代わりに?うーんじゃあ試してみようかな…」

ミレニアム生C「何これ、新商品…え、フローゼ先生監修!?そんなん絶対間違いないじゃん…!これひとつください!」

 

ハレ「会長さんこんにちはー。こないだのがんばレモンのレモネードってあります?出来ればそれ、原液でほしいなって…え、何に使うのかって?コレ、アタシの好きなエナドリの妖怪MAXっていうんですけど、これと混ぜて飲むとメッチャキマる…もとい、すっごく爽快でして。もし良かったらこのお店でも売ってみたらいいんじゃ…あ、部長。えっ、営業妨害!?いやいやそんなつもりはみじんも…はい、自重します…」

 

リオ「レモネードの売れ行き、安定してきたわね」

ヒマリ「一時はどうなることかと思いましたが…やはりこの万能の天才ヒマリちゃんがその気になれば、あらゆる不可能を凌駕し得るのですね。せいぜい五体投地して感謝を捧げるが良いですよ」

リオ「貴女が全く関与していないタブレットの方も、それなりに売れてるけれど」

ヒマリ「…悔しいですが、そこそこ需要はあるんですよねアレ。プロテイン含んだタイプは、トレーニング部や人体研究専門の部活が箱買いしていきますし…」

リオ「やっぱりグルメ食材を使うと割高だもの。こういう屋台では薄利多売を目指すべきでしょう?」

ヒマリ「それはその通りですが、それなら屋台である必要が無いんですよ。結局こういう店に求められるのは生の食品の味わいです。現に最高額のレモモン100%のレモネードは、ちゃんと買っていく人もいますし」

リオ「…アレ買ってるの、一人だけじゃないかしら」

ヒマリ「要するに一番のお得意様ですよ。何より貴女の直属の後輩なんですし、無碍にしては…あ、来た」

ユウカ「会長、それにヒマリ先輩、こんにちは。いつものレモモン下さい!」

リオ「いらっしゃいユウカ。相変わらずレモモンが好きね。ひと際高いのに」

ユウカ「えへへへ…一度飲んで病みつきになっちゃって。高いのは分かってるんですが、これ飲むと頑張るぞって気分になるので―――」

 

アリス「モモイ、ユウカを発見しました!何やらアイテムを手に入れようとしている模様です」

モモイ「あっ、ホントだ!ちょっとユウカ、何買おうとしてんのさー!私たち可愛い後輩たちにも奢れー!」

ミドリ「ちょ、ちょっとお姉ちゃん、アリス…」

 

ユウカ「なんだ、モモイじゃない。人に集る前に自分の課題はやったの?今月末の実績報告、忘れてないでしょうね?」

モモイ「うっ…お、覚えてるよ、トーゼンじゃん!けど良いシナリオ書くには美味しいもの補給して心のガソリンを満タンにしなきゃいけないんだよ!ユウカがここのレモネード奢ってくれることで、実績報告でも良い報告が期待できると思うんだけどな~?」

ユウカ「何を図々しいこと言ってんのよ、全く…しょうがないわねぇ。会長、レモモンMサイズ、4つ追加してもらえる?」

リオ「え、ええ…」

 

リオ(…いくら可愛い後輩にねだられたからといって、ひとつ10万のレモモンを人数分買い与えるかしら…?)

ヒマリ(グルメ食材関連への投資が上手くいってるとは聞いてますけど…買い方が豪快ですよね、やっぱり)

リオ(ユウカの個人資産、噂に聞くだけでも相当なのよね…)

ヒマリ(そりゃあ貴女がエリドゥ建てるために横領した額をポケットマネーで補填できるぐらいですから…実質私たちの目標額すら払えるってことですよ?)

リオ(この店の売上に一番貢献してるのもユウカだし…ちょっと待ってちょうだい。私、ユウカに対してとんでもない負債背負ってないかしら…?

ヒマリ(今頃気付いたんですか。ならついでに無関係の私までそれを背負わされている理不尽にも気付きなさい…!)

リオ(…一蓮托生よ、ヒマリ)

ヒマリ(ふざけんな独りで逝きなさいドブ底女!)

 

モモイ「ねーユウカまだー?」

ユウカ「…もうしばらく待って。どうやら頭良い二人の頭悪い暗闘が発生してるみたいだから」

 

 

 

 

 

■阿慈谷ヒフミの美食屋伝説⑩

 

一龍「これは───」

アカシア「次郎と三虎に話したら、お前自身に来て見てもらうのが一番良いと口を揃えて言われてな」

ペア「良い反応だな。サプライズにした甲斐があった」

ヒフミ「あ、こんにちはアカシア先生!それに一龍先生も。どうしたんですか?」

一龍「ヒフミちゃんや。これは…この木は…」

ヒフミ「はい、ペロロ様のお家です!このてっぺんに巣があるんです!!三虎先生に伺ったんですが、これって『ミリオンツリー』って名前だったんですよね?」

アカシア「アリウス学区内でアズサが種を見つけたんだ。それを補習授業部に持ち帰った際、偶然にもペロロジラが種を食べて・・・糞から発芽し、このサイズまで急成長したそうだ」

ペア「お前自身がよく知る通り、ミリオンの種はエボシの涙から絞った水分が無ければ発芽しない。だが、ペロロジラはビリオンバードの近縁種だ。その体内を経ることで、エボシの涙に含まれる栄養素と同じ種類のものを種が吸収し、糞として排出されたことで発芽に必要な条件が整った・・・と考えられる」

アカシア「もっとも、元のミリオンツリーとは別種になるがな。ペロロジラの体内の酵素や栄養素も吸収し、新たなグルメ食材として生まれ変わった。茎も葉も中々美味しかったぞ」

ヒフミ「『ペロロンツリー』って名付けました!私のフルコースのサラダに加えることにしたんです。これでフルコース完成です!」

ペア「ほれ、ツリーから採取した種だ。一つ摘んでみたが、癖のある味だな。俺の好みじゃないが、普通に食えることは請け合ってやる」

アカシア「…私は詳しいことは知らないけれどな、一龍。私にとってのネオであると同時に、お前にとってコンビに等しき間柄なんだろう?…お前は優し過ぎるからな。事情を話さず逝ったことも、自分の死後にあれこれと手間をかけさせ、挙句死に追いやってしまったことも、全部負い目に思っているんだろうが・・・そういう迷惑も苦しさも、共に分かち合って笑い合ってこその『コンビ』だ。料理人かどうかなんて関係ない。共に食材を探し、分かち合いたいと思った存在が居るならば、立派な『コンビ』であり、『家族』だ。そこにどんな負い目や詫びの気持ちがあろうと、彼と共にする食卓から逃げてはいけないぞ」

ペア「次郎と三虎から伝言だ。『これでもう、逃げる言い訳は全部封じられたんだから、さっさと行ってこい』だそうだ。それとフローゼからも、『お友達は大切にしなきゃダメよ』だとさ」

一龍「・・・ありがとうございます。ありがとうございます、アカシア様・・・!」

アカシア「礼はいいから行ってこい。友達が待ってるぞ。リオたちには私から話を通しておいてやる」

一龍「はい、今すぐに。それと、ヒフミちゃん」

ヒフミ「は、はい!」

一龍「フルコース完成、おめでとう。たくさんの友達やペロロ様を大切にな」

ヒフミ「ハイ!ありが、じゃなくてえーっと・・・『ごちそうさまです』!」

 

阿慈谷ヒフミのフルコース

 

前菜:よだれペロロ様

スープ:ペロロ様の鶏冠汁

魚料理:オウガイ~ペロロ様の記憶~

肉料理:ペロタンサイコロステーキ

メイン:ペロロ様の御下賜肉~調理法別5種盛り~

サラダ:ペロロンツリー丸ごとサラダ

デザート:トリニティペロロプリン

ドリンク:ペロロンミルクセーキ

 

 

 

 

 

■余談:From 実体験

 

ペア「ところでアカシア。さも師からの有り難い教えみたいな感じで一龍を諭してたけどよ。お前、こっちの世界にフローゼが来た時、負い目があるから顔出しづらいとか俺に相談してきてたよなぁ?」

アカシア「…いや、別に自分のことを棚に上げたわけじゃなくて・・・再会自体は喜び合ったし、その後で顔出さなかった件はちゃんとフローゼに怒られたしだな・・・」

ペア「俺の目を見て喋れ負い目名人」

アカシア「誰が負い目名人だ!?持ち芸みたいに言うな!?」

ペア「お家芸ならぬ負い目芸ってか。ハハハウケる」

アカシア「よーし久しぶりに殴り合うかこの野郎!?」

 




というわけで、各学校の様子をそれぞれ書いてあーかいぶは〆です。ヴァルキューレも書きたかったけど、前回のアロエ以上の話は思いつかんかった…ヴァルキューレ推しの方々スミマセン…。

次回は一龍とアイツの再会話です。一話分なので長くはありません。
その後最終回を投稿予定ですが、当初の予定よりかなり長くなってしまったので、最低でも3分割は必要になりそうです。年内には投稿いたします。

残り数話ですが、最後までよろしくお願いいたします。

それでは、感想お待ちしております!
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